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ふと意識が浮上して、目を覚ました。寝てしまったのか。魔力切れを起こしてしまったのか。魔法陣1つで。
窓の外は真っ暗だし、明かりは火がところどころついているだけだった。
「うそ…っ今何時」
慌てて立ち上がると、机を挟んだ前の席に人が本を読んでいた。
近い距離に人がいたことに驚く。
「あれ、起きた? おはよう」
「キース様!?」
何故いるの!? 人がいたことも驚いたが、その人物がキースだったことに目を丸くする。
「覚えていてくれて嬉しいよ。ずいぶん寝てたね?」
「お見苦しいところをすみません。王宮でのパーティー以来ですわね、何か御用でしたか?」
「いや特に用事は無いんだけど……」
用事が無いならなんなんだ。やっぱりシュタワイナ家は王族に目をつけられているのか? 図書室内を見渡すが、私たち以外誰もいなかった。
そんな私の様子を見ていたキースは笑みを浮かべる。
「もうこんな時間だ。女子寮まで送るよ」
「……ありがとうございます。ぜひお願いしますわ」
断れる訳がなかった。断ったって途中まで同じところを歩くのだ。断る方が変だ。だけど、正直近づきたくないのだから、関わらないでほしい。というかさっきまで女性に囲まれてなかったっけ? なんて考えながら2人一緒に校舎を出ると星が綺麗だった。
「へえ。綺麗だね」
「そうですわね……」
いや、たしかに綺麗だが、領地の方がもっと綺麗な星が見える。
あっさりついた女子寮に息を吐く。
「ありがとうございました」
「いいえ、また明日」
明日? 疑問を感じてると、キースはにこりと微笑んで行ってしまった。
いや、大丈夫です! 会いません! とその後ろ姿に声を大にして、叫びたかった。
が、本当に会うとは。
私が取った授業の1つに歴史学があった。テストでは良い点だったらしく、上級の授業に入ったが、私の横でキースはにこにこしていた。視線をすごく感じる。なんだ? 言いたいことがあるなら言って欲しい。
「アリア嬢」
「はい」
「今日の髪型可愛いね」
と言ったのは今日ニーナがセットしてくれたハーフアップの髪だ。
「ありがとうございます」
「うん、僕それ好きだな」
ふふふ、と笑いつつミッシェルから話を聞いてなければもう私落ちていたな、と思った。多分頬は赤いだろう。
このクラスの1年は私たち2人だけらしく、あとは2年か3年が7人ほどいた。
「なんだよ! 今年はこんだけなのか? どいつもこいつも」
シワの深い目が吊り上がった、男性教師が愚痴を言いながら入ってきた。適当に机に教科書を置く音は大きい。
「全く、歴史を舐めるんじゃねーぞ! 知らなきゃ困ることばっかりだからな!」
おかしい。初級とかならまだしも、上級だから、勉強してきている人ばかりなのになぜここまで言われているのか。
気づけば、ずっと愚痴を言っていると思っていたらいつのまにか授業が始まっていた。
「この大陸には7つの国がある。ここ、マラバントは地の精霊がいると言われていてだな、地の精霊がいるのはマラバントと隣国のローベントだ。水の精霊はジニアロダとアーメラダ、火の精霊は隣国のホドオサラとフーロニラ、その全ての国と隣接しておりこの大陸の中心にあるのが、イシーレア、聖の精霊がいると言われ、また闇の精霊もいると言われている」
話を聞きながら、ノートを取るが私が聞きたい話は、魔王についてだったのだが、魔王はさっさと通り過ぎてしまった。これじゃ復活方法どころか封印方法も分からない。復活を回避しなければならないのだから、まず知らないと……。
そもそも魔王はどこにいるんだ? 普通に考えたらイーシラだが、もしかしたら、そう見せかけて、別の国にいるのかもしれない。ミッシェルが言う通り私が復活させたことになったのなら、マラバントのどこかに魔王は眠っているのだろうか。
