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新たな生活
Ωの男の子
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僕が永瀬くんの担当になって数日後、僕は不眠で欠伸をしながら永瀬くんの部屋を訪ねた。
「真琴先生、寝不足?医者の不養生じゃね?」
人懐っこく永瀬くんに指摘された。
担当患者が彼1人という事もあり、特に用が無いときは彼の部屋を訪ねて、たわいも無い話をして過ごしていたからか、だんだんと打ち解けてくれていた。
「ねぇ、真琴先生。俺…Ωなんだけどさ……、部活で仲のいいαの先輩の事が好きでさ。でも、Ωって蔑視されるじゃん。嫌われるのも嫌だし、どうしたらいいかわからねぇんだ。だから、手術受ける踏ん切りもつけれなくって…」
永瀬くんの突然の告白に驚いた。
状況はちょっと違うけど、僕が理先生に抱いている気持ちと酷似している。
「永瀬くん、内緒だけど実は僕もΩなんだよ。僕もね、君と同じ様に憧れているαの先輩が居て、その先輩が医者になるのが夢だって言ってたのを聞いて、僕はこの道に進んだんだ。僕が想ってる先輩は蔑視する事もなく、僕がΩだって知ってても普通に接してくれてる。想いを伝える事は一生出来ないかも知れないけど、同じ道に進んで何かの支えになれれば…、とは思ってるよ。想いを伝えれると一番いいんだろうけどね。でも、絶対無理とは思ってはいないんだ。いつか、機会があればちゃんと想いを伝えたいと、僕は考えてるんだ…」
僕のトップシークレット情報を話した。
僕と永瀬くんからは死角になっている場所で、理先生がこっそりその会話を聞いていた事も知らずに…。
「へぇ~、真琴先生ってΩだったんだ。それって、言っちゃっても大丈夫なの?俺が誰かに喋っちゃうかも知れないじゃん?」
と永瀬くんが言うから、
「永瀬くんなら、教えてもいいかなぁって思ったんだ。きっと君は秘密は言わないと思ったから。」
と伝えると、
「主治医の秘密は誰にも言うわけないじゃん。俺も、真琴先生みたいに先輩の役に立てれることで心が満たされるといいな…。手術受けて、元気になって、時間は掛かるだろうけど頑張ってみるよ。」
と言ってくれた。
コンコン
と病室の入り口からノックが聞こえ、
「随分賑やかな声がしてたね。永瀬くん、調子はどうだ?」
と言いながら理先生が顔を覗かせた。
「うん、今、真琴先生から勇気の出る話を聞いて絶好調。手術を受ける事にするよ。」
と理先生に笑顔で返す永瀬くん。
「そりゃすごいな。一体真琴先生はどんな魔法の言葉を使ったんだか…。教えてくれるかい?」
理先生が問いただす。
「真琴先生と僕との秘密だもんね~!理先生でも、奏先生でも絶対に教えてあげないよ。な、真琴先生!」
と僕には笑顔を向け理先生に言い返す永瀬くん。
「理先生、俺、手術受けるんなら真琴先生と理先生にお願いしたいんだけど、ソレって無理なのかな?」
永瀬くんが、神妙な表情になって言葉を紡ぐ。
「真琴先生は君の主治医だからね。執刀は真琴先生に決まってるよ。わたしは、真琴先生の指導医だから助手に入らせてもらう事になるよ。」
と告げれば、安心した様にホッと一息ついた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何度か御両親にもお会いして、納得いただけるまで説明を繰り返し3週間前に永瀬くんは手術を受け、今は高等部の受験に向けて体力を付けるためリハビリを頑張っている。それも、もうすぐ卒業…退院の目処が立ったのだ。
最近、部屋に様子を見に行った時良く面会に来ている男の子がいる事に気付いた。
話の内容から、きっとあの時に話してくれた先輩だと思う…。
今日も2人で仲良く話が弾んでいる中、コンコンとドアをノックして部屋に入った僕は、
「永瀬くん、随分楽しそうだね。」
と声をかけた。
「うん。先輩が入試に向けて勉強を教えてくれてるんだ。スッゲェ分かりやすくって、楽しいんだ!」
と話してくれた。
僕は、永瀬くんの愛しの先輩に挨拶し、
「検査の結果も安定しているから、そろそろ退院の許可を出せるから、御両親と相談して退院の希望の日を決めてもらって構わないよ。」
と伝えると、
「やったな!幸希!」
と、先輩が永瀬くんに抱きついて喜んでいた。
若い2人がこれからもいい関係を気づけるといいな、と思いその場を後にした。
