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番外編 辺境伯の小さなお墓
おばちゃま
しおりを挟む母様とゲイルおじいちゃまとロドニーおじちゃまがいる所まで何日も馬車に乗って、やっと到着しました。
ゲイルおじいちゃまはとっても大きくて抱っこされるともの凄く高いので少し怖いです。
でも大きなお手手で支えてくれるから安心です。
到着した日と次の日は、おじいちゃまとおじちゃまが離してくれなくて、にいにのお願いされているお友達の所にいけませんでした。
朝や夜僕が一人になる時に、にいにがお話ししてくれました。
『大きなクスの木があるんだ。そこにね、僕の小さなお墓を作ってくれた人がいるから、お友達になってあげて。
その人は…昔…とっても、悪い事をして…ここに来たんだけど、今は毎日僕のお墓に手を合わせて、“ごめんなさい”って父様、母様、僕に謝っているんだよ。
その人がね、お墓を作ってくれて、僕を毎日思い出して謝ってくれたからこうやってライールに会えるようになったんだよ。』
「その人のおかげなのでちゅね!お礼をいいまちゅ!」
『でもね・・・母様も父様もその人には会いたくないんだ…。だから、ライールがその人に会ったことが分かると母様もお祖父様も伯父様も二度とその人とライールを会わさなくなってしまうと思う…。』
「どうちてでちゅか?」
『僕がいなくなったのは…その人のせいだからだよ。
でも、今は毎日毎日その人は謝っているよ。
ただ、まだみんな僕に会えなくなったから怒ってるんだ。ライールがもっと大きくなったら母様も父様もお祖父様も伯父様も許してくれると思う。
だから、今はライールだけでもその人と仲良くしてあげて。』
なんだか難しいお話しだけど、にいにはその人を助けてあげたいみたいです。
悪いことをした人だけど、ひとりぼっちで毎日ごめんなさいをしていて、にいにが仲良くしてって言うなら僕は仲良くなりたいです。
明日、こっそり会いに行きましょう!
今は、母様もゲイルおじいちゃまもロドニーおじちゃまも訓練しているので、僕はお屋敷のお姉さん達とかくれんぼをしています。
にいにが上手く僕を誰にも見つからずにお墓まで連れて行ってくれています。
大きな木があるそこは、近くに井戸があって、たくさんのお洗濯物がありました。
そのお洗濯物を一人洗っている女の人がいました。
この人ですね、にいにが言っていた人は。
お部屋に飾ってあったお花を一つポケットに入れておきました。
少しシオシオになっちゃったけど、おばちゃまにあげましょう。
女の人にはお花をあげるんだよってロドニーおじちゃまが言ってましたから。
側に行って、
「おばちゃま、これどうじょ。」
とってもびっくりした顔をしています。
「え?」
「あのね、僕のにいにがそこにいるの。だからお花。にいにがありがとうって。」
緊張します…知らない女の人に話しかけるのはドキドキしました。
「あなたのお兄ちゃんがいるの?」
とお墓を見ておばちゃまは言いました。
「うん!」
「そう…おに…い、ちゃん…だった・・のね…」
そう言うとおばちゃまはウッっていって丸まってしまいました。
どこか痛いのかもしれません!
「おばちゃま?いたいいたい?」
「ううん、ごめんね、大丈夫よ。ありがとうね。さあ、行きなさい、きっと探してるわ。」
「うん、またねー!」
フゥ~にいにのお願いを・・・・
あーーーーーお友達になってくださいって言ってませんでした!
「ごめんなちゃい、にいに…おばちゃまにお友達になってくださいって言えませんでした…」
『ありがとう、ライール。とってもおばちゃまは喜んでいたと思うよ。今度またお花をあげたらもうお友達だよ』
「つぎもがんばりまちゅ!」
おばちゃまはお目目が真っ赤でした。
泣いてしまったのでしょうか…
お腹がすごく痛い時泣いてしまう時があります。
お花をあげて喜んでくれたのなら、少し元気になるといいですね。
今度来る時はおばちゃまに、にいにのお話しをしたいと思います。
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