私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚旅行編

トーマス視点 リリーナ兄

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今日、久しぶりにというほどではないのだが、滅多に帰らない実家に向かっている。

妹の結婚式で春先に帰ってはいるが、普段は領地にいる為、感覚的には久しぶりだ。
領地にはリリーナ発案の虫除けグッズを製造する工場がある。
その経営、営業、管理すべてをやっている。
父は王都でやれる仕事をし、俺は領地の工場の責任者をやっている。

今回帰る理由は、ウチの領地に巨大生物が出現したらしいとの報告があり、一度父と相談しようと帰ってきた。

巨大生物って何?と思ったが、目撃者が意外と多い。
鳥ではないとにかくデカい生き物が飛んでたらしい。
俺は見た事がない。
イメージとしては物語に出てくるドラゴンに近いらしい。
最初は、はあ?と思ったが、晴れてたのに急に暗くなったと思ったら、低空でドラゴンのようなモノが飛んでいたらしい。

とにかく、俺は見た事がないから全部又聞きだ。

ちょっと見てみたい!と思ったけど、目撃した者は皆、怯えていた。

今の所は被害はないが、調査はしないといけないと帰ってきたわけ。

でも、帰っても、もうあの家に妹のリリーナはいない…。


俺の妹は可愛い。とても可愛い。物凄く可愛い。
その妹はロイと結婚して実家にはいない…。
寂しい…。

妹が学院で襲われた時もすぐ帰りたかったが、その時は山から熊が出た!と大騒ぎになり、帰れず、

ロイの浮気疑惑の時は、駆け付けてあげたかったが、工場のトラブルがあり、

ロイの怪我の時は俺が熱を出して動けなかった。

温泉の時も一緒に行きたかったのに、忙しくて行けなかった…。


そう、俺は逐一リリーの事を報告させていた。
領地は実家からは一日では行けないが、左程遠くもない。

だが、誰も来ない。

酷くない?


でも、今回はリリーの所にも遊びに行くつもりだ。

こんな時でもないと顔を見れないから!

実家に着き、出迎えてくれると思ったら父も母もいない。

「トーマス様、おかえりなさいませ。」

と執事のギルバートだけが出迎えてくれた。

「父さんと母さんは?」

「いつもの所に。」

「カイルおじさんとこね、相変わらず仲良いね。」

「はい、リリーナ様が結婚してからは前よりも行かれています。」

「ハア、息子が帰ってくるっていうのに…。まあ、いいや。
お風呂入った後、何か摘めるモノよろしく!」

とギルバートに頼み、自室へ行く。


お風呂から出た時に両親が帰ってきた。

「トーマス、おかえり!」

「トーマス、変わりない?」

「ただいま。変わりないよ。リリーは元気?ロイも相変わらず愛想ないの?」

「リリーは元気よ。ロイはうーん、変わってないかな。」

「で、手紙は読んだけど、あれ、どういうこと?」

「今、食べながらでいいなら、ここで報告するけど。」

「いいよ、食べて。」

目撃情報を説明し、領民が怖がっているから一度ちゃんと調査した方がいい事を伝えた。

「うーん、そうだね、分からないモノは怖いよね…調査はするけど、陛下に一度報告しておくよ。だから、トーマスはゆっくりしなさい。」

「ありがとう、父さん。リリーは今日家にいるの?後で行ってもいいかな?」

「居たから後で顔見せてあげなさい。喜ぶよ。」

「分かった、後で行ってくる。」


少し、ゆっくりした後、グランディ家の本邸に行っておじさん達に挨拶する。

「お久しぶりです。カイルおじさん、シェリルおばさん。」

「おおートーマス、元気だったか?」

「トーマス、相変わらず男前ね。」

「元気ですよ。シェリルおばさん、ありがとう。そんなにゆっくりも出来ないからリリーに会いに行ってもいい?」

「あー、お前んとこになんだか分からんもの出たんだろ?大丈夫か?」

「俺は見た事ないんだよね、だから本格的に調査しようかと思って、報告に来たんだよ。」

「そうか、危なくないといいな。」

「そうだね、ちょっと行ってくる!」


別邸に着いて、
「リリーーーーーお兄ちゃんが来たよーー」

バタン!

「お兄様!いや、お兄ちゃん!」

「リリー、元気だった?変わりない?ロイに意地悪されてない?」

「元気だよ、変わりもない。ロイは優しい。お兄ちゃんは?」

「俺は相変わらずだよ、今日ロイは?」

「まだ帰ってきてないよ、お兄ちゃんはいつまでいる?今日泊まってく?」

「泊まりたいけど、父さんと話しがあるんだ。残念…」

「そっかあ…残念だね…」

「たまにはリリーも領地に来たら?」

「うわあ、行きたい!でもロイの仕事があるからなあ…」

「だよな~。新婚旅行がてら来ればいいかなと思ったんだけど。」

「新婚旅行⁉︎」

「そう、新婚旅行行ってないでしょ?だからたまにはあっちに行ってゆっくりすればいいかなって。工場の保養所、今誰も使ってないから、貸切にすればいいし。」



「あ!トーマスだ!五月蝿いと思った。」

「お!ロイが帰ってきた!」

「あ、ロイ、おかえり!」

「リリー、ただいま。」

「ロイ、俺んとこに新婚旅行来いよ!」

「はあ?なんでトーマスのとこに行くの?もっと良いとこ行くよ、折角の新婚旅行なら!」

「無料だぞ、お風呂も大浴場だ!リリーと一緒にゆったり入れるぞ!」

「・・・それは魅力的だ…」

「だろ!来い来い!でも、最近、なんか出るけど。」

「「なんかって何?」」

「うーーーーん、ドラゴン?」

「「ハア⁉︎」」

「俺は見た事ないから分からんけど、何か巨大生物が目撃されてる。だから父さんに報告がてら帰ってきたんだよ。」

「待って、ドラゴンっているの?」

「知らん!」

「トーマス…とうとう幻が見える様になったのか…」

「俺は見た事ないって言ってるだろ!」

「そんな危険な所に来いと?」

「いるか分からんし、いたら凄いだろ!」

「い・や・だ!行かない!」

「・・・・・・ロイ…」 

「ダメ!ダメだよ、リリー!行かないよ!」

「じゃあ、ロイは留守番してて!」

「それも嫌だ!」

「だったら行こうよ!しばらく行ってないし、ロイだって行ってないでしょ?」

「行ってないし、行きたいけど、危ないかもしれないでしょ?リリーに何かあったら嫌だよ…。
仕事もあるし…ルイに聞いてみないと…」

「お前、殿下の事、ルイって呼んでんの?」

「友達なんで!」

「前は殿下って呼んでたのに。まあ、良いけど。」

「仲が深まったんだよ、殿下とロイ。」

「へえ~色々あったみたいだしね。ま、まだいるから、聞いといて。んじゃね。」

と別邸を後にした。


家に帰り、父さんの執務室に行く。

「ただいま、リリーに会ってきたよ、新婚旅行に領地に来いって言ってきた!」

「お前は…。リリーにその生き物の事言わなかったよな?」

「言った。来たいって。」

「お前って奴は…。妹可愛いと思うなら言うなよ!リリーなら聞いたら行かない訳ないだろ!」

「だってこっちばっかり楽しそうで俺も仲間に入りたいもの!」

「ハアーーーー。とにかく、まだイアンに言ってないから、待てよ!勝手に話し進めるなよ!」

「分かってるって。」

「とにかく、明日行って来る。」

「よろしくお願いします。俺は行かなくていいの?」

「とりあえず父さんだけ行って来るから、明日は。」

「了解!」


さあ、明日は何をしようかな?


リリーの所にまた行って、ドラゴンだかなんだかの話しをしてこよう!





じゃ、おやすみーーーーzzzz…












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