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したたか?…営業するならそれくらいでないとやっていけません
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「シンドラちゃん、靴割れちゃったんでしょ?お店の目玉商品どうするの?」
「ん~取り敢えず、いい考えが……あるかも?」
義姉達の無事を確認し、先に家に戻って来たシンドラは握っていた小さな革袋を目の前まで上げると‘’ニヤリ‘’と不敵に笑った。
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その数日後、隣の国では散らばる星屑の橋の上に、凛とした一足のヒールが描かれた看板を掲げた、新しい靴屋の前に、長蛇の列ができていた。
その店先の小さなショーケースに飾られていたのは、片方だけの眩い靴と文字が書かれた1枚の貼り紙。
内容はと言うとーーー。
‘’当店で用意したガラスの靴が隣国の王城で着用されました。理由あって片方だけですが、是非この煌めきを貴女の足元に。‘’
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ーー
「それは本当かい!?」
王城では、隣国の店の噂を聞きつけ、確認しに行った近衛騎士団長が、王子に報告するためやってきていた。
そして伝えを聞いた王子は目を見開き驚いた。
「はい。店主から聞いた話では、何でも試作品だったものらしく、借りた少女が申し訳なさそうに無事だった靴と、粉々に砕けた靴の破片を返しに来たらしいです。」
「そんな…彼女が見ている前で、僕はなんて酷いことをしてしまったんだ。彼女が気に病まないように、そのガラスの靴を直ぐに店への弁償代も含めて手に入れよ!!」
少女があの場で見ていたことに焦りを覚えた王子は、近衛騎士団長に靴の取得を命じた。
「……かしこまりました。」
「それと、その店に彼女への手紙を渡してもらうように頼んでくれないか。」
「……一応持って行って、伝えておきますね。」
(いい加減諦めないかな……。)
王子から手渡された手紙を見つめ近衛騎士団長は、ガラスの靴を履いた少女が、とても面倒臭そうな顔をしながらこちらを一瞥して帰って行ったのを見逃さなかった。
きっと何か理由ありなんだろうなと察し、王子に伝えたが、恋という病にかかった人間には、その顔はしおらしい少女が恥ずかしがっている様子にしか見えなかったらしい。
(しかし、あの店主……年齢は不明だが、あの時の少女に面影が少し似ていたような……。)
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ーー「本物かしら?!」
ーー「これがあの空に舞ったと噂の!」
ーー「実物はとても綺麗ね!」
まだ店を開けるには数時間あるが、新規開店してから数週間経った今でも、店先のショーケースを眺めに人々がやってくる。
シンドラの母はプルンとした唇の口角を上げ、二階の窓から楽しそうに声を上げる群衆を見つめた。
「シンドラちゃん、本当に凄いわ~!!天才!!」
「正直、ここまで上手くいくとは思っていなかったけれどね……。」
王子が広場で義姉を助けに割って入り話し始めた隙に、後ろで粉々になった破片を集めたシンドラ。
彼女は、開業を数日後に控えた店先のショーケース内、台座の上に破片を無造作に散らすと、片方だけになったガラスの靴をその上へ乗せて飾ったのだ。
『……想像していたより、案外素敵かも。』
靴を揃えて二足飾るよりも、多面で反射する光によりキラキラと一足だけの靴はより一層輝いた。
その眩い光に見物人が押し寄せ、貼り紙の効果もあり、お店を宣伝する最高の広告になったのだ。
「もぅ!シンドラのおっちょこちょいさん!のせいでどうなることかと思ったけど大成功ね!!」
「れっきとした!営!業!…の筈だったけどね…。でも、あの王子の大々的な演出のおかげで今があるし、お城で片方脱げたアクシデントは、ある意味よかったわ。」
いつか、義母と、義姉二人の為にも、ダメな母を連れてあの家を出よう。
そう決めて、手に職をつけるために、靴工房へと出向き、シンドラは職人になるべく日夜努力を重ねた。
ある日、ガラス工房に部品を取りに行くように言われ、そこで閃いた商品を長い期間の試行錯誤を経て、ようやく出来上がったのがあのガラスの靴だった。
住んでいたあの国では女性の起業は歓迎されず、ようやく目処が立った隣の国での出店が決定したタイミングで、あの舞踏会の案内が屋敷に届いたのだった。
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