14 / 24
14
しおりを挟む
温泉地『ユグドラシル』からの帰りの馬車。
ドールは揺れる車内で、パチパチとそろばん(携帯用)を弾いていた。
「……計算完了です」
ドールは一枚の請求書をアークに突きつけた。
「今回の出張旅費および手当の精算書です」
「仕事が早いね。……どれどれ」
アークが目を通す。
「宿泊費、交通費、危険手当(ミナ対策)……ふむ。妥当だね」
アークの指が、最後の一行で止まった。
「……この『早朝特別対応費』というのは?」
「今朝の件(キス)です」
ドールは真顔で答えた。
「就業時間前の不意打ちは、労働基準法における『時間外の拘束』に該当します。よって、割増料金を請求させていただきました」
「……なるほど」
アークは口元を押さえて笑いを堪えた。
「『キス一回につき金貨一〇枚』か。……安いものだ」
「高いですよ? 高級ランチ三回分です」
「私にとっては、君の唇の価値は国家予算にも匹敵するからね。……バーゲンセールだ」
アークはサインペンを取り出し、サラサラと署名した。
「承認しよう。……帰ったらすぐに振り込ませるよ」
(よっしゃ! 臨時ボーナス確定!)
ドールは心の中でガッツポーズをした。
アークとのキスが金貨に換算できるなら、これほど効率の良い錬金術はない。
(唇が減るわけじゃなし、歯磨きすれば元通り。……コスパ最高やな)
色気のないことを考えていると、馬車が王城の門をくぐった。
しかし、向かった先は宰相府の裏口ではなく、王城の正面玄関だった。
「……閣下。行き先が違いますが」
「ああ、言っていなかったかな?」
アークは何でもないことのように言った。
「兄上が君に会いたいと騒いでいてね。……このまま謁見に向かう」
「……は?」
ドールの思考が一瞬停止した。
「兄上、とは……?」
「国王陛下だよ」
「……今から、ですか?」
「うん。アポなしだけど、家族だからいいだろう」
(よくないわ!!)
ドールは内心で叫んだ。
国王陛下。この国の最高権力者。
そんな雲の上の存在に、旅行帰りのパンツスーツ姿で、しかも心の準備なしに会えと言うのか。
「……閣下。ビジネスマナーをご存知ですか? トップ会談には事前の根回しと準備が必要です」
「大丈夫さ。君なら『ありのまま』で勝てる」
「勝負ではありません、謁見です」
抗議も虚しく、馬車は赤絨毯の前に停車した。
*
王城、玉座の間。
重厚な扉が開かれると、そこには煌びやかな空間が広がっていた。
玉座に座るのは、アークによく似た面差しだが、より柔和で、少し頼りなさげな男性。
ランバート国王陛下である。
「やあ、アーク。お帰り」
国王は親戚の叔父さんのような軽いノリで手を振った。
「急に呼び出してごめんね。……そちらが噂の?」
「はい。私の婚約者、ドール・ヴァレンタインです」
アークがドールの背中を押す。
ドールは流れるような動作でカーテシーをした。
「お初にお目にかかります、国王陛下。ドール・ヴァレンタインでございます」
「うむ、楽にしてくれ。……ふーむ」
国王はドールをまじまじと観察した。
「噂通りの『人形姫』だね。本当に表情が動かない。……アーク、お前よくこんな冷たそうな子を口説いたな?」
「失礼なことを言わないでください、兄上。彼女は中身が熱いんです」
「熱い? どこが?」
国王が不思議そうに首を傾げる。
ドールは無表情のまま、ゆっくりと顔を上げた。
そして、玉座の間を見渡した。
(……無駄が多い)
ドールの『経営コンサルタント眼(アイ)』が発動した。
