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ゴールの先のスタートライン
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二度とお互い離れないと約束をし、固く結ばれた番を誓い合った僕たちは、身体もすっかりと疲れ果ててしまい、ベットの上でハァハァと吐息を漏らして寝転がっていた。
「や、大和…」
「うん…?なんだ…?」
性交が終わった大和は、いつもの優しい大和に戻っていたんだ。
声色も優しい…でも、僕にしか見せないSっ気のある大和も僕は大好きだ。
「僕…嬉しかった…それと同時に怖かったんだ…」
「うん…?どうしてだ…?」
「僕ね…大和を愛してしまって、こんなに好きなのに…Ωの僕は、大和より先に生涯を終えてしまう事が辛くて…大和を悲しませてしまうと思えば思う程、辛くて怖かったんだ…」
「裕翔…」
愛したのに…愛されているのに…
Ωという運命で、早い別れを告げなければいけないと考えれば考える程、大和を愛する事が怖かった…
離れたくないと願うのに、離れなければいけないリミットは僕の方が短い…
やっと僕に振り向いてくれたのに、また大和を一人にしてしまう事がとにかく嫌だった…
「でも…でも、僕…これからずっと、大和の傍にいれるんだね…一緒に歳を重ねても、おじいさんになっても、この命が朽ちるまで…」
夢であった番を結び、ここで僕の発情期は終わりを迎える。
そう、身体を蝕む抑制剤ともお別れという事なんだ。
ただ、僕からフェロモンが消える訳では無い。
僕のフェロモンは番を結んだ大和にだけ反応する。
そう、僕のフェロモンも大和のものになるんだ…
もう僕の寿命を縮めるものもなくなった…
番は大和の傍に永くいれるという証明なんだ。
嬉しさのあまり、僕の目から一筋の涙が流れてしまったけれど…大和は、その涙を優しく指で拭いながら僕に微笑んでくれた。
「ああ…もう裕翔は俺のものだもん…お互いの命が朽ちるまで…ずっとずっと、裕翔の傍にいると俺は心に誓った…それは裕翔も一緒だろ…?」
「…うん…ゔんっ…」
「それとな…?俺はずっとこの日を待ってたんだ…裕翔と番を結ぶタイミングをずっとずっと待っていた…」
「…や、大和…どういうこと…?」
「番を結んだとして、お前のうなじに俺の証が映っちまうってことは、裕翔がΩだったっていうことがクラスのみんなにバレちまうだろ…?」
「それだけは絶対にさせたくなかったんだ…だから笑顔で高校を卒業したら、俺は裕翔を迎えに行こう…そして俺の傍で、ずっとずっと笑っていて欲しい…Ωという苦しみから…俺が救い出してあげたい…そうずっと思ってたんだ…」
「…裕翔…俺の方こそ…長くお前を待たせちゃってごめんな…?」
「…ひっく…うぅ…や、やまぁとぉぉおお…」
僕の苦しみを分かってくれていたから…
Ωがバレて僕を傷付けたくなかったから…
そして、大和は僕の命を救い出してくれた…
大和は先の先まで予測して…僕が傷つかないようにとずっと考えてくれていたんだ…
「もう泣くな…可愛い顔が台無しだ…裕翔…?俺を愛してくれてありがとう…そして、俺もお前のことが大好きだよ…」
大和はもう一度…僕の涙を指で拭い、そのまま僕の顎に右手を添えて、優しく温かく愛のあるキスを交わしてくれたんだ…
◇ ◇
唇が離れ、大和の右手も離れた時、僕はあることに気付いたんだ。
「…あ、あれ…大和…ミサンガ…」
「…あれっ…ない…」
大和の右手からミサンガが切れ、ベッドの上に落ちているのを僕は見つけ、手に取った。
「…切れちゃったって事は…大和の願いも、とうとう叶ったんだね…?」
「………ああっ………」
大和は徐にハリネズミをわしゃわしゃしている…そして、僕が見たことがない程に照れているのがよく分かる。
「大和ぉ…?何、お願いしたのぉ???」
「…い、言わない!絶対に言わない!!」
「えぇ~っ!ずるいじゃん!僕も駿もちゃんと言ったのにぃっ!!」
そうだ、不公平だ!
僕たちの願いはちゃんと大和に教えたのに、大和は教えてくれないなんて!
僕は大和の身体をポカポカと叩き、その場で駄々を捏ねてみたんだ。
「…わ、分かった分かったっ…!…仕方ねぇ…裕翔にだけ教えてやるよ…」
僕はこの後、大和から発せられた願い事を聞いて…恥ずかしさと嬉しさ…
そして、ずっと愛されていた事を改めて感じ、涙と共に大和へ抱きついたんだ。
『…俺と裕翔が…永遠に結ばれますように…』
「や、大和…」
「うん…?なんだ…?」
性交が終わった大和は、いつもの優しい大和に戻っていたんだ。
声色も優しい…でも、僕にしか見せないSっ気のある大和も僕は大好きだ。
「僕…嬉しかった…それと同時に怖かったんだ…」
「うん…?どうしてだ…?」
「僕ね…大和を愛してしまって、こんなに好きなのに…Ωの僕は、大和より先に生涯を終えてしまう事が辛くて…大和を悲しませてしまうと思えば思う程、辛くて怖かったんだ…」
「裕翔…」
愛したのに…愛されているのに…
Ωという運命で、早い別れを告げなければいけないと考えれば考える程、大和を愛する事が怖かった…
離れたくないと願うのに、離れなければいけないリミットは僕の方が短い…
やっと僕に振り向いてくれたのに、また大和を一人にしてしまう事がとにかく嫌だった…
「でも…でも、僕…これからずっと、大和の傍にいれるんだね…一緒に歳を重ねても、おじいさんになっても、この命が朽ちるまで…」
夢であった番を結び、ここで僕の発情期は終わりを迎える。
そう、身体を蝕む抑制剤ともお別れという事なんだ。
ただ、僕からフェロモンが消える訳では無い。
僕のフェロモンは番を結んだ大和にだけ反応する。
そう、僕のフェロモンも大和のものになるんだ…
もう僕の寿命を縮めるものもなくなった…
番は大和の傍に永くいれるという証明なんだ。
嬉しさのあまり、僕の目から一筋の涙が流れてしまったけれど…大和は、その涙を優しく指で拭いながら僕に微笑んでくれた。
「ああ…もう裕翔は俺のものだもん…お互いの命が朽ちるまで…ずっとずっと、裕翔の傍にいると俺は心に誓った…それは裕翔も一緒だろ…?」
「…うん…ゔんっ…」
「それとな…?俺はずっとこの日を待ってたんだ…裕翔と番を結ぶタイミングをずっとずっと待っていた…」
「…や、大和…どういうこと…?」
「番を結んだとして、お前のうなじに俺の証が映っちまうってことは、裕翔がΩだったっていうことがクラスのみんなにバレちまうだろ…?」
「それだけは絶対にさせたくなかったんだ…だから笑顔で高校を卒業したら、俺は裕翔を迎えに行こう…そして俺の傍で、ずっとずっと笑っていて欲しい…Ωという苦しみから…俺が救い出してあげたい…そうずっと思ってたんだ…」
「…裕翔…俺の方こそ…長くお前を待たせちゃってごめんな…?」
「…ひっく…うぅ…や、やまぁとぉぉおお…」
僕の苦しみを分かってくれていたから…
Ωがバレて僕を傷付けたくなかったから…
そして、大和は僕の命を救い出してくれた…
大和は先の先まで予測して…僕が傷つかないようにとずっと考えてくれていたんだ…
「もう泣くな…可愛い顔が台無しだ…裕翔…?俺を愛してくれてありがとう…そして、俺もお前のことが大好きだよ…」
大和はもう一度…僕の涙を指で拭い、そのまま僕の顎に右手を添えて、優しく温かく愛のあるキスを交わしてくれたんだ…
◇ ◇
唇が離れ、大和の右手も離れた時、僕はあることに気付いたんだ。
「…あ、あれ…大和…ミサンガ…」
「…あれっ…ない…」
大和の右手からミサンガが切れ、ベッドの上に落ちているのを僕は見つけ、手に取った。
「…切れちゃったって事は…大和の願いも、とうとう叶ったんだね…?」
「………ああっ………」
大和は徐にハリネズミをわしゃわしゃしている…そして、僕が見たことがない程に照れているのがよく分かる。
「大和ぉ…?何、お願いしたのぉ???」
「…い、言わない!絶対に言わない!!」
「えぇ~っ!ずるいじゃん!僕も駿もちゃんと言ったのにぃっ!!」
そうだ、不公平だ!
僕たちの願いはちゃんと大和に教えたのに、大和は教えてくれないなんて!
僕は大和の身体をポカポカと叩き、その場で駄々を捏ねてみたんだ。
「…わ、分かった分かったっ…!…仕方ねぇ…裕翔にだけ教えてやるよ…」
僕はこの後、大和から発せられた願い事を聞いて…恥ずかしさと嬉しさ…
そして、ずっと愛されていた事を改めて感じ、涙と共に大和へ抱きついたんだ。
『…俺と裕翔が…永遠に結ばれますように…』
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