【完結】断罪の日、私は“隣国の王子”に拾われた

22時完結

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舞踏会の奇跡と、再会の涙

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   王家による正式な認可を得てから数日後。
私とレオンハルト様は、いよいよ“王妃選定舞踏会”の準備に入っていた。

「この舞踏会は、お前を“次期王妃”として紹介する場でもある。華やかに、そして堂々と行こう」

「……はい」

けれどその直前に、私の元へ届けられた一通の手紙が、全ての始まりだった。

『お願い。最後に、一度だけ会って話をさせて——アリステリア』



人目を避け、王宮の離宮に用意された小さな客間。
扉を開けると、そこには痩せ細ったアリステリアの姿があった。

「……本当に、来てくれたのね」

「アリステリア様……いいえ、アリステリア」

彼女は微笑みながら、静かに言った。

「こんなにきれいな顔になって……もう、完全に“王子の花嫁”の顔だわ」

「あなたは、なぜあのような手紙を?」

「私じゃないわ。あれは……グランツ家の父が勝手に出したの。私はもう、誰の命令にも従いたくないのに」

彼女の声は、まるで囁きのように弱々しかった。

「私……レオンハルト王子に恋をしたことなんて、一度もなかったのよ」

「……え?」

「でも、“王家に嫁ぐ”という夢だけは、ずっと、ずっと心にあった。だから、あなたが彼に選ばれたと知ったとき、正直……どうしても、許せなかった」

「……」

「でももうわかったの。あなたは“愛された”から、ここに立てている。私は……“役割を演じただけ”だったの」

その時、アリステリアの目に、ぽろりと涙が浮かんだ。

「ねえ、アリア。あの時、あなたのドレスを踏んづけたの、覚えてる?」

「……ええ、もちろん」

「本当は、あの時少し……私も壊れかけてたのよ。見下されるのが怖くて、誰よりも完璧であろうとして、でも心の中ではずっと“自分じゃない自分”を演じてた」

私は、思わず彼女の手を握った。

「……あなたも、苦しかったのね」

「……ありがとう。あなたに“勝ちたい”と思ったこと、恥ずかしくて、でも本当は羨ましかったの。あなたのように、誰かを真っ直ぐに愛したかった」

「あなたも、きっとできる。愛される価値は……あるから」

その言葉に、アリステリアは静かにうなずいた。

「このまま王都を離れるわ。もう二度と、誰かの“代役”になる人生は送りたくないから」

「……行ってらっしゃい」

それが、私たちの最後の会話となった。



そして、舞踏会当日。

王宮の大広間には、各国の貴族たちが集まり、煌びやかな音楽と香りが空間を満たしていた。

「アリア、これを」

レオンハルト様が差し出したのは、王家の紋章が刻まれた小箱。

「……これは?」

「中を見てごらん」

箱を開けると、そこには美しい瑠璃色の指輪が収められていた。

「これは、俺の母が王妃だった時代に身につけていた“愛の証”だ」

「……そんな大切なものを……」

「これをお前に贈る。俺はもう、お前以外の誰をも見ない」

涙がこみ上げる。

でも、それを押し込めて、私は静かに答えた。

「ありがとうございます。私も、もう……迷いません」



その直後、場内に音楽が響き渡る。

「レオンハルト王子と、その婚約者アリア嬢による、記念の第一舞踏です!」

貴族たちが拍手を送る中、私たちはゆっくりと歩み出た。

王子の手が私の腰に添えられ、視線が絡む。

「……緊張してるか?」

「少しだけ。でも、大丈夫です。あなたがいれば」

「その言葉、何よりも嬉しい」

そして始まったダンスは——まるで夢の中のようだった。

音楽に合わせて、私たちのステップが静かに重なる。

(これは、私たちが選んだ未来。誰にも邪魔させない)

美しい旋律と共に、私はこの瞬間を全身で受け止めた。

舞踏の最後、レオンハルト様が私の手を取って跪き、そっと手の甲に口づけを落とす。

「愛している、アリア。……永遠に、お前だけを」

「私も……あなたを愛しています」

その瞬間、会場から割れるような拍手が沸き起こった。

私たちは、堂々と“愛される者と愛する者”として、この舞踏会の主役となったのだ。



その夜。

星が降るような空の下、私たちはバルコニーに立っていた。

「……今日という日は、きっと一生忘れられません」

「俺もだ。お前が隣にいてくれたら、どんな未来も怖くない」

レオンハルト様が肩を寄せると、私はその胸に甘えるように寄り添った。

温かく、穏やかで、そして揺るぎない。

これは、私の愛と居場所が確かに“ここにある”という証——
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