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絶対、何がなんでも、死んでも
しおりを挟むロイ視点
血を流して倒れているリリーに駆け寄り、ハンカチで止血する。
こっちに駆け寄ろうとしている生徒がいたので見ると、手から血を垂らしている昨日の隠密だった。
「隠密!後で話しを聞く。」
とだけ言い、リリーを抱き上げ、医師と医務室に向かう。
医師がいたのは不幸中の幸いだ。
すぐに治療してもらった。
少し時間はかかるが跡は残らないようだ。
首に包帯を巻かれて眠るリリーの姿は痛々しい。
血を流して倒れているリリーの姿が頭から離れない…。
あの時頭が真っ白になった。
よく噛んだ奴を殺さなかったものだ。
逆に冷静だったら殺していたかもしれない。
目を閉じているリリーの顔色は悪い。
このまま目が覚めないのではないかと思うと身体が震える。
離れるのは嫌だが、リリーが噛まれた経緯を確認しないと。
急いで講堂に戻り、手を怪我した女子生徒がどこにいるか聞き込むと別室で治療していると。
別室に行くと、噛んだ女子生徒が寝かされ、少し離れた所で治療を受けている隠密がいた。
治療が終わるのを壁に寄りかかり目を閉じて待つ。
気配を感じ目を開けると、片膝をついて跪く隠密。
なんで?
まあ、いい。
「噛まれた経緯を。」
一言言えば的確且つ簡潔に経緯を説明し始めた。
聞けば聞くほど腹が立つ。
だが、隠密が殴らなければ、もっと重症だっただろう。
噛んでる相手を引っ張るのは悪手だ。
鼻を殴るのが正解だろう。
隠密の拳はヒビが入ったらしい。
女なのになかなかに骨がある。
特殊な訓練でもしているのか…。
とにかく経緯は分かり、隠密に礼を言う。
「助かった。礼をいう。」
「ハ!有難きお言葉、しかし、わたくしが真後ろにいたにも関わらずリリーナ様に怪我をさせてしまい、申し訳ございませんでした。」
「また何かあれば頼む。」
「御意」
「名前は?」
「カトリーヌ・イーガーと申します。」
イーガー侯爵家の令嬢だったのか。
あの家系は王家の影を担っている。
なるほど…。
隠密は片膝をついたまま頭を下げたのを見てその場を離れた。
いつの間にか王家御用達の影になり得る隠密の主人になったようだ。
なんで?
なんにしろ、リリーが一人になる時、これからは隠密がいるから安心だ。
急いでリリーのところに戻ろう。
リリーの側の椅子に座り、リリーの手を握り、額にあて、ひたすら目が覚めることを祈る。
どれくらいたったのか分からないが、リリーが魘されている。
覚醒するのか瞼がピクピクしている。
その時、パチッと目があいた。
リリーは僕が噛まれていないか心配している。僕じゃなく自分が噛まれたのに…。
夢でも見ていたのだろう。
僕はリリーを抱きしめ、何回も名前を呼んだ。
ここにいると何度もリリーが言う。
抱きしめる腕に力が入る。
そこへ殿下が来た。
殿下はリリーに怪我をさせたことを謝っている。その後、今までの経緯を説明した。
僕はリリーから離れたくないので抱きしめる力を緩めない。
リリーが痛いというので腕を離して少し離れる。
今日はもう帰っていいと言っているが、リリーはもう少し休んだほうがいいのでは?
リリーが助けてくれた隠密の事を聞いてきた。お礼がしたいと。
二人で行こうと約束する。
リリーの顔を見る。
リリーは笑顔だ。
この笑顔が消えるような事はさせない。
絶対、
何がなんでも、
死んでも、守る。
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