46 / 84
君が好き…これが言えないのに…
5
しおりを挟む
──キャンプ場には、既に何棟もテントが張り巡らされていて、三人一組で寝泊まりする事になっていたんだ。
もちろん男女別々…
そこに関しては、駿も少し残念がっていた。
当たり前だけど、彼女との一夜は、お預けってやつだな?
そして、三人一組ならば俺と裕翔、そして駿の三人。もうこの組み合わせだけは誰にも譲れない。
俺たちは寝泊まりするテントに荷物を置いて、みんなで食べる夜ご飯の準備へ取り掛かる事になったんだけど…
果たして無事に乗り切れっかな、これ…?
◇ ◇
みんなで作る夜ご飯は【具沢山のカレーライス】らしい。
カレールーを作る担当や火を起こす担当、飯盒を使用して、大量のご飯を炊く担当…それぞれのクラスで役割分担をし、俺たち三人はカレールーを作る担当を選んでいたんだ。
選んだっていうより、裕翔と駿がいるから選ばざるを得ないみたいなところもあったけど…そこは言わないお約束って事で…!!
ただ『やるぞっ!』と意気込む僕の後ろで、俺と駿はソワソワした気持ちで落ち着かない。
はぁ…どうしよっ…
また裕翔に恥ずかしい一面を晒さなきゃいけねぇのか…?
それでも時間は待ってくれず、俺たちは野菜を切る役割を与えられ…裕翔は慣れた手つきで手際よく色んな食材の下ごしらえに取り掛かり、俺たちにも色々と指示を出してくれたんだ。
「僕どんどん切っていくから、駿~!そこのピーラー使って人参の皮、剥いてくれる?」
「ぴ、ぴーらぁー…?」
ん…?駿、あたふたしてねぇかっ?
な、なんだよ…お前も同じか…!!
早く言えよなぁ~っ!!
料理に無縁な駿は、危なっかしい手つきで人参の皮をピーラーという道具で剥いていく。
お、俺には何が来るんだ…!?
「大和は、駿が剥いてくれた人参を乱切りにしてね?」
「…ら、乱切り………ああっ!乱切りなっ!」
ま、任せておけ!!
それぐらいは俺にだって出来る!!
切ればいいんだもんな!!
俺も不慣れな手つきで人参をザクッ!っと切り落とし…俺はすぐさま裕翔に止められてしまった…
「大和それ、輪切りだよ…」と言われ、かっこ悪い姿を見せちまった俺は、慌てて包丁を地面に落としてしまいそうになったんだ。
くそっ…!は、恥ずかしいじゃねぇかぁあ!
それでも裕翔は、俺らに挟まれ、手取り足取り優しく教えてくれながら、手際よく下ごしらえを続けていく。
トントントントン…っ!
「へぇ…裕翔、お前、料理上手なんだな」
「えへへっ!一人暮らしで自炊してるから、自然に身についちゃったのかも?」
裕翔の包丁捌きに俺はつい見惚れちまって…
料理が出来て、家庭的な裕翔の事をますます好きになっていく。
その小さな手で、あの焼きそばパンも一生懸命作ってくたんだろうな…
どんな気持ちで作ってくれたんだろう…?
「だから、裕翔が作ってくれた焼きそばパンもあんなに美味しかったんだなっ!」
「なぁにっ!?焼きそばパンだと!?」
食べ物の話になると、途端に駿の耳が立ち上がり、俺たちの顔をまじまじと見つめてきたんだ。
「ちょ!大和っ!」
「ははっ、めちゃくちゃ美味かった~」
「裕翔、なんだよ!なんで俺の分はねぇんだよっ!!」
駿の一言に俺の鼓動はまた『ドクンッ!』と大きく音を立てた。
てっきり駿の分も作っていたんだと思っていたのに…裕翔、俺のためだけに、あの焼きそばを作ってくれたのか…?
俺の…俺のためだけに…?
「ははっ!料理が上手なヤツを貰えた大和は、幸せもんだなぁッ!!」
「だから!バカ言うなっ!」
そんな俺の思いに、駿からナイスパスが渡されるのに、これだけ綺麗にハモれる俺と裕翔ってさ…
やっぱり俺ら…もうお互い…
そうであって欲しいと俺は願うけれど…
そ、そんな事より今は、この気持ちを落ち着かせねぇと…!
