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「……ねえ、キース」
王都を離れ、辺境へ向かう馬車の中。
私は窓の外に続く長蛇の列――私たちの馬車の後ろに続く、何台もの荷馬車を見やりながら呟いた。
「何だ?」
「あれ、全部私のものですの?」
「そうだ。陛下から支払われた慰謝料と演出費、それにアランから没収した個人資産の一部だ」
キースは事もなげに言う。
荷馬車には、金貨の詰まった袋や、王家の宝物庫から譲り受けた美術品、さらには高級食材などが山のように積まれている。
その総額は、小さな国なら一つ買えてしまうほどの金額だ。
「……ふふ。ふふふふ!」
私は扇子で口元を覆い、抑えきれない笑いを漏らした。
「最高ですわ! これだけの資金があれば、何でもできますわよ! 私の頭の中にある『ヴェルンシュタイン改造計画』を、妥協なく実行できますわ!」
「……手加減してくれると助かるんだが」
キースが苦笑しながら、私の肩に腕を回す。
「あんたが金を使い果たすのは構わん。だが、あまり張り切りすぎて倒れるなよ。王都での騒動、相当疲れただろう?」
「あら、アドレナリンが出っ放しで、疲れなんて感じませんわ」
私は彼の胸に身を預けた。
逞しい胸板の感触。以前は「岩」みたいだと思ったけれど、今はこれが一番落ち着くクッションだ。
「それに、貴方が隣にいてくれるなら、私は無敵ですもの」
私が上目遣いで見つめると、キースの青い瞳が揺れた。
彼は私の顎を指先ですくい上げ、甘く低い声で囁く。
「……口が上手くなったな、タリー」
「本心ですわ」
「なら、証明してもらおうか」
「証明?」
「ああ。ここは二人きりの馬車の中だ。……誰の目もない」
彼の顔が近づいてくる。
不器用だった「氷の騎士」は、王都での戦いを経て、随分と積極的になったようだ。
「……野暮なことを聞きますのね」
私は目を閉じ、彼のキスを受け入れた。
馬車の揺れとは違う、甘い目眩が私を包み込む。
これからは、この温もりが私の日常になるのだ。
◇
数日後。
私たちはヴェルンシュタイン領の入り口に到着した。
「戻ってきたぞ!」
先頭の騎士が叫ぶと、城壁の上に待機していた見張りが角笛を吹き鳴らした。
ブォォォォーッ!
城門がゆっくりと開く。
そこには、驚くべき光景が広がっていた。
「おかえりなさいませーっ!!」
割れんばかりの大歓声。
街道の両脇を埋め尽くす領民たち。彼らの手には、私が考案した「赤い小旗」や、どこから調達したのか色とりどりの花が握られている。
「えっ……?」
私は目を丸くした。
「これは……どういうことですの?」
辺境の民は、もっと静かで、変化を嫌う人々だと思っていた。
それが、まるで王都の凱旋パレードのような熱気で迎えてくれている。
「あんたが送らせた『辺境通信』のおかげだ」
キースが馬車の窓から手を振りながら言った。
「王都での武勇伝は、ここにも届いている。『無実の罪で追われた公爵令嬢が、悪の王子を成敗し、莫大な富を持って帰ってくる』とな」
「……英雄扱いですわね」
「実際、英雄だろう。それに、あんたが流行らせたダイヤモンドジュエリーのおかげで、街の景気も上向いている。皆、あんたの帰りを待っていたんだ」
馬車が進むにつれ、歓声は大きくなる。
「タリー様ー! ありがとうー!」
「俺たちのダイヤを売ってくれてありがとー!」
「辺境伯様とお幸せにー!」
中には、「タリー様! 俺の店の看板もプロデュースしてください!」なんて叫ぶ商人もいる。
私は窓から身を乗り出し、バサリと扇子を開いた。
「皆様! ただいま戻りましたわ!」
「「「ワァァァァァッ!!」」」
「お土産は山ほどの金貨と、新しい未来の設計図よ! これからこの街を、世界で一番豊かで、煌びやかな『北の都』に変えてみせます! ついて来られるかしら!?」
「「「オオオオオオッ!!」」」
地鳴りのような歓声。
灰色の街だったヴェルンシュタインに、熱狂という名の極彩色が注がれていく。
◇
城のエントランスに到着すると、使用人たちが整列して待っていた。
その先頭には、あの厳格なメイド長、マーサの姿がある。
「おかえりなさいませ、閣下。そして……タリー様」
マーサは深々と頭を下げた。
その表情は相変わらず硬いが、以前のような敵意は感じられない。
「ただいま、マーサ。留守中、あの赤いカーテンを捨てずにいてくれて感謝するわ」
「……捨てるわけがございません。あれは、今やこの城の『勝利の象徴』となっておりますから」
