12 / 140
序章.美しき想い出
10.子どもの絶望
しおりを挟む
「がぶっ?! ……なぜ、ここに魔物が?!」
あれは……まさか魔物?! 頭部が歪に膨れ上がり、人の手足でよだれかけを作っている巨大な赤ん坊のようであり、全体的に血管が浮き出て真っ赤な異形……瞳からは絶えず蛆虫の涙を流し続けているのが気持ち悪い。その手には巨大な鋏を持っているし、あれがアリシアの言っていたこの街を騒がせている元凶? でもなぜ領主館に?
『マ"マ"ァ"?"』
「イカレ野郎が! 猟犬の解放申請──受諾!!」
段々と犯行が大胆にエスカレートしていってるって聞いたけどまさか領主館にまで襲撃してくるなんて! そういえば既に夕方から夜に更けている。
「っ、アリシア大丈夫?!」
「うっ、え、えぇ生きてるわ」
「良かった……『我が願いの対価はこの身に流るる血、望みは他者を癒す力』」
禁じ手だけど自身の血液を対価にアリシアを癒す……けど止血して傷を塞ぐのが精一杯だ。
「……ごめんアリシア、僕の力だと自身の血を対価にしても腕を元に戻せなかった」
「ううん、いいのよ……あなたと共に生きられているだけで」
目頭が熱くなる……アリシアも、そして意地悪だと思ってたディンゴも……僕が魔法使いで、狩人の人にどれだけ悪く言われようと見捨ててくれない、それがとてつもなく……嬉しい。
「アリシア……うん、早く逃げよう」
「えぇ、ディンゴ行くわよ!」
「ごほっ、うるせぇ! こっちだって怪我してんだよ!」
「わかってるけど、あいつらがお互いに自滅しあっている内に距離を稼ぐわよ!」
良かった……ボロボロだけどディンゴも無事だ、死んでたら後悔してもしきれなかった。
「ディンゴ、怪我を治すよ……『我が願いの対価は華一輪、望みは他者を癒す力』」
「……本当にすごいな、クレルのくせに」
「ディンゴ! お礼は?!」
「ぐっ……あり、がとう」
「う、うん……」
魔法で怪我を治したディンゴが憎まれ口を叩き、アリシアに叱られてお礼を言う……ディンゴに言われるなんて、なんだか慣れないな……。
「──クソがァ!」
「『っ?!』」
なっ?! あの人正気?! 魔物をこちらに投げ飛ばすなんて! ぐっ、クソ……あんまりやり過ぎると自壊してしまうけど仕方ない!
「『我が願いの対価はこの身に流るる血、望むは道を切り拓く刃!』」
う"っ"……?!! 貧血に加え、自分の受精卵からの記憶が怒涛のように流れ込んで気持ち悪い、頭が割れそうだ……。
「クレル大丈夫なの?!」
「おいクレル! しっかりしろ!」
「ぐっ……大丈、夫!」
自らの血で作った刃で魔物の巨大な鋏を身体ごと捻った手首の返しで受け流し、その余った勢いを利用して腕と脚を切り裂く!
『オギャァアーー!!』
「ぐっ?!」
「なんだコイツ?!」
「耳がっ?!」
身体を叩き付けられるかのような音の洪水、それと共に母性を求める哀しみの衝動と嘆きが溢れ出てくる……!!
