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獣国編 毒蛇と魔女
勝ち取った末に
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「……ア……ニ……っ!」
何だろう? 声が聞こえる。遠くで、ぼやけてて……誰? あれ? 俺、何してたんだっけ……?
「……」
頭がボーッとする。視界も霞んでいてよく見えない。体中が痛い。苦しい。何で……? 何が?
「イヴニアっ!!!」
「……?」
霞んでいた視界が徐々に戻っていく。そんな光景をぼんやり眺めていたら、突然視界いっぱいに誰かの顔が映り込んできた。
誰だっけ? この人……見覚えは、ある。確か獣人で、王様で……なんだっけ……考えがまとまらない。記憶が飛んでる。
「旦那様っ! しっかり!」
「……」
また誰かが現れた。黒い髪……あれ? マスクしてる。どうして……あれ? なんで俺、そんな事を思ってるんだ? マスクって……?
「どうやら、生きているようだな」
「ああ。だがかろうじてだ。早急に治療をせねばドラゴンと言えど命を落とす。
手の空いておる者! 倒壊した倉庫からありったけのポーションと薬草を持って来い! 水と毛布もだ!」
「えっ!? ぞ、族長いいんすか!? そりゃ助けてくれたっぽいすけど、相手はドラゴンっすよ!?
これ以上災いを招かれたらたまったもんじゃないっすし、喰らう者と共倒れって事でこのまま放置しておいた方がいいんじゃ――」
「……ウルズ、それ以上言ったら、その喉噛み切るよ」
「ひえぇっ!? な、なんでそんなに怒ってるんすかクロエ!?」
「うるさい。私の旦那様を見捨てる気なら、いくらウルズでも――」
「抑えろ、クロエ。だがその怒りも分かる。
ウルズよ、オレ達は恩を受けた身だ。それも、この身を捧げても尚返しきれぬ大恩だ。お前は相手がドラゴンだからとその恩を仇で返すと、そう言うのか?」
「ウルズ、いつだったか俺は言った筈だ。もう少し考えてから発言しろとな」
「ご、ごべんな゙ざいっずぅぅぅぅ……!」
賑やかだ。それに……あぁ、そうだ、思い出してきた。
この人達は獣人で、俺は皆と一緒にバジリスク打倒の為に戦っていたんだっけ。
じゃあ、そのバジリスクは……いや、あの化け物はどうなったんだ?
確か、ヴェロニカさん達の一撃で落ちてきた頭に、切り札だった皇雷を撃った……筈。
ダメだ、撃った直後の事が記憶から抜け落ちてる! 奴は!? あの後どうなったんだ!? まさかまだ生きてるとか、そんなオチは無いよな!?
「キュ……っっ」
「こ、これイヴニア! 無理をするな。下手に動けば死ぬぞ」
「……大丈夫だから、ね?」
大丈夫? 何が大丈夫なんだ? 頼む、教えてくれ。俺の行動は実を結んだのか? 報いる事は出来たのか?
「……」
「安心しろ。クロエ、そっちを持て」
「……うん」
首を上げるのもキツイ状態だ。何で生きてるんだと自分でも不思議に思う程度には体中が痛い。
俺の頭をヴェロニカさんとクロエがそっと支えてくれる。そのままゆっくりと視線が左へ動いていき、やがて止まる。
「……」
眼前に広がる光景に思わず息を呑んだ。
まず視界に飛び込んできたのは、嫌と言うほど目に焼き付けた化け物の胴体と……原型を留めていない程に弾け飛び、真っ黒に焦げた頭部。直感で死んでいると、そう感じた。
そして――。
「流石のオレでも目を疑った。んはは、いやはや凄まじいな、ドラゴンとは」
奴の体を押し付けていた大木は跡形も無く消し飛び、代わりにそこにあったのは、何処までも続く焼け野原。
木々も地面も、何もかもを破壊し、焼き尽くした光景が広がっていた。
これは……状況的に見ても、だ。やったのは俺、だよな? つまり切り札としてぶっ放した皇雷が、ここまでの惨状を作り上げたと……そういう事か?
