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再び
しおりを挟むサイモン視点
最近、我が家の魔王様は妹の結婚の準備でよく王宮に行っている。
父上は喜んでいるが、陛下はすっかりやられてしまっているらしい。
僕も忙しいので王宮の様子は同僚からの情報だ。
ルイジェルド殿下には別の影が付いている。
僕は今、ヨルニア伯爵の領地にいる。
ここに反王族派の残党が集まっているとの情報が入った。
伯爵自体は残党などではないが、領地の空き家に潜んでいるらしい。
そんな時に陛下が隣りの領地の温泉に療養に行ったと一報が入った。
なにやってんだ、あの人!
それも主要メンバー引き連れて!
ルイジェルド殿下も!
すぐさま、空き家を確認する。
空き家には人が生活していた形跡はあったが、それ以上の手掛かりはない。
同僚にここの監視を頼み、急ぎ陛下と一緒の父上の元へと急ぐ途中、何故か母がいた。
「母上、何してるんですか!」
「陛下をお守りする為に決まっているでしょう。」
「はあ?いつから付いてるの?」
「陛下が城を出てからすぐ」
「父上は?」
「言ってない…」
「何してるんですか!母上はもう引退してるでしょ!」
「だけど、チラッと残党の事が耳に入ったから…」
「だからって…。とにかく母上は帰って下さい!今から僕は陛下の所へ行くので!」
「何か分かったの?」
「残党がいたかもしれない形跡があったので報告です。まだ確認は取れてませんが念の為。」
「だったらトットと行きなさいよ!私は勝手にするから。」
「ハア~。母上はダメですよ!僕は行きますから!」
と言って先を急いだ。
あんな事言っても行くだろうなあ…
どうしたもんか…
宿に着き、父上を探すがいない。
妹の友人のリリーナ嬢とロナルド殿と共に殿下がいたので
「殿下、陛下達はどこにいらっしゃるか知っていますか?」
「カイル殿達と露天風呂に行ってるぞ。何かあったのか?」
「分かりました。殿下は皆さんと一緒に部屋へ至急お戻り下さい。奥様達にもお伝えし、一箇所に集まっていて下さい。後でご報告致します。急ぎ陛下に報告がありますので。」
露天風呂に近付くと父上の殺気が出ているのに気付き、脱衣所に置いてある剣を取り、風呂場に入ると、戦闘が始まろうとしていた。
即座に父上に剣を渡し、陛下の確認をするとカイル様達と護衛が囲んでいたので、隅に移動するよう指示を出し、敵に集中した。
敵の人数は多くないが、こっちは護衛以外武器がない。
父上と僕でなんとかなりそうだが、一人手練れがいる。
父上と僕で陛下達を守りつつ、手練れがいる敵五人は正直ヤバい…
連携も取れている相手に隙を突かれたら、一気にヤラレる。
護衛も頑張ってるが、実践経験がないのか危なっかしい。
そっちに気を取られ、一瞬出遅れた!
「陛下ーーーーー!」
その時、黒い物体が視界をよぎった。
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