(あのシャンデリア、蝋燭(ろうそく)の数が多すぎて空調効率が悪い。壁のタペストリー、湿気でカビが生えかけてるから修繕費がかさむはず。衛兵の配置、死角が多くて警備コストの割にザルやな)
ドールは瞬時に王城の『無駄』をスキャンした。
「……あの、ドール嬢? 何をそんなにキョロキョロと?」
国王が気まずそうに声をかける。
ドールは視線を国王に戻し、淡々と言った。
「……陛下。恐れながら申し上げます」
「な、なんだい?」
「この『玉座の間』の維持費、年間で金貨五〇〇〇枚ほど掛かっておられますね?」
「えっ? あ、うん、たぶんそのくらいかな……」
「照明の配置変更と、清掃業者の見直し、あとあちらの窓の断熱改修を行えば、維持費を二割カットできます」
「……はい?」
国王が目を丸くする。
ドールは止まらない。
「さらに、衛兵のシフト表を見直せば、人件費を削減しつつ警備レベルを上げることが可能です。……提案書を作成いたしましょうか?」
「え、えっと……君、初対面でいきなり予算の話?」
「国王陛下は国家の経営者(CEO)です。経営者にとって最も重要なのは、見栄ではなく利益(国益)の最大化かと存じます」
ドールはズバリと言い切った。
「無駄な経費は、国民の血税の浪費です。……それとも、陛下は浪費がお好きで?」
「い、いや! 好きじゃないよ! むしろ財務大臣にいつも怒られてるよ!」
国王が慌てて弁明する。
ドールはニッコリ(無表情で)と頷いた。
「では、私にお任せください。宰相閣下の補佐として、王城の『大掃除(リストラ)』をご提案させていただきます」
国王はポカンと口を開け、それからアークを見た。
「……アーク。この子、すごいな」
「でしょう? 私の自慢のパートナーです」
アークは鼻高々だ。
「カイルが手放した理由が分かったよ。……あいつには、この子の『切れ味』は扱いきれなかったんだな」
国王は苦笑した。
「でも、アーク。君も大変だろう? こんなにしっかりした奥さんをもらうと、へそくりも隠せないぞ?」
「全財産を預けるつもりですので、問題ありません」
「お前も極端だなあ……」
国王は玉座から立ち上がり、ドールの近くまで歩み寄った。
そして、小声で尋ねた。
「……なあ、ドール嬢。ぶっちゃけ、アークのどこが良かったんだ?」
「はい?」
「こいつ、『氷の公爵』とか言われてるけど、中身はかなり面倒くさい奴だろう? 執着質だし、サディストだし、一度狙った獲物は逃がさないし……」
国王は弟の本性をよく理解していた。
「君みたいな合理的な子が、なんでこんな『地雷物件』を選んだんだい?」
ドールはアークをチラリと見た。
アークはニコニコと笑っているが、その目は「変なこと言ったらお仕置きだぞ」と語っている。
ドールは視線を国王に戻し、即答した。
「……提示された条件が、破格でしたので」
「条件?」
「給与三倍、定時退社、福利厚生完備、さらにボーナス(臨時収入)多数。……これほどの優良物件(ホワイト企業)は、他にはございません」
「……金か」
「金です」
「愛は?」
「金が愛を育みます」
国王は絶句し、そして爆笑した。
「はははは! 『金が愛を育む』か! 名言だ!」
国王は涙を拭いながら、ドールの肩を叩いた。
「気に入った! アークの嫁には、これくらい肝が据わってないと務まらん!」
国王は高らかに宣言した。
「許そう! 二人の婚約を、王家として正式に承認する!」
「ありがとうございます、兄上」
アークが優雅に一礼する。
ドールも倣って頭を下げた。
(よし! 王様のお墨付きゲット! これでカイルからの妨害も法的になくなる!)