窓の外の景色は随分澄んだ青空で、魔王以前にこの大陸の人は人間同士の大きな争いもなく平和だ。
窓の外は真っ暗だし、明かりは火がところどころついているだけだった。
「うそ…っ今何時」
慌てて立ち上がると、机を挟んだ前の席に人が本を読んでいた。
近い距離に人がいたことに驚く。
「あれ、起きた? おはよう」
「キース様!?」
何故いるの!? 人がいたことも驚いたが、その人物がキースだったことに目を丸くする。
「覚えていてくれて嬉しいよ。ずいぶん寝てたね?」
「お見苦しいところをすみません。王宮でのパーティー以来ですわね、何か御用でしたか?」
「いや特に用事は無いんだけど……」
用事が無いならなんなんだ。やっぱりシュタワイナ家は王族に目をつけられているのか? 図書室内を見渡すが、私たち以外誰もいなかった。
そんな私の様子を見ていたキースは笑みを浮かべる。
「もうこんな時間だ。女子寮まで送るよ」
「……ありがとうございます。ぜひお願いしますわ」
断れる訳がなかった。断ったって途中まで同じところを歩くのだ。断る方が変だ。だけど、正直近づきたくないのだから、関わらないでほしい。というかさっきまで女性に囲まれてなかったっけ? なんて考えながら2人一緒に校舎を出ると星が綺麗だった。
「へえ。綺麗だね」
「そうですわね……」
いや、たしかに綺麗だが、領地の方がもっと綺麗な星が見える。
あっさりついた女子寮に息を吐く。
「ありがとうございました」
「いいえ、また明日」
明日? 疑問を感じてると、キースはにこりと微笑んで行ってしまった。
いや、大丈夫です! 会いません! とその後ろ姿に声を大にして、叫びたかった。
が、本当に会うとは。
私が取った授業の1つに歴史学があった。テストでは良い点だったらしく、上級の授業に入ったが、私の横でキースはにこにこしていた。視線をすごく感じる。なんだ? 言いたいことがあるなら言って欲しい。
「アリア嬢」
「はい」
「今日の髪型可愛いね」
と言ったのは今日ニーナがセットしてくれたハーフアップの髪だ。
「ありがとうございます」
「うん、僕それ好きだな」
ふふふ、と笑いつつミッシェルから話を聞いてなければもう私落ちていたな、と思った。多分頬は赤いだろう。
このクラスの1年は私たち2人だけらしく、あとは2年か3年が7人ほどいた。
「なんだよ! 今年はこんだけなのか? どいつもこいつも」
シワの深い目が吊り上がった、男性教師が愚痴を言いながら入ってきた。適当に机に教科書を置く音は大きい。
「全く、歴史を舐めるんじゃねーぞ! 知らなきゃ困ることばっかりだからな!」
おかしい。初級とかならまだしも、上級だから、勉強してきている人ばかりなのになぜここまで言われているのか。
気づけば、ずっと愚痴を言っていると思っていたらいつのまにか授業が始まっていた。
「この大陸には7つの国がある。ここ、マラバントは地の精霊がいると言われていてだな、地の精霊がいるのはマラバントと隣国のローベントだ。水の精霊はジニアロダとアーメラダ、火の精霊は隣国のホドオサラとフーロニラ、その全ての国と隣接しておりこの大陸の中心にあるのが、イシーレア、聖の精霊がいると言われ、また闇の精霊もいると言われている」
話を聞きながら、ノートを取るが私が聞きたい話は、魔王についてだったのだが、魔王はさっさと通り過ぎてしまった。これじゃ復活方法どころか封印方法も分からない。復活を回避しなければならないのだから、まず知らないと……。
そもそも魔王はどこにいるんだ? 普通に考えたらイーシラだが、もしかしたら、そう見せかけて、別の国にいるのかもしれない。ミッシェルが言う通り私が復活させたことになったのなら、マラバントのどこかに魔王は眠っているのだろうか。
窓の外の景色は随分澄んだ青空で、魔王以前にこの大陸の人は人間同士の大きな争いもなく平和だ。
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