「ぐすっ……でも、こんな大技があるなら、何で最初からやらなかったんすかね?」
「確証が無かったのだろう。お前も見た通り、奴の外皮は異常に硬かった。そこへ考え無しにあれを撃ったとしても、効くかどうかは大きな賭けだ。
そしてこれだけの威力を有しておるとなれば当然、とても連発できるものでもあるまい」
「確実に効果を与えられる事が出来、一撃で仕留められる瞬間を窺っていた、と。
なるほど、だから頑なに頭を狙っていたのですな」
「うむ。まぁ、それにいち早く気付いて飛び出したのはクロエだがな。流石は嫁だ」
「……えへん」
いや、嫁じゃないから。俺が話せないからって勝手に話進めないでくれ。
どうやってツッコミを入れてやろうか。そんな事を考えていると、不意に鼻先に冷たい感触。それはポツリポツリと少しずつ激しさを増していく。
「お? んは、天候に恵まれたか。これで森の消火活動もしなくてよいな」
あぁ……雨か。確かにありがたい。傷口にはかなり堪えるが、皇雷によって燃えている森を鎮めてくれるのなら、この程度の痛みは安いだろう。
そうか、勝ったんだ。あのバジリスクを相手に、勝てたんだ。前世では万を超える兵士達とでようやく打倒した化け物を、この少人数で倒しきった。
凄い……あぁ本当に、凄い事だ。重症を負ってさえいなければ、勝ったぞと叫びたい気分だ。
「ヴェロニカ様……」
「ん? おおガラル! 見ておったか? ついにイヴニアがやりおったぞ!」
「はい、しかと見届けました」
「(ガラルさん……? っ! そうだ――!)」
「……旦那様、無理しないでっ」
ガラルさんの名が聞こえた瞬間、痛む体に鞭打ち振り向いた。
そうだ、終わったんだ。もう脅威は無い、安心していい、そう、勝った。勝ったぞコアちゃん。
「……」
ガラルさんの方を向いて、その腕に抱かれる小さな体を見た途端、世界から色が抜け落ちた。
腕の中で力無く横たわっているのは、コアちゃんだ。でも、その顔に生気は感じられなかった。
「ガラル、コアは……」
「生きて、いましたっ……彼が、イヴニアくんが喰らう者を討ち取るその瞬間までっ……まるで、その勝利に安心するように、コアは……娘はっ、うぁ……あぁぁぁぁっ……!」
涙で顔をグシャグシャにしながら、ガラルさんが膝をつく。涙か、雨か、どちらにしてもコアちゃんの頬に降り注ぐそれは悲しみの色を孕んでいた。
……恩返しは果たした。だけど、これは最良の結果ではけしてない。俺にとって、この場で一番守らなければならない存在を守れなかった。こんなものを最良と呼べる訳がない。
なぁイヴニア、これを勝利と呼んでいいのか? こんな、こんな結末を!
「ガラル殿……元気出して――んゅ? どえぇぇぇえ!!? な、何すかこれぇっ!!?」
「おいウルズ、貴様こんな時くらい静かに出来んのか」
「だ、だってアルフ殿! これ! 下見てくださいっす!」
「下? ぬおっ!? こ、これはいったい……!」
人が悲しんでるってのに、いったい何を騒いでいるのか。悲しみの中に少しの苛立ちを感じながら、俺もまたウルズさんの言葉に習って下を向いてみる。
瞬間、我が目を疑った。
そこにあったのは、花だ。それも一輪や二輪どころではなく、数えるのも馬鹿らしい程の真っ白い花が地面を埋め尽くしている。
森なのだから花くらいあって当然だとは思う。が、それにしたって異常である。
俺の記憶が確かならば、そもそもこの辺りにこれだけの花なんて咲いてなかった筈だ。それが仮に記憶違いだとしても、さっきまでここは俺と化け物が踏み荒らしまくった場所。にも関わらず一輪足りとも踏み潰れていないのは明らかにおかしい。
何故? 突然生えてきた? あり得るものかそんな事。
「っ! 花だけではないな。何が起こっておる」
ヴェロニカさんの視線は花には向いていなかった。その視線を追うように首を動かし、再び俺は目を疑った。
皇雷によって跡形もなく吹き飛ばされた筈の大木。その場所から、通常では考えられない速度で木が成長し始めていた。
誰もが驚き動けないでいる間にも木は成長を続け、いつしかその大きさは元よりも遥か大きな物へ。
