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信じられる本当の親友
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──その日の夜
強豪校に負けてしまった駿たちのインターハイは、ここで幕を下ろしたんだ…
涙を流す部員の傍でも、駿は最後までみんなに楽しかった!と言わんばかりの笑顔で励まし続け、コートを後にしていた。
俺も裕翔も、駿に『お疲れ様』と言ってあげたくて、体育館の外で待っていたけれど、他の生徒はどんどん帰っていくのに駿だけが一向に姿を表さない…
そして、気付けば辺りも暗くなり、体育館の照明も消え、心配になった俺と裕翔は顔を見合わせて駿の事を探してみる事にしたんだ。
閉館間際の館内を探し回っても、駿の姿は見当たらない、連絡を取っても返事すらない…
おい、駿…!どこにいるんだよっ…!
俺と裕翔は一度外に出て、体育館の周りを探していたその時だ。
トントン……シュ……パシュ…!!
どこからかボールを突く音が俺たちの耳に聞こえてきたんだ。
その音を頼りに俺たちは音のする方へと駆けつけてみると、そこには体育館外にあるバスケットゴールに向かって、何度も何度もスリーポイントを決める駿の姿があった。
裕翔は駿を見つけるや否や、咄嗟に大きな声で駿の名前を叫び、その声がけにピタッと動きを止めて、俺たちへ振り返ってみせる駿…
俺たちは駆け寄り、駿の目を見てみると…
涙を流しながら、見たこともない程に寂しくて悔しい顔をしていたんだ…
目も赤くなり…瞼も腫れぼったい…
相当泣いたのだろう…悔しかったんだろう…
それでも主将として、駿は最後の最後まで笑顔で主将の役目をやり遂げた。
そして、俺たちの存在を確認した駿は、張り詰めていた糸がプツンと切れたかのように、その場で大声を上げて泣きじゃくったんだ。
「ああぁっ…お、俺の…ひくっ……バスケ生活…終わっちまったっ…!!」
そんな駿の姿を見た俺と裕翔は、互いに彼の肩に手を添え、労いと努力を讃えてあげたんだ。
駿…約束を守ってくれてありがとう…
今日のお前…最高にかっこよかったぜ…?
もう我慢しなくてもいい、沢山泣けばいい…
よく頑張ったな…?ほんとにお疲れ様…
◇ ◇
──駿の涙も落ち着きを見せ、俺たちはバスケットゴールの近くに座り込み、三人で語り合ったんだ。
「俺さ、大和に活を入れてもらえて本当に良かった…そして、右手にはどんな時もお前らが傍で支えてくれている…だから最後まで俺は笑顔でいれた…」
「僕は、駿がバスケで頑張ってる姿を初めて見たけれど、笑顔で楽しんでる駿を見れて嬉しかったし、とにかく誇らしいとも思った」
「結果はどうであれ、最後までお前らしく、そしてチームのキャプテンらしく笑顔を振りまいて楽しむ姿は、チームメイトだけじゃなく俺らの心にもしっかり届いていた」
「駿…?本当に三年間、お疲れ様でした」
「…お前らっ…」
また駿の目には、少しだけ涙が光っていた。
そして駿は目をゴシゴシと擦り、もう一度ボールを手に取って徐にその場に立ち上がり、そのままスリーポイントの線の上に立つ。
そうこれがこいつにとって、高校生活最後のスリーポイント…
「裕翔、大和…本当にありがとう…俺、俺さ…お前らに出会えて本当に良かった…」
「そして…バスケ部のみんな…俺は三年間…めちゃくちゃ楽しかったぜっ…!!」
駿の思いと共に駿の手からボールが離れ、ボールはゴール目掛け、今まで以上に綺麗な放物線を描いていく…そして…
…パシュ…!………プチンっ!
見事にシュートが決まり、ゴールから落ちるボールと共に駿の右手からミサンガが切れて、ヒラヒラと地面に着地したんだ。
「…はは、俺の願い…叶っちまったな…」
そう、駿の願いは『最後まで笑って、楽しいバスケが出来ますように…』だった事をちぎれたミサンガを手に取りながら、俺たちに教えてくれた。
そして願いが叶った駿はもう涙なんか見せず、どこか清々しく全てをやりきった顔で俺たちに変わらぬ笑顔を見せてくれたんだ。
最後までお前らしい…
最高の締めくくりだな…?
