9 / 28
9
しおりを挟む
「……地味ね」
翌朝、食堂に通された私は、テーブルの上を見て深くため息をついた。
出されたのは、堅焼きパンと、色のないスープ。そしてただ焼いただけの肉。皿も白一色で、飾り気のかけらもない。
「栄養バランスは計算されております」
給仕に立ったマーサが、涼しい顔で言う。
「カロリーと栄養があれば、餌でもいいというわけ? 食事は目でも楽しむものですわ」
私はナプキンを広げながら、向かいに座るキースを見た。
「貴方、毎日こんな病院食みたいなものを食べていて、よくその筋肉を維持できましたわね?」
「……味は悪くないぞ。素材の味だ」
キースが真顔で肉を咀嚼している。この男、味覚まで無骨なのか。
「決めたわ。まずは食堂の改革からよ!」
私はパンを一口かじり、すぐに立ち上がった。
「マーサ、昨日の話通り、倉庫を開けてちょうだい。それから、手の空いている使用人を全員集合させて!」
「……本気でやるおつもりですか?」
「当たり前でしょう。私がこの城にいる限り、視界に入るものがダサいなんて耐えられませんの」
私はマーサの渋面を無視して、ホールへと飛び出した。
◇
「ええっ、こ、これを使うんですか!?」
埃っぽい地下倉庫で、若いメイドが悲鳴を上げた。
私が引っ張り出したのは、何十年も眠っていたであろう巨大なロール状の布地だ。埃を被ってはいるが、生地自体は最高級のベルベットである。
「そうよ。この深紅の生地、カーテンにぴったりだわ。それから、そっちの金糸の入ったタペストリーはテーブルクロスに加工しましょう」
私は腕まくりをして、次々と指示を飛ばした。
「でも、これらは先代様の遺品で……勝手に使うなんて……」
「死蔵させておく方が冒涜よ! 物は使われてこそ輝くの」
私はハサミを手に取り、躊躇なく高級生地に刃を入れた。
ジョキジョキジョキ!
「ひぃぃ!」
使用人たちが青ざめる中、私は鼻歌交じりに裁断していく。
「貴女たち、針と糸は使えるわね? ここを縫って。そっちはタッセルを作ってちょうだい」
「は、はい!」
私の気迫に押され、メイドたちが慌てて作業を始める。
そこへ、騒ぎを聞きつけたマーサがやってきた。
「タリー様! 何をご乱心ですか! 貴重な資産を切り刻むなど!」
「資産? 倉庫の肥やしの間違いでしょう」
私は手を止めず、マーサに切れ端を投げ渡した。
「見てごらんなさい、この艶。素晴らしい赤だわ。これを飾れば、あの陰気な食堂もパッと明るくなりますわ」
「しかし、伝統が……」
「伝統を守るために現在(いま)を殺してどうするの? 貴女、この城の人たちが笑っているところを見たことがある?」
私は作業の手を止めているメイドたちを指差した。
彼女たちは怯えているが、その目には少しだけ好奇の色が宿っていた。こんな派手な色の布を見るのは初めてなのだろう。
「色は心に作用するの。灰色ばかり見ていたら、心まで曇ってしまうわ」
私は脚立を持ってこさせ、自らカーテンレールへ向かった。
「危ないですよ、お嬢様!」
「平気よ。高いところは慣れて……きゃっ!?」
脚立がガタつき、バランスを崩した。
落ちる、と思った瞬間。
ガシッ!
誰かの腕が、私の体を空中で受け止めた。
「……目を離すとこれだ」
頭上から降ってきたのは、呆れたような、でも甘い響きを含んだ声。
「キース!」
彼はお姫様抱っこの状態で私を抱え直し、溜息をついた。
「怪我はないか」
「え、ええ。ありがとう。……でも、降ろしてくださる? 作業の途中なの」
「却下だ。高いところは俺がやる」
キースは私をそっと床に降ろすと、私が持っていたカーテン生地をひったくった。
そして、脚立など使わず、その長身と身体能力を生かして、ひょいとレールに手を伸ばした。
バサッ!
