にいにと一緒に世界をめぐる~奉納スキルでアイテムゲット☆彡~

霧ちゃん→霧聖羅

文字の大きさ
64 / 123
再出発

ゆらゆらお宿

しおりを挟む
 今日お泊りするお部屋が遠すぎて、それでなくとも体力のないわたしは、階段を半分も上がらないうちにギブアップ。


「フェリシア、私の背中におぶさるといい」

「うにゅぅ~」


 後ろにいたクリナムさんがそう言ってくれたお陰で、わたしはやっと周りを見る余裕ができた。


にぃに・・・、夕焼けがキレイだよ」


 ちょうど、武神様の髪の毛みたいに真っ赤なお日様が沈んでいく時間帯で、枝葉の間から見える、黄金色から紺へと変わっていくお空のグラデーションがとってもキレイ。それに、枝から吊り下がったお宿の部屋から漏れる灯りが、時折吹く風にぶらりぶらりと揺らされて、なんだかとても幻想的だ。
この感動を分かち合いたかったのに、にぃに・・・から返ってきたのは「そうだね」という、そっけない言葉だけ。
ちょっぴり、さみしい。

 ソレはソレとして、ここまで上がってきて心配になったのは、おトイレの他にもう一つ。


にぃに・・・、明日は朝の鍛錬やめといてね」

「鍛錬は欠かさずやるつもりだけど、なんで?」

「いつもの調子で寝ぼけたまま外に出たら、絶対落っこちそうだから。ここから落ちたら、絶対、死んじゃう」


 武神様の用意してくださった樹上ハウスを、ほとんど使ってない理由の一つがコレなのだ。本人が忘れないで欲しい。


「そんなマヌケなことしないってば」

にぃに・・・ってば、寝ぼけたまま普段どおりの行動はしちゃうから、すんごい心配。クリナムさん、にぃに・・・はご飯を食べ終わるまで半分寝てるから、普通に喋ってるように見えても気をつけてね」

「分かった。気をつけよう」

「ちょっ、余計なこと言わないでよフェリシアっ」

「余計なことじゃないよ。大事なことです」


 にぃに・・・がわたしに過保護なのと同じ理由なので、そこはご理解いただきたい。
なにせ、にぃに・・・はわたしの最後の肉親だ。できる限り、元気で長生きして欲しいもの。


「身内の無事を願うのは、当然のことだな。それに、猫耳族の子供が朝に弱いのは普通のことだから、恥ずかしく思う必要はない。実際、うっかり足を踏み外せば命の危険があるのは間違いないのだから、大人が気を配るのは当然だ」


 クリナムさんのその言葉で、まだなにか言いたげにしてたにぃに・・・は、口をへの字にひん曲げて前を向く。


「――確かに、ここから落ちたら死ぬね」


 しばらくしてから下を見て、ポツリと呟いたあたり、少し頭が冷えたらしい。
なによりも、納得してくれたらしいことにホッとする。にぃに・・・も、案外困ったちゃんだよね。


「そうそ、か~んったんに死んじゃうよぉ~。だから、普通に地面の上にある村や町につくまで、み~んな、酒はお預けなんだしぃ~?」

「それでも呑んで、墜落死するヤツが必ず年に何人かはいるな」


 からかい口調で言うもんだから、ピエリスさんがふざけて言ってるだけかと思ったのに……クリナムさんが重々しい口調で同意すると、途端に現実味を帯びて聞こえてくるのがとっても不思議。


「気をつけます……」


 同じことを感じたみたいで、にぃに・・・も神妙な声でそう答えた。
 それからしばらくの間、無言で階段を登り続けて、やっとお部屋に着いたころにはすっかりお日様が落ちた後。
ピエリスさんが、ゆらゆらゆらりと揺れている、大きな繭に向かって受付でもらったカードをかざすと、扉の下から板が伸びてきて、みるみるうちにお部屋とわたし達の立ってる枝をつないでくれる。

――魔道具の一種かな?

 どんな原理で動いているのか気になるけれど、薄暗くって魔法文字は見つからない。

――まぁ、明るくなってから探せばいっか。

 繭の中はいつも眠っているベッドが二つは余裕で入りそうな広さで、うっすらと壁面が明るくなっている。これも、どういう仕組だろう?


「ベッドもなにもないってことは、ここにゴロ寝ですか?」

「そ~そ~。みんなで仲良く、ゴロゴロするだけの部屋なんよ」

「寝具は自前のものを使うのだが、手持ちがなければ――」

「フェリシア、そっちにしまってあったよね?」

「うにうに。今出すね」


 わたしが周りを見回している間に、ピエリスさん達はもう自分の毛布を出して床に腰を下ろしてる。結構、秋も深まってきたこの季節、毛布一枚にくるまって寝るのは寒いよね。
村で集めた寝具の毛皮は奉納しなかったからたくさんあるし、このさい、全員分出してしまおう。
 寝てもいい場所に着いたことで、一気に眠気が襲いかかってくる。
大きなあくびをしながらその場にぺたんと座り込み、ポシェットから人数分x2の毛布を取り出し、また欠伸。


「……ホント、そのポシェットにどうしてそんだけのモンが入ってんのか、不思議すぎっしょ」

「使わないならしまわせるケド?」

「つかうつかうっ! 嬉しいなったらうっれしっいなっ!」


 ピエリスさんが何かを言いつつ覗き込んでくるのににぃに・・・が噛みついてるのが聞こえるけれど、もう、限界だ。その場にコテンと転がって丸くなると、目を閉じまたまた欠伸を一つ。
ゆらりゆらりとかすかに揺れる、お宿のお部屋はイイ感じに眠気を誘う。


「まじんさま――おやすみなさぃ」


――明日は、ちょっとでもいいから会いたいな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

「雑草係」と追放された俺、スキル『草むしり』でドラゴンも魔王も引っこ抜く~極めた園芸スキルは、世界樹すら苗木扱いする神の力でした~

eringi
ファンタジー
「たかが雑草を抜くだけのスキルなんて、勇者パーティには不要だ!」 王立アカデミーを首席で卒業したものの、発現したスキルが『草むしり』だった少年・ノエル。 彼は幼馴染の勇者に見下され、パーティから追放されてしまう。 失意のノエルは、人里離れた「魔の森」で静かに暮らすことを決意する。 しかし彼は知らなかった。彼のスキル『草むしり』は、対象を「不要な雑草」と認識すれば、たとえドラゴンであろうと古代兵器であろうと、根こそぎ引っこ抜いて消滅させる即死チートだったのだ。 「あれ? この森の雑草、ずいぶん頑丈だな(ドラゴンを引っこ抜きながら)」 ノエルが庭の手入れをするだけで、Sランク魔物が次々と「除草」され、やがて森は伝説の聖域へと生まれ変わっていく。 その実力に惹かれ、森の精霊(美女)や、亡国の女騎士、魔王の娘までもが彼の「庭」に集まり、いつしかハーレム状態に。 一方、ノエルを追放した勇者たちは、ダンジョンの茨や毒草の処理ができずに進行不能となり、さらにはノエルが密かに「除草」していた強力な魔物たちに囲まれ、絶望の淵に立たされていた。 「ノエル! 戻ってきてくれ!」 「いや、いま家庭菜園が忙しいんで」 これは、ただ庭いじりをしているだけの少年が、無自覚に世界最強に至る物語。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...