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急3
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後は蓋を取って、願い事を言うだけだ。
しかし、その時である、私の身体は突然硬化する。
辛うじて指ぐらいは動かせるものの、腕を動かすなどとてもできることじゃない。
これは・・・・・・。
無動金縛りの術・・・・・・。
手をパチパチと叩く音がする。
聞き覚えのある、拍子に私の動かない身体は震えた。
やはり、付けられていた。当たり前だ。偶然でも有り得ない。
「ハハハ、凪紗さん。あなたは花○満点です」
汚物のような笑い声をまき散らしている。
私は、影縫を二度と生き返らせられないこと。そして、あやかしに大きな不幸が降りかかってしまうことで、希望を失ってしまった。
目の前が闇で覆われている感覚に襲われ、立ったまま、動けないまま、絶望してしまう。
「暗部の皆さん、術を解いてください」
私は術は解かれたが、振り返る気力を喪失してしまっていた。ただ四つん這いになって、動く気すら起らない。
「凪紗さん。あなた、何かを勘違いしていますね、後ろを見てください」
恨み、憎しみ、怒り、全ての感情が落ち込んでいる。生気がこもってない目で、私は後ろを振り返った。
だが、身体中に電撃が走る。
「影縫・・・・・・」
全身を白い晒のような物に巻かれていて、術を封じる札をあらゆるところに貼り付けられているが、その青い瞳は見まごうことはない。
「影縫!!!」
私は立ち上がった。私の体は私刑によって、筋肉の束が切れ、骨まで亀裂が走っている。
駆け寄る力はとうにないのかもしれない。
だが、それでもなお。
私は止まらない。止まることなど決してできない。
しかし。
近づく暗部の一人に、蹴りにより大きく吹き飛ばされた。
私は腹部を押さえ、睨みつける。
けれども、再び立ち上がろうとした時、尚登の後ろにいる人物に気づいた。
同じ暗部の洋風の恰好に、サーベルを差しているが、私に似た容姿端麗の顔。父上だ。
だが、父はもう死んだ魚のような目をしていて、焦点すら定まっていないような気がする。
「お義父さん。いや、お義父さんになる予定だった人。あなたは前あやかし狩りの頭領として自分の子とこの国の行く末を見届ける責任があるんですよ・・・・・・」
冷たい。あまりにも冷たい、冷笑。
尚登により、ここにいる役者は全て手の平で転がされている。
その時、木々の間から、あるあやかしが現れた。
虎のような、四つん這いの体。
だが、顔面は牙こそ長く伸びているが、人間の持つそれと同じ、そして美しい翠緑の瞳を持つ彼は見覚えがある。
王の側近の軍人、山犬だ。
尚登に牙が届くと思われた。
しかし、山犬は動けなくなっていた。
私は気づかなかったが、地面に結界が張られている。
私達の立っている土の上に黒い象形文字が描かれており、それはこの山全体に広がっているかのようだった。
おそらく無動金縛りの術の結界。
私や、尚登たちが動けるところを見ると、あやかしのみに効果を発揮する妖術のようだ。
「おやおや、山犬さん。お久しぶりです」
尚登はケタタケと余裕の嘲笑を山犬に浴びせる。
「やはりね。インドラの箱が発動したとなると、王家が動かない訳がない。凪紗さんが、何故か静かにしている間に山全体に結界を張っていたのですよ。今、ちょうどそれが終わりました。残念でしたね」
あやかしは頭上からも、尚登を殺めようと来ていた。
だが黒い翼を持つ、王、側近の精鋭たちも、硬直して動けないようだ。
しかし、その時である、私の身体は突然硬化する。
辛うじて指ぐらいは動かせるものの、腕を動かすなどとてもできることじゃない。
これは・・・・・・。
無動金縛りの術・・・・・・。
手をパチパチと叩く音がする。
聞き覚えのある、拍子に私の動かない身体は震えた。
やはり、付けられていた。当たり前だ。偶然でも有り得ない。
「ハハハ、凪紗さん。あなたは花○満点です」
汚物のような笑い声をまき散らしている。
私は、影縫を二度と生き返らせられないこと。そして、あやかしに大きな不幸が降りかかってしまうことで、希望を失ってしまった。
目の前が闇で覆われている感覚に襲われ、立ったまま、動けないまま、絶望してしまう。
「暗部の皆さん、術を解いてください」
私は術は解かれたが、振り返る気力を喪失してしまっていた。ただ四つん這いになって、動く気すら起らない。
「凪紗さん。あなた、何かを勘違いしていますね、後ろを見てください」
恨み、憎しみ、怒り、全ての感情が落ち込んでいる。生気がこもってない目で、私は後ろを振り返った。
だが、身体中に電撃が走る。
「影縫・・・・・・」
全身を白い晒のような物に巻かれていて、術を封じる札をあらゆるところに貼り付けられているが、その青い瞳は見まごうことはない。
「影縫!!!」
私は立ち上がった。私の体は私刑によって、筋肉の束が切れ、骨まで亀裂が走っている。
駆け寄る力はとうにないのかもしれない。
だが、それでもなお。
私は止まらない。止まることなど決してできない。
しかし。
近づく暗部の一人に、蹴りにより大きく吹き飛ばされた。
私は腹部を押さえ、睨みつける。
けれども、再び立ち上がろうとした時、尚登の後ろにいる人物に気づいた。
同じ暗部の洋風の恰好に、サーベルを差しているが、私に似た容姿端麗の顔。父上だ。
だが、父はもう死んだ魚のような目をしていて、焦点すら定まっていないような気がする。
「お義父さん。いや、お義父さんになる予定だった人。あなたは前あやかし狩りの頭領として自分の子とこの国の行く末を見届ける責任があるんですよ・・・・・・」
冷たい。あまりにも冷たい、冷笑。
尚登により、ここにいる役者は全て手の平で転がされている。
その時、木々の間から、あるあやかしが現れた。
虎のような、四つん這いの体。
だが、顔面は牙こそ長く伸びているが、人間の持つそれと同じ、そして美しい翠緑の瞳を持つ彼は見覚えがある。
王の側近の軍人、山犬だ。
尚登に牙が届くと思われた。
しかし、山犬は動けなくなっていた。
私は気づかなかったが、地面に結界が張られている。
私達の立っている土の上に黒い象形文字が描かれており、それはこの山全体に広がっているかのようだった。
おそらく無動金縛りの術の結界。
私や、尚登たちが動けるところを見ると、あやかしのみに効果を発揮する妖術のようだ。
「おやおや、山犬さん。お久しぶりです」
尚登はケタタケと余裕の嘲笑を山犬に浴びせる。
「やはりね。インドラの箱が発動したとなると、王家が動かない訳がない。凪紗さんが、何故か静かにしている間に山全体に結界を張っていたのですよ。今、ちょうどそれが終わりました。残念でしたね」
あやかしは頭上からも、尚登を殺めようと来ていた。
だが黒い翼を持つ、王、側近の精鋭たちも、硬直して動けないようだ。
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