樹齢何千年と言われても信じて疑わない程の巨大な木が、数分も経たないうちに聳え立ってしまった。
「あれ? アタシ夢見てるっすか?」
「……そうかも。殴ってみていい? ウルズ」
「何でアタシで試そうとしてんすか!? 自分を殴ればいいっす!」
「……それだと痛いかもしれないでしょ」
「それはアタシも同じっすよ!!? というかクロエに殴られたら頭ポーンっすよ! ポーン!」
夢? いいや違う。現在進行形で体中に激痛が走ってる俺には分かる。これは紛れもない現実だ。
何が起きてる? どうしていきなりこんな現象が起こったんだ? 雨のせい? いやいや、ありえないだろ。
「待てよ? そういえば似たような現象をガラルからの報告で聞いたな」
「ガラルから、ですと?」
「あぁ。ガラルがイヴニアを見つけた場所は毎年レッドベリーを摘む場所らしくてな」
「ふむ? それが?」
「本来ならばこの時期にレッドベリーが実る事はありえん。しかし、ガラルの報告では、確かにレッドベリーが実を付けておったそうだ。それも熟した状態でな」
「そ、そんな事、普通ならありえないっす。熟れたレッドベリーなら尚更じゅるり」
「……ウルズ汚い」
「それだけでも信じられんが、もっとオレを驚かせたのは、レッドベリーが群生しておったという情報だ。
その場には、とても取り切れない量のレッドベリーがあったと。そうだな? ガラル」
「……はい。確かです」
「と、取り切れない量……お腹空いてきたっす~じゅるじゅるり」
「おいアルフ、ウルズを黙らせよ」
「承知」
「うぎゃっ!?」
いちいち反応するウルズさんへ、アルフさんから手痛い拳骨が炸裂した。
助かるよヴェロニカさん。俺が関わってるっぽいし、その話はちゃんと聞いておきたいからな。
――――
あとがき。
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多くの人に読んでもらうためにも、皆さんの応援コメント、評価等よろしくお願いします!
何だろう? 声が聞こえる。遠くで、ぼやけてて……誰? あれ? 俺、何してたんだっけ……?
「……」
頭がボーッとする。視界も霞んでいてよく見えない。体中が痛い。苦しい。何で……? 何が?
「イヴニアっ!!!」
「……?」
霞んでいた視界が徐々に戻っていく。そんな光景をぼんやり眺めていたら、突然視界いっぱいに誰かの顔が映り込んできた。
誰だっけ? この人……見覚えは、ある。確か獣人で、王様で……なんだっけ……考えがまとまらない。記憶が飛んでる。
「旦那様っ! しっかり!」
「……」
また誰かが現れた。黒い髪……あれ? マスクしてる。どうして……あれ? なんで俺、そんな事を思ってるんだ? マスクって……?
「どうやら、生きているようだな」
「ああ。だがかろうじてだ。早急に治療をせねばドラゴンと言えど命を落とす。
手の空いておる者! 倒壊した倉庫からありったけのポーションと薬草を持って来い! 水と毛布もだ!」
「えっ!? ぞ、族長いいんすか!? そりゃ助けてくれたっぽいすけど、相手はドラゴンっすよ!?
これ以上災いを招かれたらたまったもんじゃないっすし、喰らう者と共倒れって事でこのまま放置しておいた方がいいんじゃ――」
「……ウルズ、それ以上言ったら、その喉噛み切るよ」
「ひえぇっ!? な、なんでそんなに怒ってるんすかクロエ!?」
「うるさい。私の旦那様を見捨てる気なら、いくらウルズでも――」
「抑えろ、クロエ。だがその怒りも分かる。
ウルズよ、オレ達は恩を受けた身だ。それも、この身を捧げても尚返しきれぬ大恩だ。お前は相手がドラゴンだからとその恩を仇で返すと、そう言うのか?」
「ウルズ、いつだったか俺は言った筈だ。もう少し考えてから発言しろとな」
「ご、ごべんな゙ざいっずぅぅぅぅ……!」
賑やかだ。それに……あぁ、そうだ、思い出してきた。
この人達は獣人で、俺は皆と一緒にバジリスク打倒の為に戦っていたんだっけ。
じゃあ、そのバジリスクは……いや、あの化け物はどうなったんだ?
確か、ヴェロニカさん達の一撃で落ちてきた頭に、切り札だった皇雷を撃った……筈。
ダメだ、撃った直後の事が記憶から抜け落ちてる! 奴は!? あの後どうなったんだ!? まさかまだ生きてるとか、そんなオチは無いよな!?
「キュ……っっ」
「こ、これイヴニア! 無理をするな。下手に動けば死ぬぞ」
「……大丈夫だから、ね?」
大丈夫? 何が大丈夫なんだ? 頼む、教えてくれ。俺の行動は実を結んだのか? 報いる事は出来たのか?
「……」
「安心しろ。クロエ、そっちを持て」
「……うん」
首を上げるのもキツイ状態だ。何で生きてるんだと自分でも不思議に思う程度には体中が痛い。
俺の頭をヴェロニカさんとクロエがそっと支えてくれる。そのままゆっくりと視線が左へ動いていき、やがて止まる。
「……」
眼前に広がる光景に思わず息を呑んだ。
まず視界に飛び込んできたのは、嫌と言うほど目に焼き付けた化け物の胴体と……原型を留めていない程に弾け飛び、真っ黒に焦げた頭部。直感で死んでいると、そう感じた。
そして――。
「流石のオレでも目を疑った。んはは、いやはや凄まじいな、ドラゴンとは」
奴の体を押し付けていた大木は跡形も無く消し飛び、代わりにそこにあったのは、何処までも続く焼け野原。
木々も地面も、何もかもを破壊し、焼き尽くした光景が広がっていた。
これは……状況的に見ても、だ。やったのは俺、だよな? つまり切り札としてぶっ放した皇雷が、ここまでの惨状を作り上げたと……そういう事か?
「ぐすっ……でも、こんな大技があるなら、何で最初からやらなかったんすかね?」
「確証が無かったのだろう。お前も見た通り、奴の外皮は異常に硬かった。そこへ考え無しにあれを撃ったとしても、効くかどうかは大きな賭けだ。
そしてこれだけの威力を有しておるとなれば当然、とても連発できるものでもあるまい」
「確実に効果を与えられる事が出来、一撃で仕留められる瞬間を窺っていた、と。
なるほど、だから頑なに頭を狙っていたのですな」
「うむ。まぁ、それにいち早く気付いて飛び出したのはクロエだがな。流石は嫁だ」
「……えへん」
いや、嫁じゃないから。俺が話せないからって勝手に話進めないでくれ。
どうやってツッコミを入れてやろうか。そんな事を考えていると、不意に鼻先に冷たい感触。それはポツリポツリと少しずつ激しさを増していく。
「お? んは、天候に恵まれたか。これで森の消火活動もしなくてよいな」
あぁ……雨か。確かにありがたい。傷口にはかなり堪えるが、皇雷によって燃えている森を鎮めてくれるのなら、この程度の痛みは安いだろう。
そうか、勝ったんだ。あのバジリスクを相手に、勝てたんだ。前世では万を超える兵士達とでようやく打倒した化け物を、この少人数で倒しきった。
凄い……あぁ本当に、凄い事だ。重症を負ってさえいなければ、勝ったぞと叫びたい気分だ。
「ヴェロニカ様……」
「ん? おおガラル! 見ておったか? ついにイヴニアがやりおったぞ!」
「はい、しかと見届けました」
「(ガラルさん……? っ! そうだ――!)」
「……旦那様、無理しないでっ」
ガラルさんの名が聞こえた瞬間、痛む体に鞭打ち振り向いた。
そうだ、終わったんだ。もう脅威は無い、安心していい、そう、勝った。勝ったぞコアちゃん。
「……」
ガラルさんの方を向いて、その腕に抱かれる小さな体を見た途端、世界から色が抜け落ちた。
腕の中で力無く横たわっているのは、コアちゃんだ。でも、その顔に生気は感じられなかった。
「ガラル、コアは……」
「生きて、いましたっ……彼が、イヴニアくんが喰らう者を討ち取るその瞬間までっ……まるで、その勝利に安心するように、コアは……娘はっ、うぁ……あぁぁぁぁっ……!」
涙で顔をグシャグシャにしながら、ガラルさんが膝をつく。涙か、雨か、どちらにしてもコアちゃんの頬に降り注ぐそれは悲しみの色を孕んでいた。
……恩返しは果たした。だけど、これは最良の結果ではけしてない。俺にとって、この場で一番守らなければならない存在を守れなかった。こんなものを最良と呼べる訳がない。
なぁイヴニア、これを勝利と呼んでいいのか? こんな、こんな結末を!
「ガラル殿……元気出して――んゅ? どえぇぇぇえ!!? な、何すかこれぇっ!!?」
「おいウルズ、貴様こんな時くらい静かに出来んのか」
「だ、だってアルフ殿! これ! 下見てくださいっす!」
「下? ぬおっ!? こ、これはいったい……!」
人が悲しんでるってのに、いったい何を騒いでいるのか。悲しみの中に少しの苛立ちを感じながら、俺もまたウルズさんの言葉に習って下を向いてみる。
瞬間、我が目を疑った。
そこにあったのは、花だ。それも一輪や二輪どころではなく、数えるのも馬鹿らしい程の真っ白い花が地面を埋め尽くしている。
森なのだから花くらいあって当然だとは思う。が、それにしたって異常である。
俺の記憶が確かならば、そもそもこの辺りにこれだけの花なんて咲いてなかった筈だ。それが仮に記憶違いだとしても、さっきまでここは俺と化け物が踏み荒らしまくった場所。にも関わらず一輪足りとも踏み潰れていないのは明らかにおかしい。
何故? 突然生えてきた? あり得るものかそんな事。
「っ! 花だけではないな。何が起こっておる」
ヴェロニカさんの視線は花には向いていなかった。その視線を追うように首を動かし、再び俺は目を疑った。
皇雷によって跡形もなく吹き飛ばされた筈の大木。その場所から、通常では考えられない速度で木が成長し始めていた。
誰もが驚き動けないでいる間にも木は成長を続け、いつしかその大きさは元よりも遥か大きな物へ。
樹齢何千年と言われても信じて疑わない程の巨大な木が、数分も経たないうちに聳え立ってしまった。
「あれ? アタシ夢見てるっすか?」
「……そうかも。殴ってみていい? ウルズ」
「何でアタシで試そうとしてんすか!? 自分を殴ればいいっす!」
「……それだと痛いかもしれないでしょ」
「それはアタシも同じっすよ!!? というかクロエに殴られたら頭ポーンっすよ! ポーン!」
夢? いいや違う。現在進行形で体中に激痛が走ってる俺には分かる。これは紛れもない現実だ。
何が起きてる? どうしていきなりこんな現象が起こったんだ? 雨のせい? いやいや、ありえないだろ。
「待てよ? そういえば似たような現象をガラルからの報告で聞いたな」
「ガラルから、ですと?」
「あぁ。ガラルがイヴニアを見つけた場所は毎年レッドベリーを摘む場所らしくてな」
「ふむ? それが?」
「本来ならばこの時期にレッドベリーが実る事はありえん。しかし、ガラルの報告では、確かにレッドベリーが実を付けておったそうだ。それも熟した状態でな」
「そ、そんな事、普通ならありえないっす。熟れたレッドベリーなら尚更じゅるり」
「……ウルズ汚い」
「それだけでも信じられんが、もっとオレを驚かせたのは、レッドベリーが群生しておったという情報だ。
その場には、とても取り切れない量のレッドベリーがあったと。そうだな? ガラル」
「……はい。確かです」
「と、取り切れない量……お腹空いてきたっす~じゅるじゅるり」
「おいアルフ、ウルズを黙らせよ」
「承知」
「うぎゃっ!?」
いちいち反応するウルズさんへ、アルフさんから手痛い拳骨が炸裂した。
助かるよヴェロニカさん。俺が関わってるっぽいし、その話はちゃんと聞いておきたいからな。
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