「ぐぐっ……! アリシア! ディンゴ! なるべく声を聞かず、無視して! 決して共感してはダメだ!!」
「わかってるけど……」
「これは……」
やっぱり今まで魔力に触れてこず、耐性のない一般人にはキツイものがあるか──
「──おとなしく一緒に去ねや」
「っ?! がぼぉっ?!!」
「クレル?!」
アリシアの悲鳴が聞こえるがそれどころじゃない……背後から魔物を巻き込む形で放たれた……おそらく巨大な銃弾が僕のお腹に風穴を開け、魔物の脚を吹き飛ばす……これ、出血量ヤバイな。
『マ"ッ"マ"ァ"ア"!"!"』
「がふっ! ……クソっ!」
手に力が入らない、さらに前から魔物の鋏が迫る……あぁ、これ間に合わないな……? せっかく二人がここまで命を繋いでくれたのに、身体を上下に寸断されて死ぬのかな……。
「クレルのくせに諦めるとか生意気なんだよ?!!」
「ディンゴ──!!」
「あっ、え……?」
僕の肩を押し倒してディンゴが庇う、それによって僕の頭上でディンゴが……ディンゴの身体が腰から腹の下まで斜めに分断される。
「ぶふっ?!」
まるで世界の時間が狂ったみたいに遅く、緩やかにディンゴの口から血が溢れ出て、上半身から腸や胃などの内容物がこぼれ落ちてくるのを……ただ眺めていた。
「あっ、ディンゴ……どうして……」
「……バカな、ごふっ! ……クレルに、は……わかるわけっごぷっ! ……ないだろ」
「ディンゴ! あなたどうして?! クレルのこと虐めてたくせに!!」
今はそんな時ではないとわかってる……前には魔物、後ろには狩人、どちらもこちらの命を狙って来ている脅威がある。……でもアリシアと一緒にディンゴの傍に駆け寄るしかない。
「今手当を……『我が願いの対価はこの身に──」
「──やめろ、俺はもう死ぬんだ……ごぶっ」
「でも!!」
なんですぐに諦めるんだよ! 僕の血を対価にすれば止血ぐらいはできるのに!
「友情ごっこはおしまいか?」
「がふっ?!!」
「アリシア?!!」
目の前で胸から絶えず血を流し続けながらアリシアが仰向けに倒れ込む、その時の生気のない顔が酷く怖い。
『オ"カ"ァ"サ"ァ"ン"ン"!"!"』
「ちっ!デク人形が!」
「っ?!」
不味い! 魔物が狩人の人の方へ意識を向けたのは幸いだけど、どちらも距離が近い! クソっ! お腹の穴から血が止まらない、痛い! でもディンゴとアリシアの方が重症だ、この状況をどうすれば……。
「なぁ、クレ、ル……」
「ディンゴ無理しないで!」
下半身が無いのに無理して喋ったら本当に死んでしまうよ!
「俺、は……どんなげほっ……奴だった?」
「そんなのいつも殴ってくるし、意地悪で嫌な奴だったよ! ……『我が願いの対価はこの身に流るる血、望むは他者を癒す力!!』」
「じゃあさ……ごふっ、俺ら……友達に、なれるかな?」
「っ?!」
どうしたんだよディンゴ、なんでそんなしおらしいんだよ……まるで今から死んじゃうみたいじゃないか! あぁもう! なんで傷が塞がらないんだよ! なんでなんだよ!!
「なれ、るか?」
「っ! そんなの、なれるに決まってるだろ?! いいから黙って傷を治すんだよ! 友達になったら今までの分倍返しにしてやるからな?!」
「よかっ、た……がふっ! ……じゃあさ、俺を──対価に、魔法をっ……発、動してくれ」
「っ?!」
ディンゴは何を言ってるんだよ、そんなの出来るわけないだろ?!
「無理に決まってるだろ?!」
「そう、か……なら、強力な魔法がっごぷっ?! ……使えそうだな」
「なんでディンゴが魔法の知識を……」
そうだよ、それに最初から僕が魔法使いだって知ってたみたいだし……ディンゴは何者なの?
「げほっ、がはっ?! ……それも、俺を対価にすればわかる、いい、から早く……死ねば価値が下がる」
「っでも!!」
「……いいから早くしろ! アリシアまで死んでしまうぞ?! いいのか?! ……ガハァ?!」
「ディンゴ!!」
あぁ、あぁ……もう、どうしたらいいんだよ! アリシアにも絶対に死んで欲しくない!
「お前にもわかるだろ?! 俺とアリシアじゃあ、お前の中での価値が違う! なら、俺を『使う』方が大事な者も護れて、事態を打開できる両方の可能性がある!!」
「う、くぅ……!! ディンゴのバカ野郎! 勝ち逃げなんて卑怯なんだよ!」
「……罵倒ならお前の中でいくらでも聞いてやるから早くしろ」
クソッ、クソッ!! 僕が弱いからだ! 僕が簡単にバレてしまったからだ! 申請がないガナン人は魔法使いとして処理されるという知識がなかったからだ! ボーゼスが見逃したのを基準に考えてしまった迂闊さがあったからだ!