一瞬にして、巨大な窓に深紅のカーテンが掛かる。
灰色の壁に、鮮烈な赤が映える。
そのコントラストは、まるで血が通ったかのように、部屋の空気を一変させた。
「……おお……」
使用人たちから、感嘆の声が漏れた。
「綺麗……」
「部屋が暖かく見えるわ」
キースが振り返り、私に問う。
「これでいいか、現場監督?」
「……ええ、完璧よ!」
私は満足げに頷いた。
「さあ、次はテーブルよ! 花がないなら、この余った布で造花を作るわよ! 全員、手を動かして!」
私の号令に、今度は使用人たちが「はい!」と元気よく返事をした。
その声は、朝よりもずっと明るく弾んでいた。
◇
その日の夕食。
食堂は見違えるように変貌していた。
窓には重厚な深紅のカーテン。テーブルには金糸のクロス。そして中央には、布で作った色とりどりのバラの花が飾られている。
「……別の部屋みたいだな」
キースが席に着き、周囲を見回して目を丸くしている。
「でしょう? これだけで食事が三割増しで美味しく感じられますわ」
私が得意げに胸を張ると、料理が運ばれてきた。
メニューは朝と同じような肉料理だが、盛り付けにハーブが添えられ、ソースで模様が描かれている。
「これは?」
キースが皿を見る。
「厨房のコックにも指導してきましたの。『料理は愛情とセンス! ただ焼くだけなら焚き火でもできるわ!』ってね」
「……コック長は頑固者で有名なんだが」
「私の扇子で叩かれたくなければ従え、と脅……説得しましたわ」
「(脅したんだな……)」
キースは苦笑し、肉を口に運んだ。
「……美味い」
「でしょう?」
「ああ。同じ肉とは思えない」
彼は私を見て、穏やかに微笑んだ。
「あんたは魔法使いか?」
「いいえ。ただの努力家で強欲な悪役令嬢よ」
私はワイングラス(中身は葡萄ジュースだが)を掲げた。
「これは第一歩に過ぎませんわ。この城すべてを、私が最高に居心地の良い場所に変えてみせます。……貴方が、早く帰ってきたくなるような家にね」
キースの動きが止まった。
彼は少し顔を赤らめ、グラスを合わせてきた。
「……楽しみにしている。……ただ」
「ただ?」
「あまり無理はするな。あんたが倒れたら、俺の世界はまた灰色に戻ってしまう」
真剣な眼差しで見つめられ、今度は私が赤くなる番だった。
「……善処しますわ」
部屋の隅で控えていたマーサが、咳払いをする。
「……カーテンの色、悪くはありませんな。ホコリ除けにもなりますし」
素直じゃない褒め言葉に、私はニマリと笑った。
「ふふ。マーサ、明日は貴女の制服のデザインを変えますからね。覚悟なさい」
「なっ、余計なことを!」
騒がしくも温かい夜。
外は吹雪いているけれど、この城の中だけは、春が来たように暖かかった。
一方、王都では。
私の部屋から押収された「日記帳」を読んだアラン殿下が、新たな癇癪を起こしている頃だろうか。
(せいぜい悔しがるといいわ)
私は極上の肉を頬張りながら、遠い王都の空に向かって心の中で舌を出した。
翌朝、食堂に通された私は、テーブルの上を見て深くため息をついた。
出されたのは、堅焼きパンと、色のないスープ。そしてただ焼いただけの肉。皿も白一色で、飾り気のかけらもない。
「栄養バランスは計算されております」
給仕に立ったマーサが、涼しい顔で言う。
「カロリーと栄養があれば、餌でもいいというわけ? 食事は目でも楽しむものですわ」
私はナプキンを広げながら、向かいに座るキースを見た。
「貴方、毎日こんな病院食みたいなものを食べていて、よくその筋肉を維持できましたわね?」
「……味は悪くないぞ。素材の味だ」
キースが真顔で肉を咀嚼している。この男、味覚まで無骨なのか。
「決めたわ。まずは食堂の改革からよ!」
私はパンを一口かじり、すぐに立ち上がった。
「マーサ、昨日の話通り、倉庫を開けてちょうだい。それから、手の空いている使用人を全員集合させて!」
「……本気でやるおつもりですか?」
「当たり前でしょう。私がこの城にいる限り、視界に入るものがダサいなんて耐えられませんの」
私はマーサの渋面を無視して、ホールへと飛び出した。
◇
「ええっ、こ、これを使うんですか!?」
埃っぽい地下倉庫で、若いメイドが悲鳴を上げた。
私が引っ張り出したのは、何十年も眠っていたであろう巨大なロール状の布地だ。埃を被ってはいるが、生地自体は最高級のベルベットである。
「そうよ。この深紅の生地、カーテンにぴったりだわ。それから、そっちの金糸の入ったタペストリーはテーブルクロスに加工しましょう」
私は腕まくりをして、次々と指示を飛ばした。
「でも、これらは先代様の遺品で……勝手に使うなんて……」
「死蔵させておく方が冒涜よ! 物は使われてこそ輝くの」
私はハサミを手に取り、躊躇なく高級生地に刃を入れた。
ジョキジョキジョキ!
「ひぃぃ!」
使用人たちが青ざめる中、私は鼻歌交じりに裁断していく。
「貴女たち、針と糸は使えるわね? ここを縫って。そっちはタッセルを作ってちょうだい」
「は、はい!」
私の気迫に押され、メイドたちが慌てて作業を始める。
そこへ、騒ぎを聞きつけたマーサがやってきた。
「タリー様! 何をご乱心ですか! 貴重な資産を切り刻むなど!」
「資産? 倉庫の肥やしの間違いでしょう」
私は手を止めず、マーサに切れ端を投げ渡した。
「見てごらんなさい、この艶。素晴らしい赤だわ。これを飾れば、あの陰気な食堂もパッと明るくなりますわ」
「しかし、伝統が……」
「伝統を守るために現在(いま)を殺してどうするの? 貴女、この城の人たちが笑っているところを見たことがある?」
私は作業の手を止めているメイドたちを指差した。
彼女たちは怯えているが、その目には少しだけ好奇の色が宿っていた。こんな派手な色の布を見るのは初めてなのだろう。
「色は心に作用するの。灰色ばかり見ていたら、心まで曇ってしまうわ」
私は脚立を持ってこさせ、自らカーテンレールへ向かった。
「危ないですよ、お嬢様!」
「平気よ。高いところは慣れて……きゃっ!?」
脚立がガタつき、バランスを崩した。
落ちる、と思った瞬間。
ガシッ!
誰かの腕が、私の体を空中で受け止めた。
「……目を離すとこれだ」
頭上から降ってきたのは、呆れたような、でも甘い響きを含んだ声。
「キース!」
彼はお姫様抱っこの状態で私を抱え直し、溜息をついた。
「怪我はないか」
「え、ええ。ありがとう。……でも、降ろしてくださる? 作業の途中なの」
「却下だ。高いところは俺がやる」
キースは私をそっと床に降ろすと、私が持っていたカーテン生地をひったくった。
そして、脚立など使わず、その長身と身体能力を生かして、ひょいとレールに手を伸ばした。
バサッ!
一瞬にして、巨大な窓に深紅のカーテンが掛かる。
灰色の壁に、鮮烈な赤が映える。
そのコントラストは、まるで血が通ったかのように、部屋の空気を一変させた。
「……おお……」
使用人たちから、感嘆の声が漏れた。
「綺麗……」
「部屋が暖かく見えるわ」
キースが振り返り、私に問う。
「これでいいか、現場監督?」
「……ええ、完璧よ!」
私は満足げに頷いた。
「さあ、次はテーブルよ! 花がないなら、この余った布で造花を作るわよ! 全員、手を動かして!」
私の号令に、今度は使用人たちが「はい!」と元気よく返事をした。
その声は、朝よりもずっと明るく弾んでいた。
◇
その日の夕食。
食堂は見違えるように変貌していた。
窓には重厚な深紅のカーテン。テーブルには金糸のクロス。そして中央には、布で作った色とりどりのバラの花が飾られている。
「……別の部屋みたいだな」
キースが席に着き、周囲を見回して目を丸くしている。
「でしょう? これだけで食事が三割増しで美味しく感じられますわ」
私が得意げに胸を張ると、料理が運ばれてきた。
メニューは朝と同じような肉料理だが、盛り付けにハーブが添えられ、ソースで模様が描かれている。
「これは?」
キースが皿を見る。
「厨房のコックにも指導してきましたの。『料理は愛情とセンス! ただ焼くだけなら焚き火でもできるわ!』ってね」
「……コック長は頑固者で有名なんだが」
「私の扇子で叩かれたくなければ従え、と脅……説得しましたわ」
「(脅したんだな……)」
キースは苦笑し、肉を口に運んだ。
「……美味い」
「でしょう?」
「ああ。同じ肉とは思えない」
彼は私を見て、穏やかに微笑んだ。
「あんたは魔法使いか?」
「いいえ。ただの努力家で強欲な悪役令嬢よ」
私はワイングラス(中身は葡萄ジュースだが)を掲げた。
「これは第一歩に過ぎませんわ。この城すべてを、私が最高に居心地の良い場所に変えてみせます。……貴方が、早く帰ってきたくなるような家にね」
キースの動きが止まった。
彼は少し顔を赤らめ、グラスを合わせてきた。
「……楽しみにしている。……ただ」
「ただ?」
「あまり無理はするな。あんたが倒れたら、俺の世界はまた灰色に戻ってしまう」
真剣な眼差しで見つめられ、今度は私が赤くなる番だった。
「……善処しますわ」
部屋の隅で控えていたマーサが、咳払いをする。
「……カーテンの色、悪くはありませんな。ホコリ除けにもなりますし」
素直じゃない褒め言葉に、私はニマリと笑った。
「ふふ。マーサ、明日は貴女の制服のデザインを変えますからね。覚悟なさい」
「なっ、余計なことを!」
騒がしくも温かい夜。
外は吹雪いているけれど、この城の中だけは、春が来たように暖かかった。
一方、王都では。
私の部屋から押収された「日記帳」を読んだアラン殿下が、新たな癇癪を起こしている頃だろうか。
(せいぜい悔しがるといいわ)
私は極上の肉を頬張りながら、遠い王都の空に向かって心の中で舌を出した。
0
あなたにおすすめの小説
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる