私の婚約者の苦手なもの

jun

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怪我

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サイモン視点



「陛下ーーーーーーー!」
と叫んだ時、黒い影が陛下を庇った。

一人の敵は交わしたが、手練れの一人に肩を刺された母がいた。

「母上!」

「集中しろ!陛下は私がお守りする!」

「御意」

そこからのイーガー家は強かった。

父上と僕の殺気が倍増し、敵が怯んだ。

母を執拗に狙う手練れを父上が相手をし、
僕と母は怯んだ敵を倒していった。

手練れのみになって、三人で向かおうとした時、

「降参!参った」
と剣を捨てた。


手練れをすばやく縄で縛り、戦闘は終了した。


「ジュリア!」
と陛下が駆け寄る。

「ジュリア、済まない、私のせいで傷を負わせた…」

「陛下、ご無事で良かった。これくらい大丈夫でございます。それよりも服を着てください、丸見えです。」

「丸見えよりもお前の怪我が先だ。ハロルド、ジュリアを早く運んで医者に見せろ!
他の者は捕らえた者どもを連れて行け!女性陣の警護も忘れるな!
カイル、お前が指揮を取れ。
私とルイが動くのは邪魔になろう。
部屋で指示を出す。
アランも手伝ってやってくれ。」


と一気に指示を出した。

護衛達に残党を任せ、陛下の護衛に付いた。

「サイモン、済まない…ジュリアに怪我を負わせてしまった…。」

「いえ、母は陛下を守る為、城からずっと付いていたようです。陛下を守れて喜んでますよ。」

「・・・私は何をしていたのだろうな…
ジュリアを恐れ、傷付けてきた…。
今度は身体に傷を付けてしまった…
王として失格だな…。」

「陛下、母は元陛下の影ですよ、あんなもの傷の内に入りません。明日には動き回ってますよ。」

「ハロルドにも悪い事をした…。カイルにもアランにも…。」

「悪いと思うならもう我儘はやめてください。アイリス様に捨てられますよ。」

「そうだな…ジュリアにはまた命を救われた。何か褒美をしないとな!」

「喜びますよ。さあさあ早く戻りましょう。」




陛下の部屋へ戻ると、殿下達がいた。


「父上!」

と殿下が駆け寄る。

「大丈夫だ。」

「何があったのですか!サイモンの様子がおかしかったので心配しておりました。」

「先の残党が襲ってきた。」

「⁉︎父上、怪我はないのですか?他の皆は?」

「サイモン、説明してやれ。奥方達も心配だろう。」

「了解しました。」



殿下達に説明が終わると
「ジュリア殿が間に合って良かったです…。本当に良かった…。
でもほとんどが捕まり、もう勢力もあると思えない今、何故襲ってきたのでしょう?」

「取り調べで聞くしかないだろう。だが、ジュリアを執拗に狙っていたのが一人いたな。」

「ジュリア殿を?」

「ああ、ジュリアが私を庇って肩に傷を負った。ハロルドが付いている。
あの手練れ、ハロルドにヤラレるかもな。サイモンもか。」

「父上に任せますよ。でもあのしつこさはひょっとしたら母上が狙いだったのかもしれません。後で母上に見覚えがないか確認します。」

「陛下、主人達は大丈夫だったのですか?」

「怪我はないが、裸だったので何も武器がなかった。
私の盾となり、恐ろしかったであろう。
危険な目に合わせ申し訳なかった。」


「いえ、陛下の側近となった身、覚悟は出来ておりましたでしょう。お気になさらず。」
とシェリル様が言う。

「もうこんな目には合わせない。城から警備の者が着き次第私は戻るゆえ、他の皆はゆっくり温泉に入り、休んでくれ。
サイモン、何か連絡があったら教えてくれ。」
と言って寝室に入ったので、僕は残り陛下の護衛をした。


殿下付きの影に他の方達の護衛を頼み、殿下は陛下の元に行き、指示を仰いでいた。


母上の怪我は大丈夫だろうか…


そんな事を考えていると、父上が来た。

「陛下は?」

「寝室に殿下といます。母上の怪我は?」

「ジュリアにとっては大した事はないんだろうが、しばらく左腕は使えんな。
しかしジュリアはいつこっちに来た?お前は知っていたのか?」

「僕も知りませんでしたよ、来る途中で会いましたが。
ここに来たら既にあの状況で父上に報告なんかする暇なかったですよ。」

「アイツは全く…。しかしジュリアがいなかったら危なかった。まだまだ修行が足りんな、俺らは。」

「そうですね、母上には敵いません。」

「交代する、ジュリアの所に行って来い。」



そして、母上の所に行った。

「母上、大丈夫ですか?」

「こんな傷大した事ないわ。でも歳ね~あんなのも避けられないなんて。ちょっと訓練し直しね。」

「これ以上強くなってどうするんですか、少しじっとしてて下さいよ。」

「・・・陛下、私の事心配してくれてたんだけど、あれって気のせいじゃなかったわよね?」

「気のせいじゃないですよ。物凄く心配してましたし、反省してました。母上に今まで傷つけてきたうえ、身体にまで傷つけてしまったって。」

「陛下がそう言ったの?ホントに?」

「本当ですよ。多分陛下はもう母上を恐れてはいません。」

「ホントに?本当に?」

「しつこいなあ、本当ですよ!」

「良かった~~。長かった~身体張った甲斐があるってもんね!」

「そうですね、早く元気な姿を見せてやって下さい。」

「明日には動けるわ。明日ご挨拶に行かなきゃ!」

「はいはい、わかりました、もう休んで下さい、傷が開きますから!
あ!母上、あの手練れに見覚えは?」

「あの襲撃の時一人逃した。そいつかもしれない。」

「それでは。」


陛下に心配してもらえた事が嬉しくてはしゃぐ母に安心して部屋を出た後、残党の所へ向かった。



「お前、名前は?誰の指示?」

「・・・・・」

「陛下殺してどうすんの?何したいの?」

「別に陛下なんかどうでもいい。俺はあの女をりたかっただけだ。」

「どうして?」

「・・・」

「知ってんの?あの女の事。」

「昔、やり合った事がある…」

「へえ~あの人強いのによく助かったな」

「傷は負わされた…運良く逃げられた。
今まであんな深傷を負ったことなんかなかった。だから、またやり合いたかった、それだけだ。」

「ハア~それだけで陛下襲ったの?凄いね、馬鹿なの?」

「好きに言え。あの女はやっぱり凄え、またやり合いたい。」

「やれねえよ。他の奴等はなんで?」

「知らねえよ、他の奴らの事は。
俺はたまたま飲み屋で誘われただけだ」

「ふう~ん、たまたま…でもお前を狙って誘ったんでしょ、お前意外と有名人?」

「別に…有名なんかじゃねえよ…」

「別名あったりする?」

「・・・・」

「まあ、いいや、じゃあ今日はこれで。」


やっぱりコイツは母上狙いだったか…
父上が知ったらコイツ、ヤバいな…


そして他の残党の所へ向かった。














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