「ごほっ、げほっ!……俺の魂は記憶と一緒にお前の中に引っ越すだけだ」
「ディンゴのバカ野郎! 一生恨んでやるからな?!」
「……恨み言は後でな」
「ぁあぁああああぁあぁぁああ!!!!!!! 『我が願いの対価は──僕の大事な友達ディンゴ』」
ディンゴの身体が解けていく……ジュルシュルと音をたてて光の帯と粒になって僕の身体に溶け込んでいく……。
「貴様ァ! やはり魔法使いは親友すら対価にするかぁ?! 待っていろ! 今すぐ殺してやる!!」
あぁ、ディンゴ……君は───────
「そこをどけぇ! デク人形!!」
『オ"カ"ァ"サ"ァ"ン"ン"!"!" オ"カ"ァ"サ"ァ"ン"ン"!"!"』
───────僕の腹違いの兄だったんだね。
▼▼▼▼▼▼▼
あれは……まさか魔物?! 頭部が歪に膨れ上がり、人の手足でよだれかけを作っている巨大な赤ん坊のようであり、全体的に血管が浮き出て真っ赤な異形……瞳からは絶えず蛆虫の涙を流し続けているのが気持ち悪い。その手には巨大な鋏を持っているし、あれがアリシアの言っていたこの街を騒がせている元凶? でもなぜ領主館に?
『マ"マ"ァ"?"』
「イカレ野郎が! 猟犬の解放申請──受諾!!」
段々と犯行が大胆にエスカレートしていってるって聞いたけどまさか領主館にまで襲撃してくるなんて! そういえば既に夕方から夜に更けている。
「っ、アリシア大丈夫?!」
「うっ、え、えぇ生きてるわ」
「良かった……『我が願いの対価はこの身に流るる血、望みは他者を癒す力』」
禁じ手だけど自身の血液を対価にアリシアを癒す……けど止血して傷を塞ぐのが精一杯だ。
「……ごめんアリシア、僕の力だと自身の血を対価にしても腕を元に戻せなかった」
「ううん、いいのよ……あなたと共に生きられているだけで」
目頭が熱くなる……アリシアも、そして意地悪だと思ってたディンゴも……僕が魔法使いで、狩人の人にどれだけ悪く言われようと見捨ててくれない、それがとてつもなく……嬉しい。
「アリシア……うん、早く逃げよう」
「えぇ、ディンゴ行くわよ!」
「ごほっ、うるせぇ! こっちだって怪我してんだよ!」
「わかってるけど、あいつらがお互いに自滅しあっている内に距離を稼ぐわよ!」
良かった……ボロボロだけどディンゴも無事だ、死んでたら後悔してもしきれなかった。
「ディンゴ、怪我を治すよ……『我が願いの対価は華一輪、望みは他者を癒す力』」
「……本当にすごいな、クレルのくせに」
「ディンゴ! お礼は?!」
「ぐっ……あり、がとう」
「う、うん……」
魔法で怪我を治したディンゴが憎まれ口を叩き、アリシアに叱られてお礼を言う……ディンゴに言われるなんて、なんだか慣れないな……。
「──クソがァ!」
「『っ?!』」
なっ?! あの人正気?! 魔物をこちらに投げ飛ばすなんて! ぐっ、クソ……あんまりやり過ぎると自壊してしまうけど仕方ない!
「『我が願いの対価はこの身に流るる血、望むは道を切り拓く刃!』」
う"っ"……?!! 貧血に加え、自分の受精卵からの記憶が怒涛のように流れ込んで気持ち悪い、頭が割れそうだ……。
「クレル大丈夫なの?!」
「おいクレル! しっかりしろ!」
「ぐっ……大丈、夫!」
自らの血で作った刃で魔物の巨大な鋏を身体ごと捻った手首の返しで受け流し、その余った勢いを利用して腕と脚を切り裂く!
『オギャァアーー!!』
「ぐっ?!」
「なんだコイツ?!」
「耳がっ?!」
身体を叩き付けられるかのような音の洪水、それと共に母性を求める哀しみの衝動と嘆きが溢れ出てくる……!!
