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再出発
スキルキャンディ
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護身術を習うことを決めた翌朝、にぃにに促されて、久しぶりに『たぶれっと』を開く。
「おおお……思った以上にポイントが増えてるっ!」
「最近、フェリシアは生乳のかわりにチーズやバターを量産して奉納してるからね。僕もお陰様で、ちょっと『イイな』って思ったものを交換しやすくて助かってるよ」
「わたしはスキルも上がるし、一挙両得だねっ」
「僕としては、『濡れ手に黃麦』かな」
二人でウシシと笑い合い、『たぶれっと』に視線を落とす。
ちなみに黃麦というのは、ちっちゃな泡みたいな実がつく麦の一種。プチプチ食感が楽しいけれど、主食にするにはちょっと物足りない。
「んで、『たぶれっと』でなにすんの?」
「えっと……ここに『スキル』って項目があるでしょ。その中から『護身術』と『回避術』を交換しておくようにって」
「武神様のご指示かぁ……」
「僕もそれでいくつかスキルを身につけたよ」
にぃには、『騎乗術』『回避術』『予見』の三つを奉納ポイントを使って覚えたらしい。
『騎乗術』は騎獣に乗るためのスキルで、『回避術』は危険を避けるためのもの。最後の『予見』は戦闘補助スキルといわれるもので、視界内で起こることを判断するのが早くなり、『回避術』や『武術系スキル』の成功率が高くなるそうだ。
――うん。見事に脳筋スキルばっかだね。
でもまぁ、あとの二つは怪我をしないで済む手段を考えた結果、選んだスキルだとすぐ分かる。
――確かに、奉納ポイントでスキルを得られるのならお得かも。
主に時間的な方向で、だけど。
そもそもが、にぃにの覚えたスキルだって、普通に身に着けようと思ったらかなり大変なはずだもの。ここは、奉納ポイントを使って身につけるの一択だ。
「フェリシアの武術系の適性はEランクだそうだから――四百ポイントが二つで八百。余裕じゃない」
「うにうに」
言われるままにポチポチすると、タブレットからコロコロコロリンと小さな玉が転がりだしてくる。親指と人差指で輪っかを作ったくらいの大きさの赤くて透き通った玉で、なんだかちょっぴり、いい匂い。
「ほら、あ~ん」
「あ~ん」
言われるままに口を開けると、出てきた玉が放り込まれる。
――~っ! 甘いっ!!
「スキルキャンディっていうんだって。噛んじゃダメだよ。ゆっくり舐めてとかしてね」
「うにうに」
お口の中でゆっくりキャンディが溶けていくのに合わせて、知らなかった知識が頭の中に浮かんで消える。
ああ、でも。消えるっていうのは、ちょっと正確じゃないね。
頭の中に、フワリと溶け込んでいくイメージだ。
消えたナニかを、思い出し直すことがきちんとできるから。
「――大変、美味しゅうございました」
ちなみに、お味はイチゴ味。
「ねぇねぇ、フェリシア」
「うにゅ?」
「きちんとスキルが身に付いてるか、試してみようよ」
にぃにのいつもと違ったウキウキ顔に、思わず頬が引きつった。
「やだよ。これからミルギューのお世話をする時間でしょ」
「じゃあ、ソレが終わってからっ」
「いやいや、その後はバター作りをしなくっちゃ」
「えええぇぇ……じゃあ、バター作りが終わってからは?」
「お昼ごはんの用意をします」
「それじゃあ、聖域を出るまでに試せないよっ」
――なんだ……組手の相手が欲しいだけか。
ここまできて、やっとにぃにの意図が理解できて『うわぁ』と内心ドン引き気味。
コレ、一回お相手したら、明日からずっとなし崩し的に日課にされちゃうやつっ!
「戻ってから、武神様のご指導をいただきつつ実践して見る所存ですっ」
「そんなこと言わないでさ、一回だけっ! ね!?」
もちろん、聞こえないふりでやり過ごしましたとも。
「おおお……思った以上にポイントが増えてるっ!」
「最近、フェリシアは生乳のかわりにチーズやバターを量産して奉納してるからね。僕もお陰様で、ちょっと『イイな』って思ったものを交換しやすくて助かってるよ」
「わたしはスキルも上がるし、一挙両得だねっ」
「僕としては、『濡れ手に黃麦』かな」
二人でウシシと笑い合い、『たぶれっと』に視線を落とす。
ちなみに黃麦というのは、ちっちゃな泡みたいな実がつく麦の一種。プチプチ食感が楽しいけれど、主食にするにはちょっと物足りない。
「んで、『たぶれっと』でなにすんの?」
「えっと……ここに『スキル』って項目があるでしょ。その中から『護身術』と『回避術』を交換しておくようにって」
「武神様のご指示かぁ……」
「僕もそれでいくつかスキルを身につけたよ」
にぃには、『騎乗術』『回避術』『予見』の三つを奉納ポイントを使って覚えたらしい。
『騎乗術』は騎獣に乗るためのスキルで、『回避術』は危険を避けるためのもの。最後の『予見』は戦闘補助スキルといわれるもので、視界内で起こることを判断するのが早くなり、『回避術』や『武術系スキル』の成功率が高くなるそうだ。
――うん。見事に脳筋スキルばっかだね。
でもまぁ、あとの二つは怪我をしないで済む手段を考えた結果、選んだスキルだとすぐ分かる。
――確かに、奉納ポイントでスキルを得られるのならお得かも。
主に時間的な方向で、だけど。
そもそもが、にぃにの覚えたスキルだって、普通に身に着けようと思ったらかなり大変なはずだもの。ここは、奉納ポイントを使って身につけるの一択だ。
「フェリシアの武術系の適性はEランクだそうだから――四百ポイントが二つで八百。余裕じゃない」
「うにうに」
言われるままにポチポチすると、タブレットからコロコロコロリンと小さな玉が転がりだしてくる。親指と人差指で輪っかを作ったくらいの大きさの赤くて透き通った玉で、なんだかちょっぴり、いい匂い。
「ほら、あ~ん」
「あ~ん」
言われるままに口を開けると、出てきた玉が放り込まれる。
――~っ! 甘いっ!!
「スキルキャンディっていうんだって。噛んじゃダメだよ。ゆっくり舐めてとかしてね」
「うにうに」
お口の中でゆっくりキャンディが溶けていくのに合わせて、知らなかった知識が頭の中に浮かんで消える。
ああ、でも。消えるっていうのは、ちょっと正確じゃないね。
頭の中に、フワリと溶け込んでいくイメージだ。
消えたナニかを、思い出し直すことがきちんとできるから。
「――大変、美味しゅうございました」
ちなみに、お味はイチゴ味。
「ねぇねぇ、フェリシア」
「うにゅ?」
「きちんとスキルが身に付いてるか、試してみようよ」
にぃにのいつもと違ったウキウキ顔に、思わず頬が引きつった。
「やだよ。これからミルギューのお世話をする時間でしょ」
「じゃあ、ソレが終わってからっ」
「いやいや、その後はバター作りをしなくっちゃ」
「えええぇぇ……じゃあ、バター作りが終わってからは?」
「お昼ごはんの用意をします」
「それじゃあ、聖域を出るまでに試せないよっ」
――なんだ……組手の相手が欲しいだけか。
ここまできて、やっとにぃにの意図が理解できて『うわぁ』と内心ドン引き気味。
コレ、一回お相手したら、明日からずっとなし崩し的に日課にされちゃうやつっ!
「戻ってから、武神様のご指導をいただきつつ実践して見る所存ですっ」
「そんなこと言わないでさ、一回だけっ! ね!?」
もちろん、聞こえないふりでやり過ごしましたとも。
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