色んなことを考えながらも、俺はその後も裕翔に手取り足取り教えて貰いながら、下ごしらえの準備を続けていったんだ。
もちろん男女別々…
そこに関しては、駿も少し残念がっていた。
当たり前だけど、彼女との一夜は、お預けってやつだな?
そして、三人一組ならば俺と裕翔、そして駿の三人。もうこの組み合わせだけは誰にも譲れない。
俺たちは寝泊まりするテントに荷物を置いて、みんなで食べる夜ご飯の準備へ取り掛かる事になったんだけど…
果たして無事に乗り切れっかな、これ…?
◇ ◇
みんなで作る夜ご飯は【具沢山のカレーライス】らしい。
カレールーを作る担当や火を起こす担当、飯盒を使用して、大量のご飯を炊く担当…それぞれのクラスで役割分担をし、俺たち三人はカレールーを作る担当を選んでいたんだ。
選んだっていうより、裕翔と駿がいるから選ばざるを得ないみたいなところもあったけど…そこは言わないお約束って事で…!!
ただ『やるぞっ!』と意気込む僕の後ろで、俺と駿はソワソワした気持ちで落ち着かない。
はぁ…どうしよっ…
また裕翔に恥ずかしい一面を晒さなきゃいけねぇのか…?
それでも時間は待ってくれず、俺たちは野菜を切る役割を与えられ…裕翔は慣れた手つきで手際よく色んな食材の下ごしらえに取り掛かり、俺たちにも色々と指示を出してくれたんだ。
「僕どんどん切っていくから、駿~!そこのピーラー使って人参の皮、剥いてくれる?」
「ぴ、ぴーらぁー…?」
ん…?駿、あたふたしてねぇかっ?
な、なんだよ…お前も同じか…!!
早く言えよなぁ~っ!!
料理に無縁な駿は、危なっかしい手つきで人参の皮をピーラーという道具で剥いていく。
お、俺には何が来るんだ…!?
「大和は、駿が剥いてくれた人参を乱切りにしてね?」
「…ら、乱切り………ああっ!乱切りなっ!」
ま、任せておけ!!
それぐらいは俺にだって出来る!!
切ればいいんだもんな!!
俺も不慣れな手つきで人参をザクッ!っと切り落とし…俺はすぐさま裕翔に止められてしまった…
「大和それ、輪切りだよ…」と言われ、かっこ悪い姿を見せちまった俺は、慌てて包丁を地面に落としてしまいそうになったんだ。
くそっ…!は、恥ずかしいじゃねぇかぁあ!
それでも裕翔は、俺らに挟まれ、手取り足取り優しく教えてくれながら、手際よく下ごしらえを続けていく。
トントントントン…っ!
「へぇ…裕翔、お前、料理上手なんだな」
「えへへっ!一人暮らしで自炊してるから、自然に身についちゃったのかも?」
裕翔の包丁捌きに俺はつい見惚れちまって…
料理が出来て、家庭的な裕翔の事をますます好きになっていく。
その小さな手で、あの焼きそばパンも一生懸命作ってくたんだろうな…
どんな気持ちで作ってくれたんだろう…?
「だから、裕翔が作ってくれた焼きそばパンもあんなに美味しかったんだなっ!」
「なぁにっ!?焼きそばパンだと!?」
食べ物の話になると、途端に駿の耳が立ち上がり、俺たちの顔をまじまじと見つめてきたんだ。
「ちょ!大和っ!」
「ははっ、めちゃくちゃ美味かった~」
「裕翔、なんだよ!なんで俺の分はねぇんだよっ!!」
駿の一言に俺の鼓動はまた『ドクンッ!』と大きく音を立てた。
てっきり駿の分も作っていたんだと思っていたのに…裕翔、俺のためだけに、あの焼きそばを作ってくれたのか…?
俺の…俺のためだけに…?
「ははっ!料理が上手なヤツを貰えた大和は、幸せもんだなぁッ!!」
「だから!バカ言うなっ!」
そんな俺の思いに、駿からナイスパスが渡されるのに、これだけ綺麗にハモれる俺と裕翔ってさ…
やっぱり俺ら…もうお互い…
そうであって欲しいと俺は願うけれど…
そ、そんな事より今は、この気持ちを落ち着かせねぇと…!
色んなことを考えながらも、俺はその後も裕翔に手取り足取り教えて貰いながら、下ごしらえの準備を続けていったんだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる