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再出発
お墨付き
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ゆらゆらと風に揺れるお宿のお部屋は、床の上でも寝心地満点――床はちょっぴり固いけど。
何度か意識が浮上したけど、ゆらゆらするのが気持ちよくってまたぐっすり。そんなことを繰り返していたものだから、きちんと目が覚めたのはずいぶんと日が高くなってからのことだった。
「フェリシアちゃん、おっは~っ」
起き抜けにニュッと覗き込んできた、見覚えのないやたらと元気なウサ耳兄さんに首を傾げる。
「――ああ。ピエリスさん、おはようございます」
「な~にぃ? 俺のこと、忘れちゃった?」
「帽子被ってないし、髪、下ろしてるから分かんなかった……」
昨日は、髪の毛を襟足でまとめてたし、防眼レンズつきの帽子も被ってたからね。分かるわけがありませんとも。そうでなくとも、短いお付き合いなんだもの。
「もしかして、帽子が俺の本体とか思ってるっしょ?」
「帽子が本体……?」
その発想は、なかった。
面白いから、今度、機会があったら言ってみよう。
「フェリシア。その人のことは放っといて、身支度しないと」
「うにうに」
先に下に降りているというピエリスさんを見送って、わたしとにぃには久しぶりに二人きりの時間を手に入れた。
「フェリシア、今のうちにミルギュー達を回収してきなよ」
「ついでに、魔神様に甘えてきてもいい?」
「手短にしてね」
「うにうに、りょーかいっ」
お宿のお部屋は、中に人がいなくなると自動でロックされるらしい。万が一、外に出れなくなったら大変なので、にぃにはここでお留守番。
大急ぎで、ミルギューを回収して戻らねばっ――
「魔神様~!」
……と言いつつ、聖域に入って一番にしたのは魔神様のお呼び出し。
「フェリシアちゃん? 朝一でのお誘いは珍しいね」
魔神様は、思った以上にすぐ現れた。
戸惑いを感じさせるセリフだけど、その麗しいお顔は超・笑顔。わたしは『おいで』と言わんばかりに広げられた腕の中に飛び込むと、頭をグリグリ擦り付ける。魔神様も、わたしの頭にほっぺをスリスリ。
わたし。一日半ぶりに、魔神様成分を補給中!
「――ところで、他の子は?」
ひとしきり甘えて満足したところでそう問いかけられて、魔神様と顔を合わせたら聞こうと思ってたことを思い出す。
「にぃには、わたしがミルギュー達を回収してくるのをお外で待ってるんだけど……魔神様、昨日わたし達が助けた人に弟子入りするのをオススメしたでしょう? アレって、なんで?」
「あ~……うん。畜舎に向かいながら話そうか」
私のことを抱っこしたまま畜舎に向かいながら、魔神様はちょっぴり困り顔で口を開く。
「フェリシアちゃんが『加護の儀』を終えた頃の話になるみたいなんだけどね……」
神々への信仰心の低下が原因で、悪性の病が流行りだしていることに気をもんでいた魔神様の眷属神の一柱が、わたしが魔神様の寵愛を授かったことにいち早く気付いたらしい。
『加護の儀』を行ったばかりということは、10歳――まだまだ子供。なのに、本来いるべき保護者は病で先立ってしまってる。慌てて自分の加護者を探して、親の代わりにわたしのことを保護するようにという神託を下したらしい。
「それが、クリナムさん?」
「名前はどうでもいいんだけど、彼女のお気に入り。義理人情にも厚くて、真面目で信心深い――というのが、薬神である彼女の評価だから……フェリシアちゃんが生理的に無理って相手じゃなければ、頼るのもありだと思います」
「ピエリスさんは?」
「もう一人の子? そっちも確認してあるよ。情報神の眷属の加護者で、真面目で義理堅いタイプだって」
――ピエリスさんには悪いけど、全然そういうふうには見えないね。
「二人共、聖域に連れ込みたければ、好きにして構わないよ」
むしろ、人間社会のことを学ぶために、一緒に行動すること自体はオススメらしい。
「でも、ここに連れてきちゃったら、魔神様達が来づらくならない?」
「多少の取り繕いはするけど――加護者は、神々と長く同じ場所にはいられないから気にする必要はないかな」
「???」
「ん~……フェリシアちゃんとグラジオラス君は問題ないんだけど、加護者は神気に対する耐性が低いんだよね」
「神気……?」
「フェリシアちゃんは分からないよねぇ。とりあえず、フェリシアちゃんとグラジオラス君は平気だけど、他の人族は私達が近くにいると具合が悪くなっちゃうって思っておけば間違いないよ」
「なるほど」
とりあえず魔神様からのお墨付きも頂いたことだし、クリナムさん達との関係をどうするかはにぃにと改めて相談することにしよう。
――実際、自分たちでも信頼できるかどうかを考えるべきだろうし。
わたしとしては問題なさそうだと思ってるので、あとはにぃにがどう言うか……かな?