ドールが内心で勝利宣言をしていると、国王が付け加えた。
「あ、そうだドール嬢。さっきの『経費削減案』だけど」
「はい」
「後で本当に詳しく教えてくれる? ……実は王妃のドレス代が凄くてさあ……なんとかしたいんだよね……」
「承知いたしました。別料金(コンサル料)にて承ります」
「……君、本当にブレないね」
*
謁見を終え、廊下に出た二人。
「お疲れ様。見事な交渉術だったよ」
アークがドールをねぎらう。
「陛下があんなに気さくな方で助かりました。……カイル殿下とは大違いですね」
「ああ。兄上は人が良すぎるのが欠点だがね。……だからこそ、私が泥を被って国を守っているんだが」
アークの表情に、ふと影が差した。
『氷の公爵』としての孤独。
汚れ役を一手に引き受け、冷徹に振る舞う彼の苦労。
ドールはそれを見て、無意識に口を開いていた。
「……でしたら」
「ん?」
「私が泥除けになりますよ」
「……え?」
アークが立ち止まる。
ドールは自分でも驚いたが、言葉は止まらなかった。
「閣下が泥を被るなら、私がその泥を乾燥させて、肥料として売りさばきます。……転んでもただでは起きませんので」
それはドールなりの、精一杯の「支えます」という言葉だった。
アークは目を見開き、そして……今までで一番、優しく笑った。
「……参ったな」
アークはドールを抱きしめた。
王城の廊下の真ん中で。
「! か、閣下! 人目が……!」
「構うものか。……ああ、愛しているよ、ドール。君が金目当てでも、なんでもいい」
アークの腕に力がこもる。
「君以外には考えられない。……一生、私の側で『計算』していてくれ」
ドールはアークの胸の中で、カッと顔を赤くした。
(……ずるい)
(こんなん言われたら……『割増料金』も請求できへんやんか)
ドールはおずおずと、アークの背中に手を回した。
「……善処します」
それが、今の彼女に出せる精一杯のデレ(回答)だった。
だが、この幸せな時間は長くは続かなかった。
王城の影で、追い詰められた二つの影が、最後の悪あがきを画策していたからだ。
「……許さない。絶対に許さないわ、ドール……!」
「見ていろ……僕をコケにした報いを受けさせてやる……!」
ミナとカイル。
破滅へと突き進む二人の暴走が、始まろうとしていた。
ドールは揺れる車内で、パチパチとそろばん(携帯用)を弾いていた。
「……計算完了です」
ドールは一枚の請求書をアークに突きつけた。
「今回の出張旅費および手当の精算書です」
「仕事が早いね。……どれどれ」
アークが目を通す。
「宿泊費、交通費、危険手当(ミナ対策)……ふむ。妥当だね」
アークの指が、最後の一行で止まった。
「……この『早朝特別対応費』というのは?」
「今朝の件(キス)です」
ドールは真顔で答えた。
「就業時間前の不意打ちは、労働基準法における『時間外の拘束』に該当します。よって、割増料金を請求させていただきました」
「……なるほど」
アークは口元を押さえて笑いを堪えた。
「『キス一回につき金貨一〇枚』か。……安いものだ」
「高いですよ? 高級ランチ三回分です」
「私にとっては、君の唇の価値は国家予算にも匹敵するからね。……バーゲンセールだ」
アークはサインペンを取り出し、サラサラと署名した。
「承認しよう。……帰ったらすぐに振り込ませるよ」
(よっしゃ! 臨時ボーナス確定!)
ドールは心の中でガッツポーズをした。
アークとのキスが金貨に換算できるなら、これほど効率の良い錬金術はない。
(唇が減るわけじゃなし、歯磨きすれば元通り。……コスパ最高やな)
色気のないことを考えていると、馬車が王城の門をくぐった。
しかし、向かった先は宰相府の裏口ではなく、王城の正面玄関だった。
「……閣下。行き先が違いますが」
「ああ、言っていなかったかな?」
アークは何でもないことのように言った。
「兄上が君に会いたいと騒いでいてね。……このまま謁見に向かう」
「……は?」
ドールの思考が一瞬停止した。
「兄上、とは……?」
「国王陛下だよ」
「……今から、ですか?」
「うん。アポなしだけど、家族だからいいだろう」
(よくないわ!!)
