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第二章.愛おしさに諦めない
神話黙示録.怠惰で欲深き大地
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「シスター! 読み聞かせしてー!」
「あらあら、もうそんな時間ですか」
帝都のある一角にある古びた教会……孤児院も兼ねたそこでは子ども達がたった一人しかいないシスターへと群がり、修道服の裾を掴み引っ張って読み聞かせをせがんでいた。
「そうですね、新しい家族も居ることですし聖書を最初から読みましょう」
シスターは最近新しい自分たちの家族である子ども達を眺めながら良いことを思い付いたと言わんばかりにその幼気な顔を輝かせる。
「えぇー?! カッコイイ冒険譚が良い!!」
「私は皇子様と少女の恋物語が良いー!」
聖職者らしく聖書の読み聞かせをシスターが提案すれば途端に子ども達ばブーイングを発し、自分達が読みたい物語をリクエストする。それを修道服が脱げないように手で抑えていたシスターは苦笑しながらも子ども達を窘める。
「新しい家族にも教えてあげないといけないでしょう? また今度、順番です」
「『……はーい』」
「それに自分達のルーツを今一度確認する事は大事ですからね?」
シスターが眉尻を下げながら諭すと子ども達は渋々といった様子で引き下がる……それを新しく孤児院に引き取られた子ども達は不思議そうに見ながらなんとなく、このシスターが人気者なんだなと察する。
「では目次を飛ばして五ページ目、『第一章.怠惰で欲深き大地』から」
自身の肩幅ほどもあり、分厚い聖書を開きシスターは静かで穏やかな口調で読み聞かせを始める。……その時あまりの重さに取り落としそうになるのはいつもの光景だった。
▼▼▼▼▼▼▼
その日も大地はただ静かに寝転がっていた。
その大地は怠惰だった……何をするでもなくただ毎日を丸くなって過ごすのみ、時折寝返りをうっては地上を揺する。
その大地は欲深かった……自らはなにもしたくないくせに望みは多く、湿度を、乾燥を、肥沃を、緑を、岩塊を、生を、死を、あらゆる現象を望んだ。
その大地は不服だった……なぜ自分が歩かねばならないのかと、絶えず循環させることの必要性を理解していながらも怠惰な大地は美しい空の下で自ら動くことを嫌った。
その大地は産み出した……自らの手足となる分身を、自らと同じ肌の色を持った子を自身の欲望の瘤から造りだした。
その瘤はよく働いた……自身の欠片を与えればそれを扱い、思い付く限りの様々な方法で数多の現象を産み出した。それは大地を楽しませた。
その大地は欲しがった……欲深き大地は瘤が大事にしている物すら羨ましかった。自らの怠惰の為に産み出したのに関わらず『対価』を支払わなければ欠片を渡さなかった。大地は全てが欲しい。
その瘤は願った……『対価』に釣り合う『願望』を叶えてくれと大地に額を擦り付けて願った。対価として産まれてくる同族の半分を捧げて大地に願った。
その大地は満足した……瘤が支払う『対価』に見合った欠片を渡すだけで自分の上で様々な現象が巻き起こり、栄え、滅ぶのを大層喜んだ。
その大地は空を憎んだ……満たされた『欲望』は次を求めて際限が無い。自身を閉じ込め、歩かせ続ける美しい空が憎くて愛おしかった。
その大地は空を求めた……君が欲しい、君が僕の為に動いてくれ、君の献身が、君の愛が欲しいと身体を揺すり、血管が切れるくらい叫んだ。
その空は拒絶した……大地の告白も叫びも全て『無言』で応じた。大地が揺れ、割れて、噴き出そうともいつもと変わらずに大地の上に鎮座した。
その大地は激怒した……なぜ自分がこれだけ求めているのに、自分がこれだけ訴えているのに、君を振り向かせるための『対価』を支払っているのに美しい空は応じないのかと。
その大地は手を伸ばした……美しい空の首を掴み自身の腕の中に閉じ込めた。自分を閉じ込め歩かせる美しい空を手中に収めた。
その大地は空を弄ぶ……自分の声を無視し、これまで自分を閉じ込め歩かせ続けた美しい空を自身の代わりに流転させる。
その大地は空を孕ませる……常に自分の上に居た美しい空を欲望のままに弄び、自分の分身を造らせる事に悦びを覚える。
その空は嘆き悲しんだ……自分の足元で遊んでいた子どもに弄ばれて血の涙を流し自身を夕焼け色に染め、諦観の表情で心を閉ざし夜の帳が落ちた。
その大地はさらに空を弄ぶ……自分と美しい空との間に分身を造り続ける。二柱の涙が混じり合い、美しい空にに似た白い瘤、自分と美しい空の両方を半分に割ったような黄色い瘤、自分に似た黒い瘤。
その空はさらに嘆き悲しんだ……自らの分身を全て大地に奪われ、上から大量の涙を降らす。枯れてはまた降らし、元の天へと逃れようとすれば風が巻き起こる。
その大地は空を振り回す……自分の上で流転する事を止めれば叱責し、叱りつけ、無理やりに歩かせる。
その空は大地を拒絶する……怠惰な振る舞いも、自身の欠片を瘤に渡す行いも、自分に対する歪んだ愛情も『無言』で拒絶する。大地が空に手を伸ばしてはならないと。
その大地は嘆き悲しんだ……なぜわかってくれないのかと、なぜ美しい空は自らを否定するのだと、ただ一つの手に入らないものを求めて大地は癇癪を起こす。
その世界は歪みきった……怠惰で欲深き大地の逸脱した行いにより循環はままならず、澱みが産まれ、ばら蒔かれた大地の欠片と結合し、瘤の『願望』と『欲望』を叶える代わりに大地の心と同じく醜い姿へと変える。
その瘤たちは祈りを捧げる……黄色の瘤は目に見えるものを信仰し、黒い瘤は自然をそのままに受け入れる。原初の瘤は『欲望』を統べる術を大地に求めて跪き、白の瘤は母なる空を求めて空を仰ぎ見る。
その世界は禁忌である……大地が仰ぎみるべき空に手を伸ばし、自らの代わりに動かせる。怠惰で欲深き大地が美しい空を離さない限り──
──この星は天が回る。
▼▼▼▼▼▼▼
「あらあら、もうそんな時間ですか」
帝都のある一角にある古びた教会……孤児院も兼ねたそこでは子ども達がたった一人しかいないシスターへと群がり、修道服の裾を掴み引っ張って読み聞かせをせがんでいた。
「そうですね、新しい家族も居ることですし聖書を最初から読みましょう」
シスターは最近新しい自分たちの家族である子ども達を眺めながら良いことを思い付いたと言わんばかりにその幼気な顔を輝かせる。
「えぇー?! カッコイイ冒険譚が良い!!」
「私は皇子様と少女の恋物語が良いー!」
聖職者らしく聖書の読み聞かせをシスターが提案すれば途端に子ども達ばブーイングを発し、自分達が読みたい物語をリクエストする。それを修道服が脱げないように手で抑えていたシスターは苦笑しながらも子ども達を窘める。
「新しい家族にも教えてあげないといけないでしょう? また今度、順番です」
「『……はーい』」
「それに自分達のルーツを今一度確認する事は大事ですからね?」
シスターが眉尻を下げながら諭すと子ども達は渋々といった様子で引き下がる……それを新しく孤児院に引き取られた子ども達は不思議そうに見ながらなんとなく、このシスターが人気者なんだなと察する。
「では目次を飛ばして五ページ目、『第一章.怠惰で欲深き大地』から」
自身の肩幅ほどもあり、分厚い聖書を開きシスターは静かで穏やかな口調で読み聞かせを始める。……その時あまりの重さに取り落としそうになるのはいつもの光景だった。
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その日も大地はただ静かに寝転がっていた。
その大地は怠惰だった……何をするでもなくただ毎日を丸くなって過ごすのみ、時折寝返りをうっては地上を揺する。
その大地は欲深かった……自らはなにもしたくないくせに望みは多く、湿度を、乾燥を、肥沃を、緑を、岩塊を、生を、死を、あらゆる現象を望んだ。