3日後、永瀬くんは御両親と共に退院して行った。
「真琴先生、ありがとう。」
の言葉を残して。
「真琴先生、寝不足?医者の不養生じゃね?」
人懐っこく永瀬くんに指摘された。
担当患者が彼1人という事もあり、特に用が無いときは彼の部屋を訪ねて、たわいも無い話をして過ごしていたからか、だんだんと打ち解けてくれていた。
「ねぇ、真琴先生。俺…Ωなんだけどさ……、部活で仲のいいαの先輩の事が好きでさ。でも、Ωって蔑視されるじゃん。嫌われるのも嫌だし、どうしたらいいかわからねぇんだ。だから、手術受ける踏ん切りもつけれなくって…」
永瀬くんの突然の告白に驚いた。
状況はちょっと違うけど、僕が理先生に抱いている気持ちと酷似している。
「永瀬くん、内緒だけど実は僕もΩなんだよ。僕もね、君と同じ様に憧れているαの先輩が居て、その先輩が医者になるのが夢だって言ってたのを聞いて、僕はこの道に進んだんだ。僕が想ってる先輩は蔑視する事もなく、僕がΩだって知ってても普通に接してくれてる。想いを伝える事は一生出来ないかも知れないけど、同じ道に進んで何かの支えになれれば…、とは思ってるよ。想いを伝えれると一番いいんだろうけどね。でも、絶対無理とは思ってはいないんだ。いつか、機会があればちゃんと想いを伝えたいと、僕は考えてるんだ…」
僕のトップシークレット情報を話した。
僕と永瀬くんからは死角になっている場所で、理先生がこっそりその会話を聞いていた事も知らずに…。
「へぇ~、真琴先生ってΩだったんだ。それって、言っちゃっても大丈夫なの?俺が誰かに喋っちゃうかも知れないじゃん?」
と永瀬くんが言うから、
「永瀬くんなら、教えてもいいかなぁって思ったんだ。きっと君は秘密は言わないと思ったから。」
と伝えると、
「主治医の秘密は誰にも言うわけないじゃん。俺も、真琴先生みたいに先輩の役に立てれることで心が満たされるといいな…。手術受けて、元気になって、時間は掛かるだろうけど頑張ってみるよ。」
と言ってくれた。
コンコン
と病室の入り口からノックが聞こえ、
「随分賑やかな声がしてたね。永瀬くん、調子はどうだ?」
と言いながら理先生が顔を覗かせた。
「うん、今、真琴先生から勇気の出る話を聞いて絶好調。手術を受ける事にするよ。」
と理先生に笑顔で返す永瀬くん。
「そりゃすごいな。一体真琴先生はどんな魔法の言葉を使ったんだか…。教えてくれるかい?」
理先生が問いただす。
「真琴先生と僕との秘密だもんね~!理先生でも、奏先生でも絶対に教えてあげないよ。な、真琴先生!」
と僕には笑顔を向け理先生に言い返す永瀬くん。
「理先生、俺、手術受けるんなら真琴先生と理先生にお願いしたいんだけど、ソレって無理なのかな?」
永瀬くんが、神妙な表情になって言葉を紡ぐ。
「真琴先生は君の主治医だからね。執刀は真琴先生に決まってるよ。わたしは、真琴先生の指導医だから助手に入らせてもらう事になるよ。」
と告げれば、安心した様にホッと一息ついた。
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何度か御両親にもお会いして、納得いただけるまで説明を繰り返し3週間前に永瀬くんは手術を受け、今は高等部の受験に向けて体力を付けるためリハビリを頑張っている。それも、もうすぐ卒業…退院の目処が立ったのだ。
最近、部屋に様子を見に行った時良く面会に来ている男の子がいる事に気付いた。
話の内容から、きっとあの時に話してくれた先輩だと思う…。
今日も2人で仲良く話が弾んでいる中、コンコンとドアをノックして部屋に入った僕は、
「永瀬くん、随分楽しそうだね。」
と声をかけた。
「うん。先輩が入試に向けて勉強を教えてくれてるんだ。スッゲェ分かりやすくって、楽しいんだ!」
と話してくれた。
僕は、永瀬くんの愛しの先輩に挨拶し、
「検査の結果も安定しているから、そろそろ退院の許可を出せるから、御両親と相談して退院の希望の日を決めてもらって構わないよ。」
と伝えると、
「やったな!幸希!」
と、先輩が永瀬くんに抱きついて喜んでいた。
若い2人がこれからもいい関係を気づけるといいな、と思いその場を後にした。
3日後、永瀬くんは御両親と共に退院して行った。
「真琴先生、ありがとう。」
の言葉を残して。
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