ドールは内心で叫んだ。
国王陛下。この国の最高権力者。
そんな雲の上の存在に、旅行帰りのパンツスーツ姿で、しかも心の準備なしに会えと言うのか。
「……閣下。ビジネスマナーをご存知ですか? トップ会談には事前の根回しと準備が必要です」
「大丈夫さ。君なら『ありのまま』で勝てる」
「勝負ではありません、謁見です」
抗議も虚しく、馬車は赤絨毯の前に停車した。
*
王城、玉座の間。
重厚な扉が開かれると、そこには煌びやかな空間が広がっていた。
玉座に座るのは、アークによく似た面差しだが、より柔和で、少し頼りなさげな男性。
ランバート国王陛下である。
「やあ、アーク。お帰り」
国王は親戚の叔父さんのような軽いノリで手を振った。
「急に呼び出してごめんね。……そちらが噂の?」
「はい。私の婚約者、ドール・ヴァレンタインです」
アークがドールの背中を押す。
ドールは流れるような動作でカーテシーをした。
「お初にお目にかかります、国王陛下。ドール・ヴァレンタインでございます」
「うむ、楽にしてくれ。……ふーむ」
国王はドールをまじまじと観察した。
「噂通りの『人形姫』だね。本当に表情が動かない。……アーク、お前よくこんな冷たそうな子を口説いたな?」
「失礼なことを言わないでください、兄上。彼女は中身が熱いんです」
「熱い? どこが?」
国王が不思議そうに首を傾げる。
ドールは無表情のまま、ゆっくりと顔を上げた。
そして、玉座の間を見渡した。
(……無駄が多い)
ドールの『経営コンサルタント眼(アイ)』が発動した。
(あのシャンデリア、蝋燭(ろうそく)の数が多すぎて空調効率が悪い。壁のタペストリー、湿気でカビが生えかけてるから修繕費がかさむはず。衛兵の配置、死角が多くて警備コストの割にザルやな)
ドールは瞬時に王城の『無駄』をスキャンした。
「……あの、ドール嬢? 何をそんなにキョロキョロと?」
国王が気まずそうに声をかける。
ドールは視線を国王に戻し、淡々と言った。
「……陛下。恐れながら申し上げます」
「な、なんだい?」
「この『玉座の間』の維持費、年間で金貨五〇〇〇枚ほど掛かっておられますね?」
「えっ? あ、うん、たぶんそのくらいかな……」
「照明の配置変更と、清掃業者の見直し、あとあちらの窓の断熱改修を行えば、維持費を二割カットできます」
「……はい?」
国王が目を丸くする。
ドールは止まらない。
「さらに、衛兵のシフト表を見直せば、人件費を削減しつつ警備レベルを上げることが可能です。……提案書を作成いたしましょうか?」
「え、えっと……君、初対面でいきなり予算の話?」
「国王陛下は国家の経営者(CEO)です。経営者にとって最も重要なのは、見栄ではなく利益(国益)の最大化かと存じます」
ドールはズバリと言い切った。
「無駄な経費は、国民の血税の浪費です。……それとも、陛下は浪費がお好きで?」
「い、いや! 好きじゃないよ! むしろ財務大臣にいつも怒られてるよ!」
国王が慌てて弁明する。
ドールはニッコリ(無表情で)と頷いた。
「では、私にお任せください。宰相閣下の補佐として、王城の『大掃除(リストラ)』をご提案させていただきます」
国王はポカンと口を開け、それからアークを見た。
「……アーク。この子、すごいな」
「でしょう? 私の自慢のパートナーです」
アークは鼻高々だ。
「カイルが手放した理由が分かったよ。……あいつには、この子の『切れ味』は扱いきれなかったんだな」
国王は苦笑した。
「でも、アーク。君も大変だろう? こんなにしっかりした奥さんをもらうと、へそくりも隠せないぞ?」
「全財産を預けるつもりですので、問題ありません」
「お前も極端だなあ……」
国王は玉座から立ち上がり、ドールの近くまで歩み寄った。
そして、小声で尋ねた。
「……なあ、ドール嬢。ぶっちゃけ、アークのどこが良かったんだ?」
「はい?」
「こいつ、『氷の公爵』とか言われてるけど、中身はかなり面倒くさい奴だろう? 執着質だし、サディストだし、一度狙った獲物は逃がさないし……」
国王は弟の本性をよく理解していた。
「君みたいな合理的な子が、なんでこんな『地雷物件』を選んだんだい?」
ドールはアークをチラリと見た。
アークはニコニコと笑っているが、その目は「変なこと言ったらお仕置きだぞ」と語っている。
ドールは視線を国王に戻し、即答した。
「……提示された条件が、破格でしたので」
「条件?」
「給与三倍、定時退社、福利厚生完備、さらにボーナス(臨時収入)多数。……これほどの優良物件(ホワイト企業)は、他にはございません」
「……金か」
「金です」
「愛は?」
「金が愛を育みます」
国王は絶句し、そして爆笑した。
「はははは! 『金が愛を育む』か! 名言だ!」
国王は涙を拭いながら、ドールの肩を叩いた。
「気に入った! アークの嫁には、これくらい肝が据わってないと務まらん!」
国王は高らかに宣言した。
「許そう! 二人の婚約を、王家として正式に承認する!」
「ありがとうございます、兄上」
アークが優雅に一礼する。
ドールも倣って頭を下げた。
(よし! 王様のお墨付きゲット! これでカイルからの妨害も法的になくなる!)
