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「ゼスト様、見てください! この透き通るような純白の輝き、そして舌の上で弾けるような力強い塩味……。これこそが、ガラガラ地方が隠し持っていた第二の『純金』ですわ!」
私は掘削現場から届いたばかりの巨大な結晶を掲げ、朝日の中で狂喜乱舞していた。
それは、温泉を掘り当てた地層のさらに深部から見つかった、最高品質の「岩塩」である。
隣国の豪商ゼスト様は、私が差し出した結晶を恐る恐る口に含み、目を見開いた。
「……信じられない。えぐみが全くなくて、まろやかな甘みすら感じる。カタール、これほどの質の岩塩は、大陸中の高級レストランが喉から手が出るほど欲しがる代物だよ」
「ええ、分かっていますわ。ですが、ただ『塩』として売るだけでは能がありません。これは『奇跡の温泉郷・ガラガラ特製:美容と健康を約束する魔法の塩』として、小洒落た小瓶に詰めてブランド化いたしますの」
私はすでに、パッケージのデザイン案と価格設定(通常の三倍)を頭の中の帳簿に書き込んでいた。
「ブランド化、か。相変わらず君の商魂には脱帽するよ。……しかし、問題は『道』だ。いくら特産品ができても、この岩場だらけの道を運ぶにはコストがかかりすぎる」
「あら、それなら解決済みですわ。ガンツ親方!」
私の呼びかけに応じ、少し離れた場所で指揮を執っていたガンツ親方が、誇らしげに親指を立てた。
「CEO! 例の『速乾性簡易セメント』を使った舗装工事、第一区画が完了したぜ! これで馬車の走行速度は従来の二倍、破損リスクは八割減だ!」
「素晴らしいわ、親方! ゼスト様、これで物流コストの問題はクリアされましたわね? 浮いたコスト分は、もちろん私の利益に加算させていただきますわ」
ゼスト様は呆れたように笑いながらも、私の手を取って、新しく舗装されたばかりの「メインストリート」へと導いた。
そこには、わずか数週間前まで岩石しかなかったとは思えない光景が広がっていた。
石造りの瀟洒な社宅が並び、その中心には大きな湯煙を上げる「大衆浴場」と、旅人を受け入れるための「試作型旅館」が建っている。
噂を聞きつけてやってきた近隣の商人や冒険者たちが、まだ未完成の街を興味津々に眺め、岩塩のサンプルに群がっていた。
「……カタール、君が言った通りになったね。不毛の地だと言って見向きもしなかった連中が、今やここを『黄金の地』と呼んで押し寄せている」
「当然の結果ですわ。ニーズを創出し、インフラを整え、圧倒的な付加価値を提供する。これは商売の基本中の基本でしょう?」
私はふと、遠い王都の方角を見やった。
あのお花畑のエリック殿下は、今頃どうしているかしら。有能な私を追い出し、国庫の管理をミルフイユ様のような「リンゴ三つまでしか数えられない」方に任せたのだ。
そろそろ、税収の計算ミスや公務の停滞で、王宮がパニックに陥っている頃ではないだろうか。
「……ふふ、ふふふふ」
「カタール、顔が怖いよ。今、誰かを社会的に抹殺する計算をしていなかったかい?」
「失礼ね。私はただ、将来的な『王都への逆進出』に向けた損益分岐点をシミュレーションしていただけですわ」
私はゼスト様に向き直り、とびきり晴れやかな笑顔を向けた。
「ゼスト様。街の基盤は整いました。次は、世界中から富裕層を呼び込むための『超高級リゾートホテル』の建設に入りますわよ。……あなたの商会の全リソース、私に預けていただけますわね?」
「……ああ。もう、君に賭けない理由が見当たらないよ。僕の心も財布も、全部君のものだ」
ゼスト様の言葉は、どこか熱を帯びていたが、私はそれを「ビジネスにおける全幅の信頼」だと解釈し、力強くその手を握り返した。
不毛の岩場に、黄金の風が吹き抜ける。
私の快進撃は、まだ始まったばかり。これから世界中の金貨を、このガラガラ地方へと吸い寄せてみせますわ!
