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≪本編≫
【本編9】
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控え室に入ると母さんと月見月さんが角のテーブルで話し合っていた。
YORUは俺の腕から腕を離してメモ帳を出した。
《ありがとう》
「いえ」
「YORU、先に着替えて」
ヘアメイクの男性がYORUの手を取って簡易更衣室に促す。
あれ?
もしかしてYORUって足も悪い?
人に支えてもらわないと歩けない?
昔は元気に走り回ってたよね?
「…では、そのように」
「今回は本当に助けて頂いてしまって…ありがとうございました」
母さんは立ち上がって月見月さんに頭を下げた。
「OMI、貴方もお礼を言いなさい」
「はい。本当にありがとうございました」
「いいえ。今回は運が良かったと思って頂ければそれで、ね?」
月見月さんはそう言ってウィンクした。
あれ?
…この人、知ってる。
どこかで会った?
どこで?
「その、お電話でも詮索はしないように言われましたが、どうしてどこからお話が行ったのか聞いては駄目なのかしら?」
「不思議ですか?」
「ええ」
「解ってしまったら、次からその方に連絡が行ってしまうでしょう?そしたら、迷惑になってしまいます。YORUを捜す人は多い。だからこそ、私達は人伝に連絡を頂き、YORUが了承したら連絡を入れる。その形を取る事にしました」
「そうなのね。申し訳ありません。二度と詮索はしないし、させないわ。OMIも気を付けてね」
「はい」
母さんに促される。
確かに、連絡が殺到したら面倒くさい事になるんだろう。
「それに信頼が出来る方なら人脈があり、我々に連絡が届きやすいですからね」
「なるほど。では、私は信頼をして頂けたという事なのかしら?」
「今回はYORUの独断ですが、理由は…後程ですね」
そう言うと月見月さんはYORUが入っていった更衣室を見た。
「解りました。私はクライアントと話をしなきゃいけないので、取り敢えず失礼します」
母さんが出て行くと同時に着替え終わったYORUが更衣室から出てきた。
鏡の前に座るYORUに月見月さんが近付いて何か話をしている。
ヘアメイクの男の人は俺をじっと見て何かを考えていた。
彼の口元の黒子が俺の記憶に引っ掛かった。
『泣いて誰かが助けてくれると思うな”
“泣いても何もならない”
“泣きたい時程笑え”
“腹が立ったら笑って見返せ”
“それでも悔しい時は何かに集中しろ”』
もしかして?
「…竜也お兄さん?」
「「ぶっはっw大穴ww」」
言った瞬間、YORUと月見月さんが噴き出した。
「よく解ったな」
竜也お兄さんが眼鏡を外し、髪をかきあげて笑うと、大人っぽくなった懐かしいイケメンが出てきた。
すると月見月さんが近くまで来て俺の頭をセットが崩れないようにそっと撫でた。
「あっ!高千穂お姉さん!」
「思い出した?w」
高千穂お姉さんは楽しそうに俺の顔を覗く。
ってか、背、俺とほぼ変わらない。
「やっぱり、まだ勘違いしてたのか」
「え?あ?えぇ?」
って、今、誰が何て…あ。
「そうだ、高千穂お姉さ…男?え?あれ?」
「ふふっw佐倉高千穂22歳。男でっす♪」
確かにもう女性には見えないかな?
いや、めちゃくちゃ美人系だけど…。
「高千穂‥お兄さん?」
「高千穂だけでいいよ~」
俺が混乱いるのを見て、高千穂お姉‥お兄さん…高千穂さんは口に人差し指を当ててウィンクした。
「www」
YORUは鏡の前で突っ伏して肩を震わせて笑っている。
懐かしい顔ぶれだった。
俺達は8年前、一定の期間ほぼ毎日顔を会わせていた。
あれ?
そう言えば、母さんは3人の事覚えてないのかな?
全然そんな話しなかったよね?
ちなみに、俺はこの時驚きと懐かしさに気を取られ、YORUがうっかり喋っていた事に気付かなかった…。
YORUは俺の腕から腕を離してメモ帳を出した。
《ありがとう》
「いえ」
「YORU、先に着替えて」
ヘアメイクの男性がYORUの手を取って簡易更衣室に促す。
あれ?
もしかしてYORUって足も悪い?
人に支えてもらわないと歩けない?
昔は元気に走り回ってたよね?
「…では、そのように」
「今回は本当に助けて頂いてしまって…ありがとうございました」
母さんは立ち上がって月見月さんに頭を下げた。
「OMI、貴方もお礼を言いなさい」
「はい。本当にありがとうございました」
「いいえ。今回は運が良かったと思って頂ければそれで、ね?」
月見月さんはそう言ってウィンクした。
あれ?
…この人、知ってる。
どこかで会った?
どこで?
「その、お電話でも詮索はしないように言われましたが、どうしてどこからお話が行ったのか聞いては駄目なのかしら?」
「不思議ですか?」
「ええ」
「解ってしまったら、次からその方に連絡が行ってしまうでしょう?そしたら、迷惑になってしまいます。YORUを捜す人は多い。だからこそ、私達は人伝に連絡を頂き、YORUが了承したら連絡を入れる。その形を取る事にしました」
「そうなのね。申し訳ありません。二度と詮索はしないし、させないわ。OMIも気を付けてね」
「はい」
母さんに促される。
確かに、連絡が殺到したら面倒くさい事になるんだろう。
「それに信頼が出来る方なら人脈があり、我々に連絡が届きやすいですからね」
「なるほど。では、私は信頼をして頂けたという事なのかしら?」
「今回はYORUの独断ですが、理由は…後程ですね」
そう言うと月見月さんはYORUが入っていった更衣室を見た。
「解りました。私はクライアントと話をしなきゃいけないので、取り敢えず失礼します」
母さんが出て行くと同時に着替え終わったYORUが更衣室から出てきた。
鏡の前に座るYORUに月見月さんが近付いて何か話をしている。
ヘアメイクの男の人は俺をじっと見て何かを考えていた。
彼の口元の黒子が俺の記憶に引っ掛かった。
『泣いて誰かが助けてくれると思うな”
“泣いても何もならない”
“泣きたい時程笑え”
“腹が立ったら笑って見返せ”
“それでも悔しい時は何かに集中しろ”』
もしかして?
「…竜也お兄さん?」
「「ぶっはっw大穴ww」」
言った瞬間、YORUと月見月さんが噴き出した。
「よく解ったな」
竜也お兄さんが眼鏡を外し、髪をかきあげて笑うと、大人っぽくなった懐かしいイケメンが出てきた。
すると月見月さんが近くまで来て俺の頭をセットが崩れないようにそっと撫でた。
「あっ!高千穂お姉さん!」
「思い出した?w」
高千穂お姉さんは楽しそうに俺の顔を覗く。
ってか、背、俺とほぼ変わらない。
「やっぱり、まだ勘違いしてたのか」
「え?あ?えぇ?」
って、今、誰が何て…あ。
「そうだ、高千穂お姉さ…男?え?あれ?」
「ふふっw佐倉高千穂22歳。男でっす♪」
確かにもう女性には見えないかな?
いや、めちゃくちゃ美人系だけど…。
「高千穂‥お兄さん?」
「高千穂だけでいいよ~」
俺が混乱いるのを見て、高千穂お姉‥お兄さん…高千穂さんは口に人差し指を当ててウィンクした。
「www」
YORUは鏡の前で突っ伏して肩を震わせて笑っている。
懐かしい顔ぶれだった。
俺達は8年前、一定の期間ほぼ毎日顔を会わせていた。
あれ?
そう言えば、母さんは3人の事覚えてないのかな?
全然そんな話しなかったよね?
ちなみに、俺はこの時驚きと懐かしさに気を取られ、YORUがうっかり喋っていた事に気付かなかった…。
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