ドールが内心で勝利宣言をしていると、国王が付け加えた。
「あ、そうだドール嬢。さっきの『経費削減案』だけど」
「はい」
「後で本当に詳しく教えてくれる? ……実は王妃のドレス代が凄くてさあ……なんとかしたいんだよね……」
「承知いたしました。別料金(コンサル料)にて承ります」
「……君、本当にブレないね」
*
謁見を終え、廊下に出た二人。
「お疲れ様。見事な交渉術だったよ」
アークがドールをねぎらう。
「陛下があんなに気さくな方で助かりました。……カイル殿下とは大違いですね」
「ああ。兄上は人が良すぎるのが欠点だがね。……だからこそ、私が泥を被って国を守っているんだが」
アークの表情に、ふと影が差した。
『氷の公爵』としての孤独。
汚れ役を一手に引き受け、冷徹に振る舞う彼の苦労。
ドールはそれを見て、無意識に口を開いていた。
「……でしたら」
「ん?」
「私が泥除けになりますよ」
「……え?」
アークが立ち止まる。
ドールは自分でも驚いたが、言葉は止まらなかった。
「閣下が泥を被るなら、私がその泥を乾燥させて、肥料として売りさばきます。……転んでもただでは起きませんので」
それはドールなりの、精一杯の「支えます」という言葉だった。
アークは目を見開き、そして……今までで一番、優しく笑った。
「……参ったな」
アークはドールを抱きしめた。
王城の廊下の真ん中で。
「! か、閣下! 人目が……!」
「構うものか。……ああ、愛しているよ、ドール。君が金目当てでも、なんでもいい」
アークの腕に力がこもる。
「君以外には考えられない。……一生、私の側で『計算』していてくれ」
ドールはアークの胸の中で、カッと顔を赤くした。
(……ずるい)
(こんなん言われたら……『割増料金』も請求できへんやんか)
ドールはおずおずと、アークの背中に手を回した。
「……善処します」
それが、今の彼女に出せる精一杯のデレ(回答)だった。
だが、この幸せな時間は長くは続かなかった。
王城の影で、追い詰められた二つの影が、最後の悪あがきを画策していたからだ。
「……許さない。絶対に許さないわ、ドール……!」
「見ていろ……僕をコケにした報いを受けさせてやる……!」
ミナとカイル。
破滅へと突き進む二人の暴走が、始まろうとしていた。
11
あなたにおすすめの小説
半世紀の契約
篠原皐月
恋愛
それぞれ個性的な妹達に振り回されつつ、五人姉妹の長女としての役割を自分なりに理解し、母親に代わって藤宮家を纏めている美子(よしこ)。一見、他人からは凡庸に見られがちな彼女は、自分の人生においての生きがいを、未だにはっきりと見い出せないまま日々を過ごしていたが、とある見合いの席で鼻持ちならない相手を袖にした結果、その男が彼女の家族とその後の人生に、大きく関わってくる事になる。
一見常識人でも、とてつもなく非凡な美子と、傲岸不遜で得体の知れない秀明の、二人の出会いから始まる物語です。
悪役だから仕方がないなんて言わせない!
音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト
オレスト国の第一王女として生まれた。
王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国
政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。
見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
相互理解は難しい〜とある幼い初恋の始まり方は周りを巻き込んで大騒ぎ〜
あとさん♪
恋愛
その日、初めて許婚の少年に会った公爵令嬢サラ・フォン・ベッケンバウワー12歳。
対するのはこの国の王子殿下ヘルムバート・フォン・ローリンゲン14歳。
彼らは双方の父親を伴って、ごく普通に初めての面会を済ませた。
·····と思ったら、壁ドンが待っていました。殿下? ちょっと……だいぶ……否、かなり、怖いですよ?
1話ごとに視点が変わります。
奇数話毎に、或いは偶数話毎に読んだ方が解りやすいかも。
不親切な作りで申し訳ない“〇| ̄|_
※シャティエル王国シリーズ1作目!
※なろうにも投稿しました。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる