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新婚旅行編
ワソニック家のひととき
しおりを挟む「マリア・・・リリーのお腹に赤ちゃんがいるって本当?」
「そうよ、アラン!リリーのお腹には赤ちゃんがいるのよ、私達の孫よ、孫!」
「リリーが子供を産むのか・・・あのリリーが?」
「そうよ、妊娠したんだもの!アラン大丈夫?ビックリしておかしくなっちゃったの?」
「だってマリア…ついこの間まで虫たたき持って走り回ってた子が妊娠・・・母親・・・赤ちゃん・・出産・・・誕生・・孫…孫⁉︎」
「アラン、私達に孫が出来るのよ、来年にはおじいちゃんよ。」
「おじ…い…ちゃん?」
「そう、アランはおじいちゃん、私はおばあちゃん!なんて呼んでもらおうかしら?
マリアおばあちゃん?マリーばあば?シェリル様はなんて呼んでもらうのかしら~今度聞いてみなくちゃ!」
「おじいちゃん…かぁ…、早いな…リリーが“とうちゃま”って呼んでたのはつい最近だと思ってたのに…。」
「“とうちゃま”なんて十何年も前よ。私達ももう四十になるのよ。若いおばあちゃんに憧れてたのよね~ひょっとしたらひ孫も見れるかも!」
「何だか嬉しいのに寂しい…」
「アラン…」
「物凄く嬉しいのに、リリーはもう別の家族を作っていくんだなぁって思ったら・・・寂しくなった…。」
「結婚して子供が出来ても、リリーは私達の娘よ、何も変わらないわ。
なんてったって、孫よ、アラン!
母乳を夜中にあげることも、夜泣きで眠れなくなる事もなく、赤ちゃんを抱けるのよ!凄くない?」
「それもそうかも。トーマスは年がら年中お乳をねだり、リリーは夜も眠らず遊びまくっていたっけ…。
乳母と三人でフラフラしながら夜、相手してたなぁ」
「そうよ、リリーは夜型だったのよね~トーマスはバカみたいに朝早いし…。」
「そうそう、リリーが寝た!と思ったら、トーマスが起き出すんだよな~あの時はしんどかったなあ~」
「そうよね~だから乳母も長続きしなくてほとんど二人で面倒みてたのよね~大変だったぁ~」
「それ考えたら孫って凄いな、夜中に起き出して相手する事ないんだもんな!」
「そうよ、何回もオッパイあげなくていいのよ!」
「でも、あの時は大変だったけど夜中の散歩とか楽しかったなぁ~」
「そうね~外に出るとリリーが喜ぶのよね~。でも、それと同時にトーマスも起きるのよ、あれどういう事だったのかしら?」
「そういえばそうだったね、夜中に四人で庭を散歩したっけ。あれはあれで楽しかったよね。」
「ええ、懐かしいわね…あの子が母親になるのね…感慨深いわね…」
「うん、大きくなったんだなぁ…」
「でもまさかトーマスよりリリーが先に親になるとは思わなかったわ…あの子モテるのにどうして結婚出来ないのかしら…」
「結婚はトーマスの優先順位の中で、まだ上位ではないんだよ、きっと。
そのうち“父さん、俺結婚するから!”って言い出すよ。」
「そうだったらいいんだけど…でもクロの事もあるから相手には苦労しそうよね~」
「その時はその時だよ、焦らないでトーマスに任せよう、ね!」
「そうね、出来なかったら出来なかったで、なんとかなるわね」
「そうそう、それよりさ、赤ちゃん男かな女かな、俺は女の子が良いなぁ~」
「あら私は男の子が良いわ、やっぱり跡取り一人生んだら気楽になるでしょ?」
「カイルもシェリル殿もそんなの気にしないよ。」
「気持ちの問題よ、リリーの。」
「まあ、どっちでも無事に産まれてくれたらそれだけでいいけどね。」
「そうね。そういえばリリーは悪阻で食べ物は何を食べてるのかしら?私は煮干しばっかり食べてたけど。」
「夜中にポリポリ煮干し食べてる姿は怖かった~」
「だってお腹空いたけど他は何も受け付けなかったんだから仕方ないじゃない。」
「まあね、普通、酸っぱいものとかだと思ってたからビックリしたなぁ」
「私も。酸っぱいものも食べれたけど、煮干しが一番だったわね~」
「だからあんなにたくましくなっちゃったのかな…リリーって見た目と中身が違うからね~」
「でも元気で明るい優しい子に育ったわ」
「そうだね、優しい子だ。元気な赤ちゃんを産んでくれるよ。楽しみだね。」
「楽しみね、おじいちゃん。」
「ああ、楽しみだ、おばあちゃん。」
「フフ、今度二人で遊びに行きましょう、リリーママに。」
「ママ・・・リリーがママ…」
「もうまた?諦めてリリーが母親になる事を認めなさい!」
「大丈夫、もうリリーは立派な母親だ。
そしてロイは父親・・・・」
「もうーーーーアラン!」
リリー懐妊後のワソニック家のひとときでした。
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