もう二度とあなたの妃にはならない

葉菜子

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私の新しい人生

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 ふと、気づけば朝だった。ゆっくりと目を開けると、カーテンの赤が目に入った。
 なんだか長く重い夢を見ていたような気がする。ぼんやりとした頭では目の焦点すら合わない。

 「ーー私を信じて待っていてほしい」

 ガバッと勢いよく、起き上がる。頭を駆けた言葉はジルト様に言われたことだ。

 「そういえば、私死んでーーー」

 そう、死んだはずだった。毒を飲んだのだ。なのに私は生きている。

 ……ここ 、どこなの?

 あたりを見渡すと、誰かの女性の部屋のようで、可愛らしい家具にぬいぐるみも見える。

 全体的に赤い部屋のここは、私の好きな色だ。
 
 私の部屋は、白い家具ばかりだったはずなのに……。

 とりあえず、ベッドから降りると姿見に気づく。視界に入った鏡を見て、目を見開く。



 「私が小さくなってる!」

 バンッと勢いよく鏡を掴む。そして片手で頬を引っ張る。鏡に映る自分は同じように頬を引っ張った。

 どうして!? なぜ私は子供になっているの!?

 思わず鏡を揺さぶるけど、鏡に映る自分がぐらぐら動くだけで、何も変わらない。

 そんな中、ガチャリと扉が開いた。

 「あれ? ミーア様いつもは寝ているのに、早いですね! 自ら起きてるなんて偉いです!」


 そこにいたのは、子供の頃自分の侍女だった、エイミーだった。確か、私が12歳の時に子爵家に嫁いでいったはずだ。

 「……え、エイミー?」
 「? はい、エイミーですよ? ミーアお嬢様、どうかしました?」

 信じられず訝しげに呼ぶと、エイミーはキョトンとした顔をしながら返事をくれる。その顔に焦ってしまう。

 「え、ええ、なんでもないのよ! 気になさらないで」
 「ミーア様!? どうしたのですかその言葉使い!? はっ、まさか熱が!? お医者様を呼ばないと!」
 「え!? い、いや、違うの! 私も
この歳だから、話し方変えようかなって思ってね!?」


 慌てて、走り出そうとするエイミーに駆け寄る。おかしい。エイミーと自分はこんなにも気軽に話せる仲ではなかったはずなのに。エイミーのこの反応は何だろう。

 「そうなんですか? ミーア様が突然おかしくなったのかと思いましたよ! いつもなら起こしに来てもなかなか起きないのに! 起きているんですもの!」
 「え、ええ、と、うん、ごめんね。そこまで驚くとは思わなくて」

 さっきのような反応をされたら困るので、どもりながら答える。

 「じゃあ、早く着替えちゃいましょうか! お二人ともすでにミーア様をお待ちですよ」

 そう言って、笑顔で服を出し始めるエイミーに頷きながら、思う。

 これは一体、何……!?



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