私の婚約者の苦手なもの 番外編

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新婚旅行編

ハロルド視点

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サイモンが陛下にクロやアランの報告をしている。

アランは陛下やカイル、オスカー様、リチャードへの優しい気遣いの言葉を送っていた。

俺は?俺へはないのか?

アラン…いや、アランは忘れたのではない。
おそらく倒れる直前まで一緒にいた俺には、まあいいかとでも思ったに違いない、そうに違いない。

目の前でアランへの想いを紡ぎ、涙を流す友人達…

なんだろう…この疎外感…。

いや、俺はクロとも会話出来る選ばれし者だ。
羨ましくなどはない。

そして、姿絵。

なるほど、その手があったのか。

皆、描いてもらうのだな…

・・・俺はもうクロとは仲良しだ。
家族もクロに紹介した。

なのに…
いや、決して俺も描いてもらいたいなど思っていない…。

楽しそうだな…
最近、アランがいないので陛下も静かなせいか、リチャードも仕事が落ち着いているのか、愉快な仲間たちのメンバーに復帰したようだ。

サイモンはシンシア嬢に頼むようだ。

そうか、姿絵が仕上がるまでサイモンがいるのならば、俺が向こうに行って来ようか…。

しかし…
姿絵…描いてもらおうかな…


「ハロルド、どうした?疲れが出たのか、大丈夫か?」

「いえ、考え事をしていました。」

「珍しいな、ハロルドが仕事中、考え事なんてするのは。」

「・・・アランは…私には何も言っていなかったのかなと…」

「「「「⁉︎」」」」

「あーーほら、ハロルドはアランと直前まで一緒だったから、アランもほら、アレだったんだよ」

「そうそう、アランがハロルドの事忘れる訳ないだろ。」

「そうだぞ、弟はそんな薄情な奴ではないぞ」

「遠くにいた奴が咄嗟に浮かんだんだよ、ハロルドはすぐ側にいたから、それでだよ」

「みんなは…姿絵…描いてもらうんだな…」

「お前はクロにもう会ってんだから、別に姿絵いらんだろ。」

「そうだよ、もう話しもしてるだろ。」

「そうだぞ、お前んとこジュリア様もサイモンもクロと話してんだろ、姿絵なんかいらんだろ。」

「何?ハロルドも描いてもらいたいの?」

「・・・・俺も描いてもらいたい…」

「分かった!ハロルド、お前、仲間に入れなくて寂しいんだろ?そうだろ、そうだな!」

「寂しくなどない!でも…最近…イアンの後ろにいるだけだったから…」

「お前の仕事なんだから仕方ないだろ、俺なんかこの場にいる事が久しぶりなんだからな!」

「いても、あのワチャワチャには参加してない!」

「ワチャワチャって言うなよ!」

「分かった分かった、ハロルドも描いてもらおう。」

「カイル、そういう子供の我儘をいなすような言い方はよくないぞ!俺はみんなだけアランからの伝言を貰えて羨ましいだけだ!」

「分かった!俺、良い事思い付いた!」

「言うな、イアン。お前の良い事など碌な事ではない!」

「違う、そんな事言うならカイルは仲間に入れん!」

「イアン、いいから早く言えよ。」

「全員の姿絵を描いてもらってアランの枕元に置いてもらおう!アランが早く目覚めるかもしれん!」 

「ハア~何が楽しくて男ばっかの姿絵飾るんだよ!」

「俺は賛成!アランが起きた時、俺らの姿絵見たら喜ぶと思う!」

「それもそうかも…」

「じゃあ、ハロルドはそれで良いだろ?
俺らのは時間かかりそうだから、全員の終わった後に描いてもらおう!」

「イアン、ありがとう、アランが喜ぶならそれでいい。では、仕事に戻ります。」

「仕事って…何も変わらんだろ。」

「陛下、仕事中は関係ない事は話しません。」

「しかし、ハロルドは意外と寂しがり屋なんだな。」

「俺は知ってたぞ、ハロルドはいつも仲間に入りたくて後ろでモジモジしてるぞ!」

「俺も気付いてた。アランがいつもさり気なくハロルドに声かけてたし。」

「そういえば学生の時もそんなだったな、アランがハロルドに絡まっててそれが面白かったんだよな!」

「そうそう、あのキラキラが厳ついハロルドに絡んでるのが面白くてな、ハロルドがオロオロしながら相手してるのが可笑しくて仕方なかった。」

「俺はオロオロなどしていない。アランの勢いに最初は驚いていただけだ!」

「あ、仕事中なのに喋った!」

「おい!お前ら、いい加減仕事しろ!いつまで遊んでる!」

「あ、オスカーいたんだ、済まない、ハロルドが可愛いから、つい。」


オスカー様に叱られてからは皆、クロについての話し合いを始めた。


とりあえずは各自の姿絵を見てもらい、会話が出来るようにするのを優先し、陛下とルイジェルド殿下がクロと対面する事となった。
護衛は少数精鋭で固め、カイル、ロナルドも現地に向かう事になった。
リチャードは拗ねていたが。




姿絵が出来次第出発だ。













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