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号泣
しおりを挟む殿下の答辞が終わった瞬間、拍手喝采と号泣が響き渡った。
そういう私も号泣だ。
ロイも泣いている。
トリーも、シアも、みんな泣いている。
お父様達もお母様達も泣いている。
陛下も王妃様も泣いていた。
殿下らしい答辞にみんな、この学院の思い出が駆け巡り、堪えきれなかった。
殿下の入学時の心情を聞き、陛下と王妃様が悲しそうな顔をしていた。
ロイとの出会いで少しずつ、他人との交流を持つようになっていく様子が想像出来て、
涙ぐむ人がチラホラし出した。
タニヤさんの話しで、卒業生は思い出して笑った。
あの時は本当にロイもノリノリだったし、全員楽しそうに走り回っていた。
殿下とトリーを見て、みんなが焦ったくなっていたし、一緒にいるのを覗いてはニヤニヤしていた頃は、よく殿下に怒られた。
殿下の“ありがとう”の言葉には、
「オオオォォォォーーーーー」と
歓声が上がり、
ロイの怪我の話しでは、あの時の事を思い出し、私もロイも号泣し、
トリーもシアも、お父様達、お母様達、ついでに陛下も号泣していた。
口は悪いけど優しい殿下。
友と呼んでくれて、嬉しかった。
締めの言葉に、色々な思い出が過ぎり、もう卒業生は泣きじゃくり、
殿下の先生方への感謝の言葉の後に自然とみんなが、
「ありがとうございましたーーーー」
と言った。
殿下も言っていたが、本当に楽しい学院生活だった。
忘れないだろう、きっと。
それからの卒業パーティーは盛り上がった。
「こんなに良い答辞は学院始まって以来ない」と保護者の方達が殿下を捕まえ、褒め称え、殿下が照れていた。
陛下と王妃様も降りてきて、
「ルイーーーー大きくなってーーーーー」
と言って抱きついていた。
トリーのお父様のハロルド様、お母様のジュリア様が、殿下の所に行き、また抱きついて「ルイジェルド殿下にカトリーヌはこんなに愛されていたのですね、感激いたしましたーーーーー」
と泣いていた。
次はお母様とおば様が行き、
「殿下はなんて優しいんでしょうーーー」
と言ってまた抱きついて泣いていた。
順番とばかりにお父様達が、
「あの時にそんなにロナルドを想って下さっていたんですね、なんて良い子なんだぁーーーーー」とおじ様が泣き、
「殿下ーーーー」
としか言わないお父様は号泣して抱きついていた。
次は誰?と見ていたら、シアが殿下に突進して行った。
「殿下ーーーーー私、感動しましたーーーー。いつも小馬鹿にしてすみませんでしたーー。とっても良い答辞でしたーー。
今度、代表の姿絵書いて送りますーー!」
と抱きつきはしなかったが、手を握り、ブンブン降っていた。
そして、
「殿下、本当に良い挨拶でした。」
とロイが言ったら、
「グッ・・・・」
手で口元を抑え、殿下が泣いた。
ロイが殿下を抱きしめ、ロイも泣いていた。
それを見て、また周りが泣いて、
パーティーが終わる頃は、
みんなの目が腫れ、
「誰?」
状態だった。
最後に陛下が
「本当に良い卒業式だった!卒業生の皆、
卒業おめでとうー!」
と言って、
卒業式は終わった。
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