何度か意識が浮上したけど、ゆらゆらするのが気持ちよくってまたぐっすり。そんなことを繰り返していたものだから、きちんと目が覚めたのはずいぶんと日が高くなってからのことだった。
「フェリシアちゃん、おっは~っ」
起き抜けにニュッと覗き込んできた、見覚えのないやたらと元気なウサ耳兄さんに首を傾げる。
「――ああ。ピエリスさん、おはようございます」
「な~にぃ? 俺のこと、忘れちゃった?」
「帽子被ってないし、髪、下ろしてるから分かんなかった……」
昨日は、髪の毛を襟足でまとめてたし、防眼レンズつきの帽子も被ってたからね。分かるわけがありませんとも。そうでなくとも、短いお付き合いなんだもの。
「もしかして、帽子が俺の本体とか思ってるっしょ?」
「帽子が本体……?」
その発想は、なかった。
面白いから、今度、機会があったら言ってみよう。
「フェリシア。その人のことは放っといて、身支度しないと」
「うにうに」
先に下に降りているというピエリスさんを見送って、わたしとにぃには久しぶりに二人きりの時間を手に入れた。
「フェリシア、今のうちにミルギュー達を回収してきなよ」
「ついでに、魔神様に甘えてきてもいい?」
「手短にしてね」
「うにうに、りょーかいっ」
お宿のお部屋は、中に人がいなくなると自動でロックされるらしい。万が一、外に出れなくなったら大変なので、にぃにはここでお留守番。
大急ぎで、ミルギューを回収して戻らねばっ――
「魔神様~!」
……と言いつつ、聖域に入って一番にしたのは魔神様のお呼び出し。
「フェリシアちゃん? 朝一でのお誘いは珍しいね」
魔神様は、思った以上にすぐ現れた。
戸惑いを感じさせるセリフだけど、その麗しいお顔は超・笑顔。わたしは『おいで』と言わんばかりに広げられた腕の中に飛び込むと、頭をグリグリ擦り付ける。魔神様も、わたしの頭にほっぺをスリスリ。
わたし。一日半ぶりに、魔神様成分を補給中!
「――ところで、他の子は?」
ひとしきり甘えて満足したところでそう問いかけられて、魔神様と顔を合わせたら聞こうと思ってたことを思い出す。
「にぃには、わたしがミルギュー達を回収してくるのをお外で待ってるんだけど……魔神様、昨日わたし達が助けた人に弟子入りするのをオススメしたでしょう? アレって、なんで?」
「あ~……うん。畜舎に向かいながら話そうか」
私のことを抱っこしたまま畜舎に向かいながら、魔神様はちょっぴり困り顔で口を開く。
「フェリシアちゃんが『加護の儀』を終えた頃の話になるみたいなんだけどね……」
神々への信仰心の低下が原因で、悪性の病が流行りだしていることに気をもんでいた魔神様の眷属神の一柱が、わたしが魔神様の寵愛を授かったことにいち早く気付いたらしい。
『加護の儀』を行ったばかりということは、10歳――まだまだ子供。なのに、本来いるべき保護者は病で先立ってしまってる。慌てて自分の加護者を探して、親の代わりにわたしのことを保護するようにという神託を下したらしい。
「それが、クリナムさん?」
「名前はどうでもいいんだけど、彼女のお気に入り。義理人情にも厚くて、真面目で信心深い――というのが、薬神である彼女の評価だから……フェリシアちゃんが生理的に無理って相手じゃなければ、頼るのもありだと思います」
「ピエリスさんは?」
「もう一人の子? そっちも確認してあるよ。情報神の眷属の加護者で、真面目で義理堅いタイプだって」
――ピエリスさんには悪いけど、全然そういうふうには見えないね。
「二人共、聖域に連れ込みたければ、好きにして構わないよ」
むしろ、人間社会のことを学ぶために、一緒に行動すること自体はオススメらしい。
「でも、ここに連れてきちゃったら、魔神様達が来づらくならない?」
「多少の取り繕いはするけど――加護者は、神々と長く同じ場所にはいられないから気にする必要はないかな」
「???」
「ん~……フェリシアちゃんとグラジオラス君は問題ないんだけど、加護者は神気に対する耐性が低いんだよね」
「神気……?」
「フェリシアちゃんは分からないよねぇ。とりあえず、フェリシアちゃんとグラジオラス君は平気だけど、他の人族は私達が近くにいると具合が悪くなっちゃうって思っておけば間違いないよ」
「なるほど」
とりあえず魔神様からのお墨付きも頂いたことだし、クリナムさん達との関係をどうするかはにぃにと改めて相談することにしよう。
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