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【5話】
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3人が連れていかれるのを、誰もが黙って見ていた。
「ハーディ様。先程、容疑者ベリルが着ていたと思われるドレスが使われていない教室から発見されました」
それからしばらくして、衛兵の1人が私のドレスを持ってきた。
「証拠品として持っていけ。ベルゼ嬢、悪いが預からせて貰うぞ」
「はい。それから、知っている方は少ないかもしれませんが、図書室の東の窓からこの中庭が一望出来るのはご存じでしょうか?」
「いや、初めて聞いたな」
ハーディ様も知らなかったのか。
「私は一部始終をそこから見ておりました。もちろん、信頼のおける方と一緒に。で、ございます」
「そうか。誰と一緒だったか聞いても?」
「はい」
「それは私です」
私が紹介するのが待ちきれなかったのか、その方はさっさと登場されてしまった。
またもや周りがざわめく。
「学園長」
そう。
私は復学の手続きを取った後、学園長にお願いして図書室の窓から一緒に中庭の出来事を見て貰っていた。
私の必死な様子に、学園長は快く引き受けてくれた。
「一連の出来事は全て見ていたから何でも証言しましょう」
学園長は3人の茶番を窓から見て心を痛めていたが、証人として証言してくれるらしい。
「よろしく頼む」
私達はそのまま城へと登城した。
城にある応接室に通されると、すでに国王陛下と王妃様とゼレウスの母である側室様、お父様とお義母様、メガイラ様の両親が揃っていた。
お義母様は私を見て驚きを隠せなかったみたいで「なぜ?どうして?」と口にしていた。
ハーディ様と学園長が事の詳細を詳しく説明する。
それを聞いた側室様は、自分の息子が罪人になったのだからと、陛下と離縁して修道院に入ると即決。
戸惑いながらも許可を出す陛下。
メガイラ様の両親はどんな罪でも償いますと言って、爵位返上を申し入れていた。
さすがに罪は軽くないとは言え、おいそれと公爵家を取り潰す訳にはいかないからと、降爵に留める事になった。
さて、私の両親はと言うと、お父様は怒りでお顔が真っ赤だが貴族としての矜持がかろうじてあったらしく、降爵を言い出した。
しかし、公爵家の婿であるお父様は、お義母様共々公爵家を除籍される事になった。
正統な血筋である私の、家での扱いを知っての処罰らしい。
公爵家はいつか私の夫となる人に管理させ、いずれ生まれてくる子に継がせる事になり、それまでは隠居したお爺様にもう一度管理を任せる事になった。
その結果を聞いたお義母様が、すごい顔で私を睨み付ける。
「お前がっ!お前さえ太らなければっ!」
その言葉でその場に居た誰もが確信した。
「お義母様は義妹達の計画を知っていたのですね?」
「なっ!何を言うのです!元々お前さえいなければ、第二王子の婚約者はベリルだったのです!」
いや、お義母様。
それはあり得ませんね。
お母様の血筋は平民ですので、伯爵家出身のお父様との子であるベリルでは身分が釣り合いません。
良くて側室になれるかどうかでしょう。
「第二王子に相手にされなかった無能のくせに!第一王子に媚を売ってベリルを貶めるなんて!妹を庇ってこそ、姉でしょうがっ!今からでも遅くないわ!お前が主犯でベリルに無理矢理やらせたのよ!そう言いなさい!」
私を罵倒する事で自分の失言をうやむやにしようとしているのか、言っている事が目茶苦茶だ。
「あんたなんか病に伏した時にさっさと死ねば良かったのよ!この、疫病神がっ!」
さすがに酷い。
いや、ホント。
ここがどこだか忘れているのだろうか?
非公式とは言え、畏れ多くも国王陛下の前なのに、そんな言葉を叫んで不敬罪にならないのか悩む。
お義母様は先程、公爵家を除籍されたばかりなのに。
つまり、平民が貴族に向かって罵倒している事になる訳で。
すぐに衛兵がやって来てお義母様を拘束したけれど、陛下と王妃様と元側室様、ハーディ様に学園長、メガイラ様の両親は唖然としていた。
元平民のお義母様は貴族としての知識が乏しい。
ちゃんと調き…教え込まなかったお父様に非がある。
結局お義母様は、陛下の前であるにも関わらず暴言を吐いたとして捕縛された。
お父様も私に対して暴挙に出る事を懸念して、お爺様が王都に来るまで城に軟禁される事になった。
その後の色々はまだ解決していないけれど、また後日という事で私は家に戻った。
馬車を降りて家族が誰も居なくなった屋敷を見上げる。
これで、前の生の時の冤罪は晴れた。
私は太る事で冤罪で処刑される未来を変えたのだ。
奇策だったとは思うけど、処刑されるまで3ヶ月しか無かった。
その事を思えば良くやったと思う。
これから元の体型に戻すのは大変だろうけど、一度は死んだハズの身。
あれより辛い事ではないだろう。
「ハーディ様。先程、容疑者ベリルが着ていたと思われるドレスが使われていない教室から発見されました」
それからしばらくして、衛兵の1人が私のドレスを持ってきた。
「証拠品として持っていけ。ベルゼ嬢、悪いが預からせて貰うぞ」
「はい。それから、知っている方は少ないかもしれませんが、図書室の東の窓からこの中庭が一望出来るのはご存じでしょうか?」
「いや、初めて聞いたな」
ハーディ様も知らなかったのか。
「私は一部始終をそこから見ておりました。もちろん、信頼のおける方と一緒に。で、ございます」
「そうか。誰と一緒だったか聞いても?」
「はい」
「それは私です」
私が紹介するのが待ちきれなかったのか、その方はさっさと登場されてしまった。
またもや周りがざわめく。
「学園長」
そう。
私は復学の手続きを取った後、学園長にお願いして図書室の窓から一緒に中庭の出来事を見て貰っていた。
私の必死な様子に、学園長は快く引き受けてくれた。
「一連の出来事は全て見ていたから何でも証言しましょう」
学園長は3人の茶番を窓から見て心を痛めていたが、証人として証言してくれるらしい。
「よろしく頼む」
私達はそのまま城へと登城した。
城にある応接室に通されると、すでに国王陛下と王妃様とゼレウスの母である側室様、お父様とお義母様、メガイラ様の両親が揃っていた。
お義母様は私を見て驚きを隠せなかったみたいで「なぜ?どうして?」と口にしていた。
ハーディ様と学園長が事の詳細を詳しく説明する。
それを聞いた側室様は、自分の息子が罪人になったのだからと、陛下と離縁して修道院に入ると即決。
戸惑いながらも許可を出す陛下。
メガイラ様の両親はどんな罪でも償いますと言って、爵位返上を申し入れていた。
さすがに罪は軽くないとは言え、おいそれと公爵家を取り潰す訳にはいかないからと、降爵に留める事になった。
さて、私の両親はと言うと、お父様は怒りでお顔が真っ赤だが貴族としての矜持がかろうじてあったらしく、降爵を言い出した。
しかし、公爵家の婿であるお父様は、お義母様共々公爵家を除籍される事になった。
正統な血筋である私の、家での扱いを知っての処罰らしい。
公爵家はいつか私の夫となる人に管理させ、いずれ生まれてくる子に継がせる事になり、それまでは隠居したお爺様にもう一度管理を任せる事になった。
その結果を聞いたお義母様が、すごい顔で私を睨み付ける。
「お前がっ!お前さえ太らなければっ!」
その言葉でその場に居た誰もが確信した。
「お義母様は義妹達の計画を知っていたのですね?」
「なっ!何を言うのです!元々お前さえいなければ、第二王子の婚約者はベリルだったのです!」
いや、お義母様。
それはあり得ませんね。
お母様の血筋は平民ですので、伯爵家出身のお父様との子であるベリルでは身分が釣り合いません。
良くて側室になれるかどうかでしょう。
「第二王子に相手にされなかった無能のくせに!第一王子に媚を売ってベリルを貶めるなんて!妹を庇ってこそ、姉でしょうがっ!今からでも遅くないわ!お前が主犯でベリルに無理矢理やらせたのよ!そう言いなさい!」
私を罵倒する事で自分の失言をうやむやにしようとしているのか、言っている事が目茶苦茶だ。
「あんたなんか病に伏した時にさっさと死ねば良かったのよ!この、疫病神がっ!」
さすがに酷い。
いや、ホント。
ここがどこだか忘れているのだろうか?
非公式とは言え、畏れ多くも国王陛下の前なのに、そんな言葉を叫んで不敬罪にならないのか悩む。
お義母様は先程、公爵家を除籍されたばかりなのに。
つまり、平民が貴族に向かって罵倒している事になる訳で。
すぐに衛兵がやって来てお義母様を拘束したけれど、陛下と王妃様と元側室様、ハーディ様に学園長、メガイラ様の両親は唖然としていた。
元平民のお義母様は貴族としての知識が乏しい。
ちゃんと調き…教え込まなかったお父様に非がある。
結局お義母様は、陛下の前であるにも関わらず暴言を吐いたとして捕縛された。
お父様も私に対して暴挙に出る事を懸念して、お爺様が王都に来るまで城に軟禁される事になった。
その後の色々はまだ解決していないけれど、また後日という事で私は家に戻った。
馬車を降りて家族が誰も居なくなった屋敷を見上げる。
これで、前の生の時の冤罪は晴れた。
私は太る事で冤罪で処刑される未来を変えたのだ。
奇策だったとは思うけど、処刑されるまで3ヶ月しか無かった。
その事を思えば良くやったと思う。
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