「ぐぐっ……! アリシア! ディンゴ! なるべく声を聞かず、無視して! 決して共感してはダメだ!!」
「わかってるけど……」
「これは……」
やっぱり今まで魔力に触れてこず、耐性のない一般人にはキツイものがあるか──
「──おとなしく一緒に去ねや」
「っ?! がぼぉっ?!!」
「クレル?!」
アリシアの悲鳴が聞こえるがそれどころじゃない……背後から魔物を巻き込む形で放たれた……おそらく巨大な銃弾が僕のお腹に風穴を開け、魔物の脚を吹き飛ばす……これ、出血量ヤバイな。
『マ"ッ"マ"ァ"ア"!"!"』
「がふっ! ……クソっ!」
手に力が入らない、さらに前から魔物の鋏が迫る……あぁ、これ間に合わないな……? せっかく二人がここまで命を繋いでくれたのに、身体を上下に寸断されて死ぬのかな……。
「クレルのくせに諦めるとか生意気なんだよ?!!」
「ディンゴ──!!」
「あっ、え……?」
僕の肩を押し倒してディンゴが庇う、それによって僕の頭上でディンゴが……ディンゴの身体が腰から腹の下まで斜めに分断される。
「ぶふっ?!」
まるで世界の時間が狂ったみたいに遅く、緩やかにディンゴの口から血が溢れ出て、上半身から腸や胃などの内容物がこぼれ落ちてくるのを……ただ眺めていた。
「あっ、ディンゴ……どうして……」
「……バカな、ごふっ! ……クレルに、は……わかるわけっごぷっ! ……ないだろ」
「ディンゴ! あなたどうして?! クレルのこと虐めてたくせに!!」
今はそんな時ではないとわかってる……前には魔物、後ろには狩人、どちらもこちらの命を狙って来ている脅威がある。……でもアリシアと一緒にディンゴの傍に駆け寄るしかない。
「今手当を……『我が願いの対価はこの身に──」
「──やめろ、俺はもう死ぬんだ……ごぶっ」
「でも!!」
なんですぐに諦めるんだよ! 僕の血を対価にすれば止血ぐらいはできるのに!
「友情ごっこはおしまいか?」
「がふっ?!!」
「アリシア?!!」
目の前で胸から絶えず血を流し続けながらアリシアが仰向けに倒れ込む、その時の生気のない顔が酷く怖い。
『オ"カ"ァ"サ"ァ"ン"ン"!"!"』
「ちっ!デク人形が!」
「っ?!」
不味い! 魔物が狩人の人の方へ意識を向けたのは幸いだけど、どちらも距離が近い! クソっ! お腹の穴から血が止まらない、痛い! でもディンゴとアリシアの方が重症だ、この状況をどうすれば……。
「なぁ、クレ、ル……」
「ディンゴ無理しないで!」
下半身が無いのに無理して喋ったら本当に死んでしまうよ!
「俺、は……どんなげほっ……奴だった?」
「そんなのいつも殴ってくるし、意地悪で嫌な奴だったよ! ……『我が願いの対価はこの身に流るる血、望むは他者を癒す力!!』」
「じゃあさ……ごふっ、俺ら……友達に、なれるかな?」
「っ?!」
どうしたんだよディンゴ、なんでそんなしおらしいんだよ……まるで今から死んじゃうみたいじゃないか! あぁもう! なんで傷が塞がらないんだよ! なんでなんだよ!!
「なれ、るか?」
「っ! そんなの、なれるに決まってるだろ?! いいから黙って傷を治すんだよ! 友達になったら今までの分倍返しにしてやるからな?!」
「よかっ、た……がふっ! ……じゃあさ、俺を──対価に、魔法をっ……発、動してくれ」
「っ?!」
ディンゴは何を言ってるんだよ、そんなの出来るわけないだろ?!
「無理に決まってるだろ?!」
「そう、か……なら、強力な魔法がっごぷっ?! ……使えそうだな」
「なんでディンゴが魔法の知識を……」
そうだよ、それに最初から僕が魔法使いだって知ってたみたいだし……ディンゴは何者なの?
