私の婚約者の苦手なもの

jun

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偵察

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サイモン視点


さっきの手練れの話しで黒幕がいるのは確実で、それも手練れの実力を知ってて声をかけたんだろう。
嫌な感じだ。

捕まえた奴等は宿の外にある使用人用の住居の空き部屋にガッツリ縛って一人ずつ入れている。

次の残党の所に行くと扉の前に護衛の一人が立っている。
「お疲れ様。中はどんな感じ?」

「物音一つしません。開けて確認しようか迷っている所でした。」

中に入ると、確かに動かない。

近づいても動かない為急いで脈を確認した。

すぐ、廊下にいる護衛に別の部屋も確認させに行かせる。


クソッ、やられた…

もう一度胸に耳をあて、確認して別の部屋へ走った。

四人は仕込んでいた毒でも飲んだんだろう、手練れ以外全員死んでいた。
直ぐに手練れの所に戻り、

「お前以外全員死んだ、毒を飲んで自害した。アイツらとは知り合いか?」

「この仕事で初めて会った。」

「お前に声を掛けてきた奴はどんなだった?どこで声をかけられた?」

「声を掛けられたのはここの公共の浴場がある所の食堂だ。
昔の古傷が痛むから風呂に入りに来たんだ。ここに来たのは偶然だぞ。
フードを被ってたから顔はよく見えなかったが、年寄りではなかったな。
帰り際、外で待ってた誰かにロータスと呼ばれていたのを聞いた。少し離れてからそいつらの後をつけた。」

「どこに行った?」

「そこの山の狩猟小屋みてぇなとこだ。」

と言って窓から見える山を顎で指した。

「尾行した後、顔は見なかったのか?」

「そこまで近くには行かなかった。場所だけ確認して戻った。小屋の中に何人いたのかは知らん。」

「お前優秀だな…勿体ないなその才能。
お前さ、もし俺に協力したらまたさっきの女と戦わせてやるって言ったらどうする?」

「俺は捕まった時点で死んでもいいと思ってる。でもまたあの女と戦えるなら凄え嬉しいな。」


「お前、陛下が王太子の時に襲われた時にあの女と戦ったのか?」

「そうだ。」

「反王族派だったわけだ。」

「俺はそんな事興味もないが雇われたら仕事するしかないだろ。」


「分かった、また来る。」



〈陛下の部屋〉

「申し訳ございません、まさか毒を仕込んでいたとは気づきませんでした。」

「陛下、明日人員が揃い次第戻っていただきます。相手がかなり本気で動いている模様です。一人を除いて全員が死んだとなれば、おそらく黒幕の直近の部下なのでしょう。この手薄な状態を知り、今襲ってきたのであれば第二陣が来てもおかしくありません。」

「戻るつもりでいたので問題はない。
だが、
相手がこの状況をどう見てるかで対応が変わるぞ。
私の行動のみに関心があればいい。
だがここにいる者が狙われたらどうする!
ここに泊まりに来ている者達は私の友だ。
そしてその家族だ。
お前達誰かが狙われたら、私は城でじっとしてなどおらんぞ!
退位などいくらでもしてやるが、お前達を一人足りとも無くす事などさせはしない。
泊まりに来た者を帰したら安心出来るのか?
この宿のランソルの娘はリリーナの友なのだろう?
その者達が狙われたらリリーナが無茶をするだろう。今度はロナルドが動く。
じゃあ、ランソルも連れてとなる。
そんな大所帯、襲えと言ってるようなもんだ。
だったら戻るのではなく、ここで決着をつけるぞ。

明日王都から応援が来たら敵を迎え撃つ。」

確かにそうだ。
人質を取られたら、陣形が崩れるだろう。

しかし、敵が誰かも何人いるのかも分からない…


「陛下、手練れの奴に仕事を依頼した者の名前が分かりました。“ロータス”と呼ばれていたようです。すぐそこの山の狩猟小屋に入って行ったそうです。私が偵察して参ります」

「ロータス・・・・」

「陛下、誰か心当たりが?」

「ハロルド、側近候補の一人で平民に落とされた奴がいただろう。その者の名前はロータスだった。」

「そういえば、名前がロータスでした!」

「その者かは分からん。だが私の命を狙いそうなロータスはそいつしか浮かばんな。
そうすると残党ではなく個人的恨みの可能性が高いな」

「まだ分かりません、そこも調べます。それでは。」

「一人では行くな。ルイの影も連れて行け」

「はい」

「それでは私も行って参ります」
と殿下に付いていたハンスも出て来た。

「サイモン、決して深追いするな、いいな!」

「はい」


二人で用心しながら小屋を目指す。

気配を消し小屋に近付き中の様子を伺う。
小屋には…五人。
さっき死んだ四人と同じような格好の者が四人。もう一人がロータスだろう。
何かをコソコソ話している。


しばらくして三人が出て来た。

「ハンス、ロータスの行き先を確認したら戻ってこい。」

「了解」

ハンスが行き、どう中を探るかと思っていた時、

いるはずがない人が後ろにいた。


「母上⁉︎」

「静かに!貴方私の気配にちっとも気付かないのはどうかと思うわよ。」

「どうしてここに?何してるんですか!」

「あれだけバタバタしてたら気になるでしょ。あの男に聞いたらここを教えてくれたのよ」

「あの男と話したんですか?」

「そう。だって誰も教えてくれないから。それよりサイモン、ちょっと中の人の気を引いてくれない?その間に中見るから。」

「正直人手が足りなかったので助かります。じゃあよろしくお願いします。」

僕は母上から離れ態と音を出し、中の奴等の注意を引いてから逃げた。
その間に母上が中を確認してくれるだろう。

しばらく追いかけて来たが、あまり小屋から離れたくなかったんだろう、直ぐに戻っていった。


小屋の近くまで行くと母上が、
「確認出来た。それといって何もなかったけど宿の見取り図があった。誰が残りを追ってるの?」

「ハンスです。」

「貴方はハンスを待ってから戻りなさい。私はハロルドに伝えるわ」

と言っていなくなった。


あの人…結構グッサリ刺されてたけど…。
でも母上が来て助かった。


しばらくして三人が戻り、ハンスも戻った。

「買い出しのようでしたが、帰る途中宿の周辺をうろうろしていました。」

「分かった。さっき母上が来て小屋の中を確認して戻った。」

「え?怪我してませんでした?動けるんすか?」

「普通は動けないよ。あの人普通じゃないから。」

「ですね。俺が見てるんで、若は一旦戻って下さい。今すぐは動かないでしょ。」

「後は頼んだ」



宿に戻り、陛下に報告する。

「ロータスが買い出しに出た後、この宿の周辺を伺っていたようです。その後小屋に戻りました。今はハンスが付いてます。」

「ご苦労だった。お前は何か食べて少し休め。」

「はい。ところで母上は?」

「ハロルドに怒られてるだろう。お前達には無理させて申し訳ないな。」

「陛下も休んで下さい、それでは失礼します。」



母上の所に顔を出し、面倒なので母上の部屋のソファで仮眠をとった。


疲れた…














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