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The Cross Bond Side Story Ⅲ
第八話
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戦闘の様子を、自衛隊のドローンを使ってリアルタイムで見れるようにしている。地理、状況、人の配置、人の流れを考慮して戦術を提案出来る様に朝倉舞を現場の指揮車に乗せ、ドローンを遠隔で操作して貰っている。オペレーターから報告を受ける度に京子の神経がすり減っていく。社長から受けたであろうダメージをいとも容易く回復してみせた、化け物の異常性。夏の怪談の様に人々からも畏怖と恐怖を集める存在へと変貌を遂げている。
「攻撃よりも回復が厄介そうですね。社長でも無理となると、通常の討伐と考えては死者を増やすだけだと思われます」
「有効打を与えられるのは現状守護者だけかもしれませんね」
「後は妖刀を持つ葵さん、社長、妖怪である浦美さん。現在確認出来ている限りではそれくらいしか」
「あの方は動かせないですか?」
「無理でしょうね。あの一件だって現人神絡みでしたし」
白虎、玄武、朱雀と守護者による攻撃。威力が高いだけではない、妖怪には絶大な攻撃を与える神聖なる破邪の性質を持つ。今相手は回復無限、タフであり、攻撃と防御が高い厄介な敵である。削りは出来ているとは思うが
すぐに回復されてしまう。電波から流れてくる淡々とした声に、京子は喉を詰まらせた。今の時点ですでに死者を出した。自分の采配でそれを増やす事などあってはならない。携帯には、和香から連絡が来ている。
「こめんなさい、京子ちゃん。返り討ちにされてしまったわ。結衣ちゃんの腕も折れているし、私一人戻った所で・・・」
玉砕するだけだとその先は答えない。
「いえ、無事で何よりでした。結衣さんは急ぎ医療スタッフを向かわせます。和香さんは次の市内戦の為に指定の場所へ向かって貰えますか」
「何か策があるのね?」
「ええ、我々もやられっぱなしではありません。化け物に痛みと恐怖を与えましょう。社長は今そちらに?」
「ええ、今私の側でウロウロしているわ。討伐出来なくて申し訳ないと感じているんだと思うけど」
「社長に、有難う御座いますとお伝え下さい。それと、もう少しだけお手伝い下さいとも」
あれからも自衛隊、陰陽庁の人員が攻撃を仕掛けてはいるが化け物の足を止める事は叶わない。攻めやすい様に、式神召還による遠隔から攻撃する作戦に切り替えた。大猿、鎧武者、巨大な梟に狼等多数の式神の攻撃を受けながらもば化け物は蹴散らしていく。化け物の身体能力を鑑みれば接近戦は避けた方が良いと判断した結果である。森と街が近づき、ヘリコプターが化け物の周囲を遠くから旋回している。
「時間が足りないなぁ」
「え、どうすんの!?」
「僕が出るしかないだろうね」
「令二が出れば、街への被害は失くせるんでしょ?」
「それなんだけど、勘違いしてるよ。確かに出来なくはないけど、街へ入れさせない様にするだけなら森を囲って殲滅の方が良かったかな」
「どこに出現するかわかんなかったから、こういう対策になったんでしょ」
「まあ、そうなんだけどさ」
ここで論じてもどうにもならい事だと分かっていても、もう少し事前に呼んでくれれば対策も増えただろうと思わずにいられない。化け物が結界まで来ると、無理矢理その壁を叩き壊した。市内に入られ、令二はいつ人を襲うとも知れぬ化け物の後を追う。それから上空から観察していると、屋根伝いに何処かへ移動している様子が見て取れた。京子から連絡が来る。
「すみません。今、浦美さんから連絡があったのですが・・・」
「攻撃よりも回復が厄介そうですね。社長でも無理となると、通常の討伐と考えては死者を増やすだけだと思われます」
「有効打を与えられるのは現状守護者だけかもしれませんね」
「後は妖刀を持つ葵さん、社長、妖怪である浦美さん。現在確認出来ている限りではそれくらいしか」
「あの方は動かせないですか?」
「無理でしょうね。あの一件だって現人神絡みでしたし」
白虎、玄武、朱雀と守護者による攻撃。威力が高いだけではない、妖怪には絶大な攻撃を与える神聖なる破邪の性質を持つ。今相手は回復無限、タフであり、攻撃と防御が高い厄介な敵である。削りは出来ているとは思うが
すぐに回復されてしまう。電波から流れてくる淡々とした声に、京子は喉を詰まらせた。今の時点ですでに死者を出した。自分の采配でそれを増やす事などあってはならない。携帯には、和香から連絡が来ている。
「こめんなさい、京子ちゃん。返り討ちにされてしまったわ。結衣ちゃんの腕も折れているし、私一人戻った所で・・・」
玉砕するだけだとその先は答えない。
「いえ、無事で何よりでした。結衣さんは急ぎ医療スタッフを向かわせます。和香さんは次の市内戦の為に指定の場所へ向かって貰えますか」
「何か策があるのね?」
「ええ、我々もやられっぱなしではありません。化け物に痛みと恐怖を与えましょう。社長は今そちらに?」
「ええ、今私の側でウロウロしているわ。討伐出来なくて申し訳ないと感じているんだと思うけど」
「社長に、有難う御座いますとお伝え下さい。それと、もう少しだけお手伝い下さいとも」
あれからも自衛隊、陰陽庁の人員が攻撃を仕掛けてはいるが化け物の足を止める事は叶わない。攻めやすい様に、式神召還による遠隔から攻撃する作戦に切り替えた。大猿、鎧武者、巨大な梟に狼等多数の式神の攻撃を受けながらもば化け物は蹴散らしていく。化け物の身体能力を鑑みれば接近戦は避けた方が良いと判断した結果である。森と街が近づき、ヘリコプターが化け物の周囲を遠くから旋回している。
「時間が足りないなぁ」
「え、どうすんの!?」
「僕が出るしかないだろうね」
「令二が出れば、街への被害は失くせるんでしょ?」
「それなんだけど、勘違いしてるよ。確かに出来なくはないけど、街へ入れさせない様にするだけなら森を囲って殲滅の方が良かったかな」
「どこに出現するかわかんなかったから、こういう対策になったんでしょ」
「まあ、そうなんだけどさ」
ここで論じてもどうにもならい事だと分かっていても、もう少し事前に呼んでくれれば対策も増えただろうと思わずにいられない。化け物が結界まで来ると、無理矢理その壁を叩き壊した。市内に入られ、令二はいつ人を襲うとも知れぬ化け物の後を追う。それから上空から観察していると、屋根伝いに何処かへ移動している様子が見て取れた。京子から連絡が来る。
「すみません。今、浦美さんから連絡があったのですが・・・」
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