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ニコラス第二王子になってから
元アルトゥールと元ニコラス
しおりを挟むあれからフローラは時々遊びに来てくれたが、アルトゥールも来るようになった。
だが、前世で俺は王子達と遊んだ記憶はない。
なのにアルトゥールは俺の前に現れた。
アルトゥールがニコラス第二王子なのかを確かめたいが、違ったらマズイ。
とにかく様子を見ようと思った。
もうフローラを見て涙を流す事はないが、やっぱりフローラが“俺”以外の男と一緒にいるのは悲しい。
兄様は王太子教育が始まり、あまり一緒に遊べなくなってしまったが、休憩になると顔を出してくれる。
「フローラ、アルトゥール、来てたんだね。」
教育が始まってから、兄様の話し方は少しだけ変わった。
でも、すぐ元に戻ってしまうが。
「ニコーー!」と俺を抱きしめ、頭を撫でる姿を見て、アルトゥールが驚いている。
「あに・・シモンさまはニコラスさまと仲が良いのですね。」と言った。
あに…兄上と言いそうだったのだろうか…。
やっぱりアルトゥールは“ニコラス第二王子”なのだろう。
「そう、ニコは赤ちゃんの時からぼくを見ると笑うんだ!
とっても可愛い弟なんだ!」
自慢げに弟愛を語る兄様を見て、アルトゥールは俯いた。
前世は仲が悪かったんだろうか…。
「アル、どうしたの?」とアルトゥールの顔を覗くフローラに、
「ううん、なんでもないよ。」と言ってフローラと手を繋いだ。
ジッと繋いだ手を見ていたら、
「ニコさま、どうしました?」とアルトゥールが聞いてきた。
「二人は仲が良いんだなと思って。」
「はい。こんどフローラと“こんやく”することになりました。」
ああ…やっぱり…。
「そうなんだ、よかったね、アル、フローラ。」
なんとか笑顔を作り、祝福した。
「ねえねえ、アル、“こんやく”ってなあに?」
とフローラがアルトゥールに聞いた。
「“こんやく”っていうのは、大人になったらけっこんするってことだよ。」
「けっこん?」
「およめさんになるってこと。」
「誰の?」
アルトゥールとフローラがそんな会話をしている間に兄様が俺を座らせ、
「ニコ、このクッキーとっても美味しいよ!
いっしょに食べよう!」
兄様が俺の口に持ってくるのでカリッと一口分噛んで口に入れた。
「うん、とってもおいしいよ、にいさま!」
「あ、わたしも食べたい!」
二人は婚約の話しが終わったのか、俺達の所にやってきた。
「アルも食べよう、おいで。」と俺が誘うと、少し驚いた顔をして、「ありがとうございます、ニコさま。」と言って笑った。
なんか変な感じがしてるんだろうな…前世はこっち側にいたのに、今世の兄は俺にベッタリだし、ここにいる使用人も護衛の事も知っているんだろうから。
でも今世は最初からフローラの側にいれるし、家格だって侯爵家で高位貴族、面倒な王子教育だってやらなくて良い。
「ニコ?食べないの?」
黙ってしまった俺に兄様がクッキー片手に聞いてきた。
「にいさまが食べて。おべんきょう、まだやるんでしょ?」
と笑うと、
「へへ、ニコは優しいね。」と言って頭を撫でてくれた。
それを見てまたアルトゥールが驚いていた。
そういえばマイクももう生まれている。
アルトゥールとマイクの仲はどうなんだろう。
マイク…マイクも小さい時は可愛かったな…。
ついアルトゥールを見ていたらマイクを思い出し、微笑んでしまっていた。
「に、ニコさま?」
ほんのり顔を赤くしたアルトゥールが俺に声をかけてきた。
「ごめんね、ボォーとしてた。アルにもおにいちゃんいる?」と聞くと、
「弟がいます。名前はマイクで、一歳になりました。とても可愛いです。」とニッコリ笑った。
きっと可愛いのだろう。
前世にはニコラスの下はいなかった。
弟の存在は可愛いのだろう。
良かった、マイクも無事に生まれたんだな…。
母上…もう一度会いたいな…。
「ぼくもおとうとがほしいな…」と言うと、
「ぼくは妹が良いなぁ~」と兄様。
「わたしもいもうとがいい!」とフローラ。
妹だ、弟だと四人で騒いでるうちに、兄様の休憩が終わってしまい、三人になってしまった。
途端に静かになってしまったがフローラの一言で大騒ぎになった。
「わたし、いもうとか、おとうとができるんだって!」
「「ええ⁉︎」」
俺とアルトゥールが驚いて大きな声を出してしまった。
だって前世でフローラの下には誰もいなかった。
それが良い事なのか何なのか分からず、俺もアルトゥールも黙り込んだ。
フローラがお手洗いで席を外した時、アルトゥールが俺に聞いてきた。
「変なこと聞くけど、ひょっとして“アルトゥール”?」
「じゃあ、あなたは“ニコラス様”?」
「「やっぱり…」」
「君、何かした?」と元ニコラス。
「いえ何も。でももう一度フローラに会いたいと思って死にました…」
「じゃあ、その思いが時間を逆行して転生したって事なのか、それも俺とアルトゥールが入れ替わって?
何故入れ替わったんかが分からん…」
「両親や弟は元気ですか?」
「ああ、とても良い両親だな…でも母上…ライラ殿は後十年ほどで病気になってしまうのだな…。
何の病気だったんだ?」
「病名は知らされませんでしたが、咳が酷かったのを覚えています…。
父があちこちの医者を呼んだのですが、治らず…」
「そうか…。でも何か治療があるかもしれない。
あの後妻親娘が来なければ何も起きないだろう。
また、こうやって話しに来ても良いだろうか?」
「はい。私もこれからの事をニコラス様と相談したいです。」
コソコソ幼児が囁きあってる姿は、微笑ましいものらしく、護衛やメイド達が微笑んでいた。
丁度フローラも戻ってきたので、今日は解散となった。
元ニコラス様と情報を共有出来るのは有り難い。
これでフローラは何も不幸になる事はないだろう…この時はそう思っていた。
しかしフローラの妹が生まれてから、面倒な事が起こり出した。
*今日明日は10時、22時に投稿します!
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