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侮れないシシリー
しおりを挟むガース視点
シックス先輩からの情報で噂を流した令嬢が判明した。
それにしてもラルス団長…団長が俺に探るよう頼むって分かってたんだな…俺ならシックス先輩の所に来るって事も予想して先輩に予め言ってあったんだろう…。
あの人怖いわ!
でも、助かった。
イーグルから戻る途中に団長の所に寄った。
「団長、ラルス団長は団長の動き読んでましたよ、シックス先輩に既に話して突き止めました。」
「そうか、仕事が早いな、相変わらずラルスは。」
「はい。ですが、細かい所がまだ分かっていないので、引き続き探ります。」
「分かった。頼むぞ。」
「はい」
「団長、何か問題発生ですか?」
ブライアンが聞いてきた。
「俺の個人的な事だ。少し問題があってな。ガースに手伝ってもらっている。
ラルスには言ってなかったんだが、バレていたようだ。
なので、騎士団で捜査する事ではないんだ。済まんな、仕事を疎かにはしないから、少しの間ガースがちょろちょろするが気にするな。」
「そうですか…何かお手伝い出来る事があったら言ってください、俺も手伝いますから。」
「その時は頼む。ありがとう、ブライアン。」
ブライアンは少し拗ねているようだ。
“俺のお兄ちゃんなのに!”と顔に書いてある。
「ブライアン、妬くな。すぐお前のお兄ちゃんは返すから。」
「なっ…ガース先輩は、本当に俺を子供扱いしますよね!
一言もそんな事言ってないのに!」
「ごめんね、可愛かったから、つい。」
「か、・・・ガース先輩!「はいはい、帰りますよ、副団長。」」
あー面白い。
自分の執務室に戻り、ミッシェルに先輩から聞いた話しをした。
「イシュリンって…何処かで聞いたような…」
「なんだ、知り合いか?」
「知り合いではありませんが、何処かで聞いた名前で…。まあ、何処しらで聞いてるんでしょうが…。
分かりません、思い出せません。」
「そのうち思い出すだろう。ヤコブには昼休みに捕まえて話しておく。ミッシェルもヤコブ見つけたら一応話しててくれ。」
「はい、分かりました。」
昼休み、食堂に向かっていると、
「ガース先輩、お昼一緒に食べても良いですか?」
「ゲッ…ブライアン…。」
「ゲッってなんですか、ゲッって。俺が一緒だと都合悪いんですか?」
「お前、さっきはあんなに可愛かったのに、今は可愛くないよ、気をつけなさい。」
「そう言って俺を怒らそうとしてるでしょ?ダメです!話しがあります!」
「何?美形の怒った顔って怖いって知ってた?」
「知りません!」
そして、ブライアンに連れられて行ったテーブルには、
ミッシェルとシシリー、そしてヤコブがいた。
見れば、シシリーはブライアンと同じ顔をしている。
あーこれバレてるかも。
でも、
「ブライアン、シシリーには関わらせたくない。俺に合わせろ。」とブライアンにだけ聞こえるように呟いた。
ブライアンが小さく頷いたので、
「あれ?お揃いですね。僕達はあっちで食べよう、ブライアン。」
「いえ先輩、ここまだ座れますから一緒に食べましょう!」とシシリー。
「あ、俺はそっちに行こうかな、相談事もあるし。」とヤコブ。
お、やるなヤコブ!
「ちょっとヤコブ!裏切る気?」
食い下がるシシリー。
ミッシェルだけならシシリーを誤魔化せるかも。
「仕方ないな、お兄さんが相談に乗ってあげるよ、さあ、おいで!」
「あーー、はい…」
ヤコブをこっちに付ければなんとかなりそうだ。
ミッシェルを見れば、テーブルの下で、
グッと親指を立てていた。
「シシリー、ごめんね、ヤコブが何を相談するのか聞いておかないと、危険だからこっちで食べるね。例の件もちゃんとやるよ。」
「ブライアン、絶対よ!」
「分かった!」
シシリー達のテーブルから距離を取り、
「「ハァーーーー」」と俺とヤコブが息を吐いた。
「一体、三人で何をしてるんですか?シシリーを関わらせたくないってどういう事ですか?」
「ブライアン、とりあえず飯を食いながらだ。シシリーが見てる。」
「俺もうダメだと思いました。めちゃめちゃシシリー先輩、怖かったです…。ミッシェルぱいせん、大丈夫でしょうか…。」
「ミッシェルは大丈夫だろう。シシリーを危険に合わせるような事させないから。」
「危険⁉︎危険って何ですか!」
「ブライアン…興奮したら教えない。本当はお前にも関わらせたくないんだ、団長は。」
「俺とシシリーが関係してるって事ですね。」
「めちゃめちゃな。団長もラルス団長も俺達も、もうお前達には結婚式を延期させるような事、させたくないんだよ。」
「何があったんですか?」
そして、ブライアンに噂の事を話した。
「そんな噂、知りませんでした。耳に入ってたとしても無視してたのだと思います。
俺もシシリーには関わらせたくありません。俺も出来る事はしたいですが、シシリーを抑える方が大変そうなのでそっちに全振りします。」
「シシリーが先に気付いたのか?」
「はい。俺達が帰った後に三人で何かやっているはずって俺に言ってきました。
確証はなかったみたいですけど、何かやってるのは気付いたみたいです。」
「やっぱりシシリーは勘がいい。いずれはと思ってたけど、こんなに早いとは。
俺達が動き出したの、数日前だぞ。」
「あ、ラルス団長との打ち合わせからじゃないですか?
そっか、だからあの時団長、俺達の結婚式の事聞いたんだ…」
「もう団長も分かりやすいなぁ~」
「とにかく分かりました。シシリーは自分だけ外されてるのが面白くないだけだと思うので、俺がなんとかします。
その代わり何か分かったら教えて下さいよ!」
「俺、シシリー先輩と二人きり、怖いです…」
「お前、上手くやれよ!さっきは上手かったけど。」
「逃げたかっただけですけどね。」
「どうしても言わなきゃダメな状況になったら結婚式の余興の打ち合わせって言っとけ。」
「あ、それ良いですね、そうします!」
「任せたぞ」
ミッシェルの方を見れば、二人でゲラゲラ笑っている所を見ると、なんとか誤魔化したんだろう。
侮れんな、シシリー。
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