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トワイライト・ラブ(陽炎)
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7日目:帰国日
ホテルで、朝食後空港に向かった。
マドリッド発12時、イベリア航空の直行便で成田へ帰国。約14時間の飛行時間である。
待合室で、一度だけ美紀と目が合った。英一は、お互いを捜していた感じがして笑みを交わした。
「長いけど、まあ直行便だからまだマシか」と、思いながら座席に座った。
英一は今回の旅行で美紀と会ったことに想いをめぐらしながら、映画を見ていても、時々胸がザワザワして何故か落ち着かない。
長い移動時間の中で、いつも通りかなりの本数の映画を見ながら、2時間ばかり、少し眠ったりまどろんだりして、英一はうとうとしながらも、スペインでの出来事が何度も頭を巡った。
美紀の笑顔、声をかけて来た何気ない会話、そして最後に渡したあの小さな紙切れ――。
「もう会うことはないかもしれないな・・・」と、自分に言い聞かせようとするものの、どこかで「いや、もしかしたら・・・」という希望も消えなかった。
今回で30回目の旅行も何とか無事、成田空港に着いた。
旅行ツアーでは、普通、成田の手荷物場で現地解散となる。
手荷物が来たら、顔を合わせた人と挨拶を交わし、最後にガイドさんにお礼を言って、帰るパターンだ。
妻は、あちこちと挨拶して回っているが、私はとりあえず顔を見合わせた人には会釈して終わる。
でも、今回は混雑している中で、一応美紀を捜す形となった。
でも、美紀はいなかった。
美紀は、乗り換え便があるので、そのまま乗り換え便へ移動した様だった。
英一は、手荷物到着ロビーの喧騒に身を投じながら、夢のような旅が本当に終わったことを実感した英一は、少しだけ深呼吸をして歩き出した。
でも、胸の奥ではまだ小さなざわめきが、確かに残っていた。
旅行から帰国して
英一は、帰国してからというもの、毎日のようにパソコンの前に座り、旅の写真を整理するのが日課になっていた。
今回もスマホとデジカメで1,000枚近く撮影していて、そのひとつひとつを見返しながら、不要なものは削除していく。
ガウデイの最高傑作、サクラダファミリア、アルハンブラ宮殿、バルセロナの街並み、そして巨大モスク、メスキータなど、画面をスクロールするたびに、あのときの空気や匂いまでもが蘇ってくる。
ふと、どこかの風景の中に小さく写り込んでいる美紀の後ろ姿が目に入り、英一は無意識に手を止めた。ほんの一瞬のカットなのに、胸がじんわりと熱くなる。
「…削除するのはもう少し後でいいか。」
英一はそうつぶやきながら、次の写真へと進んだ。
英一は、トレドの迷路のような路地を歩きながら、何度も立ち止まってはカメラを構えた。
ふと目線を上げると、少し先を歩く美紀の姿を見つけた。美紀は、街並みに自然と溶け込みながらも、英一にはなぜかひときわ輝いて見えた。
英一は遠慮がちに遠くから何枚かシャッターを切った。レンズ越しに見える美紀は、いつもの明るい「おばちゃん」というよりも、なぜかとても繊細で、少し切なげな雰囲気をまとっているように感じた。
「笑顔が良いのに、残念だと思いながら、映っていても、映ってなくてもいいか…」
そんなことを考えながら、英一はもう一度、静かにシャッターを押したのだった。
ホテルで、朝食後空港に向かった。
マドリッド発12時、イベリア航空の直行便で成田へ帰国。約14時間の飛行時間である。
待合室で、一度だけ美紀と目が合った。英一は、お互いを捜していた感じがして笑みを交わした。
「長いけど、まあ直行便だからまだマシか」と、思いながら座席に座った。
英一は今回の旅行で美紀と会ったことに想いをめぐらしながら、映画を見ていても、時々胸がザワザワして何故か落ち着かない。
長い移動時間の中で、いつも通りかなりの本数の映画を見ながら、2時間ばかり、少し眠ったりまどろんだりして、英一はうとうとしながらも、スペインでの出来事が何度も頭を巡った。
美紀の笑顔、声をかけて来た何気ない会話、そして最後に渡したあの小さな紙切れ――。
「もう会うことはないかもしれないな・・・」と、自分に言い聞かせようとするものの、どこかで「いや、もしかしたら・・・」という希望も消えなかった。
今回で30回目の旅行も何とか無事、成田空港に着いた。
旅行ツアーでは、普通、成田の手荷物場で現地解散となる。
手荷物が来たら、顔を合わせた人と挨拶を交わし、最後にガイドさんにお礼を言って、帰るパターンだ。
妻は、あちこちと挨拶して回っているが、私はとりあえず顔を見合わせた人には会釈して終わる。
でも、今回は混雑している中で、一応美紀を捜す形となった。
でも、美紀はいなかった。
美紀は、乗り換え便があるので、そのまま乗り換え便へ移動した様だった。
英一は、手荷物到着ロビーの喧騒に身を投じながら、夢のような旅が本当に終わったことを実感した英一は、少しだけ深呼吸をして歩き出した。
でも、胸の奥ではまだ小さなざわめきが、確かに残っていた。
旅行から帰国して
英一は、帰国してからというもの、毎日のようにパソコンの前に座り、旅の写真を整理するのが日課になっていた。
今回もスマホとデジカメで1,000枚近く撮影していて、そのひとつひとつを見返しながら、不要なものは削除していく。
ガウデイの最高傑作、サクラダファミリア、アルハンブラ宮殿、バルセロナの街並み、そして巨大モスク、メスキータなど、画面をスクロールするたびに、あのときの空気や匂いまでもが蘇ってくる。
ふと、どこかの風景の中に小さく写り込んでいる美紀の後ろ姿が目に入り、英一は無意識に手を止めた。ほんの一瞬のカットなのに、胸がじんわりと熱くなる。
「…削除するのはもう少し後でいいか。」
英一はそうつぶやきながら、次の写真へと進んだ。
英一は、トレドの迷路のような路地を歩きながら、何度も立ち止まってはカメラを構えた。
ふと目線を上げると、少し先を歩く美紀の姿を見つけた。美紀は、街並みに自然と溶け込みながらも、英一にはなぜかひときわ輝いて見えた。
英一は遠慮がちに遠くから何枚かシャッターを切った。レンズ越しに見える美紀は、いつもの明るい「おばちゃん」というよりも、なぜかとても繊細で、少し切なげな雰囲気をまとっているように感じた。
「笑顔が良いのに、残念だと思いながら、映っていても、映ってなくてもいいか…」
そんなことを考えながら、英一はもう一度、静かにシャッターを押したのだった。
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