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旅立ち準備
やりすぎた
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生存者が他にいないから、村にある全ての物の権利はわたし達のもの。
何らかの理由で村を維持できなくなった場合、残っていた物は出ていく人たちの間で等しく分ける――これは、もともとあった村の決まりだ。
「実際、残しておいても、仕方ないしね」
と言いつつ、住人のいなくなった家を一軒一軒回って、使えそうなものをマジックバッグにいれていく。鍋や包丁、それからナイフに晴れ着が基本的な財産だ。
お金もあるけど、金額はまちまち。コレは、見つけるたびににぃにとはんぶんこだ。
「お金を隠す場所は、みんな一緒なんだねぇ」
「そもそも、選択肢があんまりないからね」
隠し財産は、ベッドの敷き藁の下にまとめてあり、お買い物ようの小銭は子供の手が届かない高い棚の上。たまに大きな水瓶の下に隠してあることもあったけど、大体はその二箇所にある。
こうした隠し財産が見つけられたのも、ベッドも水瓶も、何もかもをマジックバッグにいれてしまったなんだけど。
『魔神様、ホントに不用品を奉納しちゃってもいいの?』
『気にせず送ってくれて構わないよ』
と、魔神様がおっしゃってくださっているので、こうした家財道具は後でまとめて奉納する予定。武神様あてと魔神様あてとで分けたほうがいいのか聞いてみたら、『一括で』とのお返事が返ってきた。どうやら、神界で山分け(?)するらしい。手間が省けて、助かります。
「大銅貨が89枚に、銅貨が553枚……と」
「わたしの方も、おんなじだけ入ってるみたい」
20軒近く回って集めたコレが、多いのか少ないのかは分からないけど、個人的には大金だ。
これまでは、採り貯めておいた薬草を行商人のおじさんが来たときに売って、銅貨数枚を手に入れるのがせいぜいだったんだもの。ソレだって、村では手に入らないお菓子を一つ二つ買ったら無くなってしまう金額だったし。
「銅貨が10枚で大銅貨が1枚だっけ」
「たしか、そう」
ここにはないけど、その上に銀貨・大銀貨と続いて金貨になるはず。
そう考えると、この大金も実は心もとない金額なのかも。
「神殿にはもうちょいあるかなぁ……」
意外なことに神殿にはお金がなくって不思議に思っていたら、魔神様経由で神殿に祀られている森神様が理由を教えてくれた。どうやら巫女様と村長の夫婦は、にぃにが家族の看病に追われている間に村を逃げ出したらしい。
「なんというか、納得しかないね。にぃに」
「同感」
巫女様も村長も、『みんなのものは、自分のもの。自分のものは自分のもの』という人たちだった。それは食べ物やお金のことだけじゃなくって、結婚してる男女も一緒。独り身の人や子供は、奴隷に近い扱いだ。
そんななか、わたしとにぃには優遇されてたけど……こう、将来のために? みたいな。
「むしろ、率先して死んでおいてほしかったなぁ」
「思っても、言わないでおこうよ……」
思わず本音をポロリとこぼすと、にぃにが小さく吹き出した。
「なにさ。自分も似たようなこと思ってたくせに、いい子ちゃんぶってっ」
「考えたけどさ。フェリシアの口からそんな言葉は聞きたくなかったなぁって、声に出されて思っただけ」
「ポロッと出ちゃったんだもの。大目に見てよ」
でも、ホント。
どっかでうっかり再会しちゃったら、嫌だなぁ。
そんな話をしつつも真面目に回収作業はしてたので、村の中はすっからかん。神殿と、わたし達の住んでいた家を残して、家は一軒も残っていない状態だ。
「なんにも無くなっちゃったね」
「まさか、家まで奉納できるとは思わなかったよねぇ……」
神殿で奉納してる最中に、魔神様から指摘されたのが『簡易神殿セット』の存在。
これは、指でつまめるサイズの小さな神殿で、紐を通して首から下げておけば、わたしを中心に半径2メートルの加護結界を張れる。しかも、機能はソレだけにとどまらず、奉納も出来るし魔神様(にぃにの場合は武神様)との念話もできるというスグレモノだったのだ。
んでもって、『住民のいなくなった家も奉納できちゃうよ☆彡』という、魔神様の悪魔の誘いに乗ってしまった結果が、更地になってしまった村の姿というわけで……
「やっちゃった感がものすごい……」
「今更、ソレを言う?」
「後悔って、後でするものだって誰かが言ってたよ」
「そうかも。なんにせよ、もう手遅れだし……」
「そうだね」
どこか遠い目をして村の敷地を眺めるにぃにと、わたしも同じ顔をしてるんじゃないかと思う。
「今日は、久しぶりに家で寝るんでしょ?」
「うん。腕によりをかけて、美味しいご飯を作るねっ」
諦めた表情で首を振って話題を変えたにぃにに合わせて、わたしもやらかしてしまった現実から逃げることにした。
何らかの理由で村を維持できなくなった場合、残っていた物は出ていく人たちの間で等しく分ける――これは、もともとあった村の決まりだ。
「実際、残しておいても、仕方ないしね」
と言いつつ、住人のいなくなった家を一軒一軒回って、使えそうなものをマジックバッグにいれていく。鍋や包丁、それからナイフに晴れ着が基本的な財産だ。
お金もあるけど、金額はまちまち。コレは、見つけるたびににぃにとはんぶんこだ。
「お金を隠す場所は、みんな一緒なんだねぇ」
「そもそも、選択肢があんまりないからね」
隠し財産は、ベッドの敷き藁の下にまとめてあり、お買い物ようの小銭は子供の手が届かない高い棚の上。たまに大きな水瓶の下に隠してあることもあったけど、大体はその二箇所にある。
こうした隠し財産が見つけられたのも、ベッドも水瓶も、何もかもをマジックバッグにいれてしまったなんだけど。
『魔神様、ホントに不用品を奉納しちゃってもいいの?』
『気にせず送ってくれて構わないよ』
と、魔神様がおっしゃってくださっているので、こうした家財道具は後でまとめて奉納する予定。武神様あてと魔神様あてとで分けたほうがいいのか聞いてみたら、『一括で』とのお返事が返ってきた。どうやら、神界で山分け(?)するらしい。手間が省けて、助かります。
「大銅貨が89枚に、銅貨が553枚……と」
「わたしの方も、おんなじだけ入ってるみたい」
20軒近く回って集めたコレが、多いのか少ないのかは分からないけど、個人的には大金だ。
これまでは、採り貯めておいた薬草を行商人のおじさんが来たときに売って、銅貨数枚を手に入れるのがせいぜいだったんだもの。ソレだって、村では手に入らないお菓子を一つ二つ買ったら無くなってしまう金額だったし。
「銅貨が10枚で大銅貨が1枚だっけ」
「たしか、そう」
ここにはないけど、その上に銀貨・大銀貨と続いて金貨になるはず。
そう考えると、この大金も実は心もとない金額なのかも。
「神殿にはもうちょいあるかなぁ……」
意外なことに神殿にはお金がなくって不思議に思っていたら、魔神様経由で神殿に祀られている森神様が理由を教えてくれた。どうやら巫女様と村長の夫婦は、にぃにが家族の看病に追われている間に村を逃げ出したらしい。
「なんというか、納得しかないね。にぃに」
「同感」
巫女様も村長も、『みんなのものは、自分のもの。自分のものは自分のもの』という人たちだった。それは食べ物やお金のことだけじゃなくって、結婚してる男女も一緒。独り身の人や子供は、奴隷に近い扱いだ。
そんななか、わたしとにぃには優遇されてたけど……こう、将来のために? みたいな。
「むしろ、率先して死んでおいてほしかったなぁ」
「思っても、言わないでおこうよ……」
思わず本音をポロリとこぼすと、にぃにが小さく吹き出した。
「なにさ。自分も似たようなこと思ってたくせに、いい子ちゃんぶってっ」
「考えたけどさ。フェリシアの口からそんな言葉は聞きたくなかったなぁって、声に出されて思っただけ」
「ポロッと出ちゃったんだもの。大目に見てよ」
でも、ホント。
どっかでうっかり再会しちゃったら、嫌だなぁ。
そんな話をしつつも真面目に回収作業はしてたので、村の中はすっからかん。神殿と、わたし達の住んでいた家を残して、家は一軒も残っていない状態だ。
「なんにも無くなっちゃったね」
「まさか、家まで奉納できるとは思わなかったよねぇ……」
神殿で奉納してる最中に、魔神様から指摘されたのが『簡易神殿セット』の存在。
これは、指でつまめるサイズの小さな神殿で、紐を通して首から下げておけば、わたしを中心に半径2メートルの加護結界を張れる。しかも、機能はソレだけにとどまらず、奉納も出来るし魔神様(にぃにの場合は武神様)との念話もできるというスグレモノだったのだ。
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「今更、ソレを言う?」
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「そうだね」
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