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霧ちゃん→霧聖羅

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トレルリ神民国~魔道具師のたまご~

魔道具講師 二日目 その1

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 初っ端の話題のせいで気まずい空気が流れてしまったものの、気を取り直して指導の再開。
筆の練習成果にダメ出しをしつつ、お札を書く素材加工を見学させる。


「魔石インクの作り方は、粉末状にした魔石と魔力水か魔獣の血。魔力水を使う場合には、染め粉が必要。書いてあるのが分かるようするのが目的だから、煤がお手頃だね」

「魔獣の血って、なんでもいい?」

「基本的には魔石と同ランクの血があれば十分だよ。ただ、ランクが高い魔獣のものならインクの質が良くなる。あ、あと。毒がある魔獣の血は避けた方がいいかも」

「毒があるやつなんて、怖くて使えねーよっ」


 毒に侵されちゃいそうだもんね。わかります。


「でも、高ランクの血の方がいいってことは、魔力水も高レベルのがいいのか……」


 ブツブツ言いながらメモを取っているのを横目に、買い取ったばかりの魔石を一つ粉砕機の中にコロンと入れてフタを閉める。カナヅチと一緒にサロ君に渡したら、彼は不思議そうな顔で首を傾げた。


「何、コレ?」

「粉砕機。中に魔石が入ってるから、ココをカナヅチで叩いて」

「う、うん……ってか、ソレだと魔石、割れちゃわない?」

「むしろ、魔石インクの材料だから、粉々にする必要があるの。容赦無く砕いてください」

「お、おう……」


 魔石を砕くのは純粋な力技になるから、わたしにとって苦手な作業だ。いつもはにぃに・・・やピエリスさんにお任せなんだけど、今日はサロ君に作らせるのが目的なので、気分良く任せられるねっ。
 コツコツと叩いて粉末状態になってから、乳鉢に移して煤を混ぜ、魔力水を少しずつ注ぎながらよ~く馴染ませれば、魔石インクの完成だ。


「作り方は簡単だけど、魔石を砕く作業が大変でしょ?」

「うん。でも魔石よりも、モノを作ってるって感じがする」


 出来上がった魔石インクを見つめて目を輝かせながら、サロ君。
改めて言われてみると、魔石を作ったときよりも『やったぜっ』的な満足感は高いかも。


「コレでお札何枚分?」

「わたしの場合は十枚くらい。けど、筆使いが下手なうちは五~六枚って思っといた方がいいかも」

「すんげー迷いなく、スラスラ書くもんなぁ……オレも、もうちょい頑張る」


 小さくため息を付いてから気合を入れ直すサロ君だけど、魔石の粉砕作業をもう一度お願いしたら、とっても嫌そうに顔を歪めた。


「今度は、何に使うの?」

「お札用の紙。今度は煤を入れずに魔石に溶いてから、紙に染み込ませます」

「わかった」


 再びコツコツと魔石を叩き、ベース素材になる魔染紙ませんしを作成。魔染紙が乾くまでの間、お札以外の魔道具の話をしながら過ごす。


「最初に作ったのがマジックバッグって……おい、順番々ってのは?」

「だって、一番最初に思いついたのがマジックバッグだったんだもの。まじ……お師匠様も止めなかったし。むしろ、ぎjy……もう一人のお師匠様と一緒になって刺繍の仕方も教えてくれたし」

「マジか。お前、刺繍までできんの……?」

「いま着てる服の襟とか裾、刺繍の練習に使ったやつ」

「ソレ、内緒にしとけよな」

「うにゅ?」

「リアーナにバレたら、露店やらずに刺繍の先生しろって粘着する」


 リアーナちゃんはお針子さんになりたいらしく、今からチクチク頑張ってるらしい。んでもって、わたしが縫い物も出来ると分かったら、教えてほしいとねだれれる……と。

――うん。
  二人に教えるのは、ちょっと無理。

 黙っておくことにしようと思います。


「でもねぇ、わたし。刺繍は出来るけど、お裁縫は出来ないよ」

「違いがわかんねー……」

「とりあえず、服の構造とかはサッパリわかりませんっ」

「そういうもんか」

「うにうに。そもそもが、マジックバッグを作るために頑張ったので」

「……魔道具を作んのに、刺繍って必須?」

「なくても作れるけど、耐用年数が変わるって教わったよ」


 刺繍や金属・石材・木材を掘る技術は、魔道具作成時には刻印スキルという呼び方をする。
どんな素材でも、魔石インクで書けば魔道具になるんだけど……ただ書いただけだと、魔染紙のような、ベース素材に含まれている魔力に溶けてしまうらしい。
一年くらいなら余裕で保つから、お札のような消耗品なら問題ないけど、マジックバッグが突然機能しなくなるのはとっても困るので、刻印スキルを利用するわけだ。
布製品なら刺繍糸に染み込ませ、金属・石材・木材なら彫ったあとにインクを充填する形で補強する。


「刻印スキルがなくても、時間がかかるだけで同じことは出来るから、あんまり気にしなくてもいいんじゃないかなぁ?」

「そのセリフ。お前が言うと説得力がないな」

「ぐふぅ」


――刻印スキル、揃える気でいるのバレてるよっ!

 そして、サロ君。
なんだか言動に容赦がなくなってきたよね。
慣れない丁寧語で話されるより楽だからいいんだけど。
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