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「……寒すぎませんこと?」
それが、辺境ヴェルンシュタインに足を踏み入れた私の第一声だった。
王都を出て数日。馬を乗り継ぎ、北へ北へとひた走った私たちは、ついにキースの領地へと入っていた。
景色は一変していた。
見渡す限りの雪原。針葉樹の森は黒々と茂り、空は鉛色に重く垂れ込めている。
吐く息が白いどころか、凍りついてダイヤモンドダストになりそうだ。
「すまん。これでも今日は暖かい方なんだが」
キースが申し訳なさそうに眉を下げる。
彼は自分の外套を私に巻き付け、さらに予備の毛布までグルグル巻きにしているから、私は今、馬上のミノムシみたいな格好だ。
「暖かい? 貴方の感覚神経はどうなっていますの? これじゃあ、お肌が乾燥してパリパリになってしまいますわ!」
「屋敷に着けば暖炉がある。あと少しの辛抱だ」
キースが指差した先。
雪の丘の向こうに、巨大な建造物が姿を現した。
「……あれが、貴方のお家?」
「ああ。ヴェルンシュタイン城だ」
それは「城」というより「要塞」だった。
黒い石を積み上げて作られた、武骨で巨大な塊。装飾の一切を削ぎ落とし、ただ敵の侵入を拒むためだけに存在するような威容。
尖塔は鋭く天を突き、窓は小さく、まるで鉄仮面を被った巨人のようだ。
「……なんていうか、貴方そっくりね」
「そうか?」
「ええ。可愛げのかけらもないわ」
私が軽口を叩くと、キースはふっと笑った。
「違いない。ここは国を守るための盾だ。美しさなど必要ない場所だからな」
その言葉には、辺境伯としての誇りと、少しの諦めが混じっているように聞こえた。
◇
城門をくぐると、ずらりと並んだ使用人たちが私たちを出迎えた。
彼らもまた、この土地の気候のように表情が硬い。
「お帰りなさいませ、閣下」
代表して前に出たのは、銀髪をひっつめ髪にした初老の女性だった。
背筋が定規のようにピンと伸びている。
「ただいま、マーサ。留守を頼んだな」
「ご無事で何よりです。……して、そちらの蓑虫(みのむし)のようなお方は?」
マーサと呼ばれたメイド長らしき女性が、私をジロリと見た。
その視線は、明らかに「余計なものを拾ってきた」と言いたげだ。
キースが馬から降り、私を抱き下ろす。
私は毛布の隙間から顔を出し、精一杯の愛想笑いを浮かべた。
「ごきげんよう。蓑虫ではなくてよ。タリー・ローズブレイドですわ」
「……ローズブレイド公爵令嬢? 指名手配中の?」
マーサの眉がピクリと動く。
情報が早い。辺境といえど、手配書はもう回っているらしい。
使用人たちの間に動揺が走る。
「犯罪者を匿うおつもりですか、閣下」
「彼女は無実だ。俺の客であり……将来の妻だ」
キースが爆弾発言を投下した。
「つま……っ!?」
マーサが初めて表情を崩し、絶句する。
周囲の使用人たちも「えええ!?」と声を上げた。
「き、聞いておりませんぞ! 閣下が女性を、しかもあんな派手な噂のある令嬢を!?」
「今決めた。文句はあるか」
キースは有無を言わせぬ態度で私をエスコートし、城の中へと歩き出した。
「ちょっとキース、説明不足すぎて皆様が混乱してますわよ」
「事実だから仕方ない。細かいことは後でいい」
相変わらずの不器用さだ。
重厚な扉が開かれ、エントランスホールへと足を踏み入れる。
「……うわぁ」
私は思わず声を漏らした。
外観もひどかったが、中はもっとひどかった。
広い。天井も高い。
けれど、色が「ない」のだ。
壁は灰色の石造り。床は黒い大理石。カーテンは濃紺。置かれている調度品は黒檀(こくたん)。
花の一輪も飾られておらず、絵画の一枚もない。
まるでモノクロ写真の世界に迷い込んだようだ。
「……何ですの、ここは。お葬式会場?」
私の率直な感想に、後ろについてきたマーサがムッとした顔をした。
「質実剛健を旨とするヴェルンシュタイン家の伝統でございます。チャラチャラとした装飾は、武人の家系には不要ですので」
「武人だろうと何だろうと、生活に彩りは必要でしょう? これじゃあ、気分まで灰色に沈んでしまいますわ」
私はホールの中央でくるりと回った。
「ねえキース。私、ここを拠点に戦うのよね?」
「ああ」
「じゃあ、まずは環境整備から始めないとダメね。こんな陰気な場所じゃ、私の美貌も半減してしまいますもの」
私はドレスの裾を翻し、使用人たちに向かって宣言した。
「聞いてちょうだい! 今日からこの城のルールを変えますわ!」
「はあ?」
使用人たちがポカンとする。
私は人差し指を立て、高らかに告げた。
「第一に、挨拶は笑顔で! 第二に、室内の温度を三度は上げること! そして第三に……この陰気くさいカーテンを今すぐ全部ひっぺがして、暖炉にくべてしまいなさい!」
「なっ……!?」
マーサが目を剥いた。
「何を勝手なことを! ここは閣下の城ですぞ!」
「閣下は私に『好きにしていい』とおっしゃいましたわ。ねえ、キース?」
私が振り返ると、キースは苦笑しながらも頷いた。
「……言ったな。世界一煌びやかな場所にしてくれるんだろう?」
「ええ。任せておきなさい」
私はマーサに向き直り、ニッコリと笑った。
「というわけよ。マーサ、悪いけど倉庫を案内してちょうだい。布でもペンキでも、使えるものは全部引っ張り出すわよ!」
「ぐぬぬ……! 閣下がそうおっしゃるなら……!」
マーサは悔しそうに唇を噛んだが、主人の命令には逆らえないらしい。
「お嬢様……いえ、タリー様。一つ忠告しておきますが、この辺境の冬は厳しいのです。貴女のような温室育ちの花が、いつまで持つか見ものですな」
「あら、ご心配ありがとう。でも残念ね」
私は彼女の目の前まで歩み寄り、挑戦的に言い放った。
「私は温室の花じゃないわ。荒れ地でもコンクリートの隙間でも咲く、ド根性の薔薇よ。精々、私のトゲに刺さらないよう気をつけることね」
マーサが一瞬、呆気にとられたような顔をした。
それから、フンと鼻を鳴らす。
「……お手並み拝見といきましょうか」
どうやら、第一関門である「お局様」への宣戦布告は完了したらしい。
「さあ、忙しくなりますわよ!」
私は両手をパンと叩いた。
所持品はゼロ。ドレスもボロボロ。外は極寒の雪景色。
状況は最悪。
けれど、不思議と心は燃えていた。
何もないなら、作ればいい。
灰色だらけの世界なら、私が色を塗ればいい。
「キース、覚悟はよろしくて? 貴方のお財布、空っぽにする勢いで改装しますからね!」
「……ああ。俺の全財産、好きに使え」
彼は本当に嬉しそうに、愛おしそうに私を見ていた。
こうして、辺境の古城を舞台にした「タリーの大改造ビフォーアフター」が幕を開けたのである。
それが、辺境ヴェルンシュタインに足を踏み入れた私の第一声だった。
王都を出て数日。馬を乗り継ぎ、北へ北へとひた走った私たちは、ついにキースの領地へと入っていた。
景色は一変していた。
見渡す限りの雪原。針葉樹の森は黒々と茂り、空は鉛色に重く垂れ込めている。
吐く息が白いどころか、凍りついてダイヤモンドダストになりそうだ。
「すまん。これでも今日は暖かい方なんだが」
キースが申し訳なさそうに眉を下げる。
彼は自分の外套を私に巻き付け、さらに予備の毛布までグルグル巻きにしているから、私は今、馬上のミノムシみたいな格好だ。
「暖かい? 貴方の感覚神経はどうなっていますの? これじゃあ、お肌が乾燥してパリパリになってしまいますわ!」
「屋敷に着けば暖炉がある。あと少しの辛抱だ」
キースが指差した先。
雪の丘の向こうに、巨大な建造物が姿を現した。
「……あれが、貴方のお家?」
「ああ。ヴェルンシュタイン城だ」
それは「城」というより「要塞」だった。
黒い石を積み上げて作られた、武骨で巨大な塊。装飾の一切を削ぎ落とし、ただ敵の侵入を拒むためだけに存在するような威容。
尖塔は鋭く天を突き、窓は小さく、まるで鉄仮面を被った巨人のようだ。
「……なんていうか、貴方そっくりね」
「そうか?」
「ええ。可愛げのかけらもないわ」
私が軽口を叩くと、キースはふっと笑った。
「違いない。ここは国を守るための盾だ。美しさなど必要ない場所だからな」
その言葉には、辺境伯としての誇りと、少しの諦めが混じっているように聞こえた。
◇
城門をくぐると、ずらりと並んだ使用人たちが私たちを出迎えた。
彼らもまた、この土地の気候のように表情が硬い。
「お帰りなさいませ、閣下」
代表して前に出たのは、銀髪をひっつめ髪にした初老の女性だった。
背筋が定規のようにピンと伸びている。
「ただいま、マーサ。留守を頼んだな」
「ご無事で何よりです。……して、そちらの蓑虫(みのむし)のようなお方は?」
マーサと呼ばれたメイド長らしき女性が、私をジロリと見た。
その視線は、明らかに「余計なものを拾ってきた」と言いたげだ。
キースが馬から降り、私を抱き下ろす。
私は毛布の隙間から顔を出し、精一杯の愛想笑いを浮かべた。
「ごきげんよう。蓑虫ではなくてよ。タリー・ローズブレイドですわ」
「……ローズブレイド公爵令嬢? 指名手配中の?」
マーサの眉がピクリと動く。
情報が早い。辺境といえど、手配書はもう回っているらしい。
使用人たちの間に動揺が走る。
「犯罪者を匿うおつもりですか、閣下」
「彼女は無実だ。俺の客であり……将来の妻だ」
キースが爆弾発言を投下した。
「つま……っ!?」
マーサが初めて表情を崩し、絶句する。
周囲の使用人たちも「えええ!?」と声を上げた。
「き、聞いておりませんぞ! 閣下が女性を、しかもあんな派手な噂のある令嬢を!?」
「今決めた。文句はあるか」
キースは有無を言わせぬ態度で私をエスコートし、城の中へと歩き出した。
「ちょっとキース、説明不足すぎて皆様が混乱してますわよ」
「事実だから仕方ない。細かいことは後でいい」
相変わらずの不器用さだ。
重厚な扉が開かれ、エントランスホールへと足を踏み入れる。
「……うわぁ」
私は思わず声を漏らした。
外観もひどかったが、中はもっとひどかった。
広い。天井も高い。
けれど、色が「ない」のだ。
壁は灰色の石造り。床は黒い大理石。カーテンは濃紺。置かれている調度品は黒檀(こくたん)。
花の一輪も飾られておらず、絵画の一枚もない。
まるでモノクロ写真の世界に迷い込んだようだ。
「……何ですの、ここは。お葬式会場?」
私の率直な感想に、後ろについてきたマーサがムッとした顔をした。
「質実剛健を旨とするヴェルンシュタイン家の伝統でございます。チャラチャラとした装飾は、武人の家系には不要ですので」
「武人だろうと何だろうと、生活に彩りは必要でしょう? これじゃあ、気分まで灰色に沈んでしまいますわ」
私はホールの中央でくるりと回った。
「ねえキース。私、ここを拠点に戦うのよね?」
「ああ」
「じゃあ、まずは環境整備から始めないとダメね。こんな陰気な場所じゃ、私の美貌も半減してしまいますもの」
私はドレスの裾を翻し、使用人たちに向かって宣言した。
「聞いてちょうだい! 今日からこの城のルールを変えますわ!」
「はあ?」
使用人たちがポカンとする。
私は人差し指を立て、高らかに告げた。
「第一に、挨拶は笑顔で! 第二に、室内の温度を三度は上げること! そして第三に……この陰気くさいカーテンを今すぐ全部ひっぺがして、暖炉にくべてしまいなさい!」
「なっ……!?」
マーサが目を剥いた。
「何を勝手なことを! ここは閣下の城ですぞ!」
「閣下は私に『好きにしていい』とおっしゃいましたわ。ねえ、キース?」
私が振り返ると、キースは苦笑しながらも頷いた。
「……言ったな。世界一煌びやかな場所にしてくれるんだろう?」
「ええ。任せておきなさい」
私はマーサに向き直り、ニッコリと笑った。
「というわけよ。マーサ、悪いけど倉庫を案内してちょうだい。布でもペンキでも、使えるものは全部引っ張り出すわよ!」
「ぐぬぬ……! 閣下がそうおっしゃるなら……!」
マーサは悔しそうに唇を噛んだが、主人の命令には逆らえないらしい。
「お嬢様……いえ、タリー様。一つ忠告しておきますが、この辺境の冬は厳しいのです。貴女のような温室育ちの花が、いつまで持つか見ものですな」
「あら、ご心配ありがとう。でも残念ね」
私は彼女の目の前まで歩み寄り、挑戦的に言い放った。
「私は温室の花じゃないわ。荒れ地でもコンクリートの隙間でも咲く、ド根性の薔薇よ。精々、私のトゲに刺さらないよう気をつけることね」
マーサが一瞬、呆気にとられたような顔をした。
それから、フンと鼻を鳴らす。
「……お手並み拝見といきましょうか」
どうやら、第一関門である「お局様」への宣戦布告は完了したらしい。
「さあ、忙しくなりますわよ!」
私は両手をパンと叩いた。
所持品はゼロ。ドレスもボロボロ。外は極寒の雪景色。
状況は最悪。
けれど、不思議と心は燃えていた。
何もないなら、作ればいい。
灰色だらけの世界なら、私が色を塗ればいい。
「キース、覚悟はよろしくて? 貴方のお財布、空っぽにする勢いで改装しますからね!」
「……ああ。俺の全財産、好きに使え」
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