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DCO開始一ヶ月目の出来事
しおりを挟む「えい!」
DCOを初めて1ヶ月が経つ。VRMMO内にフルダイブしてモンスターと戦うことにも、ボクたちは慣れ始めていた。
VRMMO初心者だったボクたちは三人でパーティーを組んで、少しずつ攻略を進めている。そしてようやく、第三の街まで到達した。
第三の街はいわゆる交通の要所で、攻略の最前線からエンジョイ勢のための歓楽都市などにつながる重要な場所だ。
この街にたどり着くことがいわゆるDCO内での初心者脱出の証であり、他のプレイヤーと最低限の交流を持てるようになるスタート地点でもある。
しかし他のプレイヤーと交流を持てるようになることは、いいことばかりではない。たちの悪いプレイヤーにも、声をかけられる可能性があるということだ。
今のボクたちは、ナンパ目的で近づいてきた男三人組のプレイヤーにしつこく絡まれてしまっていた。
「ねえ、いーじゃん。これからデートしようよ!こうしてゲームしてるってことは、君たち暇なんでしょ?俺たちと楽しいことしようぜ」
「ボクたちは攻略したいクエストがあるんで、やめてください!」
「お前には、聞いてねーよ!」
しつこいナンパを繰り返す男たちにボクが声をかけても、彼らはいっこうに去ろうとはしない。どうやら彼らはつきまといをしていれば、諦めたボクたちが言いなりになると考えているようだ。
そんな迷惑行為にうんざりしていると、ボクたちを助けてくれる割り込みが入った。VRMMO内の秩序を守る、都市警備騎士がやってきたのだ。どうやら誰かが、彼らの迷惑行為を通報してくれたらしい。重厚な鎧を身にまとったNPCが、ボクたちに絡むプレイヤーに注意をし始める。
「君たち、やめなさい」
「ああ!NPCが調子こくな!」
このゲーム内でチート級に強いと言われている警備騎士に対し、ボクたちをナンパしている男たちがいきり立っていた。彼らのその様子を見ていた他のプレイヤーは、一斉に笑い出すことになる。
「おいおい、死んだわ。あいつら」
「ありゃ、ペナルティーで牢屋行きだな」
そんなつぶやきが聞こえた直後、ボクたちをナンパしていた三人組は一瞬でキルされることになった。あっという間だった。さすが、チートと言われるNPCである。
「迷惑行為がありましたら、すぐに運営にお知らせください」
丁寧な態度に変わったNPC騎士が、ボクたちにそう声をかけてその場を去っていく。そして迷惑行為が終わったことに興味を失ったのか、集まっていた野次馬たちもぞろぞろと自分たちのクエストに出発していった。
「嫌な人たちだったね」
「私たちが、あんな男たちと遊ぶわけないじゃない!」
「そうね。私たちはシノブと遊びたくて、一緒にいるわけだし」
学校中の男子生徒からモテまくっているリオンとチナツの二人に、そう言われると悪い気はしない。気を取り直したボクたちも、クエストへと出発していく。
それに、男なんかになびかないと宣言をしている二人が誇らしかった。彼女たちは、他の男の子と遊ぶよりもボクと一緒に過ごすことを選んでくれている。それを聞いて、ボクはさらに二人のことが好きになった。最高にかわいい、幼なじみと妹だ。
「さて、気を取り直してクエストに出発しましょ」
こうしたトラブルはあったが、その後は特に迷惑な事件に巻き込まれることはなく、ボクたちのVRMMO生活はまったりと進んでいくことになる。
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