帰らなければ良かった

jun

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混乱



エドワード視点


医務室でシシリーの妊娠の話しを聞いて、全員時が止まったように動けなくなった。
医師は、“妊娠していた”と過去形で言ったことを皆、瞬時に悟ったからだ。

ブライアンが絞り出すように、本当に妊娠していたのかと確認していた。

倒れそうなブライアンを心配し声をかけても何も答えない。

少し休めと言っても何も答えない。

ラルスが、ブライアンとシシリーを二人きりには出来ないから、別の部屋でブライアンを休ませろ、俺には戻れと指示している。
確かに団長と副団長不在では立ちいかないだろう。
だが…。

するとラルスが珍しく声を荒げながら、こんな事件を終わらせる為にとっとと仕事しろと言った。

そうだ、もう終わらそう。
長引けば長引くほど、関わった者の精神を削るような今回の事件。
赤の他人だったのならこんなに感情的にはならなかった。

だからこそラルスの言う通り終わらせる。

ラルスに後を頼み、執務室へ戻り、溜まった書類、調書の作成、スケジュールの練り直し、シシリーの移動保留の手続き、カールの容体の確認、それらを淡々とこなし、今日やるべき仕事が終わったのは、もう10時を回っている。

ブライアンが気になり、昼間いた空き部屋へ行くと、ブライアンとラルスがソファで寝ていた。

ラルスはまだいたのか…
有り難い。
ラルスも忙しいだろうに、ブライアンを心配して付いていてくれたのだろう。
テーブルにはお茶を飲んだ形跡しかなかったので、何か軽食を届けておこうと思い、夜でも開いてる食堂に行き、サンドイッチと果実水を用意してもらい、二人のいる部屋に戻り、テーブルに置いた後、静かに部屋を出た。


執務室へ戻る途中、小さな違和感に気付いた。
ラルスもブライアンも騎士だ。寝ていても気配を感じ、起きるはずだ。
なのに俺が二度も部屋に入ったのに二人とも起きなかった。


急いで戻り、ラルスを起こすが、なかなか起きない。
ブライアンも起こすが、起きない。

すぐに医務室へ向かうと、シシリーが寝ている部屋のドアが開け放たれていた。
急いで部屋へ行くと、シシリーのベッドの近くでミッシェルが倒れていた。

脈を確認した後、シシリーの脈も確認するが、脈がとれない。
ベッドに上がり、心臓マッサージをしながら、
「先生、先生、誰か、誰かいないのかー!」
と叫ぶ。

先生が奥から走ってきた。

「なんだ⁉︎何があった⁉︎」

「分からん、来たらこうなっていた!シシリーの脈はない!ミッシェルも倒れていた。薬を盛られたのかもしれない!ラルスもブライアンもだ!」

「団長はそのままマッサージをしていてくれ、今治療セットを持ってくる。その後、王宮医師に応援要請をしてきてくれ!」
と言うとガラガラと治療セットを持ってきたので、先生とマッサージを変わり、そのまま王宮へ走った。

近衛の詰所に寄り、騎士団の医務室で薬物による襲撃あり、医師の緊急要請を頼むと怒鳴ると、一斉に、医師への連絡、陛下、近衛隊隊長への報告、騎士団への支援要請などを即座に各自が動き出し、支援組と共に医務室へ戻った。

近衛三人が、ミッシェル、ラルス、ブライアンを医務室のベッドに運び、俺はラルス達がいた部屋とシシリーの部屋の遺留品を見て回った。
ラルス達の所にはティーカップがあった。

シシリーの部屋にはそれといって何もなかったが、最初に入った時に、微かだが薬品の匂いがした。
医務室なので気にはしなかったが、それが何の匂いなのかは分からなかった。

王宮医師も到着し、治療が始まった。

近衛の三人にここに来た時の状況を説明した。
結論を言えば、シシリーを殺害する為にラルス、ブライアンには睡眠薬を飲ませ、ミッシェルには薬を嗅がせて意識をなくした。
その後、シシリーに何らかの毒物を注入した、という事は分かったが、誰がという事は分からない。

シシリーは解毒薬が効き、なんとか息を吹き返したが、目が覚めないとなんとも言えない状態だ。

クソッ!このタイミングで誰が!

怒っている場合ではない。
冷静に考えろ。
誰がラルス達にお茶を飲ませ、ミッシェルに薬を嗅がせる?

シシリーは死ななかった。
おそらく毒を注入されて間もなかったからだ。
時間が経っていたらとっくに死んでる。
ラルス達に睡眠薬を飲ませて、ぐっすり眠るまで待っていた…。

「先生、ラルス達が飲んでいた睡眠薬が何か分かりますか?」

「かなり強力な物のようだ。一時間前にウチのスーザンがラルス達にお茶を持っていた時は起きていたようだから、その後だな」

「お茶?」

「ああ、何も食べていないのを気にしていたので、お茶でも持っていけと言った。」

「そのスーザンは今どこに?」

「そういえばおらんな、この忙しい時にどこに行ったんだか!」

「先生、おそらくラルスとブライアンはお茶を飲んで眠らされたようです」

「何?スーザンが持っていったお茶でか?」

「おそらく」

「なんで、スーザンが!」

「分かりません、どこにいるか検討はつきませんか?」

「ここにはおらんから…家に帰ったんかもしれんが…お茶を持って行った後、備品保管室にタオルを取りに行くと言っておった。もうおらんと思うが。」

「分かりました。そちらも確認します。実家の住所も教えてください」

家に行く前に、備品保管室を確認すると、
スーザンが倒れていた。











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