【冤罪で処刑された逆行令嬢は奇策にて冤罪を晴らす】

In・san・i・ty=DoLL

文字の大きさ
5 / 7

【5話】

しおりを挟む
3人が連れていかれるのを、誰もが黙って見ていた。

「ハーディ様。先程、容疑者ベリルが着ていたと思われるドレスが使われていない教室から発見されました」

それからしばらくして、衛兵の1人が私のドレスを持ってきた。

「証拠品として持っていけ。ベルゼ嬢、悪いが預からせて貰うぞ」

「はい。それから、知っている方は少ないかもしれませんが、図書室の東の窓からこの中庭が一望出来るのはご存じでしょうか?」

「いや、初めて聞いたな」

ハーディ様も知らなかったのか。

「私は一部始終をそこから見ておりました。もちろん、信頼のおける方と一緒に。で、ございます」

「そうか。誰と一緒だったか聞いても?」

「はい」

「それは私です」

私が紹介するのが待ちきれなかったのか、その方はさっさと登場されてしまった。

またもや周りがざわめく。

「学園長」

そう。

私は復学の手続きを取った後、学園長にお願いして図書室の窓から一緒に中庭の出来事を見て貰っていた。

私の必死な様子に、学園長は快く引き受けてくれた。

「一連の出来事は全て見ていたから何でも証言しましょう」

学園長は3人の茶番を窓から見て心を痛めていたが、証人として証言してくれるらしい。

「よろしく頼む」

私達はそのまま城へと登城した。

城にある応接室に通されると、すでに国王陛下と王妃様とゼレウスの母である側室様、お父様とお義母様、メガイラ様の両親が揃っていた。

お義母様は私を見て驚きを隠せなかったみたいで「なぜ?どうして?」と口にしていた。

ハーディ様と学園長が事の詳細を詳しく説明する。

それを聞いた側室様は、自分の息子が罪人になったのだからと、陛下と離縁して修道院に入ると即決。

戸惑いながらも許可を出す陛下。

メガイラ様の両親はどんな罪でも償いますと言って、爵位返上を申し入れていた。

さすがに罪は軽くないとは言え、おいそれと公爵家を取り潰す訳にはいかないからと、降爵に留める事になった。

さて、私の両親はと言うと、お父様は怒りでお顔が真っ赤だが貴族としての矜持がかろうじてあったらしく、降爵を言い出した。

しかし、公爵家の婿であるお父様は、お義母様共々公爵家を除籍される事になった。

正統な血筋である私の、家での扱いを知っての処罰らしい。

公爵家はいつか私の夫となる人に管理させ、いずれ生まれてくる子に継がせる事になり、それまでは隠居したお爺様にもう一度管理を任せる事になった。

その結果を聞いたお義母様が、すごい顔で私を睨み付ける。

「お前がっ!お前さえ太らなければっ!」

その言葉でその場に居た誰もが確信した。

「お義母様は義妹達の計画を知っていたのですね?」

「なっ!何を言うのです!元々お前さえいなければ、第二王子の婚約者はベリルだったのです!」

いや、お義母様。

それはあり得ませんね。

お母様の血筋は平民ですので、伯爵家出身のお父様との子であるベリルでは身分が釣り合いません。

良くて側室になれるかどうかでしょう。

「第二王子に相手にされなかった無能のくせに!第一王子に媚を売ってベリルを貶めるなんて!妹を庇ってこそ、姉でしょうがっ!今からでも遅くないわ!お前が主犯でベリルに無理矢理やらせたのよ!そう言いなさい!」

私を罵倒する事で自分の失言をうやむやにしようとしているのか、言っている事が目茶苦茶だ。

「あんたなんか病に伏した時にさっさと死ねば良かったのよ!この、疫病神がっ!」

さすがに酷い。

いや、ホント。

ここがどこだか忘れているのだろうか?

非公式とは言え、畏れ多くも国王陛下の前なのに、そんな言葉を叫んで不敬罪にならないのか悩む。

お義母様は先程、公爵家を除籍されたばかりなのに。

つまり、平民が貴族に向かって罵倒している事になる訳で。

すぐに衛兵がやって来てお義母様を拘束したけれど、陛下と王妃様と元側室様、ハーディ様に学園長、メガイラ様の両親は唖然としていた。

元平民のお義母様は貴族としての知識が乏しい。

ちゃんと調き…教え込まなかったお父様に非がある。

結局お義母様は、陛下の前であるにも関わらず暴言を吐いたとして捕縛された。

お父様も私に対して暴挙に出る事を懸念して、お爺様が王都に来るまで城に軟禁される事になった。

その後の色々はまだ解決していないけれど、また後日という事で私は家に戻った。

馬車を降りて家族が誰も居なくなった屋敷を見上げる。

これで、前の生の時の冤罪は晴れた。

私は太る事で冤罪で処刑される未来を変えたのだ。

奇策だったとは思うけど、処刑されるまで3ヶ月しか無かった。

その事を思えば良くやったと思う。

これから元の体型に戻すのは大変だろうけど、一度は死んだハズの身。

あれより辛い事ではないだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

王子様とずっと一緒にいる方法

秋月真鳥
恋愛
五歳のわたくし、フィーネは姉と共に王宮へ。 そこで出会ったのは、襲われていた六歳の王太子殿下。 「フィーネ・エルネスト、助太刀します! お覚悟ー!」 身長を超える大剣で暗殺者を一掃したら、王子様の学友になっちゃった! 「フィーネ嬢、わたしと過ごしませんか?」 「王子様と一緒にいられるの!?」 毎日お茶して、一緒にお勉強して。 姉の恋の応援もして。 王子様は優しくて賢くて、まるで絵本の王子様みたい。 でも、王子様はいつか誰かと結婚してしまう。 そうしたら、わたくしは王子様のそばにいられなくなっちゃうの……? 「ずっとわたしと一緒にいる方法があると言ったら、フィーネ嬢はどうしますか?」 え? ずっと一緒にいられる方法があるの!? ――これは、五歳で出会った二人が、時間をかけて育む初恋の物語。 彼女はまだ「恋」を知らない。けれど、彼はもう決めている――。 ※貧乏子爵家の天真爛漫少女×策略王子の、ほのぼのラブコメです。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

処理中です...