その大地は不服だった……なぜ自分が歩かねばならないのかと、絶えず循環させることの必要性を理解していながらも怠惰な大地は美しい空の下で自ら動くことを嫌った。
その大地は産み出した……自らの手足となる分身を、自らと同じ肌の色を持った子を自身の欲望の瘤から造りだした。
その瘤はよく働いた……自身の欠片を与えればそれを扱い、思い付く限りの様々な方法で数多の現象を産み出した。それは大地を楽しませた。
その大地は欲しがった……欲深き大地は瘤が大事にしている物すら羨ましかった。自らの怠惰の為に産み出したのに関わらず『対価』を支払わなければ欠片を渡さなかった。大地は全てが欲しい。
その瘤は願った……『対価』に釣り合う『願望』を叶えてくれと大地に額を擦り付けて願った。対価として産まれてくる同族の半分を捧げて大地に願った。
その大地は満足した……瘤が支払う『対価』に見合った欠片を渡すだけで自分の上で様々な現象が巻き起こり、栄え、滅ぶのを大層喜んだ。
その大地は空を憎んだ……満たされた『欲望』は次を求めて際限が無い。自身を閉じ込め、歩かせ続ける美しい空が憎くて愛おしかった。
その大地は空を求めた……君が欲しい、君が僕の為に動いてくれ、君の献身が、君の愛が欲しいと身体を揺すり、血管が切れるくらい叫んだ。
その空は拒絶した……大地の告白も叫びも全て『無言』で応じた。大地が揺れ、割れて、噴き出そうともいつもと変わらずに大地の上に鎮座した。
その大地は激怒した……なぜ自分がこれだけ求めているのに、自分がこれだけ訴えているのに、君を振り向かせるための『対価』を支払っているのに美しい空は応じないのかと。
その大地は手を伸ばした……美しい空の首を掴み自身の腕の中に閉じ込めた。自分を閉じ込め歩かせる美しい空を手中に収めた。
その大地は空を弄ぶ……自分の声を無視し、これまで自分を閉じ込め歩かせ続けた美しい空を自身の代わりに流転させる。
その大地は空を孕ませる……常に自分の上に居た美しい空を欲望のままに弄び、自分の分身を造らせる事に悦びを覚える。
その空は嘆き悲しんだ……自分の足元で遊んでいた子どもに弄ばれて血の涙を流し自身を夕焼け色に染め、諦観の表情で心を閉ざし夜の帳が落ちた。
その大地はさらに空を弄ぶ……自分と美しい空との間に分身を造り続ける。二柱の涙が混じり合い、美しい空にに似た白い瘤、自分と美しい空の両方を半分に割ったような黄色い瘤、自分に似た黒い瘤。
その空はさらに嘆き悲しんだ……自らの分身を全て大地に奪われ、上から大量の涙を降らす。枯れてはまた降らし、元の天へと逃れようとすれば風が巻き起こる。
その大地は空を振り回す……自分の上で流転する事を止めれば叱責し、叱りつけ、無理やりに歩かせる。
その空は大地を拒絶する……怠惰な振る舞いも、自身の欠片を瘤に渡す行いも、自分に対する歪んだ愛情も『無言』で拒絶する。大地が空に手を伸ばしてはならないと。
その大地は嘆き悲しんだ……なぜわかってくれないのかと、なぜ美しい空は自らを否定するのだと、ただ一つの手に入らないものを求めて大地は癇癪を起こす。
その世界は歪みきった……怠惰で欲深き大地の逸脱した行いにより循環はままならず、澱みが産まれ、ばら蒔かれた大地の欠片と結合し、瘤の『願望』と『欲望』を叶える代わりに大地の心と同じく醜い姿へと変える。
その瘤たちは祈りを捧げる……黄色の瘤は目に見えるものを信仰し、黒い瘤は自然をそのままに受け入れる。原初の瘤は『欲望』を統べる術を大地に求めて跪き、白の瘤は母なる空を求めて空を仰ぎ見る。
その世界は禁忌である……大地が仰ぎみるべき空に手を伸ばし、自らの代わりに動かせる。怠惰で欲深き大地が美しい空を離さない限り──
──この星は天が回る。
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