一番悪いのは誰

jun

文字の大きさ
35 / 36

聖女のもう一人の孫娘

しおりを挟む


イヴァン視点


中庭でアルベルトと何故かロジーニがローラ殿とお茶会をしている姿を見ていた。
ローラ殿はロジーニから貰った物に喜んでいるようだ。


数日前の事を思い出していた。
数日前、聖女ローズ様の孫娘、ローラ殿の従姉妹のライラ・ハックライト侯爵令嬢との顔合わせがあった。
俺の新しい妻となる人とのお見合いをしたわけだが、中々楽しいお見合いだったのだ。

リンカが死んだのは、研究所に送られて半年ほど経ってからだ。
リンカの死を発表したのはその半年後。
魅了の影響が完全に無くなってから発表となったので、今はまだ喪中というわけだが、王太子妃教育の関係で既に選別が始まっていた。
同年代に適任者が残っている訳もなく、難航していた所に、ローズ様から孫娘はどう?と薦められた。

そのライラ嬢、隣国で王太子の婚約者だったらしいが、隣りの国の王太子も何やらやらかしたらしく学園の卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を宣言したのだとか。
王太子は廃嫡、ライラ嬢は傷心の為寝込んでいたが、回復すると修道院に行くと騒いでいるから俺と見合いでもしたら?と軽~い感じで伝えたら、ローラ殿に会いたいからこっちに行くついでに、とお見合いしたって訳だ…ついでに…。

「私イヴァン王太子殿下には何ら恨みはございませんが、という存在には拒否反応が出てしまうのです。
ほら見て下さいませ、鳥肌。
聞いていらっしゃるとは思いますが、我が国のドアホ・・・失礼しました…王太子殿下がほんの少し前まで市井で暮らしていた男爵家の庶子の令嬢に入れ込みましてね、何度も何度も注意しましたの、王太子妃にはなれませんよ、男爵家は王太子妃にはなれませんよ、その方外国語話せますの?って。
でも基本バカップルには話しが出来ませんから、放っておいたら卒業パーティーでやらかしましたの、ビックリですわ。オホホ。」

「ハア…大変…でしたね…」

怒りをぶちまけるかのように、一気に話したライラ嬢は、ローラ殿の穏やかな雰囲気とは違って、ピンヒールを履いて扇子で口元を隠しながら、オーホホホホと高笑いしそうな感じだ。

余程、王太子に対して腹に据えかねていたのだろう、時々言葉が悪くなっていたが、俺は好感が持てた。
ライラ嬢は王太子妃教育も終わらせているので、こちらの教育も左程時間もかからず終わらせる事も出来るし、多分性格はサッパリしているようだ。
そして優しい…多分。
婚約者としての時間を無駄にしたくなかったというのもあるのだろうが、王太子を支えようと彼女なりに沢山努力してきたのだろう。
他の女に現を抜かしても見捨てる事が出来なかったのは、ひとえに殿下が好きだったのだと思う。
でなければ聖女の孫娘が婚約を解消出来ない訳がない。

「ライラ嬢、会ったばかりだが、どうやら私は貴方を好きになってしまったらしい。
前向きに考えてはもらえないだろうか?」

思わずそう口に出してから、自分でも驚いていた。

「プッ…なんで言った貴方が驚いているの?」
と笑うライラ嬢に、俺も笑った。

「分からない、まさか思った事が口から勝手に出るとは思わなかった。」

「イヴァン様も色々あったようですし、私も大変でしたけど、この国にはローラもいるのし、イヴァン様も聞いてた感じとは違ったので、前向きに考えたいと思います。」

とんとん拍子で今話しが進んでいる。

彼女となら良い関係になれると感じる。
おそらく溺愛するだろう。

あそこで楽しげに笑っているローラ殿を切ない気持ちで見る事もなくなる。
ローラ殿に感じていた淡い想いは少しずつ消えていくだろう。


そしてローラ殿とのお茶会。

「イヴァン王太子殿下、今日はお茶会に来て頂きありがとうございます。」

「ローラ殿も変わりないかい?歩くのもしっかりしてきたようだね。」

「はい。お祖母様の治療のお陰でかなり楽になりました。
そういえばライラにお会いしたそうですね!
ライラが面白い事になっていて、笑ってしまいました。」
とクスクス笑っている。
面白い事に?

「ローラ殿、ライラ嬢は私の事で何か気に障ったのだろうか…。
私はライラ嬢と前向きにと思っていたのだが…。」
俺は何かしてしまっただろうか…
結構楽しげだったのだが…。

「いえいえ、逆ですよ、イヴァン様。
ライラは顔を真っ赤にして、“わ、わ、私、イ、イヴァン様に、す、す、好きだと、い、言われたのーーー”と我が家で大騒ぎでしたの。
我が家ではお二人を全員で応援していますよ!」
とモノマネ付きで話してくれた。

「プッ、ライラ嬢は楽しい人だな。先日の顔合わせも、ローラ殿に会いたいからついでに私に会うと返事がきたんだ。
それが面白くてね、会ってみようと思った。
会って話してみたら、明るくて可愛らしい方だった。」

「ライラは王太子殿下の婚約者に選ばれた時に、こっちに家出してきてまで嫌がってたんです。でも責任感が強くて、なんだかんだで世話焼きで優しいから、最後まで殿下を諦めなかったんだと思います…。
あんな感じなので表には出しませんが、まだ傷付いてると思います…。
とても優しくて可愛いくて面白い子なんです、イヴァン様、どうかライラをよろしくお願い致します。」

「頑張ってライラ嬢に選んでもらえるよう頑張るよ。ローラ殿に負けないよう、私も諦めずにライラ嬢にアピールしまくるつもりだよ。

ローラ殿、いつも私に…私達に頑張る力を与えてくれてありがとう。
貴方は…私の…支えだった…。
本当にありがとう、これからは私達がローラ殿も含め、国民の皆の暮らしを豊かに、幸せにする為に精進していくと誓うよ。
今日はありがとう。」


こうしてローラ殿とのお茶会は終わった。

危なく告白しそうになって焦ったが、今日でその想いともお別れだ。

俺の本当の初恋はこの日で終わった。

次は本気で愛する人の為に頑張るだけだ。
















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

騎士の妻ではいられない

Rj
恋愛
騎士の娘として育ったリンダは騎士とは結婚しないと決めていた。しかし幼馴染みで騎士のイーサンと結婚したリンダ。結婚した日に新郎は非常召集され、新婦のリンダは結婚を祝う宴に一人残された。二年目の結婚記念日に戻らない夫を待つリンダはもう騎士の妻ではいられないと心を決める。 全23話。 2024/1/29 全体的な加筆修正をしました。話の内容に変わりはありません。 イーサンが主人公の続編『騎士の妻でいてほしい 』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/96163257/36727666)があります。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

買われた彼を解放しろと言うのなら返品します【完】

綾崎オトイ
恋愛
彼を解放してあげてください!お金で縛り付けるなんて最低です! そう、いきなり目の前の少女に叫ばれたルーナ。 婚約者がこの婚約に不満を感じているのは知っていた。 ルーナにはお金はあるが、婚約者への愛は無い。 その名前だけで黄金と同価値と言われるほどのルーナの家との繋がりを切ってでも愛を選びたいと言うのなら、別に構わなかった。 彼をお金で買ったというのは、まあ事実と言えるだろう。だからルーナは買ってあげた婚約者を返品することにした。 ※勢いだけでざまぁが書きたかっただけの話 ざまぁ要素薄め、恋愛要素も薄め

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

処理中です...