ガラスの靴は誰のもの?〜王子様あなたのことを最大限利用させて頂きます〜

kfa

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家族思いな少女が落とした、ガラスの靴を掴んだのは……。

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「そう言えば、お義母様とお義姉様達も、こちらに引っ越して来るそうよ。そうなれば、またお義姉様達が刺繍を手伝ってくださるのですって。ふふ、とても嬉しい!!」



悠々自適な生活をプレゼントしたかった義母と、義姉達は何もしない生活は性に合わなかったらしく、一月も過ぎない内に、こちらに引っ越して一緒に暮らすと今朝方連絡が届いた。
少し残念な気もしたが、また家族全員が揃う嬉しさが勝り、シンドラは顔を緩ませた。



「みんな来てくれたら、お母さんはもうお店に立たなくても良いわよね!!」



「お母様、お義母様にはお家のことや帳簿を、お義姉様達は裏方の仕事をお願いするのよ?ここは家も併設された店舗だし、外に出なくて済むわ。それに今だってほ!と!ん!ど!接客することもなくお客様は靴を注文して帰って行くわよね?だから、必ずお店に立ってね。」



「……。」



笑顔で母に告げると返事もせずに、拗ねた顔をし始めた。
なんだかんだ言っても、社交界で引っ張りだこになった経験のある母にとってこれくらいの接客は余裕だろう。




『……お母様には教えたことを内緒にしてね。』




そして、毎回わがままを言って困らせたのは、父の目を盗み言い寄ってきた男性から守ってくれなかった事への腹いせだったのだ……と。
屋敷を出る時、困ったように笑う義母から教えてもらった。




『もう……本当に消えてしまいたい……』




棺まで取り寄せるほど何があったのかは知らないが、父が亡くなった際、深く悲しんでいた母の姿を知っているだけに、シンドラの母に対する感情も少し変化した。
しかし、まだまだ軌道に乗ったとは言えないこの店で、看板娘(?)である母の力は必要不可欠だった。



「じゃあ私そろそろ、冬用に毛皮の靴の見本を作り始めるから、開店の準備お願いね。」



「もぅ!!シンドラちゃんのイジワル!」



母の怒鳴り声を背中に受けると、頭の中で懐かしい声が響く。



『自分の足に合った靴は何処へでも歩いて行ける。その靴を大事にすれば行きたい場所へと導いてくれる。』



父が教えてくれた言葉が似合う、そんな靴を作るために、今日も作業場へとシンドラは向かった。



そして雪が降り積もりクリスマスを迎える少し前の日。



『あちらのショーケースに飾られたガラスの靴を、譲っていただきたい……。』



突然、王子の近衛騎士団長がやって来て、片方だけのガラスの靴を購入していくのだが、渡されたその金額は……想像にお任せするほどの額だったと言う。
おかげでお店はさらに軌道に乗り、家族はそれぞれ色々なことがありながらも、楽しく暮らしましたとさ。


めでたし、めでたし……かな?



ーーーーー



ーーーー



ーーー



ーー



「王子……もう、諦めませんか?」



「少女よ!!僕は決して君を諦めない!!クシュン!」



毎年クリスマス当日になると、真っ白な軍服を着た王子と近衛騎士団長が寒空の下、一日中城の外で待機していたとか、いなかったとか。



(そう言えば、例の靴屋で知り合った私の妻は、あの少女と同じ金色の髪だったな。……いや、まさかな。)



それは近衛騎士団長の、数年後の心の声……。



本当に終わり。

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