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「時間だ、迎えに来た」
約束の時間ピッタリ、一分の狂いもなくキース様が現れた。
公爵家の応接間に通された彼は、今日も今日とて全身黒ずくめの軍服風スタイルだ。けれど、胸元のクラバットだけが、私が昨日投げつけた言葉を意識したのか、深紅の色に変えられていた。
(……少しは学習したようですわね)
私は扇子で口元を隠し、ニマリとするのを堪える。
「ごきげんよう、キース様。早すぎもせず、遅れもせず。軍人らしい几帳面さですこと」
「待たせるのは性に合わん」
彼は私の姿を見ると、一瞬だけ目を瞠り、それから不自然に咳払いをした。
「……そのドレスも、派手だな」
「褒め言葉として受け取っておきますわ」
今日の私は、カナリアイエローのドレスに、羽根をあしらったつば広の帽子。
婚約破棄されて謹慎して泣いていると思っている世間の予想を、全力で裏切るスタイルだ。
「行きましょうか。今日は私に『似合うもの』を探してくださるのでしょう?」
「ああ。俺にはセンスがないからな。あんたが選んでくれれば、代金は全て俺が払う」
「ふふ、頼もしいお財布様ですこと!」
私たちは馬車に乗り込み、王都のメインストリートへと繰り出した。
◇
王都一番の高級ブティック『ル・レーヴ』。
ここは王族も御用達の店で、最新の流行は全てここから生まれると言われている。
店に入ると、店員たちがぎょっとして動きを止めた。
無理もない。昨日の今日で婚約破棄された公爵令嬢と、噂の相手である「氷の城壁」が並んで入ってきたのだから。
「い、いらっしゃいませ……ローズブレイド様、ヴェルンシュタイン辺境伯様……」
店長が引きつった笑顔で近づいてくる。
私は堂々と胸を張った。
「新作を見せてちょうだい。とびきり華やかで、この方が腰を抜かすようなやつをね」
「は、はい! ただいま!」
店長は慌てて奥へ引っ込み、次々とドレスを運んできた。
深紅のベルベット、目の覚めるようなロイヤルブルーのシルク、金糸をふんだんに使った刺繍入りのガウン。
「さあ、試着ショーの始まりよ!」
私は次々とドレスを着替え、カーテンを開けてキース様の前に立った。
一着目、背中が大きく開いたマーメイドライン。
「どう?」
キース様は腕を組み、眉間に皺を寄せて凝視する。
「……背中が出すぎではないか」
「あら、これくらい普通よ。自信がないと着られませんもの」
二着目、フリルを重ねた可愛らしいピンク。
「……あんたにしては、色が甘い気がする」
「たまにはこういうのもギャップがあって良くない?」
三着目、黒地に金の刺繍が入った、シックだがゴージャスな一着。
「……それは」
キース様が言葉を詰まらせた。
「これは俺の色に近いな」
「ええ。貴方の隣に並ぶなら、これくらい重厚感がないと釣り合いませんわ」
私がウィンクしてみせると、彼はまた耳を赤くして視線を逸らした。
「……なるほど」
彼は立ち上がり、控えていた店長に向かって指を振った。
「これと、さっきのと、その前のやつ。それから、あっちの棚にある靴と、ショーケースの宝石もだ」
「は、はい? どれを……?」
店長が困惑していると、キース様は真顔で言い放った。
「全部だ。店にあるもの、あんたのサイズに合うものは全て包んでくれ」
店内が静まり返った。
「ぜ、全部……ですか?」
「ああ。どれも似合っていた。選ぶ時間が惜しい」
店長の目が金貨の形になったのが見えた。
「かしこまりましたーっ! さあ皆様、総出でお包みして!」
「ちょっと待ちあそばせ!」
私は慌てて扇子でキース様の腕を叩いた。
「貴方、バカなの!?」
「何がだ。財力ならある。辺境では金を使う場所がないからな、腐るほど貯まっているんだ」
「そういう問題ではありません! 成金趣味丸出しで恥ずかしいですわ!」
私は彼を睨みつけた。
「いいですか、キース様。お洒落というのは、『選ぶ』過程こそが至高なのです。全部買い占めてしまったら、今日どれを着ようかと悩む楽しみがなくなってしまうでしょう?」
「……そういうものか」
「そうですわ。それに、貴方にすべて買い与えられたら、私が貴方の着せ替え人形になったみたいで癪(しゃく)ですの」
私はハンガーにかかったドレスたちを愛おしそうに撫でた。
「私は自分で選びたいの。自分の意志で、今日一番輝ける鎧を」
キース様は少し驚いたような顔をして、それから、ふっと優しげに目を細めた。
「……そうか。あんたは、本当に媚びないな」
「当たり前ですわ」
「わかった。全部買うのは取り消す。だが、その黒いドレスだけは買わせてくれ」
「あら、どうして?」
「俺の隣に立つために選んでくれたんだろう? ……嬉しかったんだ」
不意打ちの直球。
私はカッと頬が熱くなるのを感じた。
この男、無自覚なのか計算なのか、たまに心臓に悪いことを言う。
「……し、仕方ありませんわね! それ一着だけなら、プレゼントとして受け取って差し上げます!」
「感謝する」
結局、私はその黒いドレスと、それに合う靴だけを買ってもらった。
店を出ると、街の人々の視線が私たちに集まっているのを感じる。
「見て、あれ……」
「タリー様よ。すごく堂々としてる」
「辺境伯様とあんなに仲良く……」
「捨てられたなんて嘘じゃない?」
ひそひそ話が聞こえてくるが、不思議と昨日の夜会のような棘は感じられない。
むしろ、驚きと羨望の色が混じっている。
「噂になっているな」
キース様が周囲を警戒するように睨みを利かせる。
「いいえ、睨まないで。笑顔ですわ、笑顔!」
私が彼の頬を指でつつくと、彼はぎこちなく口角を上げた。
「……こうか?」
「ふふ、引きつってますわよ。まあ、及第点かしら」
その時だった。
人混みの向こうから、見覚えのある豪奢な馬車が通りかかったのは。
王家の紋章が入った馬車。
窓の隙間から、アラン殿下とミナの姿が見えた。
向こうも私たちに気づいたらしい。馬車の中でアラン殿下が目を見開き、何か叫んでいるのが見えた。
しかし、馬車は止まらずに通り過ぎていく。
「……王太子か」
キース様の声が低くなる。
「無視しましょう。今の私にとって、あの方々は道端の石ころと同じですわ」
私はわざとらしく扇子を開き、通り過ぎる馬車に向かって優雅に手を振ってやった。
余裕の笑みを浮かべて。
馬車の窓が乱暴に閉められる音が聞こえた。
「ははっ、いい気味!」
私が笑うと、キース様も肩を震わせて笑った。
「あんたは強いな」
「貴方が支えてくれているからよ」
ポロリと本音が漏れた。
私は慌てて口をつぐんだが、キース様は聞き逃さなかったらしい。
彼は歩調を緩め、私の手を握り直した。
その手は大きく、温かく、そして力強かった。
「タリー。俺はもっとあんたを知りたい」
「……何よ、改まって」
「来週、辺境の屋敷に来てくれないか。まだ準備中だが、どうしても見せたいものがある」
「辺境へ?」
王都から馬車で三日。気軽に行ける距離ではない。
けれど、私の心はすでに決まっていた。
「ええ、いいわよ。貴方が生まれ育った場所、査定しに行ってあげる」
「手厳しいな」
「覚悟おし。もしセンスが悪かったら、私が徹底的に改造して差し上げますから!」
「……お手柔らかに頼む」
こうして、私たちは次のデートの約束をした。
それが、王家を巻き込む大事件の引き金になるとも知らずに――。
◇
一方その頃、王宮の一室にて。
「くそっ! なんだあの態度は!」
アラン王太子は、部屋にある花瓶を床に叩きつけていた。
ガシャン! という破壊音が響く。
「タリーのやつ、謹慎どころか、あんな野獣と連れ立って街を練り歩くなど……王家を愚弄しているのか!」
ソファーに座るミナが、震える声で媚びるように言う。
「アラン様ぁ……怖いですぅ。タリー様、きっと何か企んでますよぉ」
「ああ、そうだ。あの女がただで引き下がるはずがない」
アランはギリギリと歯ぎしりをした。
公爵家の後ろ盾を失うのは痛手だが、それ以上に、自分の捨てた女が幸せそうにしているのが許せなかった。
自分の選択が間違いだったと、突きつけられているようで。
「ミナ、心配するな。僕には考えがある」
アランは歪んだ笑みを浮かべた。
「辺境伯は国境警備の要だが、最近、国庫への納金が滞っているという噂がある」
「え? そうなんですかぁ?」
「事実かどうかは関係ない。『疑惑』があればいいんだ」
アランの目が暗く濁る。
「タリーの実家であるローズブレイド公爵家も巻き込んで、横領の罪を着せてやる。そうすれば、二度とあんなふざけた顔はできなくなるはずだ」
王太子の嫉妬と、ミナの保身。
二つのドス黒い感情が混ざり合い、破滅へのカウントダウンが始まろうとしていた。
約束の時間ピッタリ、一分の狂いもなくキース様が現れた。
公爵家の応接間に通された彼は、今日も今日とて全身黒ずくめの軍服風スタイルだ。けれど、胸元のクラバットだけが、私が昨日投げつけた言葉を意識したのか、深紅の色に変えられていた。
(……少しは学習したようですわね)
私は扇子で口元を隠し、ニマリとするのを堪える。
「ごきげんよう、キース様。早すぎもせず、遅れもせず。軍人らしい几帳面さですこと」
「待たせるのは性に合わん」
彼は私の姿を見ると、一瞬だけ目を瞠り、それから不自然に咳払いをした。
「……そのドレスも、派手だな」
「褒め言葉として受け取っておきますわ」
今日の私は、カナリアイエローのドレスに、羽根をあしらったつば広の帽子。
婚約破棄されて謹慎して泣いていると思っている世間の予想を、全力で裏切るスタイルだ。
「行きましょうか。今日は私に『似合うもの』を探してくださるのでしょう?」
「ああ。俺にはセンスがないからな。あんたが選んでくれれば、代金は全て俺が払う」
「ふふ、頼もしいお財布様ですこと!」
私たちは馬車に乗り込み、王都のメインストリートへと繰り出した。
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ここは王族も御用達の店で、最新の流行は全てここから生まれると言われている。
店に入ると、店員たちがぎょっとして動きを止めた。
無理もない。昨日の今日で婚約破棄された公爵令嬢と、噂の相手である「氷の城壁」が並んで入ってきたのだから。
「い、いらっしゃいませ……ローズブレイド様、ヴェルンシュタイン辺境伯様……」
店長が引きつった笑顔で近づいてくる。
私は堂々と胸を張った。
「新作を見せてちょうだい。とびきり華やかで、この方が腰を抜かすようなやつをね」
「は、はい! ただいま!」
店長は慌てて奥へ引っ込み、次々とドレスを運んできた。
深紅のベルベット、目の覚めるようなロイヤルブルーのシルク、金糸をふんだんに使った刺繍入りのガウン。
「さあ、試着ショーの始まりよ!」
私は次々とドレスを着替え、カーテンを開けてキース様の前に立った。
一着目、背中が大きく開いたマーメイドライン。
「どう?」
キース様は腕を組み、眉間に皺を寄せて凝視する。
「……背中が出すぎではないか」
「あら、これくらい普通よ。自信がないと着られませんもの」
二着目、フリルを重ねた可愛らしいピンク。
「……あんたにしては、色が甘い気がする」
「たまにはこういうのもギャップがあって良くない?」
三着目、黒地に金の刺繍が入った、シックだがゴージャスな一着。
「……それは」
キース様が言葉を詰まらせた。
「これは俺の色に近いな」
「ええ。貴方の隣に並ぶなら、これくらい重厚感がないと釣り合いませんわ」
私がウィンクしてみせると、彼はまた耳を赤くして視線を逸らした。
「……なるほど」
彼は立ち上がり、控えていた店長に向かって指を振った。
「これと、さっきのと、その前のやつ。それから、あっちの棚にある靴と、ショーケースの宝石もだ」
「は、はい? どれを……?」
店長が困惑していると、キース様は真顔で言い放った。
「全部だ。店にあるもの、あんたのサイズに合うものは全て包んでくれ」
店内が静まり返った。
「ぜ、全部……ですか?」
「ああ。どれも似合っていた。選ぶ時間が惜しい」
店長の目が金貨の形になったのが見えた。
「かしこまりましたーっ! さあ皆様、総出でお包みして!」
「ちょっと待ちあそばせ!」
私は慌てて扇子でキース様の腕を叩いた。
「貴方、バカなの!?」
「何がだ。財力ならある。辺境では金を使う場所がないからな、腐るほど貯まっているんだ」
「そういう問題ではありません! 成金趣味丸出しで恥ずかしいですわ!」
私は彼を睨みつけた。
「いいですか、キース様。お洒落というのは、『選ぶ』過程こそが至高なのです。全部買い占めてしまったら、今日どれを着ようかと悩む楽しみがなくなってしまうでしょう?」
「……そういうものか」
「そうですわ。それに、貴方にすべて買い与えられたら、私が貴方の着せ替え人形になったみたいで癪(しゃく)ですの」
私はハンガーにかかったドレスたちを愛おしそうに撫でた。
「私は自分で選びたいの。自分の意志で、今日一番輝ける鎧を」
キース様は少し驚いたような顔をして、それから、ふっと優しげに目を細めた。
「……そうか。あんたは、本当に媚びないな」
「当たり前ですわ」
「わかった。全部買うのは取り消す。だが、その黒いドレスだけは買わせてくれ」
「あら、どうして?」
「俺の隣に立つために選んでくれたんだろう? ……嬉しかったんだ」
不意打ちの直球。
私はカッと頬が熱くなるのを感じた。
この男、無自覚なのか計算なのか、たまに心臓に悪いことを言う。
「……し、仕方ありませんわね! それ一着だけなら、プレゼントとして受け取って差し上げます!」
「感謝する」
結局、私はその黒いドレスと、それに合う靴だけを買ってもらった。
店を出ると、街の人々の視線が私たちに集まっているのを感じる。
「見て、あれ……」
「タリー様よ。すごく堂々としてる」
「辺境伯様とあんなに仲良く……」
「捨てられたなんて嘘じゃない?」
ひそひそ話が聞こえてくるが、不思議と昨日の夜会のような棘は感じられない。
むしろ、驚きと羨望の色が混じっている。
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キース様が周囲を警戒するように睨みを利かせる。
「いいえ、睨まないで。笑顔ですわ、笑顔!」
私が彼の頬を指でつつくと、彼はぎこちなく口角を上げた。
「……こうか?」
「ふふ、引きつってますわよ。まあ、及第点かしら」
その時だった。
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王家の紋章が入った馬車。
窓の隙間から、アラン殿下とミナの姿が見えた。
向こうも私たちに気づいたらしい。馬車の中でアラン殿下が目を見開き、何か叫んでいるのが見えた。
しかし、馬車は止まらずに通り過ぎていく。
「……王太子か」
キース様の声が低くなる。
「無視しましょう。今の私にとって、あの方々は道端の石ころと同じですわ」
私はわざとらしく扇子を開き、通り過ぎる馬車に向かって優雅に手を振ってやった。
余裕の笑みを浮かべて。
馬車の窓が乱暴に閉められる音が聞こえた。
「ははっ、いい気味!」
私が笑うと、キース様も肩を震わせて笑った。
「あんたは強いな」
「貴方が支えてくれているからよ」
ポロリと本音が漏れた。
私は慌てて口をつぐんだが、キース様は聞き逃さなかったらしい。
彼は歩調を緩め、私の手を握り直した。
その手は大きく、温かく、そして力強かった。
「タリー。俺はもっとあんたを知りたい」
「……何よ、改まって」
「来週、辺境の屋敷に来てくれないか。まだ準備中だが、どうしても見せたいものがある」
「辺境へ?」
王都から馬車で三日。気軽に行ける距離ではない。
けれど、私の心はすでに決まっていた。
「ええ、いいわよ。貴方が生まれ育った場所、査定しに行ってあげる」
「手厳しいな」
「覚悟おし。もしセンスが悪かったら、私が徹底的に改造して差し上げますから!」
「……お手柔らかに頼む」
こうして、私たちは次のデートの約束をした。
それが、王家を巻き込む大事件の引き金になるとも知らずに――。
◇
一方その頃、王宮の一室にて。
「くそっ! なんだあの態度は!」
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ガシャン! という破壊音が響く。
「タリーのやつ、謹慎どころか、あんな野獣と連れ立って街を練り歩くなど……王家を愚弄しているのか!」
ソファーに座るミナが、震える声で媚びるように言う。
「アラン様ぁ……怖いですぅ。タリー様、きっと何か企んでますよぉ」
「ああ、そうだ。あの女がただで引き下がるはずがない」
アランはギリギリと歯ぎしりをした。
公爵家の後ろ盾を失うのは痛手だが、それ以上に、自分の捨てた女が幸せそうにしているのが許せなかった。
自分の選択が間違いだったと、突きつけられているようで。
「ミナ、心配するな。僕には考えがある」
アランは歪んだ笑みを浮かべた。
「辺境伯は国境警備の要だが、最近、国庫への納金が滞っているという噂がある」
「え? そうなんですかぁ?」
「事実かどうかは関係ない。『疑惑』があればいいんだ」
アランの目が暗く濁る。
「タリーの実家であるローズブレイド公爵家も巻き込んで、横領の罪を着せてやる。そうすれば、二度とあんなふざけた顔はできなくなるはずだ」
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