【完結】断罪の日、私は“隣国の王子”に拾われた

22時完結

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この手を、ずっと離さない

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   王宮の鐘が、高らかに鳴り響いた朝。

それは、私たち——レオンハルト王子とアリア・フィンレイの、
新たな人生の“はじまり”の日だった。

戴冠式と結婚式が重なる前代未聞の一日。
それを祝福するかのように、王都の空は雲ひとつない晴天だった。

「アリア。準備は、できているか?」

控室に現れたレオンハルト様は、真紅の正装に身を包み、
今までで一番凛々しく、そして優しい笑みを浮かべていた。

「……はい。ずっと、今日を夢見ていました」

私は、王妃の証である純白のドレスを纏っていた。
胸元には、前夜贈られたばかりの瑠璃の指輪。
そして腰には、王家の紋章が縫い込まれた金の刺繍。

それは、過去の痛みや誤解、陰りをすべて乗り越えた——“新しい私”を象徴していた。



戴冠式は、王城の中央大聖堂で行われた。

長いバージンロードの先に立つのは、王であり、レオンハルト様の父。

「王子レオンハルト・ヴァルトライヒよ、ここに誓うか。国を導く王となり、正義と愛をもって人々を守ることを」

「——はい。誓います」

堂内に響き渡る誓いの言葉。

次に王冠が差し出され、それを戴いた瞬間、
レオンハルト様は、正式に“国の王”となった。

その視線が、真っ直ぐ私を捉える。

「……次は、私の番ですね」



結婚式は、王都の人々も見守る中で行われた。

民衆に開かれた“祝福の式典”——
それは、ただの政略結婚でも、格式ばった儀式でもなかった。

王と王妃が、“心から愛し合っている”ことを示す、唯一無二の舞台だった。

「アリア・フィンレイ。そなたは、王の伴侶となることを誓うか?」

「はい。どんな時も、愛と敬意をもって共に歩むことを誓います」

「レオンハルト・ヴァルトライヒ。そなたは、この者を生涯愛し抜くと誓うか?」

「誓う。彼女以外、誰も愛さぬと」

その言葉に、私は思わず涙をこぼしてしまった。

(こんな日が、本当に来るなんて——)



指輪の交換、そして誓いの口づけを交わした瞬間、
場内に溢れる歓声と拍手が、まるで祝福の鐘のように響き渡った。

——私はもう、誰にも奪われない。
——この人と、ずっと共にある。

その実感が、静かに胸に広がっていく。



披露宴の席。
私は緊張から解放され、ようやくレオンハルト様と肩を並べて座っていた。

「……まだ、夢を見ているみたいです」

「これからは、その夢が“現実”になる。目を覚ましても、隣にはずっと俺がいるから」

「……それ、とても甘い言葉ですね」

「今日だけじゃない。これから毎朝、お前にそう言うよ」

そうささやかれ、私は思わず頬を赤らめる。

「……まったく、冷酷な王子という噂はどこへやら」

「冷酷なのは、他人に対してだけだ。お前には……甘すぎるくらいでちょうどいい」

周囲の視線など気にせず、レオンハルト様は私の指に優しく触れた。

(私は、こんなにも愛されている)

その事実が、胸の奥をじんわりと温めてくれる。



夜になり、王城のバルコニーから夜空を見上げると、
満天の星が、私たちを見守るように瞬いていた。

「アリア。願いごとはあるか?」

「……いいえ。もう、すべて叶ったから」

「なら、次は俺が願う番だな。——この幸せが、永遠に続きますように」

「……それ、叶えてくれるんですか?」

「もちろん。何があっても、俺が守る。お前が笑っていられる限り、俺は……王として、夫として、生きていける」

彼の言葉に、私は微笑みながら手を伸ばす。

その手は、大きくて、温かくて。
まるで私のすべてを包み込んでくれるようだった。

「ずっと、隣にいてくださいね」

「もちろん。これから先、千の春が巡っても、ずっと——」

「レオンハルト様」

「……うん?」

「愛しています。心の底から、あなたを」

彼はふわりと笑い、そっと私の額に唇を落とした。

「俺もだ。アリア。愛してる」

夜風が、静かに私たちの間を通り抜ける。

けれど、心はまったく寒くない。

だって、もう私は——

この人と、生きていくと決めたのだから。
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