マーサは少しだけ口角を上げた。
「それに、貴女様がいない数週間……城の中が静かすぎて、調子が狂いました。壁の色を塗り替える件、ペンキの手配は済んでおります」
「あら、仕事が早いですわね!」
「貴女様に仕えるなら、これくらいのスピード感がないと務まりませんので」
マーサの言葉に、私は嬉しくなって駆け寄った。
「最高よ、マーサ! 貴女、私の専属秘書に任命しますわ!」
「……メイド長兼任でよろしければ」
「ええ、もちろんよ!」
私はホールを見渡した。
王都へ行く前と変わらない、黒とグレーを基調とした内装。でも、そこにいる人々の顔は明るい。
「さあ、キース。仕事の時間よ」
私は振り返り、キースに言った。
「まずはこの大量の荷馬車の中身を、地下金庫へ運び込んで。それから、街の職人組合の長を全員招集してちょうだい」
「……休まないのか?」
「休んでいる暇なんてなくてよ。鉄は熱いうちに、と言ったのは貴方でしょう?」
私は懐から、馬車の中で書き上げたばかりの『新生ヴェルンシュタイン開発計画書』を取り出した。
「温泉リゾートの開発、ダイヤモンド加工工場の建設、そして……極寒の夜を楽しむための『全天候型ガラス張り大劇場』の設立!」
「……劇場?」
「ええ。貴方の領地はオーロラが綺麗なんでしょう? それを暖炉の前でワインを飲みながら鑑賞できる、世界一贅沢な空間を作るの」
私の壮大なプランに、キースは目を白黒させ、それから――吹き出した。
「ははっ! ガラス張りの劇場か……! 相変わらず、あんたの発想は規格外だ」
彼は愛おしそうに私の髪を撫でた。
「いいだろう。やってみろ、タリー。俺の領地(せかい)を、あんたの光で埋め尽くしてくれ」
「任せておきなさい。……でもその前に」
私は扇子で彼の手をトンと叩いた。
「ん?」
「私、お腹が空きましたわ。あの『地獄のマグマスープ』、用意できていて?」
「……もちろん。コック長が、あんたのために新作のスパイスを調合して待っている」
「ふふ、愛されていますわね、私!」
こうして、私の「辺境伯夫人(予定)」としての第二章が始まった。
悪役令嬢としての戦いは終わった。
これからは、敏腕プロデューサー兼、愛され花嫁としての忙しい日々が待っている。
(覚悟なさい、北の大地。私が来たからには、もう「寒い」なんて言わせませんわ!)
王都を離れ、辺境へ向かう馬車の中。
私は窓の外に続く長蛇の列――私たちの馬車の後ろに続く、何台もの荷馬車を見やりながら呟いた。
「何だ?」
「あれ、全部私のものですの?」
「そうだ。陛下から支払われた慰謝料と演出費、それにアランから没収した個人資産の一部だ」
キースは事もなげに言う。
荷馬車には、金貨の詰まった袋や、王家の宝物庫から譲り受けた美術品、さらには高級食材などが山のように積まれている。
その総額は、小さな国なら一つ買えてしまうほどの金額だ。
「……ふふ。ふふふふ!」
私は扇子で口元を覆い、抑えきれない笑いを漏らした。
「最高ですわ! これだけの資金があれば、何でもできますわよ! 私の頭の中にある『ヴェルンシュタイン改造計画』を、妥協なく実行できますわ!」
「……手加減してくれると助かるんだが」
キースが苦笑しながら、私の肩に腕を回す。
「あんたが金を使い果たすのは構わん。だが、あまり張り切りすぎて倒れるなよ。王都での騒動、相当疲れただろう?」
「あら、アドレナリンが出っ放しで、疲れなんて感じませんわ」
私は彼の胸に身を預けた。
逞しい胸板の感触。以前は「岩」みたいだと思ったけれど、今はこれが一番落ち着くクッションだ。
「それに、貴方が隣にいてくれるなら、私は無敵ですもの」
私が上目遣いで見つめると、キースの青い瞳が揺れた。
彼は私の顎を指先ですくい上げ、甘く低い声で囁く。
「……口が上手くなったな、タリー」
「本心ですわ」
「なら、証明してもらおうか」
「証明?」
「ああ。ここは二人きりの馬車の中だ。……誰の目もない」
彼の顔が近づいてくる。
不器用だった「氷の騎士」は、王都での戦いを経て、随分と積極的になったようだ。
「……野暮なことを聞きますのね」
私は目を閉じ、彼のキスを受け入れた。
馬車の揺れとは違う、甘い目眩が私を包み込む。
これからは、この温もりが私の日常になるのだ。
◇
数日後。
私たちはヴェルンシュタイン領の入り口に到着した。
「戻ってきたぞ!」
先頭の騎士が叫ぶと、城壁の上に待機していた見張りが角笛を吹き鳴らした。
ブォォォォーッ!
城門がゆっくりと開く。
そこには、驚くべき光景が広がっていた。
「おかえりなさいませーっ!!」
割れんばかりの大歓声。
街道の両脇を埋め尽くす領民たち。彼らの手には、私が考案した「赤い小旗」や、どこから調達したのか色とりどりの花が握られている。
「えっ……?」
私は目を丸くした。
「これは……どういうことですの?」
辺境の民は、もっと静かで、変化を嫌う人々だと思っていた。
それが、まるで王都の凱旋パレードのような熱気で迎えてくれている。
「あんたが送らせた『辺境通信』のおかげだ」
キースが馬車の窓から手を振りながら言った。
「王都での武勇伝は、ここにも届いている。『無実の罪で追われた公爵令嬢が、悪の王子を成敗し、莫大な富を持って帰ってくる』とな」
「……英雄扱いですわね」
「実際、英雄だろう。それに、あんたが流行らせたダイヤモンドジュエリーのおかげで、街の景気も上向いている。皆、あんたの帰りを待っていたんだ」
馬車が進むにつれ、歓声は大きくなる。
「タリー様ー! ありがとうー!」
「俺たちのダイヤを売ってくれてありがとー!」
「辺境伯様とお幸せにー!」
中には、「タリー様! 俺の店の看板もプロデュースしてください!」なんて叫ぶ商人もいる。
私は窓から身を乗り出し、バサリと扇子を開いた。
「皆様! ただいま戻りましたわ!」
「「「ワァァァァァッ!!」」」
「お土産は山ほどの金貨と、新しい未来の設計図よ! これからこの街を、世界で一番豊かで、煌びやかな『北の都』に変えてみせます! ついて来られるかしら!?」
「「「オオオオオオッ!!」」」
地鳴りのような歓声。
灰色の街だったヴェルンシュタインに、熱狂という名の極彩色が注がれていく。
◇
城のエントランスに到着すると、使用人たちが整列して待っていた。
その先頭には、あの厳格なメイド長、マーサの姿がある。
「おかえりなさいませ、閣下。そして……タリー様」
マーサは深々と頭を下げた。
その表情は相変わらず硬いが、以前のような敵意は感じられない。
「ただいま、マーサ。留守中、あの赤いカーテンを捨てずにいてくれて感謝するわ」
「……捨てるわけがございません。あれは、今やこの城の『勝利の象徴』となっておりますから」
マーサは少しだけ口角を上げた。
「それに、貴女様がいない数週間……城の中が静かすぎて、調子が狂いました。壁の色を塗り替える件、ペンキの手配は済んでおります」
「あら、仕事が早いですわね!」
「貴女様に仕えるなら、これくらいのスピード感がないと務まりませんので」
マーサの言葉に、私は嬉しくなって駆け寄った。
「最高よ、マーサ! 貴女、私の専属秘書に任命しますわ!」
「……メイド長兼任でよろしければ」
「ええ、もちろんよ!」
私はホールを見渡した。
王都へ行く前と変わらない、黒とグレーを基調とした内装。でも、そこにいる人々の顔は明るい。
「さあ、キース。仕事の時間よ」
私は振り返り、キースに言った。
「まずはこの大量の荷馬車の中身を、地下金庫へ運び込んで。それから、街の職人組合の長を全員招集してちょうだい」
「……休まないのか?」
「休んでいる暇なんてなくてよ。鉄は熱いうちに、と言ったのは貴方でしょう?」
私は懐から、馬車の中で書き上げたばかりの『新生ヴェルンシュタイン開発計画書』を取り出した。
「温泉リゾートの開発、ダイヤモンド加工工場の建設、そして……極寒の夜を楽しむための『全天候型ガラス張り大劇場』の設立!」
「……劇場?」
「ええ。貴方の領地はオーロラが綺麗なんでしょう? それを暖炉の前でワインを飲みながら鑑賞できる、世界一贅沢な空間を作るの」
私の壮大なプランに、キースは目を白黒させ、それから――吹き出した。
「ははっ! ガラス張りの劇場か……! 相変わらず、あんたの発想は規格外だ」
彼は愛おしそうに私の髪を撫でた。
「いいだろう。やってみろ、タリー。俺の領地(せかい)を、あんたの光で埋め尽くしてくれ」
「任せておきなさい。……でもその前に」
私は扇子で彼の手をトンと叩いた。
「ん?」
「私、お腹が空きましたわ。あの『地獄のマグマスープ』、用意できていて?」
「……もちろん。コック長が、あんたのために新作のスパイスを調合して待っている」
「ふふ、愛されていますわね、私!」
こうして、私の「辺境伯夫人(予定)」としての第二章が始まった。
悪役令嬢としての戦いは終わった。
これからは、敏腕プロデューサー兼、愛され花嫁としての忙しい日々が待っている。
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