こうして、駿の高校生活最後のインターハイの終わりを迎え、インターハイの終わりと共に俺たちの街には夏がやって来る。
まだ少し肌寒い夜道を俺たちは三人、仲良く歩いて帰路に就いたんだ。
強豪校に負けてしまった駿たちのインターハイは、ここで幕を下ろしたんだ…
涙を流す部員の傍でも、駿は最後までみんなに楽しかった!と言わんばかりの笑顔で励まし続け、コートを後にしていた。
俺も裕翔も、駿に『お疲れ様』と言ってあげたくて、体育館の外で待っていたけれど、他の生徒はどんどん帰っていくのに駿だけが一向に姿を表さない…
そして、気付けば辺りも暗くなり、体育館の照明も消え、心配になった俺と裕翔は顔を見合わせて駿の事を探してみる事にしたんだ。
閉館間際の館内を探し回っても、駿の姿は見当たらない、連絡を取っても返事すらない…
おい、駿…!どこにいるんだよっ…!
俺と裕翔は一度外に出て、体育館の周りを探していたその時だ。
トントン……シュ……パシュ…!!
どこからかボールを突く音が俺たちの耳に聞こえてきたんだ。
その音を頼りに俺たちは音のする方へと駆けつけてみると、そこには体育館外にあるバスケットゴールに向かって、何度も何度もスリーポイントを決める駿の姿があった。
裕翔は駿を見つけるや否や、咄嗟に大きな声で駿の名前を叫び、その声がけにピタッと動きを止めて、俺たちへ振り返ってみせる駿…
俺たちは駆け寄り、駿の目を見てみると…
涙を流しながら、見たこともない程に寂しくて悔しい顔をしていたんだ…
目も赤くなり…瞼も腫れぼったい…
相当泣いたのだろう…悔しかったんだろう…
それでも主将として、駿は最後の最後まで笑顔で主将の役目をやり遂げた。
そして、俺たちの存在を確認した駿は、張り詰めていた糸がプツンと切れたかのように、その場で大声を上げて泣きじゃくったんだ。
「ああぁっ…お、俺の…ひくっ……バスケ生活…終わっちまったっ…!!」
そんな駿の姿を見た俺と裕翔は、互いに彼の肩に手を添え、労いと努力を讃えてあげたんだ。
駿…約束を守ってくれてありがとう…
今日のお前…最高にかっこよかったぜ…?
もう我慢しなくてもいい、沢山泣けばいい…
よく頑張ったな…?ほんとにお疲れ様…
◇ ◇
──駿の涙も落ち着きを見せ、俺たちはバスケットゴールの近くに座り込み、三人で語り合ったんだ。
「俺さ、大和に活を入れてもらえて本当に良かった…そして、右手にはどんな時もお前らが傍で支えてくれている…だから最後まで俺は笑顔でいれた…」
「僕は、駿がバスケで頑張ってる姿を初めて見たけれど、笑顔で楽しんでる駿を見れて嬉しかったし、とにかく誇らしいとも思った」
「結果はどうであれ、最後までお前らしく、そしてチームのキャプテンらしく笑顔を振りまいて楽しむ姿は、チームメイトだけじゃなく俺らの心にもしっかり届いていた」
「駿…?本当に三年間、お疲れ様でした」
「…お前らっ…」
また駿の目には、少しだけ涙が光っていた。
そして駿は目をゴシゴシと擦り、もう一度ボールを手に取って徐にその場に立ち上がり、そのままスリーポイントの線の上に立つ。
そうこれがこいつにとって、高校生活最後のスリーポイント…
「裕翔、大和…本当にありがとう…俺、俺さ…お前らに出会えて本当に良かった…」
「そして…バスケ部のみんな…俺は三年間…めちゃくちゃ楽しかったぜっ…!!」
駿の思いと共に駿の手からボールが離れ、ボールはゴール目掛け、今まで以上に綺麗な放物線を描いていく…そして…
…パシュ…!………プチンっ!
見事にシュートが決まり、ゴールから落ちるボールと共に駿の右手からミサンガが切れて、ヒラヒラと地面に着地したんだ。
「…はは、俺の願い…叶っちまったな…」
そう、駿の願いは『最後まで笑って、楽しいバスケが出来ますように…』だった事をちぎれたミサンガを手に取りながら、俺たちに教えてくれた。
そして願いが叶った駿はもう涙なんか見せず、どこか清々しく全てをやりきった顔で俺たちに変わらぬ笑顔を見せてくれたんだ。
最後までお前らしい…
最高の締めくくりだな…?
こうして、駿の高校生活最後のインターハイの終わりを迎え、インターハイの終わりと共に俺たちの街には夏がやって来る。
まだ少し肌寒い夜道を俺たちは三人、仲良く歩いて帰路に就いたんだ。
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