私は掘削現場から届いたばかりの巨大な結晶を掲げ、朝日の中で狂喜乱舞していた。
それは、温泉を掘り当てた地層のさらに深部から見つかった、最高品質の「岩塩」である。
隣国の豪商ゼスト様は、私が差し出した結晶を恐る恐る口に含み、目を見開いた。
「……信じられない。えぐみが全くなくて、まろやかな甘みすら感じる。カタール、これほどの質の岩塩は、大陸中の高級レストランが喉から手が出るほど欲しがる代物だよ」
「ええ、分かっていますわ。ですが、ただ『塩』として売るだけでは能がありません。これは『奇跡の温泉郷・ガラガラ特製:美容と健康を約束する魔法の塩』として、小洒落た小瓶に詰めてブランド化いたしますの」
私はすでに、パッケージのデザイン案と価格設定(通常の三倍)を頭の中の帳簿に書き込んでいた。
「ブランド化、か。相変わらず君の商魂には脱帽するよ。……しかし、問題は『道』だ。いくら特産品ができても、この岩場だらけの道を運ぶにはコストがかかりすぎる」
「あら、それなら解決済みですわ。ガンツ親方!」
私の呼びかけに応じ、少し離れた場所で指揮を執っていたガンツ親方が、誇らしげに親指を立てた。
「CEO! 例の『速乾性簡易セメント』を使った舗装工事、第一区画が完了したぜ! これで馬車の走行速度は従来の二倍、破損リスクは八割減だ!」
「素晴らしいわ、親方! ゼスト様、これで物流コストの問題はクリアされましたわね? 浮いたコスト分は、もちろん私の利益に加算させていただきますわ」
ゼスト様は呆れたように笑いながらも、私の手を取って、新しく舗装されたばかりの「メインストリート」へと導いた。
そこには、わずか数週間前まで岩石しかなかったとは思えない光景が広がっていた。
石造りの瀟洒な社宅が並び、その中心には大きな湯煙を上げる「大衆浴場」と、旅人を受け入れるための「試作型旅館」が建っている。
噂を聞きつけてやってきた近隣の商人や冒険者たちが、まだ未完成の街を興味津々に眺め、岩塩のサンプルに群がっていた。
「……カタール、君が言った通りになったね。不毛の地だと言って見向きもしなかった連中が、今やここを『黄金の地』と呼んで押し寄せている」
「当然の結果ですわ。ニーズを創出し、インフラを整え、圧倒的な付加価値を提供する。これは商売の基本中の基本でしょう?」
私はふと、遠い王都の方角を見やった。
あのお花畑のエリック殿下は、今頃どうしているかしら。有能な私を追い出し、国庫の管理をミルフイユ様のような「リンゴ三つまでしか数えられない」方に任せたのだ。
そろそろ、税収の計算ミスや公務の停滞で、王宮がパニックに陥っている頃ではないだろうか。
「……ふふ、ふふふふ」
「カタール、顔が怖いよ。今、誰かを社会的に抹殺する計算をしていなかったかい?」
「失礼ね。私はただ、将来的な『王都への逆進出』に向けた損益分岐点をシミュレーションしていただけですわ」
私はゼスト様に向き直り、とびきり晴れやかな笑顔を向けた。
「ゼスト様。街の基盤は整いました。次は、世界中から富裕層を呼び込むための『超高級リゾートホテル』の建設に入りますわよ。……あなたの商会の全リソース、私に預けていただけますわね?」
「……ああ。もう、君に賭けない理由が見当たらないよ。僕の心も財布も、全部君のものだ」
ゼスト様の言葉は、どこか熱を帯びていたが、私はそれを「ビジネスにおける全幅の信頼」だと解釈し、力強くその手を握り返した。
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