「げほっ、がはっ?! ……それも、俺を対価にすればわかる、いい、から早く……死ねば価値が下がる」
「っでも!!」
「……いいから早くしろ! アリシアまで死んでしまうぞ?! いいのか?! ……ガハァ?!」
「ディンゴ!!」
あぁ、あぁ……もう、どうしたらいいんだよ! アリシアにも絶対に死んで欲しくない!
「お前にもわかるだろ?! 俺とアリシアじゃあ、お前の中での価値が違う! なら、俺を『使う』方が大事な者も護れて、事態を打開できる両方の可能性がある!!」
「う、くぅ……!! ディンゴのバカ野郎! 勝ち逃げなんて卑怯なんだよ!」
「……罵倒ならお前の中でいくらでも聞いてやるから早くしろ」
クソッ、クソッ!! 僕が弱いからだ! 僕が簡単にバレてしまったからだ! 申請がないガナン人は魔法使いとして処理されるという知識がなかったからだ! ボーゼスが見逃したのを基準に考えてしまった迂闊さがあったからだ!
「ごほっ、げほっ!……俺の魂は記憶と一緒にお前の中に引っ越すだけだ」
「ディンゴのバカ野郎! 一生恨んでやるからな?!」
「……恨み言は後でな」
「ぁあぁああああぁあぁぁああ!!!!!!! 『我が願いの対価は──僕の大事な友達ディンゴ』」
ディンゴの身体が解けていく……ジュルシュルと音をたてて光の帯と粒になって僕の身体に溶け込んでいく……。
「貴様ァ! やはり魔法使いは親友すら対価にするかぁ?! 待っていろ! 今すぐ殺してやる!!」
あぁ、ディンゴ……君は───────
「そこをどけぇ! デク人形!!」
『オ"カ"ァ"サ"ァ"ン"ン"!"!" オ"カ"ァ"サ"ァ"ン"ン"!"!"』
───────僕の腹違いの兄だったんだね。
▼▼▼▼▼▼▼
0
あなたにおすすめの小説
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!
サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。
「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」
飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう――
※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
やり直し令嬢は箱の外へ、気弱な一歩が織りなす無限の可能性~夜明けと共に動き出す時計~
悠月
ファンタジー
これは、狭い世界に囚われ、逃げ続けていた内気な貴族令嬢が、あるきっかけで時間が巻き戻り、幼い頃へ戻った。彼女は逃げるように、過去とは異なる道を選び、また周囲に押されながら、徐々に世界が広がり、少しずつ強くなり、前を向いて歩み始める物語である。
PS:
伝統的な令嬢物語ではないと思います。重要なのは「やり直し」ではなく、「箱の外」での出来事。
主人公が死ぬ前は主に引きこもりだったため、身の回りに影響する事件以外、本の知識しかなく、何も知らなかった。それに、今回転移された異世界人のせいで、多くの人の運命が変えられてしまい、元の世界線とは大きく異なっている。
薬師、冒険者、店長、研究者、作家、文官、王宮魔術師、騎士団員、アカデミーの教師などなど、未定ではあるが、彼女には様々なことを経験させたい。
※この作品は長編小説として構想しています。
前半では、主人公は内気で自信がなく、優柔不断な性格のため、つい言葉を口にするよりも、心の中で活発に思考を巡らせ、物事をあれこれ考えすぎてしまいます。その結果、狭い視野の中で悪い方向にばかり想像し、自分を責めてしまうことも多く、非常に扱いにくく、人から好かれ難いキャラクターだと感じられるかもしれません。
拙い文章ではございますが、彼女がどのように変わり、強くなっていくのか、その成長していく姿を詳細に描いていきたいと思っています。どうか、温かく見守っていただければ嬉しいです。
※リアルの都合で、不定期更新になります。基本的には毎週日曜に1話更新予定。
作品の続きにご興味をお持ちいただけましたら、『お気に入り』に追加していただけると嬉しいです。
※本作には一部残酷な描写が含まれています。また、恋愛要素は物語の後半から展開する予定です。
※この物語の舞台となる世界や国はすべて架空のものであり、登場する団体や人物もすべてフィクションです。
※同時掲載:小説家になろう、アルファポリス、カクヨム
※元タイトル:令嬢は幸せになりたい
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる