25 / 56
瞳の色は・・
しおりを挟む俺が兄のクリスに初めて会ったのは、3歳。
その時はてっきりどこかの家の子供だと思っていた。
同じ位の男の子なんていなかったからたまに行っちゃいけないって言われてる離宮の庭に忍び込んでは、その子と遊んでいた。
その子のお母様はとても優しくて、いつも美味しいお菓子をくれた。
クリスと庭で追いかけっこやかくれんぼをした。
でも、お母様に見つかると物凄く怒られるからたまにしか遊べなかった。
5歳になった頃、クリスのお母様のお葬式があった。
その時、初めて俺の兄だと知った。
そして、クリスのお母様を殺したのは俺の母親だと知った。
どうしてあんなにリーシャ様を嫌っていたのかも分かった。
そして、何度もクリスを殺そうとしていた事も。
それからはリーシャ様を殺した母親を母とは思わなくなった。
クリスを殺そうとする母をなんとかしようと何度も父上にお願いした。
父上は仕事の出来る母上を排除する事を躊躇した。
だから勉強をしてとにかく早く大きくなってクリスを守りたかった。
長剣も短剣も何でもやった。
クリスも自分を守る為に俺と一緒に訓練をしていた。
でも、母上はそこを狙った。
母上は、自分の子飼いの騎士に態と俺を狙わせた。
訓練用の刃を潰した剣に毒を塗って俺に傷をつけたクリスを処罰しようと考えたんだろう。
俺とクリスが対人訓練をしていた時、訓練を終え、皆と談笑していた。その時、急に腕まくりしていた左腕に痛みが走った。
そのうち頭痛と吐き気がしてきたので、一瞬ふらつき、クリスが剣を離し俺を支えた。
そいつがクリスの落とした剣と自分の剣を交換しようとしていたから、すぐに捕まえた。
「テメェ、誰に頼まれた?てか、母上だよな?クリスに罪を被せようとしたみたいだけど、クリスは俺に傷なんかつけらんねぇよ、俺の方が強いから。まだまだ甘いな、母上は!
それにこれくらいの毒は効かないな、王子舐めんなよ!毒慣れくらいやってるわ!
コイツの仲間がまだいるなら母上に伝えてくれ、クリスを殺そうとするなら、俺が死ぬ。
クリスが死んでも死ぬ。王位なんてクソ喰らえだ。俺達に消えてほしくなかったら、今後一切クリスに手ぇ出すな!
クリスを殺したら証拠なんか無くても母上を殺す。」
訳の分からない騎士達は驚き、顔色を変えた騎士は俺の圧に逃げ出すのを必死に耐えていた。
「ブライアン、落ち着け。それに俺はそんなに弱くないけど!お前、失礼だぞ!」
「悪い、頭に血が上った。」
捕まえた騎士を連れて行かせ、俺の毒を解毒する為、王宮医師の所に行った。
爺さん先生が、
「全く、お前の声がこっちまで聞こえたぞ。
そんなに怒鳴っておったら毒が廻るのが早くなるだろうが、ドあほが!」
こんな事が何度もあってからクリスが、継承権を捨てようと躍起になった。
本当は優しい奴なのに、女の子にも紳士な奴なのに、物のように扱うようになった。
王太子になってからはもっと酷くなった。
父上に俺が王太子になるからクリスを助けて欲しいとお願いしたが、あの女の思い通りになるのが嫌だったようだ。
もう少し、もう少しと言い続けた結果がこれだ。
もし、クリスの子が産まれたらあの女は絶対子供を殺す。
産んだキャルティも。
クリスが愛してるとかそんなのは関係ない。
クリスが気にかけている人間、全部が敵だと思ってるんだから。
クリスの子じゃなくても殺すかもしれない。
もう俺が母上を殺してしまおうか。
父上も腹を括った。
クリスの継承権を剥奪したが、俺の補佐として王宮に残す事は決定した。
母上を幽閉する方向へ舵を切った。
あの女をもう自由にはしない。
せめて子供は無事に産まれ、その後は俺達の近くにはいられないが、幸せになって欲しい。
だから、俺に付いてる諜報部隊を離宮に付け、厳重に警備した。
母上には手を出せない。
もう母上の周りにはショボい奴しか残っていないから。
そんな厳重な中で、キャルティのお産は始まった。
俺もクリスもそれぞれの執務室で出産が終わるのを待った。
そして、産まれたと知らせが来たのは夜中。
産まれた男の子の瞳の色は、
金色ではなかった。
それが良かったのか悪かったのか分からないが、親の側で育てる事が決定した。
すぐにヒーナス家に赤ん坊は届けられた。
乳母と医師を待機させていたヒーナス家には歓喜の声は聞こえなかったそうだ。
淡々と子供を受け取り、すぐに奥へ連れて行かれたと爺さん先生が言っていた。
キャルティは比較的安産だったのだとか。
産後の経過も順調らしい。
俺達の問題は解決した。
だが、クリスはその日から考え込むようになった。
「何が気に入らない?」
「ヒーナスに夫人はいない。子供はどうするのか考えていた。」
「勝手に向こうが考えるだろう。お前には関係ない。」
「俺のせいで、あの家の中を引っ掻き回した責任がある。
本来なら、キャルティが夫人としてヒーナス侯爵家に残っていたかもしれない。
ひょっとしたらエルザが残って子供の面倒を見ていたかもしれない。
エルザは…キャルティがいなくなったら戻れたかもしれない「クリス!それはお前が心配する事じゃない。」
「ブライアン…俺…彼女を泣かしてしまったんだ…。俺、あの泣き顔が頭から離れないんだ…」
「お前…もしかして好きなの?」
「分からない…でもまた泣いてるかもしれないと思った…」
「おいおい、フランがいるだろ?」
「だから分からないって言っただろ!」
「マジかよ・・・」
キャルティが出産した日、クリスの初恋を知った。
188
あなたにおすすめの小説
短編 政略結婚して十年、夫と妹に裏切られたので離縁します
朝陽千早
恋愛
政略結婚して十年。夫との愛はなく、妹の訪問が増えるたびに胸がざわついていた。ある日、夫と妹の不倫を示す手紙を見つけたセレナは、静かに離縁を決意する。すべてを手放してでも、自分の人生を取り戻すために――これは、裏切りから始まる“再生”の物語。
理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】遅いのですなにもかも
砂礫レキ
恋愛
昔森の奥でやさしい魔女は一人の王子さまを助けました。
王子さまは魔女に恋をして自分の城につれかえりました。
数年後、王子さまは隣国のお姫さまを好きになってしまいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる