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「アリア嬢、これから一緒にお昼をどう?」
「まあ、とても嬉しいお誘いなのですが、友人と食べる約束をしてまして……」
「よければ友人も一緒にどうだろう。アルを呼んでもいいしね」
アルってアルフレッド殿下か!? 簡単に王子を呼ばないで欲しい。苦い顔をしそうになって慌てて引き締める。
仕方がないので友人に確認すると言って別れたが、これは私は行くことは確定した。王子まで出されたら断れるわけがない。
エリーの姿を見かけ、声をかける。
「エリー様、お昼の話なんだけれど……」
「どうかされました?」
「実は前の授業にキース様がいらっしゃって、お昼に誘われたのだけど、断り方がヘタだったのか、エリー様も一緒にどうかって。殿下もいるみたいで……」
「まあ……」
「けど、突然困るわよね。今日は残念だけど、私はキース様たちと食べてくるわ」
「キース様たちが良いのであれば私も入れて頂けませんか」
「いいの!? エリー様に来ていただけるならありがたいわ」
「ええ、アリア様1人では心配ですので」
「ありがとう! ……ん?」
それじゃあ、行きましょうとさっさと歩くエリーに置いていかれそうになり、慌ててついていった。
「待ってたよ」
校内のカフェテリアの日が差し込むとても良い席にキース様と殿下はいた。
私たちを目にした途端、微笑みを浮かべるキース様はこの顔に数々の女性が落ちた説得力がある。
優雅に紅茶を飲む殿下もそれは絵になった。
「お待たせしました、もう頼まれましたか?」
「うん、僕たちは先に頼んじゃったけど、気にしないで。待ってるよ」
「お心遣いありがとうございます。ご紹介します、こちら友人のエリーですわ」
「エリー・ニゼラムです。この度は
ご一緒させて頂き、誠に光栄です」
「ニゼラム子爵の? そう、君のお姉さんにはお世話になっているよ」
「ああ、私も世話になっている。2人とも先日はパーティーに来てくれてありがとう」
王子がティーカップを置いて口を開く。私たち2人は礼を言いつつ、お昼を注文するために席を離れた。
「緊張したわ……」
「ええ、やはり殿下と会話をするのは緊張しますわ」
「エリー様も緊張するのね」
「あら、私は子爵令嬢ですよ? アリア様が緊張する方が驚きですよ」
ふふ、と笑い合うとメニューが見えた。ここは軽食のところなので、サンドウィッチやクロワッサン、パスタやグラタンなどがある。
と思ったら、見覚えのあるカレーにラーメン、様々なパンにプリンが見えた。
あれ……? もしかして学園まで、シュタワイナ家で染めている……?
「アリア様とミッシェル様で作られた料理もありますね。美味しいですものね」
「え、ええ、そうね……まさか学園にあるなんて知らなかったわ」
お父様~!? この仕事の早さは何!? 流石にこれではシュタワイナ家を知らなくても知ることになるだろう。正直目立ちすぎてもう目立ちたくなかったにもかかわらずこれでは駄目押しだ。
「あら、あのパン何かしら。初めて見ましたわ」
「まあ、シュタワイナ家の姉妹が作ったものよ。美味しくて有名よ」
「聞いたことがありますわ。せっかくですし、食べてみようかしら」
ミッシェルから言わせるとこの世界の料理は味が薄いらしい。だからと言ってここまで人気にならなくても、と慣れない視線に胃がキリキリと痛み始めたような気がした。
「まあ、とても嬉しいお誘いなのですが、友人と食べる約束をしてまして……」
「よければ友人も一緒にどうだろう。アルを呼んでもいいしね」
アルってアルフレッド殿下か!? 簡単に王子を呼ばないで欲しい。苦い顔をしそうになって慌てて引き締める。
仕方がないので友人に確認すると言って別れたが、これは私は行くことは確定した。王子まで出されたら断れるわけがない。
エリーの姿を見かけ、声をかける。
「エリー様、お昼の話なんだけれど……」
「どうかされました?」
「実は前の授業にキース様がいらっしゃって、お昼に誘われたのだけど、断り方がヘタだったのか、エリー様も一緒にどうかって。殿下もいるみたいで……」
「まあ……」
「けど、突然困るわよね。今日は残念だけど、私はキース様たちと食べてくるわ」
「キース様たちが良いのであれば私も入れて頂けませんか」
「いいの!? エリー様に来ていただけるならありがたいわ」
「ええ、アリア様1人では心配ですので」
「ありがとう! ……ん?」
それじゃあ、行きましょうとさっさと歩くエリーに置いていかれそうになり、慌ててついていった。
「待ってたよ」
校内のカフェテリアの日が差し込むとても良い席にキース様と殿下はいた。
私たちを目にした途端、微笑みを浮かべるキース様はこの顔に数々の女性が落ちた説得力がある。
優雅に紅茶を飲む殿下もそれは絵になった。
「お待たせしました、もう頼まれましたか?」
「うん、僕たちは先に頼んじゃったけど、気にしないで。待ってるよ」
「お心遣いありがとうございます。ご紹介します、こちら友人のエリーですわ」
「エリー・ニゼラムです。この度は
ご一緒させて頂き、誠に光栄です」
「ニゼラム子爵の? そう、君のお姉さんにはお世話になっているよ」
「ああ、私も世話になっている。2人とも先日はパーティーに来てくれてありがとう」
王子がティーカップを置いて口を開く。私たち2人は礼を言いつつ、お昼を注文するために席を離れた。
「緊張したわ……」
「ええ、やはり殿下と会話をするのは緊張しますわ」
「エリー様も緊張するのね」
「あら、私は子爵令嬢ですよ? アリア様が緊張する方が驚きですよ」
ふふ、と笑い合うとメニューが見えた。ここは軽食のところなので、サンドウィッチやクロワッサン、パスタやグラタンなどがある。
と思ったら、見覚えのあるカレーにラーメン、様々なパンにプリンが見えた。
あれ……? もしかして学園まで、シュタワイナ家で染めている……?
「アリア様とミッシェル様で作られた料理もありますね。美味しいですものね」
「え、ええ、そうね……まさか学園にあるなんて知らなかったわ」
お父様~!? この仕事の早さは何!? 流石にこれではシュタワイナ家を知らなくても知ることになるだろう。正直目立ちすぎてもう目立ちたくなかったにもかかわらずこれでは駄目押しだ。
「あら、あのパン何かしら。初めて見ましたわ」
「まあ、シュタワイナ家の姉妹が作ったものよ。美味しくて有名よ」
「聞いたことがありますわ。せっかくですし、食べてみようかしら」
ミッシェルから言わせるとこの世界の料理は味が薄いらしい。だからと言ってここまで人気にならなくても、と慣れない視線に胃がキリキリと痛み始めたような気がした。
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