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トレルリ神民国~『普通』を体験してみよう~
常設依頼に挑戦しようっ その3
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薬草や食べれる野草を探して下ばっかり見ているわたしに、少し離れた場所の枝の上や下生えの中に生き物の気配を探しているにぃにが気づかなかったのは、自分達の真上に潜む危険生物。
「うにゃっ!?」
足元の木の根に躓いて声を上げた瞬間、ソレは空から降ってきた。
「ちょっ、ちゃんと足元には気をつけないと――」
転げたわたしを助け起こそうと手を伸ばしたにぃにも、気付いていなくて。その手を取ろうと顔を上げたわたしの目に飛び込んできたのは、樹上から降ってくる赤黒い空洞、だ。
驚きと、そして、恐怖にひきつる喉から『ヒュゥ』と音が鳴る。
妙にゆっくりと近づいてくるものが、大きな大きな口であることを理解した。
にぃにがわたしの視線の先を振り返り、そのシッポがピンと伸び、毛が逆立つ。
すべての動きがゆっくりと進んでいたのに、世界が急に早く動き始めたのは、黒いナニかが大きな口にぶつかって背後に落ちる音がしてから。
「ピエリスっ!!」
クリナムさんの悲痛な声。
続いて、シュルシュルとナニかが擦れる音とミシミシという嫌な音にまじる苦しげなうめき声が耳に届く。
わたしが背後を振り向くのと、にぃにが叫び声をあげてそちらに向かって駆け出すのはほぼ同時で。
次の瞬間には、にぃにがわたしの横を飛んでった。
――ナニ、あれ……
太い蔦が、ピエリスさんに巻き付きながらその体を締め上げている。
ピエリスさんの頭上に、太さに見合わぬ大きな口が見えたことでやっと、それが蔦ではなく『蛇だ』とわたしの頭の冷静な部分が従魔スキルから導き出されたソイツの名を呟く。
――ベアイーター……Sランクの魔獣だ。
「ピエリスを離せっ……!」
吹っ飛んでいったにぃにが戻ってくると、ソイツは長い尻尾をムチのようにしならせ地面を打ち据え威嚇する。にぃには振り回されるシッポの相手にいっぱいいっぱいで、囚われているピエリスさんのもとにはたどり着けない。
――わた、わたしに、できること……
ベアイーターの尾に再び打ち据えられて吹っ飛ぶにぃににぶつからないよう身を伏せ、必死に思考を巡らせる。ほんとうは、この場から離れたほうがいいんだろうけど、大きな口に飲み込まれそうになった時点で腰が抜けてて動けない。
――魔法……そうだ。魔法っ!
精霊さんは、生き物を傷つけるのが好きじゃない。
でも、こんな状態になってるときなら、力を貸してくれるはず。
「氷の精霊さん、お願い……っ」
ベアイーターは爬虫類だから、寒さに弱い。
まず、周囲の温度を下げてやると、目に見えて動きが悪くなる。だけど、すぐに寒くなっているのが自分の周りだけだと気付いたようで、ピエリスさんを絡め取ったままの状態でその場を離れようと身をくねらせ始めた。
すぐに、戻ってきたにぃにが斬りかかるけど、軽くあしらわれてる。
――にぃにじゃ、力不足?
なら、もっと力の強い魔獣をけしかければいい。
氷の精霊さんには引き続きベアイーターの周囲の気温を下げてもらいつつ、Sランク魔獣のミントを呼び出しけしかけた。
――ピエリスさんがいるから、やりづらそう。
ミントがベアイーターを相手取る様子を見ながら、必死に次の手を考える。
――他の従魔は……ダメ。
みんな、ランクが低すぎる。
仕立て蜘蛛も、甘味バチも、どちらもDランク。にぃにですらも片手間にあしらってるベアイーターの四ランクも下の魔獣じゃ、なんの驚異にもならないだろう。
「グラジオラス、これをアイツの鼻先に!」
フラリと立ち上がり、再度、ピエリスさんを救出しに行こうとするにぃにの手に、クリナムさんがナニかを握らせる。
「何?」
「蛇系の魔獣が嫌う匂いが詰まってる」
小さく頷き、少しふらつきながら手の中のモノを握り込む。
「にぃに、まって。治癒の精霊さん、にぃにの怪我を癒して」
フワリと暖かなオレンジ色の光がにぃにの体を包み込む。
光が消えると、少し、足元がしっかりしたみたい。
本人も同じことを思ったのだろう。「ありがと」と呟くように礼を述べ、改めて手の中に握ったものをベアイーターへ向かって投げつける。
後ろから飛んでくるものが何かは分かっているのか、ミントはそれがちょうどベアイーターの鼻先に当たるように相手の位置を調整してのけた。
鼻先に大嫌いな匂いを撒き散らされたベアイーターが、悲鳴じみた威嚇音をあげて大きくのけぞる。こんな大きなスキを見逃すわけもなく、ミントは即座にその喉に食らいつき――ベアイーターの命を刈り取った。
「うにゃっ!?」
足元の木の根に躓いて声を上げた瞬間、ソレは空から降ってきた。
「ちょっ、ちゃんと足元には気をつけないと――」
転げたわたしを助け起こそうと手を伸ばしたにぃにも、気付いていなくて。その手を取ろうと顔を上げたわたしの目に飛び込んできたのは、樹上から降ってくる赤黒い空洞、だ。
驚きと、そして、恐怖にひきつる喉から『ヒュゥ』と音が鳴る。
妙にゆっくりと近づいてくるものが、大きな大きな口であることを理解した。
にぃにがわたしの視線の先を振り返り、そのシッポがピンと伸び、毛が逆立つ。
すべての動きがゆっくりと進んでいたのに、世界が急に早く動き始めたのは、黒いナニかが大きな口にぶつかって背後に落ちる音がしてから。
「ピエリスっ!!」
クリナムさんの悲痛な声。
続いて、シュルシュルとナニかが擦れる音とミシミシという嫌な音にまじる苦しげなうめき声が耳に届く。
わたしが背後を振り向くのと、にぃにが叫び声をあげてそちらに向かって駆け出すのはほぼ同時で。
次の瞬間には、にぃにがわたしの横を飛んでった。
――ナニ、あれ……
太い蔦が、ピエリスさんに巻き付きながらその体を締め上げている。
ピエリスさんの頭上に、太さに見合わぬ大きな口が見えたことでやっと、それが蔦ではなく『蛇だ』とわたしの頭の冷静な部分が従魔スキルから導き出されたソイツの名を呟く。
――ベアイーター……Sランクの魔獣だ。
「ピエリスを離せっ……!」
吹っ飛んでいったにぃにが戻ってくると、ソイツは長い尻尾をムチのようにしならせ地面を打ち据え威嚇する。にぃには振り回されるシッポの相手にいっぱいいっぱいで、囚われているピエリスさんのもとにはたどり着けない。
――わた、わたしに、できること……
ベアイーターの尾に再び打ち据えられて吹っ飛ぶにぃににぶつからないよう身を伏せ、必死に思考を巡らせる。ほんとうは、この場から離れたほうがいいんだろうけど、大きな口に飲み込まれそうになった時点で腰が抜けてて動けない。
――魔法……そうだ。魔法っ!
精霊さんは、生き物を傷つけるのが好きじゃない。
でも、こんな状態になってるときなら、力を貸してくれるはず。
「氷の精霊さん、お願い……っ」
ベアイーターは爬虫類だから、寒さに弱い。
まず、周囲の温度を下げてやると、目に見えて動きが悪くなる。だけど、すぐに寒くなっているのが自分の周りだけだと気付いたようで、ピエリスさんを絡め取ったままの状態でその場を離れようと身をくねらせ始めた。
すぐに、戻ってきたにぃにが斬りかかるけど、軽くあしらわれてる。
――にぃにじゃ、力不足?
なら、もっと力の強い魔獣をけしかければいい。
氷の精霊さんには引き続きベアイーターの周囲の気温を下げてもらいつつ、Sランク魔獣のミントを呼び出しけしかけた。
――ピエリスさんがいるから、やりづらそう。
ミントがベアイーターを相手取る様子を見ながら、必死に次の手を考える。
――他の従魔は……ダメ。
みんな、ランクが低すぎる。
仕立て蜘蛛も、甘味バチも、どちらもDランク。にぃにですらも片手間にあしらってるベアイーターの四ランクも下の魔獣じゃ、なんの驚異にもならないだろう。
「グラジオラス、これをアイツの鼻先に!」
フラリと立ち上がり、再度、ピエリスさんを救出しに行こうとするにぃにの手に、クリナムさんがナニかを握らせる。
「何?」
「蛇系の魔獣が嫌う匂いが詰まってる」
小さく頷き、少しふらつきながら手の中のモノを握り込む。
「にぃに、まって。治癒の精霊さん、にぃにの怪我を癒して」
フワリと暖かなオレンジ色の光がにぃにの体を包み込む。
光が消えると、少し、足元がしっかりしたみたい。
本人も同じことを思ったのだろう。「ありがと」と呟くように礼を述べ、改めて手の中に握ったものをベアイーターへ向かって投げつける。
後ろから飛んでくるものが何かは分かっているのか、ミントはそれがちょうどベアイーターの鼻先に当たるように相手の位置を調整してのけた。
鼻先に大嫌いな匂いを撒き散らされたベアイーターが、悲鳴じみた威嚇音をあげて大きくのけぞる。こんな大きなスキを見逃すわけもなく、ミントは即座にその喉に食らいつき――ベアイーターの命を刈り取った。
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