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託された思い……そして
しおりを挟む「……じ!お…じ!おい!起きろ!このボケ王子!」
今回集まった令嬢の中に少女がいないことにいち早く気が付いた王子は、自分で招いてしまったこの状況の収束を願って、……寝落ちをしていた。
「今、僕のこと何て言った?」
「…そんなことよりもアレどうします?」
「アレって?えええええええええ!!!」
近衛騎士団長に叩き起こされた王子は、起こす際に聞こえた悪口を確認しようとしたが、団長の指差す方向に見えた、キラキラと放物線を描きながら勢いよく飛んで行く少女が置いていった手掛かりに大声を上げた。
「なっ!えっ?!どうしてあんな事に!!!」
「……自分で呼んでいながら、気持ちよさそうに寝ているからですよ。」
「……。」
王子は慌てふためき、近衛騎士団長に飛んでいる靴を指差しながら、状況の説明を求めたが、冷めた視線で説明にもならない返答を受け、彼がものすごく腹を立てていることを察し黙り込む。
そして眺める事しか出来ない靴が地上へと近づき、その靴に手を伸ばした一人の黒髪の少女に、自分の思いの全てを込めて叫んだ。
「頼む!どうかその靴を守ってくれ!!!」
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
‘’ガッ!ッコン!!ガシャーン!!!!‘’
「………。」
様々な人の思いを託されたガラスの靴はシンドラの掲げた両の手を余裕で越えて行き、結構後ろの方で落下すると、落ちた勢いで一度跳ね返り無残に砕け散った。
(………後1メートル後ろだったか~。練習でも確率は5割だったものね……まぁ壊れたから、結果オーライ、かな……。)
その瞬間を間近で見つめたシンドラは、哀愁を漂わせながら斜め上を眺め、この予定通りとは言えない結果を無理矢理受け入れることにした。
「そっ…こっ…私…何てことを……。」
そして、遠くの方から小さく響いて聞こえてきた、何かが割れた音に、結末を察した姉2はその場で力なく崩れ落ち、震える指を口元に持っていく。
「どうしてくれるのだ!!」
(ああ!お姉様が?!どうしましょう!!)
現実を無理矢理飲み込むことに一所懸命になり、この靴を託してくれた姉2の状況をすっかり忘れていたシンドラは、特設台の上で近衛騎士達に囲まれてしまった姉2の状況に焦りを感じた。
「待てっ!!この状況はこんなにも大々的な場所を指定しまった私の責任だ。彼女から離れるのだ……。」
「……王子…様。」
その状況に特設台近くまでやって来た王子が、姉2を取り囲んでいる近衛騎士達に声をかけた。
「……良いのですか?」
「良いもなにも割れてしまったではないか…。」
「そうですね…。」
「持ち主である彼女が城に来る事があれば、事情を説明し、別の素材で出来た新しい物を用意すれば良いさ、既にサイズは測っているからな。」
「……分かりました。」
(((((ようやく終わった……。何で吹っ飛ばしたのかはよく分からないけれど、ありがとう!!!)))))
ガラスの靴を見守っていた近衛騎士達はいつまで続くのかと思っていたこの作業に幕を下ろしてくれた姉2に心の中で感謝をした。
(初めて会った女性の?靴のサイズ……測った!?……シンドラ!!この王子はヤバいわ!!早くもう片方の靴も割ってしまいなさい!!!)
そして助けられた姉2は、王子が一度しか会ったことのない女性の靴のサイズを測っていた事実を知り、恐怖を覚え、持ち主である妹に心の中で叫んだ。
しかし、そんな二番目の姉の心の声は既にこの場から去ったシンドラには届かなかった。
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