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再出発
人助け
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お昼を食べ終え、聖域を出る時間になってもにぃにはブツブツ文句を言っててウザったい。
「わたし、一日中にぃにの鍛錬に付き合えるほど、おヒマじゃないですよ?」
「僕だって、日がな一日鍛錬ばっかりしてるわけじゃないよ」
「ご飯の時間に、奉納するようの矢の作成。ソレ以外の時間は走り回ったり、弓を引いたり――」
「ちゃんと、ミルギューのお世話も手伝ってるし、お風呂だって入ってるでしょ」
「ソレ以外の時間は?」
黙り込むにぃにに、「それを一日中っていうんでしょ」と伝えて話を終える。ご不満な雰囲気が背中から伝わってくるけど、それは無視。
「それより、気を鎮めないとミントが獲物を探せないよ」
「むぅ……」
不満げな唸り声が頭の上から降ってきたけど、それからすぐにミントが獲物を見つけてくれたところをみると、多少は冷静になったっぽい。
――ちょっと、早まったかな。
なんにせよ、もう今更だ。それに、いつかは覚えることにしてたはずだし、武神様のご指導を賜われるウチに叩き込んでもらったほうが効率的。
「さて、出るよ~!」
「了解」
聖域を出て少し走ったところで、ミントが足をピタリと止めた。不思議に思いつつ耳を澄ますと、魔獣のいななく声と人族の悪態が聞こえてくる。
「ああっ、もうっ!」
「なんでこんな場所に大型の群れが――っ」
「クリナムのどアホぅっ! 口じゃなく、手を動かせっ」
ずいぶんと余裕の有りそうなやりとりだけど、声がひっくり返ってるから切羽詰まってるらしいことが伺える。いなないている声からすると、相手にしている魔獣は鹿系の――たぶん、フェレチェルだ。三頭のオスを中心に、二十頭以上からなる群れを作り、好戦的な大型獣。雑食だから、少人数で遭遇したら骨も残らない。
『どうしよう?』と振り仰いでにぃにをみると、「助けるに決まってるでしょ」という返事が返ってきた。
――仕方ないか。
ここで見なかったふりをするのは簡単だけど、後で嫌な夢を見そうだし。
「ミント、いくよっ」
わたしが言うと、ミントが小さな声で「わふっ」と返事を返してから走り出す。
にぃにが弓を引く邪魔にならないように鞍の上に身を伏せるのと、それほど離れていない声の主のもとにたどり着くのはほぼ同時。
ピィンっという、弓弦のなる音に一拍遅れて魔獣の口から悲鳴が上がる。
「うわっ、なにっ!?」
「まさか、フォレルーポまで……っ!?」
悪態をついてた人が慌てた様子で叫ぶと、もう一人が愕然とした声で呟いたあと「薬神様、どうか我らのみをお護り下さい」と祈りの言葉を口にするのが聞こえた。
――こんなところに、神官様?
助けに入るべきじゃなかったかも。
「助太刀しますっ」
にぃにはそう言いながらも続けざまに矢を放ち、わたしはミントに魔獣の拘束をお願いする。
「マジでっ!? 助かるぅ!!」
鞍に伏せたままの状態で、声のする方に顔だけ向けると、兎耳族の男の人が短剣を両手に持って舌なめずりするところだった。
「なぁんか、味方が増えたみたいだしぃ? コテンパンにしちゃるよぉっ」
――あ、この人もにぃにと同類。
そんでもって、兎耳族のお兄さんの言葉にドン引きした顔してる人は、わたしの同類だ。
嬉々として矢を放つにぃにと、歓声を上げながら魔獣を屠る兎耳兄さんを眺めつつ、ほんの僅かにホッとした。
――これなら、精霊さんに手伝ってもらわなくても大丈夫そうだね。
わたし、初じめての狩りは、『今日狩るよ』って予定を立てた状態でお願いしたいと思います。突発的に――ってのは、ちょっと無理っ。
「わたし、一日中にぃにの鍛錬に付き合えるほど、おヒマじゃないですよ?」
「僕だって、日がな一日鍛錬ばっかりしてるわけじゃないよ」
「ご飯の時間に、奉納するようの矢の作成。ソレ以外の時間は走り回ったり、弓を引いたり――」
「ちゃんと、ミルギューのお世話も手伝ってるし、お風呂だって入ってるでしょ」
「ソレ以外の時間は?」
黙り込むにぃにに、「それを一日中っていうんでしょ」と伝えて話を終える。ご不満な雰囲気が背中から伝わってくるけど、それは無視。
「それより、気を鎮めないとミントが獲物を探せないよ」
「むぅ……」
不満げな唸り声が頭の上から降ってきたけど、それからすぐにミントが獲物を見つけてくれたところをみると、多少は冷静になったっぽい。
――ちょっと、早まったかな。
なんにせよ、もう今更だ。それに、いつかは覚えることにしてたはずだし、武神様のご指導を賜われるウチに叩き込んでもらったほうが効率的。
「さて、出るよ~!」
「了解」
聖域を出て少し走ったところで、ミントが足をピタリと止めた。不思議に思いつつ耳を澄ますと、魔獣のいななく声と人族の悪態が聞こえてくる。
「ああっ、もうっ!」
「なんでこんな場所に大型の群れが――っ」
「クリナムのどアホぅっ! 口じゃなく、手を動かせっ」
ずいぶんと余裕の有りそうなやりとりだけど、声がひっくり返ってるから切羽詰まってるらしいことが伺える。いなないている声からすると、相手にしている魔獣は鹿系の――たぶん、フェレチェルだ。三頭のオスを中心に、二十頭以上からなる群れを作り、好戦的な大型獣。雑食だから、少人数で遭遇したら骨も残らない。
『どうしよう?』と振り仰いでにぃにをみると、「助けるに決まってるでしょ」という返事が返ってきた。
――仕方ないか。
ここで見なかったふりをするのは簡単だけど、後で嫌な夢を見そうだし。
「ミント、いくよっ」
わたしが言うと、ミントが小さな声で「わふっ」と返事を返してから走り出す。
にぃにが弓を引く邪魔にならないように鞍の上に身を伏せるのと、それほど離れていない声の主のもとにたどり着くのはほぼ同時。
ピィンっという、弓弦のなる音に一拍遅れて魔獣の口から悲鳴が上がる。
「うわっ、なにっ!?」
「まさか、フォレルーポまで……っ!?」
悪態をついてた人が慌てた様子で叫ぶと、もう一人が愕然とした声で呟いたあと「薬神様、どうか我らのみをお護り下さい」と祈りの言葉を口にするのが聞こえた。
――こんなところに、神官様?
助けに入るべきじゃなかったかも。
「助太刀しますっ」
にぃにはそう言いながらも続けざまに矢を放ち、わたしはミントに魔獣の拘束をお願いする。
「マジでっ!? 助かるぅ!!」
鞍に伏せたままの状態で、声のする方に顔だけ向けると、兎耳族の男の人が短剣を両手に持って舌なめずりするところだった。
「なぁんか、味方が増えたみたいだしぃ? コテンパンにしちゃるよぉっ」
――あ、この人もにぃにと同類。
そんでもって、兎耳族のお兄さんの言葉にドン引きした顔してる人は、わたしの同類だ。
嬉々として矢を放つにぃにと、歓声を上げながら魔獣を屠る兎耳兄さんを眺めつつ、ほんの僅かにホッとした。
――これなら、精霊さんに手伝ってもらわなくても大丈夫そうだね。
わたし、初じめての狩りは、『今日狩るよ』って予定を立てた状態でお願いしたいと思います。突発的に――ってのは、ちょっと無理っ。
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