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翌朝、王都は重苦しい雨に包まれていた。
「出ろ、犯罪者」
乱暴な声と共に、私の部屋のドアが開けられた。
手枷(てかせ)を持った騎士たちが、土足で部屋に入ってくる。
私は鏡の前で、最後の身支度を終えたところだった。
黒いドレスに、真紅のルージュ。帽子はあえて被らず、髪を高く結い上げた。
「……犯罪者呼ばわりは心外ですわね。まだ判決も出ていないのに」
「減らず口を。さっさと歩け」
騎士の一人が私の腕を掴もうとする。
「触らないで! 自分で歩きます」
私はその手を振り払い、凛として顔を上げた。
屋敷のホールを通ると、使用人たちが並んで泣いていた。
「お嬢様……!」
「信じております! お嬢様は無実です!」
父様は姿が見えない。おそらく、別の場所ですでに連行されたか、部屋に閉じ込められているのだろう。
私は立ち止まり、泣き崩れるメイド長に向かって微笑んだ。
「泣き顔がお見苦しくてよ、マリー。私が留守の間、屋敷の掃除を怠らないようにね。埃一つでも見つけたら、戻ってきた時に雷を落としますから」
「うっ……うう、はい……! お待ちしております、必ず……!」
私は一度だけ振り返り、生まれ育った公爵邸を目に焼き付けた。
(行ってきます。……必ず、奪い返しに戻りますわ)
外には、鉄格子のはめられた粗末な馬車が待っていた。
罪人護送用の馬車だ。窓はなく、雨風が吹き込む隙間だらけの代物。
私は優雅に――まるで舞踏会の馬車に乗るかのように――その薄汚い箱へと乗り込んだ。
◇
ガタゴトと車輪が軋む音がする。
馬車の中には、私と監視役の騎士が一人。
雨音が屋根を激しく打ち付け、車内の会話を遮断している。
「……おい」
向かいに座る騎士が、ニヤニヤと卑しい笑みを浮かべて私を見ていた。昨夜、地下牢送りを告げに来た男だ。
「なんだ、その態度は。これから地下牢でネズミの餌になるんだぞ? 少しは泣いて命乞いでもしたらどうだ」
「貴方こそ、そのドブ川のような口を閉じたらどうです? 車内の空気が腐りますわ」
「あぁ? ……ふん、強気なのも今のうちだ」
騎士は腰の剣を弄びながら、じろじろと私の体を舐め回すように見た。
「公爵令嬢と言っても、今はただの罪人だ。地下牢に着くまでの間、俺が『取り調べ』をしてやってもいいんだぜ?」
男の手が、私の膝に伸びてくる。
その瞬間。
(今よ!)
私はスカートの裾を捲り上げ、太ももに隠していた短剣を引き抜いた。
「なっ……!?」
男が反応するより早く、私は短剣の切っ先を男の喉元に突きつけた。
「ひっ!?」
「動かないで。この宝石入りの短剣、飾りじゃありませんのよ」
「き、貴様、どこにそんなものを……!」
「言ったでしょう? 私の肌に触れるなと」
私は冷ややかな瞳で男を射抜いた。
「御者に馬車を止めさせなさい。さもなくば、貴方のその汚い舌を切り落として差し上げますわ」
男の顔から血の気が引いていく。
私は本気だ。
震える男が窓の外に向かって叫ぼうとした――その時だった。
ドオォォォン!!
凄まじい衝撃と共に、馬車が大きく跳ね上がった。
「きゃあ!?」
私はバランスを崩し、床に投げ出された。
短剣が手から滑り落ちる。
「な、なんだ!?」
騎士も慌てて窓の外を見ようとする。
馬車は急停止し、外から御者の悲鳴と、何かが砕ける音が聞こえてきた。
「敵襲か!?」
騎士が剣を抜き、ドアを蹴破って外へ飛び出そうとする。
しかし。
「――邪魔だ」
氷点下の声と共に、巨大な黒い影がドアの前に立ちはだかった。
次の瞬間、騎士の体はボールのように車内へ吹き飛ばされ、壁に激突して気絶した。
「……え?」
私は床に座り込んだまま、呆然と開いたドアを見上げた。
雨脚が強まる中、そこに立っていたのは。
ずぶ濡れの黒髪をかき上げ、青い瞳を爛々と輝かせた、私の「氷の騎士」だった。
「キース……!」
彼は車内を素早く見渡し、私が無事なことを確認すると、安堵のため息をついた。
「……間に合ったか」
彼は大きな手を差し伸べてきた。
「怪我はないか、タリー」
「え、ええ。平気よ」
私は彼の手を取って立ち上がった。
足元には、気絶した騎士と、私が落とした短剣が転がっている。
キースは短剣を拾い上げ、フッと笑った。
「抜いたのか」
「……ええ。もう少しで自力で脱出するところでしたわ」
「そうか。やはりあんたは守られるだけの女じゃないな」
彼は私の肩を抱き寄せ、馬車の外へとエスコートした。
外に出て、私は息を呑んだ。
護送していた他の騎士たちが、全員地面に転がっていたのだ。それも、氷の魔法で足を固められたり、剣の峰で叩かれたりして、完全に無力化されている。
「こ、これを全部、貴方一人で……?」
「手加減するのに骨が折れた」
キースは事もなげに言うと、近くに繋いであった自分の愛馬――黒毛の巨馬を引いてきた。
「タリー。ここから先は馬だ。馬車は目立つ」
「馬? 私、ドレスなんですけど……それに、横座りしかできませんわよ?」
「問題ない。俺の前に乗れ」
彼は私をひょいと持ち上げ、軽々と馬の背に乗せた。
そして自分もひらりと飛び乗り、私を背後から包み込むように手綱を握る。
彼の逞しい腕と広い胸板に挟まれ、私は雨の寒さを忘れるほどドキドキしていた。
「……どこへ行くの?」
「とりあえず、王都を出る。北の国境へ向かう検問所は、俺の部下が抑えている」
「逃げるの?」
私は少し抵抗を感じた。
「逃げるんじゃない。戦略的撤退だ」
キースは私の耳元で囁いた。
「アランたちは、あんたを地下牢に入れたと思って油断する。その隙に、俺たちは辺境へ向かい、反撃の準備を整える」
「……公爵家はどうなるの? お父様は?」
「安心しろ。公爵の身柄は、俺の別の部隊が確保に向かっている。王都の隠れ家で匿う手はずだ」
「準備万端すぎませんこと?」
「愛する女のためだ。これくらいの手回しは当然だろう」
サラリと言ってのける彼に、私は顔を覆いたくなった。
「……貴方、本当に『氷の城壁』なの? 中身がすり替わってるんじゃないかしら」
「あんたの前でだけだ」
キースは短く言い、手綱を引いた。
「掴まっていろ。飛ばすぞ」
「きゃっ!」
馬がいななき、雨の中を疾走し始めた。
水しぶきを上げて走る黒馬。
背後から伝わる彼の体温。
本来なら、泥まみれで惨めな逃避行のはずだ。
なのに、どうしてこんなに胸が高鳴るのだろう。
「ねえ、キース!」
私は風の音に負けないよう、大声で叫んだ。
「何だ!」
「私、決めたわ!」
「何をだ!」
「辺境に行ったら、貴方の領地を世界一お洒落で煌びやかな場所に変えてみせるわ! 王都の人間が悔しがって歯ぎしりするくらい、素敵な場所にね!」
「……ははっ!」
キースが珍しく、声を上げて笑った。
「そいつは楽しみだ! 俺の灰色の領地が、あんた色に染まるのを待っている!」
雨雲の切れ間から、一筋の光が差し込む。
私たちは王都の門を突破し、広大な荒野へと駆け出した。
さようなら、私の王都。
さようなら、アラン殿下、ミナ。
次に会う時は、私が貴方たちを見下ろす番よ。
悪役令嬢タリー・ローズブレイドの、華麗なる逆襲劇の幕開けだわ!
◇
数日後。
王宮の執務室で、アラン王太子は報告書を握りつぶしていた。
「逃げられた、だと!?」
「は、はい……護送中の馬車が襲撃され、タリー嬢の姿が消えました。現場の状況から、手練れの魔法使いと剣士による犯行かと……」
「キースだ……! あの野郎、北に足止めされていたんじゃなかったのか!」
アランは机を蹴り飛ばした。
隣でミナが青ざめた顔をしている。
「ど、どうしましょうアラン様……タリー様、逃げちゃったんですかぁ?」
「くそっ、指名手配だ! 国中に手配書を回せ! 見つけ次第、即刻処刑しろ!」
アランの怒号が響く。
しかし、彼はまだ知らなかった。
逃げた獲物が、ただの獲物ではないことを。
北の果て、極寒の地ヴェルンシュタインで、国を揺るがすほどの「革命」が始まろうとしていることを。
「出ろ、犯罪者」
乱暴な声と共に、私の部屋のドアが開けられた。
手枷(てかせ)を持った騎士たちが、土足で部屋に入ってくる。
私は鏡の前で、最後の身支度を終えたところだった。
黒いドレスに、真紅のルージュ。帽子はあえて被らず、髪を高く結い上げた。
「……犯罪者呼ばわりは心外ですわね。まだ判決も出ていないのに」
「減らず口を。さっさと歩け」
騎士の一人が私の腕を掴もうとする。
「触らないで! 自分で歩きます」
私はその手を振り払い、凛として顔を上げた。
屋敷のホールを通ると、使用人たちが並んで泣いていた。
「お嬢様……!」
「信じております! お嬢様は無実です!」
父様は姿が見えない。おそらく、別の場所ですでに連行されたか、部屋に閉じ込められているのだろう。
私は立ち止まり、泣き崩れるメイド長に向かって微笑んだ。
「泣き顔がお見苦しくてよ、マリー。私が留守の間、屋敷の掃除を怠らないようにね。埃一つでも見つけたら、戻ってきた時に雷を落としますから」
「うっ……うう、はい……! お待ちしております、必ず……!」
私は一度だけ振り返り、生まれ育った公爵邸を目に焼き付けた。
(行ってきます。……必ず、奪い返しに戻りますわ)
外には、鉄格子のはめられた粗末な馬車が待っていた。
罪人護送用の馬車だ。窓はなく、雨風が吹き込む隙間だらけの代物。
私は優雅に――まるで舞踏会の馬車に乗るかのように――その薄汚い箱へと乗り込んだ。
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ガタゴトと車輪が軋む音がする。
馬車の中には、私と監視役の騎士が一人。
雨音が屋根を激しく打ち付け、車内の会話を遮断している。
「……おい」
向かいに座る騎士が、ニヤニヤと卑しい笑みを浮かべて私を見ていた。昨夜、地下牢送りを告げに来た男だ。
「なんだ、その態度は。これから地下牢でネズミの餌になるんだぞ? 少しは泣いて命乞いでもしたらどうだ」
「貴方こそ、そのドブ川のような口を閉じたらどうです? 車内の空気が腐りますわ」
「あぁ? ……ふん、強気なのも今のうちだ」
騎士は腰の剣を弄びながら、じろじろと私の体を舐め回すように見た。
「公爵令嬢と言っても、今はただの罪人だ。地下牢に着くまでの間、俺が『取り調べ』をしてやってもいいんだぜ?」
男の手が、私の膝に伸びてくる。
その瞬間。
(今よ!)
私はスカートの裾を捲り上げ、太ももに隠していた短剣を引き抜いた。
「なっ……!?」
男が反応するより早く、私は短剣の切っ先を男の喉元に突きつけた。
「ひっ!?」
「動かないで。この宝石入りの短剣、飾りじゃありませんのよ」
「き、貴様、どこにそんなものを……!」
「言ったでしょう? 私の肌に触れるなと」
私は冷ややかな瞳で男を射抜いた。
「御者に馬車を止めさせなさい。さもなくば、貴方のその汚い舌を切り落として差し上げますわ」
男の顔から血の気が引いていく。
私は本気だ。
震える男が窓の外に向かって叫ぼうとした――その時だった。
ドオォォォン!!
凄まじい衝撃と共に、馬車が大きく跳ね上がった。
「きゃあ!?」
私はバランスを崩し、床に投げ出された。
短剣が手から滑り落ちる。
「な、なんだ!?」
騎士も慌てて窓の外を見ようとする。
馬車は急停止し、外から御者の悲鳴と、何かが砕ける音が聞こえてきた。
「敵襲か!?」
騎士が剣を抜き、ドアを蹴破って外へ飛び出そうとする。
しかし。
「――邪魔だ」
氷点下の声と共に、巨大な黒い影がドアの前に立ちはだかった。
次の瞬間、騎士の体はボールのように車内へ吹き飛ばされ、壁に激突して気絶した。
「……え?」
私は床に座り込んだまま、呆然と開いたドアを見上げた。
雨脚が強まる中、そこに立っていたのは。
ずぶ濡れの黒髪をかき上げ、青い瞳を爛々と輝かせた、私の「氷の騎士」だった。
「キース……!」
彼は車内を素早く見渡し、私が無事なことを確認すると、安堵のため息をついた。
「……間に合ったか」
彼は大きな手を差し伸べてきた。
「怪我はないか、タリー」
「え、ええ。平気よ」
私は彼の手を取って立ち上がった。
足元には、気絶した騎士と、私が落とした短剣が転がっている。
キースは短剣を拾い上げ、フッと笑った。
「抜いたのか」
「……ええ。もう少しで自力で脱出するところでしたわ」
「そうか。やはりあんたは守られるだけの女じゃないな」
彼は私の肩を抱き寄せ、馬車の外へとエスコートした。
外に出て、私は息を呑んだ。
護送していた他の騎士たちが、全員地面に転がっていたのだ。それも、氷の魔法で足を固められたり、剣の峰で叩かれたりして、完全に無力化されている。
「こ、これを全部、貴方一人で……?」
「手加減するのに骨が折れた」
キースは事もなげに言うと、近くに繋いであった自分の愛馬――黒毛の巨馬を引いてきた。
「タリー。ここから先は馬だ。馬車は目立つ」
「馬? 私、ドレスなんですけど……それに、横座りしかできませんわよ?」
「問題ない。俺の前に乗れ」
彼は私をひょいと持ち上げ、軽々と馬の背に乗せた。
そして自分もひらりと飛び乗り、私を背後から包み込むように手綱を握る。
彼の逞しい腕と広い胸板に挟まれ、私は雨の寒さを忘れるほどドキドキしていた。
「……どこへ行くの?」
「とりあえず、王都を出る。北の国境へ向かう検問所は、俺の部下が抑えている」
「逃げるの?」
私は少し抵抗を感じた。
「逃げるんじゃない。戦略的撤退だ」
キースは私の耳元で囁いた。
「アランたちは、あんたを地下牢に入れたと思って油断する。その隙に、俺たちは辺境へ向かい、反撃の準備を整える」
「……公爵家はどうなるの? お父様は?」
「安心しろ。公爵の身柄は、俺の別の部隊が確保に向かっている。王都の隠れ家で匿う手はずだ」
「準備万端すぎませんこと?」
「愛する女のためだ。これくらいの手回しは当然だろう」
サラリと言ってのける彼に、私は顔を覆いたくなった。
「……貴方、本当に『氷の城壁』なの? 中身がすり替わってるんじゃないかしら」
「あんたの前でだけだ」
キースは短く言い、手綱を引いた。
「掴まっていろ。飛ばすぞ」
「きゃっ!」
馬がいななき、雨の中を疾走し始めた。
水しぶきを上げて走る黒馬。
背後から伝わる彼の体温。
本来なら、泥まみれで惨めな逃避行のはずだ。
なのに、どうしてこんなに胸が高鳴るのだろう。
「ねえ、キース!」
私は風の音に負けないよう、大声で叫んだ。
「何だ!」
「私、決めたわ!」
「何をだ!」
「辺境に行ったら、貴方の領地を世界一お洒落で煌びやかな場所に変えてみせるわ! 王都の人間が悔しがって歯ぎしりするくらい、素敵な場所にね!」
「……ははっ!」
キースが珍しく、声を上げて笑った。
「そいつは楽しみだ! 俺の灰色の領地が、あんた色に染まるのを待っている!」
雨雲の切れ間から、一筋の光が差し込む。
私たちは王都の門を突破し、広大な荒野へと駆け出した。
さようなら、私の王都。
さようなら、アラン殿下、ミナ。
次に会う時は、私が貴方たちを見下ろす番よ。
悪役令嬢タリー・ローズブレイドの、華麗なる逆襲劇の幕開けだわ!
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数日後。
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「逃げられた、だと!?」
「は、はい……護送中の馬車が襲撃され、タリー嬢の姿が消えました。現場の状況から、手練れの魔法使いと剣士による犯行かと……」
「キースだ……! あの野郎、北に足止めされていたんじゃなかったのか!」
アランは机を蹴り飛ばした。
隣でミナが青ざめた顔をしている。
「ど、どうしましょうアラン様……タリー様、逃げちゃったんですかぁ?」
「くそっ、指名手配だ! 国中に手配書を回せ! 見つけ次第、即刻処刑しろ!」
アランの怒号が響く。
しかし、彼はまだ知らなかった。
逃げた獲物が、ただの獲物ではないことを。
北の果て、極寒の地ヴェルンシュタインで、国を揺るがすほどの「革命」が始まろうとしていることを。
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