私の婚約者の苦手なもの

jun

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ビカビカ再び

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2度目のビカビカ虫の遭遇から、はや1週間。
ロイもあれから追撃されないのか落ち着いていた。

隠れなくなったが変わらず離れない。


ビカビカ虫の生態はまだまだ謎だが、香水をつけない私には寄ってこないので観察出来ない。
1匹くらい捕獲してじっくり観察してみたい…


網か!虫取り網が必要なのか!

盲点だった…

始末することばかり考えて、敵について知るということを忘れていた。
忘れないようにメモしようとすると目の前に影が出来る。

顔を上げると、何時ぞやの煌びやかな令嬢が立っていた。
クラスが違うのでよく知らないが多分ウチより高位の令嬢だろう。
今日も香水臭い…。



「先日は恥ずかしい姿をお見せしてごめんなさいね。
私はロンバーグ公爵家のアンネリッタと申します。
あの後リリーナ様がお薬をかけてくれたおかげで虫に刺されることもなかったの。
お付きの護衛に虫に詳しい者がいるのだけれど、見たこともない虫で、鋭い牙があったそうなんです。
危ないものが学院にいるのなら駆除しないといけないですから、リリーナ様にお話が聞けないかと思いまして。」



「噛まれなくて良かったです。子供の頃から話しには聞いていたのですが、図書館で目撃したのが初めてでした。」



「子供の頃からいましたのね、調べても資料にはのっていませんのよ。出没する条件とかは知りませんか?」



言っていいのか…キツイ香水の香りに誘われている可能性がある事を…
だがしかし、被害が出てからでは遅いのだ。


「くさ…「リリー、どうしたの?」」


私がアンネリッタさんに
「臭いと寄ってくるみたいです」と言おうとしたらタイミング悪く、ロイが話しかけてきた。


「あ、ロイ。今ね、アンネリッタ様とビカビカ虫の事を話していたの。」


「ビカビカ虫?」



ポカンとした顔でアンネリッタさんが呟いた。


「あー、あの虫の名前が分からないので、勝手にビカビカ虫と命名しました。なんだか派手でビカビカしてるので」


「確かにビカビカしてますわね、それにしてもビカビカって…。ピカピカではいけませんの?」


「ゴテゴテしい感じがピカピカではなくビカビカって感じですかね」


「それではわたくしも、ピカピカではなくビカビカなのかしら。」
とクスクス笑っている。


案外可愛い人だ。


「リリーナ様は私が思っていた感じとは違うのですね。
ロナルド様と距離が近すぎるのではないかと、先日は風紀委員としてお声掛けさせていただきましたが、リリーナ様がというよりロナルド様がいつも抱きついていますものね。」



虫から守る為、ロイに抱きつかれても気にした事はなかったが、他人からみたら気になるものだよね。
しかし、


「アンネリッタ様、お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ございません。
しかしながら我が婚約者のロナルドは、あの虫がこの世で一番嫌いなのです。
小さき頃よりあの虫を嫌悪しておりまして、微力ながらわたくしがあの虫からロナルドを守っているのであります!」


なんだか兵士のような口調になってしまったが、ここは譲れない!


「まあ!そうでしたの!ロナルド様はあの虫が苦手でしたのね。それであのようにリリーナ様に…。
分かりましたわ。とにかく、早急にあの虫の対応を相談しなければ!」


アンネリッタさんは香水の香りを振りまきながら行ってしまった。


結局、臭いと寄ってくるとは言えなかったが、お友達になれたようで、ちょっと嬉しい。

アンネリッタさんの後ろ姿を見ていたら、日に当たったところがビカビカしていた。



「アンネリッタ様ー、背中にビカビカ虫が付いてますぅー!」



急いで追いかけ、アンネリッタさんに付いていたビカビカ虫を捕獲しようと手を出したら、ロイに腕を掴まれた。


てっきりビカビカ虫に怯えて離れているかと思ったのにすぐ後ろにいた。
ビカビカ虫はその間に飛んでいったのか、いつの間にかいなくなっていた。


「捕獲のチャンスだったのに…」と呟いたら



「素手で捕まえるなんて危ないよ。
リリーの綺麗な手が刺されて赤くなってしまったらどうするの!」


と珍しく怖い顔で怒っている。
確かに素手は危険だったかも。



「ごめんなさい…」


「怪我がなくて良かった。次からは気をつけて!」


と私の頬を優しく撫でた。



なんだかいつもより優しく撫でる手に、少しドキッとした。
ロイの顔を見つめると、優しく微笑んで頭を撫でた。

アレ?ロイってこんなだったっけ?
いつも抱きついてたから顔ってあんまり見てなかった。
抱きつかれた後は虫に警戒し、周りばかり気にしていた。
なんだか顔が熱い…。




「え~コホン、すみません、私がおりますよ!」



ハッとして、アンネリッタさんを見れば、生温かい目で私達を見ていた。


「申し訳ありません、アンネリッタ様は大丈夫でしたか?」


「痛くも痒くもありませんので、大丈夫なようです。
リリーナ様が気付かなければ危ないところでした、ありがとうございました。」


「お怪我がなくて良かったです!」



良かった良かった。


しかし今まで全く見掛けなかったのにどうして最近出没するのだろう。
ビカビカ虫の生態を早く解明せねば!



「私は職員室に報告してまいります」



そう言ってアンネリッタさんは足早に行ってしまった。




「そういえばロイはビカビカ虫平気だったの?てっきり後ろでブルブル震えてるかと思ったよ」



「リリーが虫に突撃して行ったから心配して追いかけてきたんだよ。
追いかけて良かった、素手で鷲掴みする気満々だったよね?鷲掴みした後どうするつもりだったの?怪我したらどうするの?毒でも持ってたらどうするの?」


毒?毒か…考えてなかったなあ、派手な虫には毒を持っているのが多い。気をつけねば!


「生捕りにして生態を解明しようと思ったんだよ…解明出来たらもうロイが怯える事もないでしょ、だから早く捕まえなきゃと思って…。」


とモゴモゴ喋っていたら、ムギュっと抱きしめられた。



「もう危ない事はしないでね。リリーが怪我して休んだら誰が僕を守ってくれるの?」


「ハッ!そうだね!気をつけるよ、ごめんね、ロイ。」


「分かればいいよ、さあ戻ろう。」




教室に戻ったら授業が始まっていた…。


先生に怒られた…。















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